第5回 ジャンケンについて熱く語る〜その2(なぜ言い出しっぺが負けるのか?)

 全世界で唯一のジャンケン攻略サイトである当サイトとしてはさらに深くジャンケンについて考察してみたい。今回はジャンケンする人の「やる気」について考察する。

 

 まずは前回の復習。前回の話の中で特に重要なのは「Hunter×Hunter理論」と「最初はチョキ理論」であった。前者の理論は、ジャンケンにおいてあいこになったときに、迷ったり弱気な人が陥る思考パターンについて考察したもので、あいこのときに弱気な人は心理的に安定を望んで前と同じ手を出すか、自信回復しようとして前の手より強い手を出そうとする傾向が強いとしたものである。後者の理論は、早い話が、気合の入ったジャンケンでは、最初に出す手はチョキかパーが多く、グーは少ないというものである。

 

しかし、(当然のことだが)この理論が必ずしも通用しないことに皆さんは気づいたはずである。なぜなら、これらの理論は対戦相手が「勝ちたい」という思いを強く抱いているときにこそ有効なものだからである。っていうか、むしろ相手が勝負に対してあまりやる気のないときには負けることの方が多い。それは、人間はどうしても勝ちたいと思っているときと、別に勝敗なんてどうでも良いと思っているときでは、その思考に違いが出てくるからである。

 

 そこで、相手があまりやる気のないときの必勝法として、「逆Hunter×Hunter理論」と、「最初はグー理論」を提唱したい。

 

 最初に、「逆Hunter×Hunter理論」であるが、ジャンケンにおいてあいこになったときのあまりやる気のない人の思考パターンについて考察したもので、あいこのときにやる気のない人は@単純に前の手よりも強い手を出すか、A相手が同様の考え(単純に前の手よりも強い手を出す)をすると読んでその手に勝つ手(つまり前の手より弱い手)を出す、というものである。したがって、前の手より弱い手を出しておけば負けはない。

 

 @の思考パターンについては納得される方が多いと思うが、Aについてはにわかに信じ難いかと思う。しかし、たとえばグーとグーであいこのとき、とっさに相手がパーで来るのでは?と考えてチョキを出す人は少なくないはずだ。これがプレッシャーのかかった、どうしても勝ちたいジャンケンのときには、「相手がそう単純にパーなんか出して来ないだろう」とか、「裏をかいてそのままグーかも」とか考えてしまって、なかなかチョキは出せないものである。やる気ないからこそのAなのだ。私がこの理論を思いついたのは、私が必勝の気持ちで「Hunter×Hunter理論」を用いたときに、やる気のない相手のAの思考にあっさり負けたことがきっかけである。

 

 また、「やる気ないなら、そのままグーじゃないの?」と思う方もいらっしゃろう。しかし、ジャンケンにおいてあいこのときにそのままの手を出すというのは、自然の流れに反することなのだ。普通の人は(1対1の勝負のときには)何も考えなければあいこのときに手を変える。そのままにするのは基本的には相手の裏をかくという心理の表れである。

 

 次に、「最初はグー理論」。これは、やる気のないジャンケンでは、最初に出す手はグーが多く、チョキ・パーは少ないというものである。前回、私が「最初はチョキ理論」を展開したさいに、その根拠となったのがグーの構え(握りこぶし)からチョキ(orパー)に変える作業こそが、勝ちたいという思いから生まれる努力である、という仮説である。この仮説こそが、「最初はグー理論」の根拠でもある。つまり、やる気のない奴はわざわざ握りこぶしを変えるなんて事はしない。なぜならそんな面倒くさいことまでして勝ちたくないからだ。そう、そのままグーで来るのである。したがって、パーを出しておけば負けることはほとんどない。この際に怖いのはチョキを出されることであるが、チョキのような面倒くさい手の形よりは、ただ開くだけのパーの方が出しやすく実際、率も高いように思う。

 

 というわけで、おわかりいただけたであろうか?ジャンケンにおいて最も重要なのは、まず相手のやる気を読むことである。そして、相手がやる気満々であると判断したなら「Hunter×Hunter理論」と「最初はチョキ理論」。相手がやる気なさそうなら「逆Hunter×Hunter理論」と「最初はグー理論」を使う。これにより、あなたのジャンケンの勝率はさらに飛躍的にアップするはずである。

 

 さて、よく巷で言われる「言い出しっぺは負ける」の法則(「無欲の勝利」とも言う)であるが、今までの仮説からこれが見事に科学的に証明できる。なぜなら、ジャンケンの言い出しっぺ(誘う側)と誘われる側では、やる気に有意差が生じるからである。一般に、ジャンケンにおいて双方のやる気に差があるとき、やる気のない方が勝つ確率が高い。

 

 まず1手目であるが、勝ちを欲する人はチョキかパーが多い(グーが少ない)が、統計的には明らかにチョキのほうが多い(これについては「Hunter×Hunter」の中で冨樫義弘氏も述べている)。そしてやる気ない人はグーが多い。これでは、やる気ない人が勝率が高いのもあたりまえである。次に、あいこのとき(ここではグーとグーであいこになったと仮定する)。やる気ある人(っていうか迷ったり弱気な人だけど)はグーかパーを出す。これに対してやる気ない人はパーかチョキである。単純にそれぞれの確率を50%ずつとすると、4戦してやる気ない人の2勝1敗1分けである。

 

 どうであろうか?皆さんの健闘を祈って、ここに筆を置く。

 

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