缶コーヒーについて熱く語る2002

 日本上陸後数年のうちにたちまち店舗数を増やし大ヒットとなったスターバックスコーヒー。その影響もあってか缶コーヒー市場にも「深煎り」系の、コーヒー感(苦味・香り)を強調した製品がみられるようになってきた。私もスタバのコーヒーは大好きであり、以前からコーヒー感の強い製品を切望してきた(昨年までの当コーナー参照)ので、非常に嬉しく思っている。

 

 まずはBOSS銀を皮切りにDydoダークロースト、そしてWANDAモーニングショット(以後WANDA赤とする)である。特にWANDA赤は良い!深煎り系に慣れてしまうと以前までのこくまろ系(WANDA金、BOSS7、Fireストーンウォッシュなど)では物足りなくなってしまう。恐らく今後の缶コーヒーの流行は深煎り系ではないだろうか。(しかしそれでもなお、いまだにこれらの新製品に負けない美味さを持つDydoブレンドコーヒーには尊敬の念を感じずにはいられない。無論ダークローストも高品質である。)さすがにジョージアもエスプレッソマイルドを新発売したが、味は言わずもがなであった。意外にRoots赤が良かった。今までのRootsの中では一番の出来である。

 

 しかし深煎りの流れに逆行して、さっぱり系が出てきているのも見逃せない事実である。BOSS緑、Fireファイヤーハート(以後Fire白とする)、ジョージア白である。しかし以前も述べたが、缶コーヒー購買層というのはある程度コーヒー好きで味にうるさい人が多いと考えられるので、そのような人たちはコーヒー感の強い深煎り系を好むと思われ(実際、深煎りをウリにしているスターバックスコーヒーは大ヒットしている)、これらのさっぱり系は単発的なものに終わる可能性が高い。(事実最近、Fire青やZottoは姿を見ない。)

 

 さて、しかしながらスターバックスコーヒーの大ヒットは缶コーヒー界にとっては脅威でもある。すでにドトールコーヒー製品が一部コンビニで販売されているように、今後もしかしたらスターバックスコーヒーがコンビニに進出する可能性もある。特に紙(プラスチック?)パックコーヒー路線にスタバが現在のレベルを維持したまま乗り込んできたとすると、現状のフレーバーカフェを中心とするパックコーヒー路線のレベルの低さ(この要因の一つとして、パックの匂いが挙げられるかもしれない)をみると、スタバに対抗できる商品は存在しない。缶コーヒー路線でも、一部の高品質製品(DydoやWANDAなど)しか生き残れないのでは?さて、今後の予想というか希望だが、無糖ミルク入りのコーヒー感の強いものを期待する。そう、つまりスタバのカフェラテである。現在このような商品はエンブレムのミルク入り(セブンイレブン限定発売)しかない。まだまだ手薄な路線であり、ぜひスタバに対抗しうる高品質製品を缶コーヒーメーカー各社には期待したい。

 

 缶コーヒーはコーヒーとは全く別の種類の飲み物である。ミルクと砂糖が入っているという点において缶コーヒーは缶コーヒーとしてのアイデンティティがある。缶コーヒーにおいてブラックはあくまでマイノリティである。それはどんなにあがいても本物の入れたてのコーヒーにはかなわないからである。そしてここに缶コーヒー最大の矛盾がある。缶コーヒーは決してコーヒーたり得ないにも関わらず、コーヒーであることを要求されるのである。決してたどり着くことのないゴールに向かって、缶コーヒーは毎年毎年コーヒーに限りなく近付いて行く。缶コーヒー道に終わりはない。

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