都道府県で唯一消費生活条例のなかった長野県が制定

 

  長野県は47都道府県で唯一、消費生活条例が制定されておらず、これまで、1976年51年制定(1984年、2002年一
部改正)の消費者保護対策要綱等によって消費者行政が実施されてきた。そうした中、消費者団体、労働福祉団体、
弁護士会などからの条例制定を求める声が寄せられ、2006年6月の県議会において全会派議員の紹介による請願書
が全会一致により採択された。

  請願書の内容は、実効性のある「長野県消費生活条例」(仮称)を制定すること、幅広い県民の参加によってその意
見を反映させること、の2点であった。議会は、「県民意見の反映と県の施策の公平性・透明性を高めるために、行政
内部で策定する要綱よりも条例制定が必要である。また、条例制定後も審議会において県民意見の反映が可能とな
る」、「悪質商法の手口は、多様化・巧妙化(訪問販売における住宅リフォームや布団などの次々販売、ハガキ・封書に
よる架空請求など)しており、消費者トラブルが多発しているため、関係機関を含めた総合的な検討が必要である」(長
野県作成「長野県消費生活条例(仮称)検討の経過について」参照)との認識を示し、2007年5月に消費者、事業者、
学識経験者、市長村代表で構成する「長野県消費生活条例(仮称)検討委員会」(委員長:樋口一清・信州大学教授)
が設置された(事務局:長野県生活環境部生活文化課)。同委員会の検討結果をふまえ、2008年6月には県より県議
会に消費生活条例案が提案され、同月可決、7月10日 に公布された。施行は2009年1月1日である。


  同条例の特徴としては、@迅速かつ機動的な被害救済の仕組み、A消費者相談体制の充実(本庁が有していた行
政処分権限の消費生活センターへの移管等)、B国等が公表した危害情報の消費者への提供義務(知事の努力義務
として明記)の明記をあげることができる(樋口一清「地方消費者行政の取り組みと課題 長野県消費生活条例の制定
をめぐって」関西消費者協会『消費者情報』2008年7月号参照)。



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