東京都が山手線にアド・トレイン



  1月初旬に山手線に乗ったら、車両すべて買い切り広告があった。何か新製品の広告か、あるいは年末に専修大
学の全車両広告を見た(これも驚いた)ので、同様なものかと思ったら、何と東京都消費生活総合センターの消費者啓
発ポスターだった。


 



  東京都によれば、山手線の1編成(11両編成)がこの全車両広告電車だという。期間は1月1日から15日で、1編成の
みであることから一日に稼動するのは山手線10周から15周とのことである(日により稼働率が異なる)。
  さすが自治体消費者行政のトップランナーである東京都のやることはでかい。ポスターもかいわらしく面白い。気に
なるのは費用だが、ポスター代は別で、広告料は800万円強とのことである。その費用対効果が知りたいところである。


細川幸一


追記:
  千代田区が禁煙条例で路上喫煙者から2千円の過料(行政罰としての金銭罰)を徴収している制度に私は注目して
いる。
  消費生活条例上の「不適正な取引方法」違反行為に過料を導入し、その収入でこうした啓発行為をやれば良い。税
金からこうした費用を捻出するより、悪事を働いた事業者から制裁金を徴収し、それを啓発活動に利用することによっ
て都民に還元する方が合理的だろう。(条例改正により罰則規定が盛り込まれたが、これは知事の禁止命令違反や立
入調査拒否に対するもので、行政処分の実効性を確保するためのいわゆる間接罰規定である。ここでの主張は直罰
規定の導入である)
  しかも、この場合、需要に見合った消費者啓発が実施できる。例えば、悪徳商法が増大している場合、啓発の需要
は高まるが、過料処分が増え、結果としてその収入が増すから消費者啓発もより多く実施できる。しかし、悪徳商法が
減れば、啓発需要は減少するが、過料処分が減り、収入が少なくなるから消費者啓発も減る。消費者啓発の供給が需
要に対して自律的に決定され、しかも都民の税金を投入しないで済む。


関連論文:
細川幸一「千代田区生活環境条例による路上禁煙施策 −過料の適用による実効性確保−」
(国民生活研究 43巻2号、2003年9月)


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