議員会館で団体訴訟制度導入集会

 
   4月5日に衆議院第一議員会館で、「消費者団体訴訟制度導入をめざす4・5国会集会」が開催された。主催は
全国消費者団体連絡会、消費者機構日本等の消費者団体及び同制度設立後の適格団体を目指す団体である。集会
は同日13時より、同会館第一会議室で自民、公明、民主、共産の各党の内閣委員会委員を務める国会議員も出席し
て開かれ、消団連会員団体幹部や個人、180名の参加者で会場が埋まった。さらに議員秘書やマスコミ、関係官庁の
担当者も加わり、会場では立ち見の参加者も多くいた。

  集会は、国会議員に同制度の重要性を訴えるためのもので、集会の前後には参加者が分担して内閣委員会委員
に対して陳情活動を行った。


             

     埼玉県消費者被害をなくす会 伊藤恭一氏開会挨拶        混雑する会場



  集会では、埼玉県消費者被害をなくす会専務理事伊藤恭一氏の開会挨拶のあと、全国消費者団体連絡会事務局
長神田敏子氏より、これまでの取り組み法案についつて説明があった。引き続き、各党の議員がそれぞれの党の見
解、取り組みについて説明を行った。自由民主党・戸井田とおる衆議院議員、公明党・田端正広衆議院議員、民主党・
小宮山洋子衆議院議員、日本共産党・石井郁子参議院議員の各氏である(社民党代理出席)。



  


 そのあと、地域の生協・消費者団体、日本弁護士会等の参加団体から発言等があり、最後には「消費者団体訴訟制
度の今国会での実現を求めるアピール」が採択された。


 法案成立に係る現状は以下のとおりである。

@消費者契約法への今国会での差止め制度導入については確実
A裁判管轄について事業者の本店所在地に加え、営業所在地も追加されること、適格消費者団体への情報面での支
援措置を講じることの2点の消費者団体等からの要求については、かなり公明党もそれを主張したようで、すで政府提
出法案に盛り込まれているので、これも確実
B最大の論点になると考えられるのが、法案の「他の適格消費者団体による確定判決等が存する場合、同一事件の
請求は原則としてすることができない」旨の法案条文の削除あるいは修正、および、適格団体への財政支援あたりとな
る見込み
C独禁法、景表法、特商法等消費者関連法への団体訴訟制度の導入、および、差止めに加え損害賠償請求権の導
入を目指すための法案見直し時期や検討項目を付帯決議等で明示する
 ・・・そのような気配であった。


  同日、民主党も対案を決定したとのことで、民主党では損害賠償請求権も盛り込んだ法案を提出する用意があり、
むしろ消費者団体は消極的過ぎるとの意見が同党小宮山洋子議員からあった。私も同感である。私は今回の動きに
ふたつの異なる感想を持っている。一つは、日本のこれまでの消費者法制の歴史をみたときに「よくここまで来たな」と
いう感じである。一方、目をアジアを含む、海外に向けたときには、「未だこの程度の法律しかできないのか」との感想
も持つ。中国、韓国、台湾、タイなどの近隣諸国をみても、団体訴訟制度、政府による消費者のためにする民事訴訟
制度、重畳賠償、積極的な国による消費者紛争調停制度等が制定されてきており、むしろ日本の消費者法制度はア
ジア諸国に遅れている感すらある。


私の意見
@悪徳行為をやりつくして、最大限の制裁が裁判所からの「今後はするな」という命令では、不当行為のやり得である。
消費者個人の損賠賠償請求訴訟があっても賠償金は当該原告に支払われるだけなので、不当利益を十分に吐き出さ
せることはできない。やはり、損害賠償請求権を団体訴訟制度に盛り込むべきである。

A消費者団体による訴訟は公的な役割を担っている。米国では税金で、政府がそれを行っている。日本でいえば、公
取委や国センあるいは経済産業省が民事裁判に訴えて差止めや損害賠償請求をし、得た賠償金を消費者に分配して
いるイメージである。その意味では、損害賠償請求権を認めないのであれば、政府の訴訟支援を情報面だけではなく、
財政面でも行うのは当然であると考える。

B団体訴訟制度は被害者救済・弱者救済といった機能だけではなく、健全な市場形成に役立ち、結果として事業者も
消費者も潤うという視点を持つべきである。違法な行為を行えば必ず損をするという制度があってはじめて、健全な市
場となる。日本では、消費者法制の強化を訴えるとすぐに「営業の自由」への介入だとか過剰規制だとかいう声が大き
くなるが、違法行為者を市場から徹底させることにより市場が信頼できるものとなれば、消費者は安心して、商品・サー
ビスを購入できるようになり、それによってまっとうな事業者のビジネスチャンスは増えるはずである。住宅リフォーム商
法が大きな問題となったが、被害者は消費者に加え、まじめに仕事をしてきたリフォーム業者であろう。
 特定商取引法に設立根拠を持つ日本訪問販売協会等の事業者団体が自分たちの市場を守るために団体訴権を行
使したがる・・・そんな状況は日本ではあり得ないのであろうか・・・

細川幸一







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