座席は鉄道会社の経営姿勢を示す


  JR東日本の2階建て新幹線MAX(E4系)の2階自由席は何と横6席である。通常の新幹線は3席+2席の横5席で
ある。5席でも横幅は狭く、とくに3列席の真ん中の席は評判が悪い。それに更に1席増やしてしまっているのである。そ
の理由は着席率の向上である。供給より需要が多いのであれば、本来、増便や連結車両の増加で座席数を増やすの
が鉄道会社として当たり前のサービスであるが、JR東日本は居住性を犠牲にして席を増やすことで、需要に対応する
経営方針のようである。しかも、驚いたことに、JR東日本の乗客向け雑誌『列車の旅』で、以下のように述べている。

 「普通車自由席の一部は3+3列シートを採用し、より多くの乗客が着席できるように配慮」


  席を狭くてしまって、乗客を詰め込むことを「配慮」と呼んでいることに驚く。実は、JR東日本では、シートピッチを狭
くして客を詰め込むことは従来より行なわれている。例えば、山形新幹線つばさ(400系)のシートピッチは980ミリが
標準なのだが、自由席は910ミリにしてしまっている。秋田新幹線こまち(E3系)は現在、全車指定席だが、昔、自由
席車両として使っていた指定席も980ミリではなく、910ミリしかない。これはかなり狭い。JR東海の東海道新幹線の
シートピッチは1040ミリ、西武鉄道の特急レッドアロー号は1070ミリである。これらと比べると指定席の980ミリでも
狭いのに、つばさの自由席、こまちの一部指定席は910ミリしかないのである。

  前述の新幹線MAXはシートピッチはそのままの代わりに席を横1席増やしたのである。なぜか? MAXの3人が
けシートはシートピッチを狭くすると、回転して向かい合わせにすることができないので、JR東日本は3+3シートにして
しまったのである。(注:つばさ、こまちは在来線も走る幅の狭い車体であるので、横2+2シートである)





                 
          客を詰め込む3+3シート               通路側以外肘掛もない


                
      それでも大混雑のJR東日本の新幹線           通常の2+3シート


 
      

 

  さらに同社の経営姿勢を示すものがある。下の写真は湘南新宿ラインの普通車グリーン車(自由席)の空席状況を
示す天井のサインである。


             


  SUICAでグリーン券を購入(切符は発行されない)し、それを天井にかざすと情報が読み取られる仕組みである
が、このがおかしい。空席はで、誰かが座っている席はなのである。常識的には空席はで、誰かがすで
に座っていればであろう。なぜ反対なのか? JR東日本にとっては、ちゃんと料金を払い、それを同社が確認した席
は着席可の席だからであり、そうでない席はなのである。乗せてやるという姿勢だからこうなるのだろう。


付記:JR東日本は、週末の東北南部より南のJR東日本管内の列車乗り放題チケッ「土・日切符」をほぼ通年発売し、
週末の需要を掘り起こしている。せっかくのフリーチケットだから新幹線を使って遠方に行く利用者が多いのであろう。
日曜日夕刻以降の上り列車の混雑が著しい。フリーチケットであっても供給に著しく見合わない切符の販売を制限する
ような施策も必要ではないかと感じる。通勤電車並みの混雑であることも多い。そもそも「自由席」の名のもといくらでも
特急券を売ることも問題ではないか。需要にあった供給を義務付けるような法制度も必要かもしれない。


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