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すくらっぷ・ブック
右上の写真は虹に向かって走る愛息である(笑)
ちなみに写真は多少補正して副虹も見えるようにしてある。
写真と作品の関係については読んでもらえばすぐに判る事なのでこれ以上は言わない。
小学生の頃、毎週のチャンピオンが楽しみだった。
当時のチャンピオンはヤンキー向けの雑誌ではなく、多種多様な漫画が読める雑誌だった。
ギャグならマカロニ、がきデカ、らんぽう、
スポーツものなら水島新司(なんかオカルトな卓球漫画もあったような気がするが)、
動物ものはレース鳩0777にロン先生、
あすなひろしや手塚治虫の作品、
こうしてみると方向性が全然訳の解らない雑誌だったのかもしれない。
その中で一番好きだったのが本作品、すくらっぷ・ブックである。
恋愛や友情といった所謂綺麗事が素直に描かれている。
弟であるたがみよしひさの項でも書いたが、主人公以外の、時にはほんの脇役までもその視点、主観が描かれる漫画は小山田、たがみ兄弟が嚆矢であろう。作者はキャラ付けを明確にしようと模索した旨を述べているが、おそらくはその為の手法として編み出されたものであろう。その結果としてヴァーチャルとも言える空間を描き出しているのである。物事をまだ素直に見る事ができた小学生当時、わしは素直にこの作品にのめり込んでいた。当時のわしにとっては理想郷に思えたのだろう。
しかし暫くして、実際に中学生になってみるとなんだか気恥ずかしさが先に立って読めなかった。またナナメに物事を見るようになったわしには痛い素直さでもあった。
そこから長い間、この作品には触れずにきた。
二十年以上ほったらかしである。
それがこの年になってひょんな事から読み直す気になった。
単行本は実家のどこか深くに眠っているので掘り返す気にはならない。
ので復刻版を買った。
多少の気恥ずかしさは確かにあるのだが、素直に楽しめ、素直に泣けた。
泣きながら笑う日生香苗の描写は素晴らしい。素直に感動した。
わし自身の小中学生当時の心根を素直に認める事ができた。
スッキリと気持ちのいい、素直に読める作品である。