1) シャフトに関して
シャフトのしなりはヘッドスピードを加速させる効果がありますが、ボールをヒットする
いわゆるインパクトのタイミングによっては打球を曲げてしまう結果にもなりますので、
予めシャフトのしなりをどの程度利用するかを明確にしておくことが先ず基本です。
硬いシャフトを全くしならせたくないのか、多少でもしならせたいのか、軟らかいシャフトを
更にしならせたいのか、そのままのしなりで抑えたいのか、により自分に最適なシャフトの
硬さとしなり性能分布を判断するのです。
そして、どの程度のしなり結果を期待するかによってクラブの重心位置即ちバランスアームA
の長さを決定するのです。
即ち、シャフトのしなり性能分布とクラブ重心位置との相性(組み合わせ)の決定です。
一般に市販のクラブは先端側(ヘッド側)の近くが一番しなり易い構造になっているので、
できるだけバランスアームAが長いほどシャフトのしなりが大きくなり、ヘッドスピードが
加速される傾向にあります。
一般市販クラブの分析と私自身のクラブ調整・試打等の結果の総合的な検討を踏まえて、
誤解を恐れず大胆に予測すると、セットのクラブの一般的なAとLの関係は次のような
式で表されると考えています。
A=γ・(L−70)+60 (cm) これより
γ=(A−60)/(L−70)
このγをしなり係数と呼ぶことにしました。
γの目安の値は凡そ次表のようであることが分かりました。
しなり期待度
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大
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中程度
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少ない
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γ
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0.9〜
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0.65程度
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〜0.4
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クラブセットでは、自分の体質やスイングの質や期待するシャフトのしなりに対して
それらの最適な組み合わせが必要で、非力なプレイヤーには軟らかいシャフトのγの値を
大きくし、強力なプレイヤーには硬いシャフトのγの値を小さくする必要があります。
軟らかく感じるシャフトをしならせたくない場合にはγの値を小さくし、反対に硬く感じる
シャフトをしならせたい場合にはγの値を大きくします。
ここに、前述のA−L図のグラフにγを採り入れてみましょう。
青い直線の左側からγ=0.4 ; 0.5 ; 0.6 ; 0.7 ; 0.8 ; 0.9 の場合を示します。

上図では、オリジナルクラブはγ=0.6〜0.7で、しかもフェアウエイウッドや
ドライバーの数値が小さくなっておりアイアンよりもシャフトのしなりを抑えています。
自前調整後の私の現在のクラブは、ほぼ全体的にはγ=0.9に合致していて、十分な
シャフトの効果的なしなりを期待していることが分かります。
2) スイングに関して
丁度前項のA;Lとγの関係のように、単体クラブのスイング感覚値Ms/(A−20)
がプレイヤーの個性である総合的なスイング能力に照応していることが望ましいのです。
クラブのスイング負荷であるMsの値を算出して確認し、場合によっては調整しなければ
なりません。
調整は主に、ヘッドの質量、グリップの質量で行います。
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