ヴェネツィア Venezia
小さな島々の上に築かれたヴェネツィアの町には、東西貿易によって得た莫大な富で多くの華麗な建造物が建てられました。
縦横無尽に走る運河と水面からそそり立つ町並は、数百年にわたって人々を魅了してきました。
2つの大きな運河によって分けられた3つの島に見えますが、実は橋で繋がれた120ほどの小島から成り、それらは400以上の橋で結ばれています。
もともとは湿地が広がり、とても人が住める場所ではありませんでしたが、5世紀頃バンダル族の侵入で古代ローマ帝国が滅亡したとき、フン族の襲撃から逃れた人々が集落を築き、そこから町の歴史が始まったと言われています。
ようやく建てた建物が海に崩れ落ちるという事故もありましたが、その後技術は発達し、現在のような都市が築かれていきました。
ヴェネツィアは古くから船舶による貿易で栄えてきました。
独自の政府を作り、7世紀後半に共和国となったヴェネツィアは10世紀、敵対していたイスラム諸国と商業条約を結び、東方貿易に乗り出します。やがてマルコポーロの東方見聞録に書かれたように、ヴェネツィアの商人は遠く中国まで進出するようになりました。
ヨーロッパと東洋を結ぶ中継点としてヴェネツィアは急速に発達。インドの胡椒やロシアの毛皮、中国の絹など世界各地の品々が集まり、取引されるようになりました。
また、多くの芸術家も輩出し「アドリア海の女王」とも称えられていました。
18世紀、ナポレオンがイタリア遠征の際、町を征服、共和国が崩壊しました。その後ヴェネツィアはイタリアの一部となり、観光都市として世界の人々を受け入れています。
■マルコ・ポーロ
ヴェネツィアの商人の子として生まれ、1271年、父と叔父と共に16才で東方交易の旅に出ました。中央アジアを経て、1274年に元の大都に到達。以後17年間、フビライ・ハーンの大使を務め、中国周辺各地を旅行しました。1295年に帰国。後にジェノバとの戦いで捕虜となり、同じ牢獄にいた作家のルスティケロに口述した体験談が「東方見聞録」になったと言われています。
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ゴンドラ
観光用にイタリアの高級車並みの値段で作られます。
リアルト橋 Ponte di Rialto
ヴェネツィアの大運河(カナル・グランデ)にかかる3本の橋のひとつで、最も有名かつ最大の橋。ゴンドラやバポレット(水上バス)が橋の下を通れるように階段状に高くなっています。
13世紀に建てられた当時は跳ね橋で、木造であったため老朽化が激しく、16世紀に現在の大理石造りに建て替えられました。アーチ型の橋の上には金細工、革製品、みやげものの店が並びヴェネツィアの観光名所の一つになっています。
リアルト橋周辺の商業地区には、13世紀頃にドイツやトルコなどの商館が建てられました。各国の商人のためにヴェネツィアが提供したものです。
サン・マルコ広場 Plazza San Marco
サン・マルコ寺院の前の広場で、町の中心。
150mと80mを長短の4辺とする長方形。サン・マルコ寺院がその一辺をしめています。
ナポレオンが「世界で最も美しい広間」と称えたように、壮大なサロンを思わせる空間で、1日中、人々のざわめきが絶えません。
大理石と粗い敷石が交互に敷かれています。
サン・マルコ寺院 Basilica di San Marco
サン・マルコ寺院は、福音書を書いた聖マルコの亡骸を納めるため9世紀に建てられた聖堂です。当時ヨーロッパには著名な守護聖人を得ることで、都市の格を上げる風潮がありました。そこでヴェネツィアの商人はエジプトにあった聖マルコの遺体を豚肉の中に隠し、密かに持ち帰りました。
10世紀後半の火災でほぼ全焼し、11世紀に再建が開始、約400年後に縦横の長さがほぼ等しいギリシア十字の形のロマネスク・ビザンチン様式の大聖堂が完成しました。高さ約100mの鐘楼や、5つの巨大なドーム、聖人や天使の像を頂く幾つもの尖塔を持ち、内部は黄金色のモザイク画で飾られ、その豪華さはヴェネツィア共和国の繁栄の歴史を今に伝えています。
■聖マルコ
キリスト教の聖人。新約聖書の「福音書」の著者と言われています。聖ペテロの弟子で、布教の際はギリシャ語の通訳を務めたとされています。エジプトのアレクサンドリアに教会を創建し、司教を務めたが、後に殉教。
9世紀、その遺骸はアレクサンドリアからヴェネツィアに運ばれ、守護聖人としてヴェネツィア共和国発展の精神的な支えとなりました。
ドゥカーレ宮殿 Palazzo Ducale
ヴェネツィア共和国の総督ドージェの住居と政治の府、裁判所をかねた官邸だった建物。
サン・マルコ寺院に隣接したベネツィアン・ゴシック様式を代表する建物で、大理石の白と薄くピンク色の配色が上品で美しい建物です。
ファリエーロの時代に改築が始まり、絢爛豪華な建物に生まれ変わりました。宮殿は、ヴェネツィアの他の建物と同じく木の杭の上に築かれています。
鐘楼
サン・マルコ寺院の前に立つ大鐘楼。
エレベーターで昇るとヴェネツィアの全景が眺められます。
運河
運河には数百年の歴史があります。
ヴェネツィアに車道はなく、交通手段は水路のみ。街には中心部を貫く大運河と、リオと呼ばれる小運河が流れています。生活に必要な全てが、水上を行き交う様々な船によって賄われ、中でも世界的に知られるゴンドラは街の象徴と言えます。かつては各家で使われ、1万艇を超えたゴンドラも、今では500艇に減少。ほぼ観光用になっています。
■ヴェネツィアのホテル:
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