応援論

はじめに

 ソフトテニスの試合において、応援の占める割合は大きい。ここでは東北大学医学部ソフトテニス部に代々伝わる応援について一通り解説し(各論)、その後ソフトテニスの試合(東医体団体戦)における応援の意義について述べてみたい。

各論

 赤字は声かけ、青字はその他、緑字は全員である。仮に応援するペアを北村・藤田組とする。以下に紹介する応援は筆者の引退した1999年夏前後にて、東北大学医学部ソフトテニス部において一般的に使用されていた応援である。2005年現在、多少違っているところもあるかもしれないが、そこはご了承願いたい。

【ポイントを取られたとき】

     東北大行け行け

東北大

行け行け

東北大

押せ押せ

東北大

行け押せ

とうほっく

ゴー!

 

 ポイントを取られたときにおける最も基本的な応援であり、比較的簡単なので、応援初心者(特に下学年)にお勧めである。私も初めて声かけした応援はこれであった。まだ応援で声かけしたことのない12年生の皆さん、味方がポイント取られたら勇気を出して大きな声で「と~ほくだ~い!」と3回叫ぶだけでいい、応援の第一歩をぜひ踏み出してみてください。

 さて、しかしながらこの応援は味方の士気をそれほど高めない。かつて海野さんが、「プレイ中にこの応援が続くのを聞くといかにも負けている雰囲気になる」と言っていたことがある。いくら簡単にできるからといって、いつでもポイントを取られたときに気楽にやればいいというものではないのだ。この応援の最大の弱点は(特に)連続したときにプレーヤー・ギャラリー双方の士気を下げてしまう点にある。したがって、連続失点(よほど点数的に余裕のあるときやさほど重圧のない場面をのぞく)や勝負どころでの痛い失点の時には、漫然とこの応援を使用せず、下記の「レッツゴー東北」を用いるようにしなければ、そのままずるずる失点を重ねる可能性が高い。

 

     レッツゴー東北

レッツゴーレッツゴー

東北

レッツゴーレッツゴー

東北

行け行け

東北

押せ押せ

東北

ファイトファイト

東北

ファイトファイト

東北

一本締めるよ(挽回)

東北

一本締めるよ(挽回)

東北

と~ほっく

ゴー!

 

 上記はあくまでも一例であり、声かけのアドリブ次第でいろいろなせりふを入れることができ、また応援の長さも融通が利くので非常に重宝するが、そのことが逆にこの応援の声かけに対する敷居を高くしている。そういう意味で上級者向けの応援といえる。しかしこの応援は劣勢の味方の士気を上げ、踏ん張らせるのに必須であり、少なくとも執行部以上の上級生は必ずマスターしておくべきである。戦況やプレイ再開までの時間を考慮する必要があり、ある程度の慣れがないとうまく声かけするのは難しい。日ごろの練習試合から積極的に使って、いざ本番でぎこちないなんてことないようにしておこう。

 さて、なぜ私が失点後の応援としてこの応援を重視しているかというと、「東北大行け行け」のいかにも失点後という負のイメージがないことと、応援が終わった後の沈黙を回避できるからである。味方が劣勢のときに最もしてはいけないことは、プレイの合間に応援が止まって沈黙になることである。99年全医体団体決勝、対岡山大戦5番勝負のビデオを見てみよう。岡山の声かけ西村はやや劣勢の戦況下、かなりプレイ中断の時間が長いにもかかわらず、決して彼は応援をとぎらせることはなかった。

というわけで、後述するがこの応援はつなぎの応援としても使われる。

 最後の締め方もバリエーションがある。主に女子部で使用されるが、「強気で 押せ押せ~」。さらには、これをアレンジしたもので(千葉さんが考えた)、「気合で おりゃおりゃ~」がある。どちらもめったに使われることはないが、不意に振られたときにその他大勢がきちんと対応できるように練習しておこう。

 

     行け行け北村(つなぎの応援参照)

 

 ポイントを取られてゲームを失った場合、このつなぎ応援になる。ポイントを把握していないで間違って(別に間違ってはいないのだが)、いつもの失点応援の声かけをするととても恥ずかしい。(本来応援はポイントを把握していて当然なので、そのような過ちを犯すのはきちんと試合を見ていないということになり、本人は十分反省すべきだ。)

 

     行-け行っけ北村(つなぎの応援参照

 

 レッツゴー東北だけでは士気の低下を食い止められないときや、流れを変えたいときなど、失点後にこのつなぎ応援を用いることもある。もちろんゲームを失った直後も可。

 

【ポイントを取ったとき】

     どんなもんだい

どーんなもんだい

どーんなもんだい

どーんなもんだい

どーんなもんだい

我らが北村

我らが北村

北村

行け行け北村行け行け北村よーし!

 

 もともとは若山さんが盛岡一高バスケ部の応援をもとに、うちの部活の応援に取り入れたらしいのだが、現在では他大学にも取り入れられているほどメジャーになった、東北大を代表する応援のひとつである。試合中のみならず、表彰式や飲み会などでも使うことができ、その応用範囲は幅広い。

 この応援の適応はやはり、ボレーやスマッシュ、サービスエースなど、びしっと決めてポイントを取ったときである。応援全員で喜びを爆発させ、士気を高めよう。声かけのコツは、味方がポイントを決めてみんながよーし!となってダッシュしはじめたその瞬間、すかさず「どーんなもんだい!」と入れること。ここでためらって、みんながエンドラインまで到達してしまい、間があいてから声かけするのではせっかくポイントを決めたいい流れ・勢いが切れてしまう。なんと言ってもこの応援の声かけは吉田さんのが最高だった。そのリーダーシップで応援団の士気は最高潮に達したものだ。

 もうひとつの注意点は、乱用しないことである。特にある程度勝ち進むと、試合内容も締まったものになり凡ミスが少なくなる。必然的にラリーは長くなりポイントを決めての得点が多くなる。するとどうしても「ど~んなもんだい」といきたくなるのだが、そこはぐっとこらえて「そ~れ、よっしゃっしゃ」(後述)である。乱用しすぎると、あまり盛り上がらなくなる。(まあその見極めは難しいが・・・。)

 

     待ってました

待ーってました

待ーってました

待ーってました

待ーってました

我らが藤田

我らが藤田

藤田、ヘイ!

行け行け藤田行け行け藤田よーし!

 

 基本的に前述の「ど~んなもんだい」と同じであるが、こちらはしばらく劣勢が続いていたときや、なかなかポイントが取れなかったときなどに使うとよい。これによって一気に流れをこちら側にもってくるのだ。また、飲み会で遅れてきた奴にもこの掛け声とともにたくさんお酒を飲ませてあげよう。(飲みすぎに注意!)

 ちなみに、名前が3文字の場合は、我らが藤田のあとの部分は「フ・ジ・タ・ヘイ!」とヘイを入れることで文字数を合わせる。

 

     そーれ、よっしゃっしゃ(1

そーれ

よっしゃっしゃ

そーれ

よっしゃっしゃ

そーれもう一本

押せ!

押せ!

押せ!

押せ!

押せ!

そーれもう一本

押せ!

 

 「どーんなもんだい」ほど劇的ではないが、しっかりポイントを取ったときの応援である。派手さはないが、「押せ!」の連打はボディーブローのように地味に味方の士気の上昇に効いてくる。得点時の応援の基本中の基本である。積極的に使っていこう。特に煮詰まった場面でのアウェー(対戦相手がこちらの応援サイド)ではプレイ再開までとぎらせることなく「押せ!」の連打でプレッシャーをかけるべし。最後の締めの「そーれもう一本」「押せ!」のあとにもう一度「そーれもう一本」「押せ!」をもってくることもあるので、そこで終わりだと気を抜かないように!この応援は三枝さんの声かけが「押せ!」のタイミングが絶妙で、合いの手側としてはすごくやりやすかった。「せおっ、せおっ」と聞こえるくらいがちょうどいい。

 

     そーれ、よっしゃっしゃ(2

そーれ

よっしゃっしゃ

そーれ

よっしゃっしゃ

よっしゃっせーの

よっしゃー

よっしゃっせーの

よっしゃー

よっしゃっせーの

よっしゃー!

 

 「そ~れもう一本、押せ!」がポイントを取ったときの応援であるのに対し、こちらはどちらかというと相手がミスって得点した場合に用いる。(相手のミスがあまりに凡ミスのときは「今のは大きいぞ」や「ラッキーフー!」になる。)派手さはないが士気の上昇を期待でき、比較的簡単なので、応援初心者も積極的に使ってみてほしい。

 

     フ!ジ!タ!ヘイ!

フ!ジ!タ!

ヘイ!

フ!ジ!タ!

ヘイ!

フ!ジ!タ!

ヘイ!

フ!ジ!タ!

ヘイ!

ナイスボール

そーれー!

 

 もともとは群大の応援。適応は「ど~んなもんだい」とほぼ同じである。みんなでジャンプして盛り上がろう。締めの「ナイスボール、そーれー」の代わりに、声かけが「オ~~~」と囃し立て、最後に全員で「ハイ!ハイハイハイ!」と締める変法もある。

 しかしながら個人的には、全くのパクリであり東北大には伝統の「どーんなもんだい」もあるのであまり使いすぎるのはどうかと思う。(やってるうちは楽しいんだけどね~。)

 

     今のは大きいぞ

い・ま・の・は

大きいぞ

い・ま・の・は

大きいぞ

や~ま~よ~り~

大きいぞ!

 

 相手がダブルフォールトなどの凡ミスを犯したときに使う。「や~ま~よ~り~」のところでコブシをきかせるのがコツである。吉田さんの声かけは味があってよかった。相手が2連続で凡ミスしたときは「今のも~」とすることがある。

 この応援は対戦相手の凡ミスにつけ込むことで相手の士気を下げるという「負」の応援であるが、結構味方の士気に与える副作用も大きい。煮詰まった場面では相手が凡ミスを続けていても、この応援は連続したくない。あまりこれをやると味方もミスが多くなり、試合が締まらなくなる。「よっしゃっせーの、よっしゃー」もしくは「そーれもう一本、押せ!」で味方の士気を維持しよう。

 

     おらおら東北

おら!

おら!

おら!

おら!

東北!

おら!

おら!

おら!

おら!

東北!

おら~おら~おら~!

 

 ここ一番で使う東北大応援の秘中の秘である。いまだ他大学に真似されていない、東北大完全オリジナルである。適応は絶対負けられない試合の5番勝負などの、煮詰まった局面でのアウェーサイドである。みんなで相手を取り囲み、「おら~」とやるのだ。いきなり声かけが「おら!」とやってもみんな反応できないので、あらかじめここが勝負どころだと判断したときに、声かけが他の人たちにここでポイント取ったら「おらおら」行くぞ、と打ち合わせておくことが肝心である。ちなみにあまりにお下品なので、女子部の応援では禁忌である。

 この応援の特長は、相手にプレッシャーを与えつつ、味方側の士気を大幅に上昇させるという、相反する作用を併せ持つことにある。それだけに、このような秘奥義は何度も使えるものではない。1試合に1回ないし、せいぜい2回である。切り札の出しどころを間違えないように!

 この応援で思い出深いのは、99年東医体予選リーグ対日医戦、渋澤・藤田の試合である。すでに40と勝ちを決めていたが、5番に出てきた対戦相手のペアはかなりの実力者で、前の試合で福島のキャプテン(あ~名前忘れた)を食って勢いに乗っていた。序盤劣勢だったが粘って盛り返し迎えた終盤、ATの指揮のもと、全員が一致団結した「おらおら東北」は私にとても大きな勇気と感動を与えてくれた。結果勝利を収めることができたこの試合は、私の中で3本の指に入るベストバウトのひとつである。

 

     ラッキー!フー!

ラッキ~~~!

ラッキーラッキーそーれ

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

東北大!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

ラッキー!

フー!

もう一本!

フー!

 

 三枝さんが考案した東北大オリジナルの応援である。適応は「今のは大きいぞ」と同じ。ただしこれは個人戦向きで、緊迫した場面では使えない。あと、終わるまで多少時間がかかるので、やりすぎると審判に嫌われる。

相手が凡ミスを犯したら声かけはすかさずエンドラインに向かってダッシュして、「ラッキーラッキーそ~れ」と声かけしてみんなに「ラッキーフー!」をすることをアピールする。そうしたらみんなでHGばりに叫びつつジャンプしながら横移動し、「東北大、フー」で反転、逆方向に移動となる。なかなか説明しづらいので、誰か写真upしてくれないものか・・・。

 しかしもはやこの応援を知るものが現役生の中にいるだろうか?(マイナー応援の項に入れるべきかもしれない。)OB戦でのOB軍専用応援にしようかな~。

 

     そーれGO!GO!

そーれゴーゴー

東北

ゴーゴー

東北

ゴーゴー

東北

ゴーゴー

東北

ゴーゴー

東北

そーれ東北

ゴーゴー

東北

ゴーゴー

東北

ゴーゴー

東北

ゴーゴー

東北

ゴーゴー

と~ほっく

ゴー!

 

 ゲームを取ったときの応援。くれぐれもポイントを把握せずにいつもの得点応援をしないように!比較的簡単にできるので、初心者もがんばって声を張り上げ声かけしてみよう。多面並行での試合の場合、同時進行中のほかのコートに対し、ゲームを取ったことをアピールし士気を上昇させる必要がある。少人数でも思い切り喜びを全身で表現しよう。

 

     マッチだ東北

マッチだマッチだ東北マッチだマッチだ東北

取るぞ取るぞ東北取るぞ取るぞ東北

 

 マッチポイントを迎えたときの応援。くどいようだが、マッチであることを応援団が知らないなんてことだけはないように!

 

     勝ったぞ東北

勝ったぞ勝ったぞ東北勝ったぞ勝ったぞ東北

続け続け東北続け続け東北

 

 見事勝利したときの応援。やはり多面並行では、他のコートにまで聞こえるように大きな声で。

 

【つなぎの応援】

     行け行け北村

行け行け北村

行け行け北村行け行け北村

押せ押せ藤田

押せ押せ藤田押せ押せ藤田

レッツゴーレッツゴー東北

レッツゴーレッツゴー東北レッツゴーレッツゴー東北

レッツゴーレッツゴー東北

レッツゴーレッツゴー東北レッツゴーレッツゴー東北

と~うほっく

ゴー!

 

 試合前の乱打や、サイドチェンジのときなど、つなぎとして用いる。試合前の乱打というのは、プレーヤーが最も重圧を感じるときである。応援団はただ漫然と声を出すのではなく、緊張感と戦っているプレーヤーに勇気を与えてあげよう。

 

     行-け行っけ北村

行-け行っけ北村

行-け行っけ北村

行-け行っけ藤田

行-け行っけ藤田

行-け行っけ

行-け行っけ

行-け行っけ

行-け行っけ

行け行け行け行けとうほっく

ゴー!

 

 「レッツゴー東北」のところで述べたが、ポイントの合間などで、応援が途切れ沈黙になることは士気の低下を招くのでできるだけ避けたい事態である。強豪大学は必ずそのようなことはないよう応援しているし、そのためのつなぎ応援が各大学にある。しかし97年高橋執行部当時、東北大のつなぎ応援は「行け行け北村」(もしくは「レッツゴー東北」)しかなく、私たちは新たなつなぎ応援の必要性を感じていた。そんな折、初めて参加した全医体(@群馬)において、西医体の強豪・岡山大で使用されていたのがこの応援であった。東医体では見かけることのない応援であり、どうせパクるのなら強豪大学のを、と思いこの岡山応援を拝借することにしたというのが、この応援のルーツである。

 この応援の長所は、まずリズム感があるということである。失点後やゲームを取られた直後でも劣勢を感じさせない躍動感があり、士気を上昇させることができる。この、ポイントを取られながらも士気上昇というのがこの応援最大のポイントである。次に、つなぎの応援として長時間続ける際に、「レッツゴー東北」だと結構大変なのに対し、声かけが比較的容易であり、また声かけメンバーを変更しやすい(持ち回りにできる)という特長がある。これにより、長時間応援を持続することが可能である。さらに、もとは岡山の応援であるが、東医体ではこの応援を採用している大学は(99年当時)東北大のみであり、比較的オリジナリティーのある応援といえるのも、この応援を積極的に使っていきたい理由のひとつである。

 ちなみに「押―せ押っせ」でも可であるが、「行け」と「押せ」を混ぜると混乱しやすいので注意が必要である。

 

     レッツゴー東北

 

 前述したように、つなぎ応援としても有用である。つなぎの場面で長時間続けるときの声かけは大変だが、これができると応援の厚みがすごく増して、味方の士気の大幅アップが期待できるので、がんばってほしい。

 

     学生歌

東北大学の必勝を期して、学生歌【青葉もゆる】

そ~れ~

♪青葉もゆる このみちのく

(以下略)

 

 声かけは2人(声かけ2人目紫色で表示)である。東北大学の名前を背負って戦うことの誇りを持って、大きな声で歌おう!歌詞を覚えていないなんて言語道断!

 

     エール

     円陣

 

 実はよく覚えていない。誰か教えてくれ。

 

【マイナー応援】

     昭和舎

わっしゃっしゃ

オッ!

昭和舎

昭和舎

そーれー

昭和舎

そーれー

昭和舎

そーれー

行け行けー

昭和舎

押せ押せー

昭和舎

行け行けー

昭和舎

押せ押せー

昭和舎

昭和舎

ゴー!

 

 もともとは新潟大の応援である。今はなき昭和舎入居中の部員の応援のとき使うといわれていたが、ほとんど使ったためしはない。

 

     やっちまった

 「どーんなもんだい」のリズムで。ほのぼのムードの個人戦などで、味方が愚かなミス(ダブルフォールトなど)をやっちまったときに戒めの意をこめて使う。ちなみに飲み会などでそそうをしてしまったときにもこの掛け声とともに飲まされる。(健康に注意!)

 

     馬鹿馬鹿東北

 前項同様、個人戦などにおいて、ダブルフォールト等の凡ミスを犯した味方に対し、「おらおら東北」のリズムで。最後は「ばかぁ~ん」。

 

     モッチーのマッチポイント

マッチ!

モッチー!

マッチ!

モッチー!

マッチ!

モッチー!

マッチ!

モッチー!

もっちーで~す!

 

 もともとはどこの大学の応援だったか・・・。持田さんのマッチポイントのときのみ使用。当然ながら、ほとんど使われたためしはない。

 

総論

 ソフトテニスという競技の主な特徴を挙げてみると、まず一つ目に、7ゲームマッチ(国際試合などでは9ゲームマッチ)という、ローンテニス(硬庭)やバドミントン、卓球などの他の球技に比べ、極めて少ない点数で勝敗が決するという点が挙げられる。このことは、多少の実力(技術)差はちょっとした要因(作戦、勢い、集中力、緊張感など)により容易に逆転し得るということである。二つ目は東医体に関して言えば、5ペア10人による団体戦ということもあり、チーム内でのプレーヤー同士の実力差が大きく、ペアの組み方やオーダーによっていろいろな結果になり得るという点である。実力校が東医体で必ずしもその実力通りの成績を挙げるのは容易なことではないのだ。最後三つ目には、ソフトテニスという競技は、国際大会においても未だ勝利のための戦術というものは確立しておらず、ローンテニスと比べていわば未成熟な競技であるといえるのである。つまり、これらの特徴から言えるのは、ソフトテニスは、戦術面での自由度が非常に高く、一球一球にプレーヤーの様々な想いのかかる、とても熱くッ!魅力的な競技であるということである。

 というわけで、7ゲームマッチという短期決戦、とりわけ「東医体団体戦」という特殊な精神的重圧のかかる状況下では、応援の果たす役割は大きい。しかしここで誤解してはならない大切なことがある。応援は、味方の士気を上げ、プレーヤーの集中力を高めるためのものであり、決して相手に必要以上のプレッシャーをかけたり、相手のミスにつけこむようなものではないということである。これはプレーヤーの発するかけ声やガッツポーズについてもいえることである。特に煮詰まった場面でのアウェーサイドでは熱くなる気持ちはわかるが、スポーツマンとして、医学生としての最低限のマナー(エンドラインを越えない、相手プレーヤーの体に触れない、あまりにも相手を挑発するような言動はしない、など)は必ず遵守しなければならない。これが守れなければ、ソフトテニスという世界に誇れる情熱あふれるスポーツが、汚く罵り合う野蛮なものになってしまう。我々がそのような下品な行為をしないだけでなく、相手側の挑発に対して気安く乗ってしまうのもいただけない。相手側の非紳士的行為(あまりそのようなことをする大学はないと思うが…)に対しては、主将会議における応援のマナーの徹底や、大会主管校を通した相手側への正式な抗議など、あくまでもこちらは紳士的に振舞う必要がある。

 次に、各論で述べたように、各応援にはそれぞれ適応がある程度決まっている。このことは、試合の随所で適切な応援ができるよう、応援する人たちはただボーっと試合を見ているのではなく、ポイントを数えているのはもちろんのこと、勝負の流れをきちんと把握している必要があるということである。使うべきところで使うべき応援をしてこそ、初めて応援は士気を上昇させその後の試合を有利に展開する因子となりうるのであり、そうでない応援は味方にとって士気の上昇につながらないどころか試合の流れにおける負の因子にさえなりうるのだ。さて、ここまで読んでいる応援初心者の低学年の部員の方々(つーか読んでないと思うが…)は、自分たちにはまだ遠い話のように思っているかもしれない。しかしそんなことはないのだ。北医体・東医体・全医体の決勝などは、多面並行(特に5面平行)で行われることがほとんどである。このような場合、レギュラー10人が同時に試合に出場するため、応援はイレギュラーの人たちだけで5つに分かれて行わなければならないのだ。1面にせいぜい23人である。決勝ともなれば、各試合実力伯仲であり普段にも増して応援の重要性が問われる場面である。そんな時あなたは団体決勝戦の勝敗をも左右しかねない、応援の声かけをしなければいけないかもしれないのだ!また、応援のために試合の流れをきちんと見るというのは、自分のテニスに対しても必ずプラスになるはずである。熱い試合をたくさん応援しよう!

 最後に、新応援について。確かに、ずっと同じ応援では飽きてくるし、他大学の新しい楽しそうな応援を見るとやりたくなる。が、応援の最終目的は何度も言っているが士気の上昇である。そしてそれを可能にするのはやはり伝統的な応援(地味な「そーれ、よっしゃっしゃ」や「レッツゴー東北」など)だと思う。各大学にはそれぞれ伝統的な応援があり、そこには各大学のカラーがある(だから私はパクリを嫌う)。まずはクラシカルな応援をしっかりできるようにすべきだと思う。それを踏まえた上で、新応援を作るのは良いことだと思う。より多くの引き出しを持つのはいいことだし、やはり同じ応援ばかりではマンネリ化するからである。個人的には、失点時の応援がもう少しあってもいいかなと思う。各論で述べたように、失点時の応援こそが重要であると考えるからだ。ここで、東医体屈指の強豪校である新潟大の失点時の応援のひとつを以下に示す。

行け!行け!行け行け行け行け

押せ!押せ!押せ押せ押せ押せ

新大

そーれー

新大

そーれー

新大

そーれー!

行け行け

新潟

押せ押せ

新潟

行け行け

新潟

押せ押せ

新潟

に・い・が・た

GO!

 ポイントを取られたとみるや、すかさず声かけが行け!行け!と声かけし、みんなで行け行け行け行けと盛り上げて、最後は新大、そーれー!とポイントを失ったとは思えないほどの勢い。応援終了後は間を空けずに、行け行け~新潟、とゲーム再開までつなぎの応援が入る。これこそ、最も理想的な応援像といえる。ぜひ、このようなすばらしい応援を、東北大の代名詞となるような画期的な応援を、現役生の皆さんには考案していただきたい。そして、イレギュラーの人たちまで含めた、部員全員の力で団体戦に勝つことができたら最高に喜ばしいことではないだろうか。

 

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