ハンドランチグライダーの製作
R/Cグライダーといってもピンからキリまでありますので、ここでは初級編ということで、最も構造が簡単で機体サイズも手頃なハンドランチグライダーの製作を、順に説明します。
作り方は、一から自作する場合とキットから製作する場合では大きく異なりますが、キットからの製作を例として取り上げます。
製作例はアサミで販売しているSPEARというキットですが、主翼が発泡スチロールコア+バルサプランク構造で、プランクも済んでいますからキットから製作するものでも簡単な例となります。
1.キットの状態
キットの箱を開けた状態です。
プランク済みの主翼が中央部と左右翼で3ピース、FRP製胴体、カット済み尾翼板、リンケージパーツなどで、部品点数はわずかです。
完成させるにはこの他に、受信機、マイクロサーボ2個、バッテリ、表面被覆材、塗料、接着剤などが必要になります。
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2.主翼の整形
左右翼の端は図面のとおりにカットし、翼端材を接着します。
それからすべての翼の前縁材を翼型どおりに削った後サンドペーパーで仕上げます。
最後にプランク材の表面や後縁もサンディングして仕上げます。
そして、左右翼と中央翼の接合部を上反角が正しく出るように注意深くサンディングして下さい。
ここは製作の中でも最も慎重に作業すべきポイントです。
正しく上反角が付くことを確認したら接着します。
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3.主翼の接合
左右翼と中央翼をエポキシ接着剤で接合します。
このとき上反角を正しく付けるために翼下側はあらかじめテープでピッタリと止めておき、接着します。
接着剤が固まるまでカイモノをして、正しく上反角を維持させて下さい。
写真は接合が終わった主翼で、接合部分はマイクログラスとエポキシ接着剤で補強しました。
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4.胴体の塗装前処理(1)
胴体は塗装されていないので、塗装するために全体をサンドペーパーで荒らします。
#400位の耐水ペーパーを使います。
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5.胴体の塗装前処理(2)
また、塗装前にメカハッチをあらかじめ切り取っておきます。
この胴体は軽量で良いのですが、薄い分やや弱く、切り取る部分は必要最低限にしておくことが大事です。
このとき指かけ用の切り込みも入れておきます。
何の位置も指定されていませんので、何度も持ってみて投げやすそうな位置を決定します。
そしてU字型に切り込みます。
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6.尾翼の整形
尾翼は既にカット済みですので、スタビライザー部は前縁を丸く整形後左右を切り離します。
また、動翼部の断面は、スタビライザーと接する部分を斜めに、また後縁側に向かってテーパーが付くように整形します。
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7.尾翼の接合
尾翼スタビライザーを角度に注意しながら接着します。
角度を合わせて瞬間接着剤で仮止めし、その後エポキシ接着剤で固定すると良いようです。
中央部の黒い部分は補強用のカーボン薄板で、このパーツもキットに入っています。
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8.主・尾翼の被覆
接合が終わったら主・尾翼の被覆を行います。
まず生地表面のバルサ屑やサンディングで出た粉、ホコリなどをきれいに取り除いて下さい。
主翼は下面から貼り始めますが、あらかじめ中央翼、左右翼それぞれの寸法より少し大きめにカットしたフィルムを使って貼っていきます。
主翼のコアはスチロールですから、アイロンの温度を上げすぎないように気を付けて下さい。
尾翼はスタビライザー、動翼ともにそれぞれ1枚のフィルムで貼ります。
このときに後でヒンジテープを貼る側に、フィルムの上下の合わせ目が来ないようにします。
つまりスタビライザーでは前縁側がフィルムの合わせ目となり、動翼では後縁側が合わせ目となるようにします。
薄いバルサなのでフィルムを収縮させ過ぎると、全体が反ってしまいますから、やはりアイロンの温度には注意して下さい。
フィルムはオラライトをつかいました。
これは小型機用の薄手フィルムで、HLGにはぴったりですね。
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9.被覆、塗装の終了
主・尾翼はフィルム貼りが終わり、胴体は塗装が終わった状態です。
塗装には缶スプレーのラッカーを使いました。
ごく薄く3回位に分けて吹けば良いでしょう。
また、尾翼を接着する前に接着部分の塗装はサンドペーパーで剥がしておいて下さい。
胴体に接着する前に、尾翼スタビライザーに、ヒンジテープで動翼を付けます。
最初に上面側を貼り、それから動翼を上側に折り返して下側のテープを貼ります。
最初にテープを貼るとき、スタビライザーと動翼との隙間が0.5mm位になるようにするのがポイントです。
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10.メカ積み
胴体にバッテリー、受信機、サーボなどを積み込みます。
胴体の幅が割と狭かったので、サーボはタンデムに積んでみました。
なお、110mAhのバッテリーを使ったこともあり、この機体にはバラストが必要でした。
メカ積みする前に機首先端部に30gの釣り用オモリを入れ、エポキシ接着剤で固定しました。
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11.リンケージ
このキットにはリンケージパーツも入っていますので、あれこれ考えて買い物する必要もありませんね。
尾翼側のピアノ線はL字型に曲げてホーンに通しているだけですが、この方がラフな着地などでも機体を壊しません。
またピアノ線のサーボ側はアジャストストッパーで止めると、早いし後の調整も楽です。
Vテールですからミキシングが必要ですが、サーボにはダイレクトにリンケージして、プロポ側でミキシングをかけます。
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12.指かけ部分
胴体下面にU字型の切り込みを入れて、指をかける部分は胴体内部にベニヤ板で付けます。
今回の指かけは少し狭めで、もうちょっと広く作った方が良かったようです。
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13.調整飛行
すべての作業が終わったら、調整を行います。
まず重心が図面の位置と合っていることを確認します。
つぎに送信機のSW、機体のSWを入れて舵が動くことや、動く向きが正しいことを確認します。
そうしたらいよいよ飛行させてみます。風上に向かい、肩の高さから水平に軽く機体を押し出します。
飛行中の機体の姿勢を良く見て、旋回もさせたりして回収します。
何度か繰り返して行い、重心位置やエレベータ、ラダーの舵角やトリムなどを合わせてゆきます。
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14.完成
完成した機体です。
主なスペックは次のとおりです。
・全長--------890mm
・全幅------1,480mm
・翼面積-----24.5dm^2
・全備重量----340g
・送信機------フタバFF7
・サーボ------フタバS143×2
・バッテリー---110mAh
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