特商法、景表法にも団体訴訟制度


  特定商取引法と景品表示法に消費者団体訴訟制度を導入するととともに、両法にもとづく差止請求権を行使できる
適格消費者団体の認定・更新・監督等の手続に関する規定を消費者契約法に一本化する「消費者契約法等の一部改
正案」が4月25日に成立した。

  これにより、現在、適格消費者団体として認定を受けている5つの団体は、自動的に来年4月より景品表示法にお
ける差止請求権を、来年10月より特定商取引法における差止請求権を、それぞれ有することになる。

  これは、消費者契約法に定める違反行為に対してのみ認められていた適格消費者団体による差止請求権を特定
商取引法と景表法違反行為に対しても認めるものであり、かつ適格消費者団体の認定に関わる手続きの煩雑さに鑑
み、新たな手続きをとることなしに、すでに認定を受けている適格消費者団体に両法上の差止請求権も付与するもの
で高く評価できる。しかし、従来から求められている損害賠償請求権に付与については実現しなかった。そのことも含
めて附帯決議が衆参両院で下記のとおり行なわれている。



<衆議院内閣委員会 消費者契約法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議>

政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。
1. 特定商取引法及び景品表示法への消費者団体訴訟制度の導入の意義を踏まえ、適格消費者団体と関係行政機
関との連携や制度の適切かつ効率的な運用に留意すること。
2. 消費者被害の救済の実効性を確保するため、適格消費者団体が損害賠償等を請求する制度の導入について、
引き続き検討すること。
3. 適格消費者団体による差止請求の対象行為については、特定商取引法において本法案の対象とならなかった条
項(政省令事項を含む)にかかる行為や、詐欺・強迫行為を伴う勧誘行為、民法の公序良俗に違反する条項を含む消
費者契約の意思表示、不当な契約条項を含む消費者契約の意思表示を行うことを推薦し提案する行為(いわゆる推
奨行為)等をはじめとして、その範囲の拡大について引き続き検討を進めること。また、独占禁止法等の消費者関連
諸法についても、消費者団体訴訟制度の導入について検討を進めること。
4. 国及び地方公共団体は、適格消費者団体の活動が促進されるよう、円滑な資金の確保や情報提供など環境整備
に努めること。

<参議院内閣委員会 消費者契約法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議>

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
1. 景品表示法及び特定商取引法への消費者団体訴訟制度の導入の意義を踏まえ、公正取引委員会及び経済産業
省と適格消費者団体が相互に情報提供を行う等により連携を図り、制度を適切かつ効率的に運用すること。
2. 消費者被害の救済の実効性を確保するため、適格消費者団体が損害賠償等を請求する制度の導入について、
引き続き検討すること。
3. 適格消費者団体による差止請求の対象行為については、特定商取引法において本法案の対象とならなかった条
項(政省令事項を含む)にかかる行為や、詐欺・強迫行為を伴う勧誘行為、民法の公序良俗に違反する条項を含む消
費者契約の意思表示、不当な契約条項を含む消費者契約
の意思表示を行うことを推薦・提案する、いわゆる推奨行為等を始めとして、その範囲の拡大について引き続き検討を
進めること。また、独占禁止法等の消費者関連諸法についても、消費者団体訴訟制度の導入について検討を進める
こと。
4. 国及び地方公共団体は、適格消費者団体の活動が促進されるよう、円滑な資金の確保や情報提供など環境整備
に努めること。


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