ある夏の日の午後


 少年は、浜辺の白き砂に横たわり、青い空と白い雲をみている。

 波打ち際を、白いワンピースを着て、白いパラソルを差し、白いハイヒールを手に持った女性が歩いてくる。

 太陽は、水平線のはるかかなたに燃え上がり、灼熱の日射しは、彼女を透かして少年に至る。

 彼女の顔はみえないが、長く垂れ下がった黒髪はきらきらきら、風に戯れ、微かに靡く。

 波は打ち寄せ、きらきらと、彼女に押し寄せ、素足を濡らす。

 少年は、眩しい日射しのなかで、白く輝く彼女をみ、焦がれる想いを発見す。

 雲は雄々しく、膨らんで、怪しく彼女に迫れども、白いパラソルのなかで、彼女は静かに微笑んでいることだろう。


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