2005年5月8日(日)
 蕨山  急登と長路の  下り坂  吟考えつつ  さわらびの里
<目的地>蕨山(1044m)・藤棚山(920m)・大ヨケの頭(771m)・小ヨケの頭(717m)・金比羅山(660m)
<歩行起点>名郷バス停(飯能駅から国際興業バス乗車・所要64分)   <歩行終点>さわらびの湯バス停   <コースタイム>徒歩355分、9.1km
<コース>西武・飯能駅===バス64'===名郷BS(330m)---140'---蕨山(1044m)---110'---大ヨケの頭(771m)---60'---金比羅神社跡(580m)---45'---さわらびの湯BS===バス44'===JR・東飯能駅
<参加者>3名(村谷・清水各氏と小生)
<天候>曇り時々晴れ  湿度低く尾根筋の微風爽やか  山頂やや肌寒し

<山行記> 久々に、先ずは飯能駅を目指して京王線・南武線・武蔵野線・西武池袋線経由で8:07飯能駅に到着。きょろきょろ見渡して北口のバスA乗り場へ行くと十数人がもう並んでいる。バス停でガイドしている社員に訊くと自分の思っている時刻は既に昨年9月1日付でダイヤ改正になっていて、新しいバス時刻表を手渡される。名郷行きは8:20発で次便は8:45発だ。一台見送り待っていると清水氏、続いて村谷氏が到着し、予め欠席連絡のあった2氏を除いて3名での山行となる。行き790円・帰り600円のバス代が、桜の木の香も芳しい 旧・名栗村 内1日間フリーパス券を買えば1,200円で購入でき、しかも記念に持ち帰り可能との勧めでそれを買い、飯能市に合併後は制作されていない「名栗村ガイドブック」も貰う。

   標高差700mを越す蕨山(1,033m〜眺望のない最高峰は1044m)は予てから一度行ってみたかった山であり、期待は大きいがその反面、北面からの登りで急登になり岩場もあるというのが若干気にかからなくもない。定刻に発車したバスは東飯能駅から20名近くのおばちゃま集団の乗り込みで一気に喧噪になったが、幸い連慶橋停留所で下車し再び静寂が戻る。

  終点名郷バス停で降りたのは、珍しく本当に若いカップルと、夫婦二人連れ、よく見かける山慣れした中年女性二人組で、全員蕨山を目指すようだ。トイレに立ち寄り、いざ出発。

  2年前に行ったことのある清水氏のリードで、整備された林道をしばらく進む。天気予報とは異なり、雲が多く涼しいが、1,000m山行には快適だ。10時ちょうどに林道の終点に着きそのまま本格的な山道へと入る。

   早速予想どおりの急登が始まり、身体が暖まってから半袖姿になり、更に歩を進めていくが階段で言うところの、踊り場なき登り一途の山道だ。土道は足には優しいが傾斜がきつく気合いを入れ直す始末である。鶯の声もあまり聞こえない。ずいぶん先に行ったはずの2人×2組に追いつき追い越したのはいいが、ちよっと休憩している間に後ろから声が聞こえ始め、またまた気合いを入れ直しながらの足運びとなる。この山に挑む位のレベルなので、いずれも脚達者揃いなのだろうが、これら3組とはこの後も頂上まで雁行することになる。

  300mほど高度を上げ、後ろを見下ろすと名栗川沿いのバス停が浮かび上がって見え、折り返しのバスが川岸を下っている。早速カメラを取り出しシャッターを切るが、あいにくの曇天で出来映えが気がかりだ。ようやく尾根道にたどりつきほっとする。左側の眺望が一気に開けて、名も知らぬ山々が曇天の中に浮遊するかの如き感がある。後方には川苔(乗)山や棒の折山が浮かぶが、その先は霞んでいる。その後の尾根道は、岩場が続くが、道がしっかりしていて、本格的な山歩道だ。

   緩やかな尾根道歩きと岩場登りを何回か繰り返しているうちに、飯能駅発1本前の8時20分発バスのグループが休憩中のところを追い抜き、昼食場所の確保に向かう。清水氏がようやくエンジンがかかってきたと言う頃にはこちらは疲労気味だったが、何組かを追い抜き、林道終点から山頂まで120分のコースタイムに対して途中休憩(計10数分)込みで93分で1033m峰に達したので、実質80分程度と、先ずは順調なペースだ。11:33山頂に到着。しかし、汗をかいた後のビール一気飲みを期待して上がったにしては、予想どおりさしたる広さも無き上に大勢の先客達で満員だ。狭い上に、人数を訊けば計5班48人もの東久留米市の山の会のメンバーも揃ったため、昼食場所確保に一苦労だったが、なんとか三分の二ほど空いているベンチの1つにザックを置き、1033mだのに1044mと表記のある場所で記念撮影を行う。

 ベンチ裏にシートや新聞紙を敷き、なんとか3人分の座る席を確保して早速ビールで乾杯する。村谷氏はL缶1,500ml、清水氏は350ml缶2本、小生は500ml缶と三者三様。村谷・清水両氏はコンロに着火し、本日の目玉であるところの、村谷氏が先週から持ち越しのラム肉のジンギスカン料理を始める。加えて、清水氏持参の竹炭豆という珍品や貝柱の薫製、小生持参のいぶりがっこやわが妻手作りの牛肉の時雨煮ほか、山海の珍味が勢揃いし、往路の激闘を慰労する宴に相応しい。

  フライパンでラム肉を焼き始めると周囲の目が一斉に注がれる。村谷・清水両氏が器用に調理し、まずはと勧めてくれるのを戴くと何十年ぶりかのラム肉が口中で旨いと叫んでいる。どんどん焼き、どんどん食べるが3人では半量で精一杯。曇天の中での山頂は涼しさを通り越してやや肌寒いが、飲む・食べる・飲む・・・といつの間にか70分もの大休憩になってしまった。立錐の余地もなかった山頂もいつしか2〜3組の登山客に激減しているのが、長時間経過を如実に物語っている。一人ずつの写真も撮り、しからばと、標識に従って河又名栗湖方面への下山にかかる。

   まずはストックをフル活用して急坂下りに入り、その先でやや平になった地点で先に出発した一団の内の1班を追い抜く。更にその先で2班も抜き、最後に残り3班が休憩中の横を通り抜け、何度もアップダウンを繰り返しながら下っていく。ようやく鶯の声が聞こえ始め、ガイドブックにも載っていた「藤棚山から大ヨケの頭にかけての稜線の自然林は見事で、5月上旬〜中旬の新緑は素晴らしい」の表現がピッタリの情景が次から次へと目にも鮮やかに迫ってくる。中には、その中で紅一点の色香を見せる山つつじが存在感を主張している。

  焼けて今は碑のみになった金比羅神社跡から少し下って鳥居をくぐると右側が開けて来て、眼下に名栗湖が見えてくる。昨年棒の折山下ってきた白谷沢からの道も見えパチリ。立派な真新しい林道も工事中で右眼下に見えたが、このルート経験済みの清水氏によれば、2年前とさほど進展がないようで、公共工事抑制の影響も垣間見える。マウンテンバイクの中年男性が、元気に急坂を下っていった。さわらびの湯バス停には14:48到着。下りのコースタイム215分に対して休憩込みで125分、実質110分程度の快速下山でバス停の先頭に並ぶ。かつて立ち寄ったこともある温泉「さわらびの湯」で一浴びしてさっぱりした家族ずれが後ろについたが、われらは汗くさい。10分後の14:58発のバスに3人とも先頭切って乗り込み、東飯能駅バス停で村谷氏に別れの挨拶をして清水氏と共に下車。バス車中では心地よい居眠りだったが、東飯能駅での接続は悪く、約30待ち。当初の予定より随分下山が早かったとはいえ、自宅着は17:20頃だった。先日の秩父観音霊場巡りでの20km歩行の影響もあってか、脚が悲鳴をあげていた。

清水氏吟

◆   タフな老女に出会い、軽く追い抜いたと思っていたら、追いつかれそうになり焦りました。
  ・追いぬいた ベテラン二人に 追いつかれ 
◆   山頂は狭くて大変でしたが、村谷さんのジンギスカンは抜群の味でした。                     
  ・蕨山 山頂狭くて 食べ競争
◆   ホトトギスの鳴き声がなく、あれ?と思ったら途中でやっと聞こえましたね。                    
  ・新緑に 続けと鳴くは ホトトギス
◆   林道の工事がチョット残念な感じでした。                                                                 
  ・林道の 工事止まりて 自然泣く
◆   いやぁ〜結構タフな山でした。良くぞ歩いたと誉めましょう。                                         
  ・里に下り 山仰ぎて 我が身誉め

村谷氏吟

◆   頂で 時忘れ話し込む 二人連れ
◆   蕨山 落伍もせずに ビール飲め

わが駄作

◆   汗拭い ふと見上げれば 目に青葉
◆   新緑や 思わず吸い込む 木の生気
◆   桜散り 代わって花咲く 老ハイカー
◆   登ったら 降りるが定めと 知るなれど 惜しや名栗の 春蕨山
◆   人見れば つい追いかけて 先行けど 次は追われて 疲れ倍増
◆   山つつじ 色鮮やかに 自己主張 緑の木々も 引き立て役か
◆   杉の木が 行く手にすだれ 夢模様