R/Cグライダーについて


何も知らずにこのページに来ていただいた方には、R/Cグライダーが良く分からないかもしれません。 そこでR/Cグライダーについての説明をします。

まずR/Cという言葉ですが、これはRadio Controlledの頭文字を取ったもので、無線制御または無線操縦という意味になります。 つまり、R/Cグライダーは無線操縦の模型グライダーのことです。

そしてグライダー(Glider)ですが、これはご存知滑空機のことで、ソアラ、セイルプレーンと呼ばれることもあります。 ちなみにSugar Gliderとなるとモモンガのことです。 グライダーに近いものとしては、ハンググライダーやパラグライダーなどがありますね。 実機のグライダーは機体の長さがおよそ7〜8メートル程度で、主翼の長さ(スパンと言います)は15〜20メートル位です。 これに対してR/Cグライダーはスパン1.5メートルから5メートル位です。

下にR/Cグライダーに関連するいくつかの言葉についての説明を載せます。


発航

発航とは機体を出発させることで、動力を持たないグライダーにとって一番の大仕事です。 英語ではlaunchと言い、カタカナ表記ではランチとなりますので、ハンドランチとは手による発航、すなわち手投げということになります。

一般的にはウインチ曳航(えいこう)という方法が使われます。 これはエンジンやモーターなどの動力によって索(さく;ワイヤなどのこと)を巻き取り、機体を引っ張って上空に上げる方法で、模型でも実機でも使われます。 模型の場合動力がわりに人間が索を曳いて走るという方法もありますが、これはあまり一般的な方法ではありません。
右の写真はF3B用のウィンチで、銀色の部分の手前側がプーリー、奥がモーターです。

ウインチ曳航と似た方法で、ショックコードによる発航もあります。 これはゴムの伸張力を使って機体を上げる方法で、実機でもその昔に使われたようですが、模型のグライダーでは良く使われています。

それから飛行機曳航といって、動力を持つ別の機体でグライダーを曳いて上空までいき、そこで曳航索を離してグライダーが自由飛行に移る方法があります。 エアロトーイングとも言い、実機でも模型でも使われています。

そして機体に動力装置を備えたグライダーがあります。 プロペラがつねに機体の外に出ていて、一見セスナ機のように見える機体と、上空に上がった後は機体にプロペラやエンジンを格納してしまう機体とがあります。 動力としては実機ではエンジンが使われますが、模型の場合エンジンよりもモーター(電動)の方が多いです。


関宿滑空場

千葉県東葛飾郡関宿(せきやど)町にある実機グライダーの飛行場ですが、R/Cグライダーの競技会も開催され、国際航空連盟(FAI)でのルールであるF3Bの日本選手権もここで開かれます。

この他関東地域では全日本学生グライダー競技選手権大会が開催される埼玉県大里郡妻沼(めぬま)町の妻沼滑空場なども有名です。

写真は関宿滑空場で飛行前の機体整備を行う、大学のグライダー部員たちです。


サーマル

熱による上昇気流のことで、平地でグライダーを飛行させるために欠くことが出来ません。 グライダーを操縦する上でサーマルにうまく機体を乗せられるかどうかが大きなポイントとなります。 R/Cグライダーの場合機体の動き・傾きなどでサーマルの有無を判断しなければいけません。 そのほか積乱雲や地上の気温の変化、風の変化などが参考になりますが、もっとも確実なのはトンビです。 トンビが羽ばたかずに旋回しながら高度を上げている場所には、サーマルが発生しています。


スロープ

斜面のことですが、グライダーの場合は山や丘を上がってくる斜面上昇風を使う飛行方法のことをこう言います。 実機グライダーの場合は霧ヶ峰の通称「蛙原」(げえろっぱら)が有名です。 R/Cグライダーでは熱海の上方にある玄岳(くろだけ)や、三浦半島の先端にある城ケ島が有名なポイントですね。


F3B

国際航空連盟による模型航空機の分類のひとつで、最初の「F3」はR/Cの航空機を意味し、アルファベットの「B」はグライダーの意味です。 ちなみにアルファベットの「A」は曲技機(スタント)、「C」は回転翼機(ヘリコプター)、「D」はパイロン機(速度競技)を意味します。

また、電動の動力付き飛行機のカテゴリーも設けられており、それらは最初の部分が「F5」となりますので、電動グライダーはF5Bとなります。


送信機

送信機は別名プロポとも呼ばれますが、一般的には2本のスティックを両手の親指で動かすことで、機体の舵などを操作します。 動作させることの出来る舵などの数によってチャンネル数が違い、飛行機の場合4から9チャンネル位になります。

送信される電波は、R/C模型専用の周波数を使用しており、現在模型飛行機用に割り当てられている周波数としては、40MHz帯で5波、72MHz帯で10波あり、合計15波を使用できます。 ひとつの送信機から発射される電波の周波数はひとつなので、ひとつのエリアで最大15機まで飛行出来ることになりますが、実際には選手の周波数がダブっていたりしますので、競技会でも一度に飛行させる機体の数は6機くらいです。

変調方式にはAM、FM、PCMとありますが、特にPCMでは外来ノイズに強く、また、妨害波が入ったときのフェールセーフなどの機能を持つものもあります。

右上の写真は私が使っている双葉電子工業製のFF7スーパーで、変調方式はPCMまたはFMが選択出来、7チャンネル仕様です。