第2回 JRAの番組改革について熱く語る(有馬記念を2000mに!)

 

先日、JRAから2000年度の番組が発表され、G1日程の大幅な改革が話題となった。

 

評価に値する面は多く、特にJC前日のダートG1の新設、菊花賞・秋華賞の時期を早めたこと、スプリントG1の時期を変え秋のG110連戦を廃止したこと、JCの賞金を増額させたこと、などは後述する私のJC及び有馬記念の改革案を実現する上で重要である。

 

しかし、これだけではまだまだ全然不十分である。なぜなら、JRAは現行の番組編成において最も重要な問題点を、今回の番組改革では一向に解決できていないからである。

 

それでは、現行の番組編成における問題点とは何か?

 

(1)中距離馬の目標レースが秋シーズンは天皇賞しかない。まして、外国産馬の中距離馬には適距離のG1さえない。来年より外国産馬のための出走枠が設けられるとはいえ、依然ほとんどの外国産馬が出走できないことに変わりはない。このことは、年度代表馬争いにおいて、中距離馬にとってきわめて不利な材料である。またこれにより、一流の中距離馬はむしろ国内ではなく国外のレースに流出してしまう傾向が見られる。(具体的には12月に行われる香港国際カップ。)

 

(2)逆にステイヤー(長距離馬)の目標はJCと有馬記念があるが、両レースを比較してみると、JCには世界各国から超一流馬がやってくることからも分かる通り、レベルが高いのはJCの方である。しかし1着賞金はそれほど変わらず、むしろ年度代表馬争いという観点で見ると、JC勝ち馬よりも有馬記念勝ち馬のほうが評価されてしまう傾向にあるのは否めない。このため、必ず毎年何頭かの臆病な馬(というよりは何人かの臆病な馬主?)があらわれ、「日本の一流馬VS世界の一流馬」という触れ込みのJCを興ざめなものにさせてしまう。

 

(3)現在、エリザベス女王杯とマイルCSも国際レース(外国馬も出走可)とはなっているものの、国際レースとは名ばかりでわざわざやってくる外国馬はいない。

 

さて、ここで例年秋の府中開催の開幕を飾る伝統のG2毎日王冠について述べてみたい。98年の3強対決(サイレンススズカ・エルコンドルパサー・グラスワンダー)が記憶に新しいところだと思うが、毎年非常にレベルの高い面白いレースが展開されている。ある意味、G1並み、年によってはむしろ低レベルなG1以上に盛り上がるレースとさえいえる。これにはいくつかの理由があると思う。

 

(1)4歳馬と古馬の対決、(2)内国産馬と外国産馬の対決、(3)ステイヤーとマイラーの対決、などがその理由であろう。異なった路線の馬が対戦するというのは、単純に見ていて面白いし、馬券的興味もそそられる(人気が割れる=高配当が望める)。

 

前置きがだいぶ長くなってしまったので、ここらでわたしのJC・有馬改革案を紹介したい。

 

(1)有馬記念の距離を2000mに変更し、天皇賞(秋)の距離を2400mに変更する。

 

(2)エリザベス女王杯(距離を2000mに変更)、マイルCSをJCの週に(当然東京競馬場で)行う。つまり国際G1を1日4レース行う。(レース名はJCターフ:芝2400m、JCダート:D2100m、JCマイル:芝1600m、JCディスタフ:芝2000m・牝馬限定)

 

(3)JCターフの賞金をさらに増額。(いっそのこと1着賞金5億くらいにする)

 

ブリーダーズカップの例を挙げるまでもなく、現在世界の競馬界において、1日にいくつもの国際G1レースを行うことはもはや常識となっており、しかも興行的に大成功をおさめている。

 

これには帯同馬の問題がある。

 

馬という動物は本来集団行動をとるのを好む。したがって、1頭だけの馬を海外遠征に連れて行くというのは、その馬の本来の力をレースにおいて発揮するためには好ましいことではなく、複数の馬を一緒に連れて行きたいというのが調教師の大多数の意見であろう。

 

実際に、今年ヨーロッパに長期滞在して凱旋門賞2着など輝かしい成績をおさめたエルコンドルパサーも、帯同馬として同馬主の持ち馬であるハッピーウッドマンが一緒に遠征していたし、それだけではなく、現地に行ってからもエルコンドルパサーのオーナーは彼の調教相手として複数の馬を購入したとされる。(つまり、帯同馬には併せ馬を行うという目的もある)

 

また、アベイユドロンシャン賞を制したアグネスワールドも、帯同馬としてドージマムテキを連れていた。

 

このように、海外遠征における帯同馬の存在は非常に重要であるが、どうせ高い費用をかけて海外まで連れて行くのなら、勝算のある馬を連れて行きたいというのが普通の考えであろう。そこで、1日に複数のG1があると非常に便利なのだ。このことは、外国馬が比較的レースに参加しやすいということであり、それは馬のレベルが上がる(レースのレベルが上がる)ということ、すなわち国際G1としての「格」が上がるということである。

 

このような例の中で最も成功例として知られているのが、12月に開催される香港国際カップであろう。今年からはグレードが格上げされ、1800mの国際G2から2000mの国際G1になった。この他にマイル(芝1600m;国際G2)、ヴァーズ(芝2400m;国際G2)、スプリント(芝1000m;オープン)が行われることになっており、その出走メンバーはかなり豪華といえる。

 

JCも来年からターフ(芝2400m)のほかに前日の土曜日にダート(D2100m)を行うことが決定したが、BCや香港のような豪華さに欠けると言わざるを得ない。しかしこれにマイル(芝1600m)とディスタフ(芝2000m・牝)が加われば話は別である。きっとかなりハイレベルな外国馬が出走してくるに違いない。

 

そして、天皇賞と有馬記念の距離を入れ替えることによって、JCターフこそがステイヤーNo.1決定戦であるという意味合いが濃くなるであろう。1着賞金を5億円に増額することで、芝のレースとしてはダントツに世界一の賞金額であり、さすがにこれなら天皇賞に出走してJCを回避して(2000mの)有馬記念に出るとかいう真似はしなくなるであろう。なぜなら、JCの1着賞金が5億円ならば、現行の計算方法を用いると、JCの2着賞金(約2億)の方が天皇賞の1着賞金額(約1億3千万)を上回るからである。

 

おそらく、天皇賞はJCのトライアルG1的意味合いが強くなると思われる。(別に天皇賞は春にもあるし、いっそのこと名前を変えてG2にしてしまってもいいと思う。)距離は有馬記念の2500mをそのまま踏襲するよりは、根幹距離である2400mの方が良かろう。別に有馬記念だって好きで2500mでやっているのではなくて、単に中山コースに芝2400mのコースがないから仕方なく2500mでやっているのだから。そもそもG1レースというのは、1番強い馬を決めるレースなのだから、すべて根幹距離で行うべきである。根幹距離とは、1600・2000・2400mのことで、非根幹距離(トライアル距離)とは、1400・1800・2200・2500mなどをいう。(だから本来、宝塚記念も2200mは廃止して2000mでやるべきだと思う。春の天皇賞も2400mにした方が良いと思う。長距離は菊花賞の3000mだけで良かろう。)

 

そして、有馬記念は2000mで行うべきである。

 

2000mという距離はマイラーもステイヤーも出走できるので、様々な路線の馬が一同に集結することが期待できる。また、スピードとスタミナが非常に高いレベルで要求される距離であるため、馬の絶対的能力が問われることから、チャンピオン決定戦としてふさわしいからである。そのため、現在では2000mという距離は非常に重要視されている距離である。前述した香港国際カップが2000mで行われるのはもちろんのこと、今度シンガポールに新設される国際G1レースも芝2000mで行われることになっている。

 

ピルサドスキーのように、ヨーロッパでも近年2000m路線を進む馬が非常に注目されるようになってきているし、2400m路線の馬よりも、(スピード化の著しい現在の競馬界においては)種牡馬としての価値が高くなってきているとも言える。このことは、前年度に凱旋門賞を勝ったエリシオが翌年の凱旋門賞へのステップにムーランドロンシャン賞(1600m)を選んだこと(2着)、ナリタブライアンが6歳時に春の天皇賞2着の後、高松宮記念(1200m)に出走したこと(4着)などの事実が証明している。

 

すでに長距離路線でエリシオやナリタブライアンの強さは証明されていたのに、なぜ敢えて距離不向きとも思えるようなレースをわざわざ選んで使ったのか?それは現在ではある程度短い距離のレースで実績のある(つまり、スピードがあるということ)馬の方が、種牡馬としての価値が高いからである。

 

以上のような理由から、有馬記念を2000mに距離変更するのは、興行的な面からも(馬券的妙味・売上増大)、種牡馬(もしくは繁殖牝馬)としての価値を見出すにふさわしい条件であるという点からも、非常に重要である。中山競馬場の芝2000mのコースはスタートから1コーナーまでの距離が長く、枠順による有利不利が比較的少ないのも良いところである(少なくとも芝2500mコースに比べれば)。そしてこれは、JCディスタフの距離を2000mにすべきであるという意見の理由でもある。

 

どうであろうか?

 

上記のような私の改革案ならば、JCでは各路線(マイル・クラシック・ダート・牝馬)ごとの世界No.1を決めることができるし、有馬記念では、その各路線の馬たちが一堂に集う、夢のような真のチャンピオン決定戦が期待できる。

 

JRAは現在、売上の減少に四苦八苦している。売上を伸ばすには、ファンが馬券を買いたくなるような魅力的なレースを提供することが重要だと思う。そのためにも、私の改革案が採用されることを願わずにはいられない。

 

(私の改革案に肯定的な意見をもってくれた方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひJRAにメールで直訴しましょう!JRAのHPに私のような人の意見を受け付けるコーナーがあり、電子メールを募っています。もしかしたら本当に2001年に私の番組改革が実現するかもしれない!)

 

JRAのHPへのリンクはこちらから→リンク!リンク!リンク!

 

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