多チャンネル化でますます薄くなるTV番組内容


  毎日新聞によれば、TBS系で2日、生中継された「亀田興毅VSフアン・ランダエタ」で、視聴者から同局への「番組
開始から試合までが長い」「判定に納得がいかない」といった電話が、同日午後7時半から3日午前9時までで計3万7
225件に上った。同様の電子メールも3655件あったという。


  判定の内容についてはさておき、番組開始から1時間以上経ってようやく試合開始の番組構成は私もひどいと思っ
た。テレビ局の視聴率獲得戦略は姑息である。最近気付いたのが長時間に及ぶスペシャル番組やドラマの広告の入
れ方だ。番組のはじめの方は広告が少ないのだが、後半になると10分も経たないうちに広告となる。要するにはじめ
の方に広告を頻繁に入れるとチャンネルを変えられてしまうので、番組をたっぷり見せ、視聴者が内容にのめり込んで
きたら広告を垂れ流す作戦だろう。

  民放のBSデジタル放送開始で多チャンネル化が進んでいるが、それに対して番組内容は薄っぺらになるばかりで
ある。某民放のクラシック音楽番組など、毎日のように同一番組の垂れ流しで、10分位毎にDVDのコマーシャルとな
る。要はDVD収録曲を短時間放映して、それを買わせる通信販売広告なのである。テレビショッピングが多くなり、そ
れを番組のように行うから、「番組」と「広告」の垣根がなくなってしまった。ある地方局など、「健康増進番組」と称して、
実質的に特定企業の商品を売る広告を30分も続けている。広告は民放連の「放送基準」148条により、総量規制が
行われ、放送時間の18%以内とされている。「広告」を「番組」と位置づけることにより、同規制を逃れようとしているの
か。そうだとすると、広告放送を識別できるようにすることを求めている放送法51条の2及び同基準93条に違反して
いるのではないか?
  

       細川幸一


(参考)日本民間放送連盟放送基準

93条
  コマーシャルの内容は、広告主の名称・商品・商品名・商標・標語、企業形態・企業内容(サービス・販売網・施設な
ど)とする。
  放送法第51条の2[広告放送の識別のための措置]では、「一般放送事業者は、対価を得て広告放送を行う場
合には、その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければな
らない」と規定されている。
  ここに言う「対価を得て行う広告放送」とは、企業のコマーシャルはもちろん、団体、官公庁などのコマーシャルや、
いわゆる意見広告も含まれる。
  広告放送であることを明らかにするために、ここに例示されたコマーシャルの要素のいずれかを含むことによって、
広告であることがわかるようにしなければならない。

148条
  週間のコマーシャルの総量は、総放送時間の18%以内とする。



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