米国経済−強さの源泉を探る−
       
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好調続く米国経済
       米国経済は10年以上拡大基調を続けている。これは過去最
       長のものである。通常、経済は成熟するにつれて成長率は鈍
       化するものであるが、米国経済の場合、後半(近年)の方が
       高い伸び(年率6%程度)を示している。大幅な雇用増もあり、
       失業率は4.1%。米国経済の象徴といわれた「双子の赤字」
       は黒字に転換しつつある。また、経済の好調に引っ張られて
       貧困・生活保護・犯罪が減少している。
       
       
      
好調の理由
       
(1)一時的幸運
       
例えば、一時期医療インフレが生じたことがあったが、managed-
       careを行うことで自由競争状態を産み出し、インフレが解消した
       ようなケースもあり、一時的な幸運もあるようである。
       
(2)適切な経済政策
       グリーン・スパンがとった機動的な経済政策('87,'94-'95の
       金融引き締め,'98ロシア危機の際の市場との協力対話など)
       が功を奏している。また、クリントン大統領はスクラップ&ビルド
       を基本に '92-'99の国家予算において財政再建(赤字削減)
       に配慮してきた。「2012年には債務残を0にする」
       また、規制緩和を継続。通信・電力・金融などのインフラ部分に
       競争原理を導入。
       (3)競争的・弾力的な生産要素市場
       クリエイティブ・リストラなど労働市場の流動化はますます
       進展している。創造的な金融資本市場の形成や株主重視の
       コーポレート・ガバナンスの徹底などとともに、ストックオプション
       や民事再生法など起業家精神に報いる制度の充実を図って
       いる。
                           
      大きなIT効果
       情報コスト・取引コストの引き下げ
       情報コスト・取引コストの引き下げとともに、PC価格の低下に
       よりITによる労働の代替効果も生じている。(ホワイトカラーの
       資本整備の向上)→大きな労働生産性引き上げ効果
       ★株高を通じた需要押し上げ効果
       Net産業、ハイテク産業が他産業を牽引。また、関連株の高値
       による消費の活発化。

       ●ITはなぜアメリカで大きな経済効果を上げたのか?
       労働市場の流動性、失敗に対する肝要性(チャレンジ精神の
       尊重)などが大きな要因。グリーンスパン「アメリカはレイオフ
       が簡単にできる。また、廃業率も非常に高い。要するにスクラ
       ップ&ビルドが容易(機動性)。労働者もひとつの会社に固執
       せず、生産性の高い会社へ行くべきである。」
       

      米国経済にアキレス腱はないのか?
       株のバブル、個人貯蓄率の低迷、労働需給の逼迫、国際収
       支の悪化、バブル崩壊による不況などの懸念はあるものの
       一番のリスクは政策の失敗かオイルショックなどの外的ショッ
       クである。
                     
      結論
     
日本は株価の暴落から大不況に陥ったが、アメリカでは多少
       株が売られることはあるかもしれないが、大不況に陥ることは
       ないと思われる。日本に比べ銀行(金融政策)がしっかりして
       いるため、銀行の倒産などの「金融危機」が発生することがな
       いと考えられるからである。盤石な金融政策・不動産バブル
       がないこと・財政黒字(景気刺激策にも余裕)などから米国経
       済は今後ソフトランディングしていくのではないだろうか。
       ⇔ニューエコノミー論(停滞無き成長)の台頭 
       Jobless-recoveryの問題