Rolling Circus Review

なんばHatch

2006.2.11

 

 定宿になってきましたなんばHatch。

会場に入るとあこがいたのでとりあえずケリくれて開演を待つ。

思ってたより右側の座席。

昔取ったなんとやら、どうも厚年とかの座席表が頭に残ってるみたいで

送られてきたチケットからは真ん中辺りと思ってしまっていた。

しかし・・・暑いぞホール内。

タンクトップまでは要らんだろと長袖で来たが

この気温では失敗だったか・・・・と思っていたら

 

開演!

1.ダイナマイトが150屯

JAH-RAHがリズムを刻み蘭丸のギターがまとわりついてくる。

マイクを蹴り上げる甲斐さん。

いきなり熱いです。

しかしでかいなあのベードラ。

 

2.キラーストリート

おぉこのリズムはっ!

来るか来るかと思ったらがっちり来ました。

ジャックナイフを振る甲斐よしひろ。

なんといっても間奏のツインリード。

待ち構えていたら来た来た来たあっ(鳥肌)

大森さん&1ROとは違う、蘭丸と松藤さんのツイン。

前者が切れのある尖った音ならば、 後者は幅のある膨らみのある音。

鋭鈍の区別ではもちろんない。

 

3.ランデブー

畳み掛けるように続けるメンバー。

もう完全に躰が熱いです。

汗だくです。

大失敗です。

テレキャスとカメルーンブーメランの余韻が疾走を見せつける。

 

4.ブルーレター

坂井さん、JAH-RAH、蘭丸はセットに腰掛けたまま、 松藤さんと前野さんだけの演奏で。

サビでは「レタァ/」と伸ばさずに唄う。

情感を断ち切るようなイメージ。

 

5.No.1のバラード

「らいむらいと」についてMC。

すみませんチャート上昇に協力しました(爆)

コーラスで低温を被せる松藤さん。

観たことはないが懐かしい曲、 それでも音が懐かしいわけではない。

 

6.からくり

クラップやめませんかみなさんっっ!!

なんでもかんでもエイトで叩くのは。

こういうのを言いたくはないのだが、 あまりにもリズムがずれて辛すぎる。

気づこうよ、もう・・・(^^;

それはともかく、やはり三連符なメンバーが集まっているのだと実感。

いい演奏なんだが・・・悔やまれる。

 

7.悪いうわさ〜ダニーボーイに耳をふさいで

やっと生で聴けたという感慨に耽る。

しかもこの流れで来るとは・・・痺れた。

くそ熱いのに鳥肌が立ち、更に体温は上昇することとなった。

 

8.射程距離

MCを挟んで。

まだ根に持っとるし(^^;<お○こ

いろんな若い頃の話しも交えて。

武道館のあのシーンも(^^;;;;

でも人のことは言えないと思います。

これも初めて。

オリジナル、地味に好きなんよね。

ふっと包まれる感じが。

溜息みたいな音にツインキーボード、いいねえ。

 

9.ビューティフル・エネルギー

オリジナルに近く、という短い言葉を挟んで。

全く松藤さんに唄わさず←遠いじゃん

相変わらず卑猥だ。

サビ前の「じゃら〜ん」は松藤さん。

確かに演奏自体はオリジナルにほど近い。

Battle・・のよりも。

オリジナルのメンバーよりもオリジナルっぽい。

 

10.シーズン

ん〜〜なんだこの痛さは。

なんか出てきた。

間奏のホーンの部分は蘭丸のギターで演奏。

ここ数年で一番のシーズンと決めた。

 

11.氷のくちびる

立ち位置より逆方向で甲斐さんの横に佇む蘭丸。

オリジナルにこういう部分も似せながら、

それが蘭丸だけに全く別物であるという事実が際立つ。

オリジナルに近い形の音、演出、 なのに全くの別物であるというパラドックス。

ぐいっと走りつつアップテンポになり、 エンディング、そして。

 

12.ポップコーンをほおばって

氷〜ポップコーンという流れはシリドリ以来。

そんなことはともかく、これほど響いたポップコーンは初めてだった。

個人記録的には五本指に間違いなく入る回数を聴いているはずなのに、 涙が溢れて止まらない。

躰に馴染んだリズムが涙腺を揺らしたのかどうか。

 

13.翼あるもの

重ねる・・・はなあ、この展開で来れば。

涙止まりませんな。

去年はアコースティックだけだったからか、 勢いと迫力が凄まじい。

Classicとの対比も一興。

 

14.漂泊者

JAH-RAHがビートを叩きつける。

氷からこの方、とにかく迫力が凄い。

ドンと躰に音を叩きつけられていた。

 

〜アンコール〜

 

E1.ALL DOWN THE LINE

二人して335て・・・(瀑)

こういう感傷は感じざるを得ないのだが、 全く違和感がない。

大森さんがいない、という違和感が。

確かこの曲は第一次ソロ:89年以来だと思うのだが、

あの時にあった違和感は全然感じられない。

蘭丸と松藤さんはここでもツインリード。

同じように335を使いつつ、 はっきりと聴き分けのできる音。

大森さんへの感傷を払拭してもなお、 背中を鳥肌が駆け上がる。

ラストの蘭丸のギターには全身が痺れた。

 

E2.安奈

メンバー紹介を挟んで。

松藤さんの紹介、難しいよな(^^;

なんでも演っとってじゃし。

坂井さんの誕生日だそうで、その紹介の後蘭丸がハッピーバースデーを奏でる。

本当にこのメンバーは楽しそうだ。

常にそうなのだが、特にこのメンバーは。

松藤さんがドラムセットへ。

JAH-RAHと対比させると、音が優しい。

どちらも体温のある音なのだが、 より自然な体温に近いイメージ。

でもいつもと叩くリズムが違った、様な気がする。

 

E3.観覧車’82

それにしても蘭丸のギターは幅が広い。

オリジナルである大森さんの切なさとは全く別物で、

この曲のもつイメージすら変えてしまいそうだ。

これは全くいい意味で。

巡り巡る想い、自分の中にある想いを、 別の角度から触られていたような気分。

俯いたまま、音に委ねていた。

切なくて心地よくて。

 

E4.港からやってきた女

前野さんがキーボード、そこに皆が絡み込んでいく。

これは全く初めての展開。

Secret Gigでみゆきが出てくる時のメロディが元なんでしょうが。

もっと即興的な演奏を聴いていたい気分。

松藤さん、うまい!

ひとしきり弾いたら蘭丸と掛け合って。

甲斐さんが出てきたらブレーク。

蘭丸のギターに前野さんのホンキィトンク!!

ゾクゾクが無数に躰を駆け上がって行く。

ここだけは腕を振り上げるわし。

もう理屈を全部ぶっ飛ばして、全身で音を感じていた。

とにかく、気持ちいい。

 

E5.嵐の季節

痛いです。

はい。

先、目的、目標、そんなものがなければ、 僅か数年をやり過ごす事も能わず。

それでもなにかが見えてくるまでは、ひたすら、なんだ、と。

 

今年の冬は躰を休める、と言えば体は良いが 要するに全くトレーニングをさぼり、

正月には食っちゃ寝を通したので筋肉は落ちているのにも関わらず体重は増えるという状態になっていた。

正月明けから食事と酒はそのままであったが 間食を皆無にしmaxから3kg落とす処まで来ていた。

後は動かし始める時期だったのだが、 ちょうど良いタイミングでのライヴであった。

ライヴ終了後には予定通り平均-2kgまで落ちていた。

後はトレーニングにより落ちた分を筋肉で補うのだ。

翌日には押入から鉄アレイとダンベルを取り出した。

今年もまだ現役でプレイするのだ。

 

ライヴの目的、何か間違ってますか、わし?

 

躰に溜まった老廃物や汗はこの二時間強のライヴで絞り出すことができた。

失った代わりに溜まったものも、少しずつ流れ始めた。

新しい何かを得るにも、自ら動かずには探すことも叶うまい。

齢五十を超えて尚走り続ける男達を観て、想った。

 

 

と、根拠のない高揚感を持たす程に勢いと迫力のあるライヴだった。

凄まじいばかり、である。

ここから論を進めてみよう。

 

  甲斐よしひろは、このツアーに際し、

「甲斐バンド解散から20年」 、「甲斐バンドの曲だけ」 、「攻撃的な曲」 が、キーワードだと言った。

即ち甲斐バンドを今まで以上に意識したライヴである事には疑う余地がないだろう。

甲斐バンド時代の曲を網羅したSeries of Dreams vol.1、そして2においてすら

このような表現は使っていない。

ただ年代を記したのみである。

まして「悪いうわさ〜ダニーボーイに耳をふさいで」というバンド初期に

よく演奏されていたメドレーまで組み込んである。

年代ではなく、甲斐バンドそのものを意識したライヴ、 そういう意味ではないのか。

 

 さてそれではどのように意識したのか、が問題となろう。

順に考えてみよう。

 

 「解散から20年」であるが、ただ単に年をとった、

年をとったけど俺は元気だぜ、こんなものではなかろう。

20年で何が変わったか、が主の筈だ。

わしはここに音の充実を見る。

BOXのインタビューで、「Love minus Zero」はライヴで再現できなかった、

という件があったのは周知の事だろう。

そして「Series of Dreams」、そして「Party 30」に至り、

甲斐バンドでは成し得なかったアルバムの再現は可能となり得たではないか。

わしは「Series of Dreams」にしろ、「Party 30」にしろ、

オリジナルへの近さに驚いた。

それは甲斐よしひろがリアレンジせずに、という驚きも含めるが、

バンドではないメンバーでバンドをあれほどまでに再現している事にこそ驚いたのである。

ここまでは、既に過去の話であり、既に成し得たことである。

「解散から時を経て甲斐バンドは再現でき」ているのである、既に。

 

 その先はどうか、これを表すのが「攻撃的な曲」だろう。

一つには、今回のライヴを体感すれば解る事だろう。

迫力、勢い、である。

昨年がアコースティックユニットのみであった反動もあろうが、

音の迫力、圧力は「Party 30」以前よりも更に勢いを増していた。

正に音の氾濫洪水鉄砲水である。

手で突き飛ばされるような衝撃をわしの躰は感じた。

甲斐バンドの持つエネルギーは、再結成時ですら凄まじかった事は前にも述べた

現役当時とか全盛時とかいう言葉は不適当だろうが、

ライヴバンドとして名を馳せた頃の甲斐バンドの勢いなど、

更に凄まじかったであろう事は想像に難くない。

そこまで再現しようとしたのだろうか。

ただ、「攻撃的な曲」は単に曲調、歌詩の問題ではあるまい。

「冷血」、「野獣」、「三つ数えろ」・・・

内容的に攻撃的な曲として誰もが挙げるであろう曲達はここになく、

むしろ「黄金」の中で最も穏やかというべき「射程距離」が演奏されているのだ。

従って全く別の「攻撃」が隠されているのは間違いない。

 もしかしたら。

甲斐バンドの音、勢いを再現した、のではなく、凌駕しようとした、のが、

Rolling Circus Reviewの目的ではなかったか。

ここに「攻撃的」のふたつ目の意味を見る。

「甲斐バンドを音、迫力ともに凌駕する」事自体が攻撃的でなくて何であろう。

アグレッシヴな調子の曲、という意味だけではなく、

甲斐バンドという巨大な存在への攻撃、という意味がここにはないか。

奇しくも前回のレポでは、ドンキホーテよろしく云々などと書いたが、

今回もまた甲斐バンドというある種の怪物に立ち向かっているのではないか。

それだけではない。

「甲斐バンドを凌駕する」のが、如何なる事となるか。

何が、いや誰が、攻撃に晒されるか。

考えるまでもあるまい。

わしも含めた、信奉者と呼べる人々である。

「”甲斐バンドを超えるもの”が存在するのだ」、

そう言われて戸惑いもなく頷ける者がどこにいようか。

縁もゆかりもない他の者が言うのであれば一笑に伏せばよい。

「あり得ない」と嗤えばよい。

しかし誰より甲斐よしひろ本人がそう言ったのだとしたら。

背筋が凍るような想い、ではないか。

我々自身の人格否定にすら等しい言葉ではないか。

これほど攻撃的な事はいくらも存在し得ない。

 とてつもなく恐ろしい結論に達してしまったが、 これを裏付ける曲がある。

そう、ALL DOWN THE LINE、25時の追跡、である。

甲斐バンドとしては特殊な形の曲であるが、

ライヴでの重要曲として何度も演奏されてきたもの以上に、

甲斐バンドを顕わす曲でもある事に異論はなかろう。

それを敢えて、しかも335を並べてまで演奏したのである。

甲斐バンドを、大森さんを意識するなと言う方が無茶である。

しかしそこに、繰り返しになるが、わしは違和感を感じなかった。

御丁寧にオリジナル同様、間奏に無線通信の声まで入れても尚且つ、

大森さんがいないのに、という想いは全くなかった。

当たり前に演奏され、そしてその演奏の素晴らしさに鳥肌を立てたのだ。

 わしはここを以て確信する。

このRCRは甲斐バンドを再現しつつある意味においては凌駕し得たものである、

と。 今後の因数分解がどのような形になるのか、楽しみである。

 

 

  1.ダイナマイトが150屯

  2.キラーストリート

  3.ランデブー

  4.ブルーレター

  5.No.1のバラード

  6.からくり

  7.悪いうわさ〜ダニーボーイに耳をふさいで

  8.射程距離

  9.ビューティフル・エネルギー

  10.シーズン

  11.氷のくちびる

  12.ポップコーンをほおばって

  13.翼あるもの

  14.漂泊者

 

  E1.ALL DOWN THE LINE

  E2.安奈

  E3.観覧車’82

 

  E4.港からやってきた女

  E5.嵐の季節

 

KAI Lives

 

 

 

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