なんら規制のない保証会社



  先日、住宅ローンを組んだ。近年、住宅ローンで連帯保証人を立てることはほぼないであろう。通常、住宅融資を
受ける銀行の子会社である保証会社と保証委託契約を結ぶ。私の場合もそうであった。

  当然、保証料を支払うわけだが、支払い方法には二通りあって、ひとつは融資額と返済年数に応じて保証料を一括
して支払うもの、もう一つはローンの金利に上乗せして毎月支払うものである。私は前者を選んだ。その場合、ローンを
一括返済したり、繰上げ返済した場合、保証料については返戻金がある。しかしながら、驚いたことに保証会社との保
証委託契約では、返戻金については弊社所定の方法で計算するとあるだけなのである。これでは白紙委任と同じであ
る。所定の方法とはどういうものなのか聞いたところ、何と一切情報提供できないというのである。


  金融庁、経済産業省に確認したが、保証会社の監督官庁は存在せず、保証委託契約に対する約款規制も一切な
いことが分かった。まったく消費者の視点での行政監督、約款規制が存在しないのだ。



細川幸一



  追記:このようなことはおかしいと思っていたが、2009年5月22日の参議院「消費者問題特別委員会」での消費者庁
設立審議の中で、自民党丸川珠代議員がアーバンエステートや富士ハウスなどの住宅建設請負会社の倒産被害に対
する政府の取り組みについて質問をしているのに接した。
  住宅建設請負会社が完成保証をうたって事前に請け負い代金を過剰に消費者に支払わせて倒産し、いざ消費者
が保証会社に保証を求めても、保証会社の財力が十分でないために十分な保証を受けられない、あるいは保証契約
自体の成立が否定されてしまっている(保証料が保証会社に渡っていないという主張のようである)状況を明らかにし、
政府に訴えていた。非常に重要な指摘である。
  保証会社への規制がなんらない状況を放置すると、企業が消費者を安心させるためダミーの保証会社を作ること
も考えられる。そもそも注文住宅(建築請負住宅)には手付金保全制度がないということであり、それも問題である。ま
た、注文住宅が完成前に請負会社が倒産すると工事途中の建物の所有権は請負会社にあるため、これもまた消費者
にとって面倒な問題である。国土交通省は消費者・生活者目線で仕事をしているのであろうか。









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