不安が残る首都圏の鉄道ネットワーク化


  大阪の鉄道は私鉄各社が巨大なターミナル駅を持ち、放射線状に鉄路が郊外へと伸びている。一方、東京ではネ
ットワーク化進められ、私鉄と地下鉄の相互乗り入れが進んでいる。

  ネットワーク化の利点はバリアフリーで目的地まで行けること、乗換えが不要になることである。しかし、最近問題が
浮かび上がってきた。極端にそれが現われたのが東京メトロ副都心線開通時のトラブルである。小竹向原駅で都内方
面では有楽町線と副都心線に別れ、、西側では東武東上線と西武池袋線に乗り入れするようになった。つまり同駅で
電車がクロスするという珍しい路線となった。

  開通当初は職員の不慣れもあり、大混乱し、毎日のように遅延が発生した。しかも地下鉄ではめずらしい急行運転
も始めたから電車に種別があり、これもまた混乱の要因となった。当初の混乱は収まったが問題は事故発生時であ
る。西武池袋線、東武東上線、有楽町線、副都心線のいずれかでトラブルがあって電車が遅れると他の路線に影響す
る。すべての電車が交差する小竹向原駅では大混乱となり、重要な消費者情報である電光板での表示や駅員の案内
もなかったり、正確ではなくなる。一度ダイヤが乱れると収拾がつかなくなるために、相互乗り入れは中止となる。回復
なでに4,5時間かかる。

  とくに問題なのは西武池袋線本線の駅である練馬駅と小竹向原駅を結ぶ西武有楽町線である。相互乗り入れを中
止すると西武鉄道はこの区間を不通にしてしまうのである。相互乗り入れを中止するのは止むを得ないとしても安易に
不通にしてしまうのは責任放棄であろう。東京メトロの電車を小竹向原で運行中止にするのではなく、練馬駅で中止と
するか、逆に西武池袋線の直通運転電車を小竹向原で運行中止とすればよいのだが、同社はそれをしない。地下鉄
は小竹向原止まり、西武池袋線は練馬から地下鉄方面は運行停止にしてしまう。したがって、練馬ー小竹向原間は不
通となる。小竹向原駅経由の乗客はすべて池袋駅で乗り換えることになり池袋駅は大混雑となる。

  さらに2012年には副都心線が渋谷で東急東横線と相互乗り入れを開始する予定である。こうなったらダイヤどおり
に動いていることの方が少ないくらいになるのではないか。そんなこを考えていたら恐ろしいことに気づいた。東横線は
横浜駅でみなとみらい線と直通運転を行っている。また、中目黒駅で東京メトロ日比谷線と相互乗り入れを行なってい
る。さらに日比谷線は北千住で東武伊勢崎線と相互乗り入れを行なっている。もし、東武伊勢崎線で事故が起きてダイ
ヤが乱れると日比谷線が乱れる。そうなると東横線が乱れ、その影響で副都心線が乱れる。その結果、小竹向原駅は
大混乱となり、有楽町線、西武池袋線、東武東上線も混乱し、相互の乗り入れはすべての区間で中止となり、さらに大
混乱となる。国交省や鉄道各社はどうするつもりなのか。


細川幸一





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