![]() 俺はその場に固まってしまった。彼女はすごい。彼女は偉い。彼女は格好いい。けれど人通りのない道の上で、勇敢な少女は何の称賛も受けずに立っている。俺はどうしたらいいのだろう?彼女に駆け寄って、何か言うべきだろうか?それとも、それは俺が言っていいことなんだろうか?俺はぐるぐると思考して、しかし結論の前に走り出していた。 「すごいよ、君。勇気があるんだね。」 俺は彼女の背中に叫んだ。彼女は振り向き、俺を視界に納めると、少し驚いて見せた。 「あなた、見てたの?」 俺は大きく頷いた。 「そう……私のこと、誉めてくれるのね。」 「当然だよ。君はそれだけのことをした。」 俺がそう言うと、女の子は何がそんなにおかしいのか、くすくすと笑った。 「人間も、捨てたもんじゃない、ね。」 その言葉に、俺は胸がドキリとした。彼女の瞳が輝いていた。 (この女の子は人間じゃないのだと言われました) ![]() -TOP |