マニス

 平成9年頃の12月だったと思います(12月だったのは覚えているんですが)寒い寒い冬の真夜中にアパートのドアの前にダンボール箱に入れ誰かが捨てていったようです。
 私がそれに気がついたのは深夜2時頃でした。アパートの部屋のドアをカリカリと引掻く音とニーニーという鳴き声に気づき目を覚ました私は「うるさい野良猫だなー、ドアを開けたら驚いて逃げていくだろう」と思いドアを開けました、すると黒い小さな塊が部屋の中に走りこんできて私の寝ていた布団の中に入っていきました。慌てて布団の中をのぞいてみると真っ黒い痩せた3か月くらいの雌の子猫が寝ていました。かわいそうに寒かったんだろうな・・・と思いながら抱き上げてみると風邪を引いているらしく、くしゃみをして眼球には白い膜がかかり両目とも目やにだらけで鼻は鼻水でカピカピになり息をするのも苦しそうでした。長生きはできそうにないな「仕方ない明日獣医に診てもらうか」とその夜はお湯で薄めた牛乳を飲ませ鼻水と体を拭いて一緒に布団で寝ました。次の朝コンビニで猫缶を買ってきて与えてみるとすごい勢いで食べつくしました、食欲があったので少し安心しました。人にとても慣れていてトイレも教えなくてもできたところを見ると飼い猫だったようでした。獣医に診察してもらったところ「栄養失調で小さいだけで、すでに6か月を超えてます、歯茎が真っ赤に腫れて慢性的な症状になってしまっていますがこれは治りませんよ。」といわれ驚いてしまいました。飼い猫らしいのに餌も十分与えられず病気になったら捨てるだなんて(しかもアパートの前に)無責任な人もいたものです考えただけでも腹が立ちました。アパート住まいの私は貰い手を捜そうと思いましたがこんなに病気だらけの猫をだれももらってくれないだろうし、病気が治るまで一緒に暮らすか・・・と決心しアパートの大家さんに許しをもらい(優しい人でよかった)一人と一匹の共同生活がはじまりました。当時インドネシア語を習っていたのと汚い猫だったので美猫になればと思いを託し可愛いと言う意味の「マニス」と名づけました。

 これは現在の写真です。右目はきれいに治りましたが左目の膜は今もかかったままです。
 歯茎が年中腫れているので前歯は全て抜けてしまいいつも舌をだしていますが歯がほとんど無いにもかかわらず餌はドライフードを上手にを食べてます。

出会い
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