これより加工原料栽培(栽培基本、品種、化学的特性、病障害の発生と防除)についての専門的記述となります
加工用馬鈴薯は安定供給(量)とともに原料馬鈴薯の品質がより重要となるが、この品質を構成する要因には、品種、形態、化学(成分)、病障害の4つの要因が挙げられ、それぞれが品質に関与している。
このうち、品種を選ぶことがもっとも重要となる。チップ原料品種は、形状が丸〜楕円形で、目が浅いものに加えて、以下に述べる品質、生産、貯蔵目標に合致した品種を選択する。
品種以外の3要因は栽培方法によっても品質が変化する。ここに、高品質チップ原料生産におけ
る具体的な品質目標を挙げれば次のとおりである。
チップ原料の品質
* 大きさ規格=60〜340g(できれば300gまで)で、粒揃い良好
* 比重=1.085以上の完熟品
* チップの成分(収穫時)=グルコ−ス:0.3mg/g、ショ糖:1.5mg/g以下
* チップのカラ−(アグトロン値 )=40以上で均一
* 病障害(腐敗、奇形、傷、打撲を含む外部、内部障害等)=10%以下
2 生産
上記の品質目標を達成し、安定生産のための栽培方法は、該当地における気象条件、土壌条件に
あった栽培の基本技術を忠実に実行することであり、これらを駆使することにより高品質安定生産が期待できる。チップ原料生産の具体的な生産目標は、上記品質目標を備えた規格品を4t/10a以上を目指す。
3 貯蔵
また、チップ原料は国産を周年供給されなければならないので、季節的に産地の移動が求められる。わが国では5月下旬から九州の早春作が収穫され、7月には関東の春作が収穫され、8月からは北海道の収穫が始まり、冬から次年度5月にかけては北海道の収穫物が貯蔵されて供給される。貯蔵は、短期(年内)、中期(3月まで)、長期(4〜5月)に分けて収穫時の原料品質の維持と減耗防止対策を施す。
目の深さは品種により差があり、いもの目の深いものは剥皮率が高く、製品歩留まりは低くなる。目の深さについては品種項目、1表に示した通り、加工用に育成された最近の品種の目は浅いものが多い。しかし、ワセシロ、農林一号、コナフブキはやや深い。
馬鈴薯の化学成分は下に示す通りほとんどが水分であり、次いで貯蔵澱粉(炭水化物)である。また、蛋白質は2%含まれており、リジンなどのアミノ酸も高く、加えてカリウム、ビタミンCなども豊富で栄養的に良いものである。
水分 77.5(63.2 〜 86.9 )%
全固形(乾物)分 22.5(13.1 〜 36.8 )%
蛋白質 2.0( 0.7 〜 4.6 )%
脂肪 0.1( 0.02〜 0.96)%
炭水化物、計 19.4(13.3 〜 30.53)%
繊維 0.6( 0.17 〜 3.48)%
灰分 1.0( 0.44 〜 1.9 )%
以下に加工用に関係の深い、乾物(比重)、澱粉、糖類、グリコアルカロイド、ビタミンC、調理後黒変及び加熱後の細胞構造について述べる。他の成分等については他書を参照されたい。
1 腐敗性の病害
1) 疫病 −湿潤で発生する重要病害−
菌類病で、茎葉といもを共に侵す。茎葉については、植付け50〜60日後の着蕾期頃から、葉に感染しはじめる。一次時感染源は病いもからであり、これから茎葉へ感染する。感染葉上で白いかび(分生子柄、胞子)を生じ、胞子の風による飛散で伝染する。感染(伝染)の最適条件は、気温18〜20℃、湿度90%以上の条件である。葉上の胞子は、低温(17℃以下、12〜13℃が最適)条件下、水滴中で間接萌芽し、游走子が泳ぎ出し、これが細胞に侵入し病斑を作る。菌には系統があり、品種による発病時期の差異はあるが、全ての品種は茎葉感染が生じる。
いもの病状は、表面が茶褐色になり、病斑の深さは数ミリで固く、少しへこむ(かた腐れ状)。高温多湿では2次的に腐敗細菌に感染し、べとべと(軟腐状)に腐ることがある。いもへの感染は、茎葉の菌(胞子)が雨で落下し、地温17℃以下で、游走子が泳いでいもに入り、感染する。すなわち、17℃以下の冷たい大雨(約20mm)が降ると感染が生じ、いもは2〜4週間後に発病(かた腐れ状か軟腐状の腐敗)する。
加えて、茎葉から土に落ちて、生存している胞子は、雨後の収穫時にいもの傷口から入り、掘取り時感染を生じ、これも感染後2〜4週間、貯蔵初期に発病する。いもの腐敗も加工用品種では茎葉と同様に品種間差は小さく、全てが感染し感線し、発病する
茎葉の防除は、種いもに病いもを用いないこと、軟弱生育(徒長)しているものは防除が困難であるため、葉を強健に育てる。防除薬剤(商品名、以下同じ)はグリ−ンペンコゼブ、カ−ゼットPZ、フロンサイド、ダコニ−ル、グリ−ンエムダイファ−、フェステバルCなど水和剤や銅製剤等の薬剤を数回、適期に散布を行なう。防除初め(植付け50日後、着蕾期頃)は農業試験場の発生予察を参考にする。
いもへの感染(土中)防止には、大きめの培土、茎葉への完全防除、茎葉の徒長を防ぎ、倒伏させない。いもの腐敗を減少させる茎葉散布薬剤は、フロンサイド、ランマンフロアブル、レゾミル(耐性菌あり)があげられている。地表に落下した胞子が死滅するには乾燥条件が必要であり、収穫は完全に枯れてから2週間程度置いてから行なう。掘取り時感染は雨後の掘取で生じるため、土壌がやや乾燥してから収穫する。収穫後のいも表面の通風による乾燥と10℃程度の低温貯蔵は、かた腐れの病斑進行と他の腐敗細菌による2次感染(軟腐状、汁たれ)を抑制する。
2) 軟腐病 −高温条件で発生、トヨシロ注意−
いもの病状は皮目から侵入、ベトベトに腐敗、悪臭を放つ。茎葉も侵す土壌伝染性の細菌病で、土壌中に普遍的に存在している。高温を好み、30℃付近の多湿が菌発育の適条件である。北海道では7月以降の高温時に発生し、茎葉の傷口から感染するが、初期には下葉が接地した所から感染し、葉(葉柄)が茶褐色に軟腐する。茎も同様に傷口から感染し、褐色、黒褐色に軟腐する。その後、土壌中の菌量が増えるに従い、いもも感染、発病し、悪臭を発する。発病はトヨシロで目立つが、農林一号、スノ−デン、ホッカイコガネではやや少なく、ワセシロ、アトランチックおよびその他加工用の品種は普通に発生する。
防除法は、発病初期(葉の発生時期)に茎葉へのビスダイセン、アグリマシン100、バクテサイド、銅ストマイ、スタ−ナ−、ヨネポン、ダイセド、バイオキーパー、カセット、マテリーナ、テレオ、ナレート、フェステバルC、キンセット80、サンドファンC等の水和剤、コサイドDF、Zボルドー、等の薬剤散布を行う。その他に、畑の排水を図り、窒素質を多投し、徒長させない(傷をつけない)、掘取りいもの乾燥、などがある。
3) 黒あし病 −種いも伝染、早い発生−
病いもを植えると種いもは腐り、その種いもから伸びた茎も黒変、腐敗する。細菌は茎よりストロンを経て新いもに侵入し、一方、土壌中にも出て新しい芋を腐らせる。土壌伝染はしないが、病植物残さで越冬する場合がある。やや抵抗性の品種は農林一号、ワセシロで、トヨシロおよびその他の品種は発生が認められる。
防除法は、健全な種芋を植える。種いも消毒(商品名=アタッキン水和剤、そうか病、黒あざ病にも効く、アグリマイシン100水和剤)と種いも切断時の切断刀消毒(中性次亞塩素酸カルシウム、商品名=ケミクロンG、10倍液、5秒)を行なう。3年以上の輪作を行なう。病株は早期に取り除く、等がある。
4) 乾腐病 −ワセシロに多く発生−
種いもに付着して次代に伝染し、土壌にも生存する。堀取り時や運搬時のいもの傷口(ストロン側が多い)から侵入し、貯蔵、輸送中または浴光育芽中に基部が乾腐状に発病することが多い。発病は高温多湿で進みが早まる。べとべとには腐らないが、2次的には腐敗菌が入るとべとべとになる。府県の夏期にも貯蔵中に発生することがある。
防除法は、薬剤による方法は行なわれていないので、病種いもを植えない。過去に発生のない排水の良い畑に植える。枯凋後十分にコルク化したものを収穫し、作業は丁寧に行ない、いもに傷をつけない。貯蔵は高温にならないようにする。品種ではワセシロがとくに弱い。
5) 青枯病 −暖地春作に発生多い−
細菌はいものストロンから入り、維管束褐変や腐敗を生じる。土壌伝染の細菌病で、生育中後期に1〜数本の茎(葉)のしおれがあり、次第に枯れる。とくに高温多湿条件で発生多く、根の傷から侵入し、茎の維管束で増えてしおれを起こす。
防除法は、3〜4年のナス科を除く輪作、病株の抜き取り、湿地での栽培を避け、馬鈴薯の地下部に傷を与えないようにする。農林一号は抵抗性である。
6) たんそ病 −貯蔵病害−
馬鈴薯の生育が衰えたときに茎下部から侵入し、早がれを起こすと共に、貯蔵後に黒褐色の丸い、へこんだ病斑が見られる。湿った条件での発病が多い。べとべとには腐ることが少ないが腐敗細菌の感染で軟腐にもなる。防除法は、被害の茎は焼却する。病種芋は植えない。茎に傷をつけない等である。
7) 輪腐病 −自然発生無し−
現在はほとんど発生が見られないが、茎の1〜2本枯れが生じ、維管束がチ−ズ様に変色し、強く握ると粘液が出る。いもも同様に維管束がチ−ズ様になり、乳白色〜黄色の粘液が出てくる。防除法は系統増殖の種子を用いる。種切断刀はケミクロンGで消毒する。
2 腐敗以外の病害
1) そうか病 −土壌乾燥、粗大有機質多投与で発生−
いものみに不正形のへこんだ、かさぶた状病斑を生じる土壌病害である。土壌中の植物体残査、菌を含む家畜排泄物を施した時など、土中で長く生存し、各種の作物(ニンジン、ダイコンなど)にも感染する。いもへの感染は若い皮目や傷口から感染し、組織が変形してかさぶた状の病斑を形成する。感染、被害は乾燥条件、土壌pHが高い(石灰を多用)、通気良好土(砂質、火山灰土壌)で大きくなる。
いもの被害が大きい感染時期は、いもの肥大初期(いも形成〜ピンポン玉、6月中旬〜7月中旬)であり、感染いもは、肥大と共に陥没、隆起等の病斑が拡大し、被害が大きくなる。
防除法は、健全種いもを用いる。粗大有機質多投与はやめる。馬鈴薯の過作を避ける。種いも消毒(アグリマイシン100、アタッキン、ハイボルドウ水和剤)。石灰の多用を避け、土壌pHを下げるような肥料(硫安、硫化カリ、完熟堆肥の共用)を用いる。
感染時期以降(着蕾から開花期まで、6月上旬〜7月中旬)が乾燥で経過すると発生が増えるので、土壌湿度をpF2.5程度にするために、潅水するのも被害の軽減を図る有効な方法である。この潅水+やや低い土壌酸度(pH5.3以下)で効果があるとされている。
2) 粉状そうか病 −土壌湿潤で発生−
いものみに発生し、生育中は盛り上がった小さなこぶであるが、完熟ごろには丸い数ミリのへこんだ、かさぶた状病斑を形成する土壌病害である。そうか病と逆の条件(やや低い地温、土壌湿潤、酸性土壌)で発生が多い。菌は長期間土壌中に生存でき、ナス科植物に寄生する。土壌の多湿で活発に活動し、冷涼、湿潤な年に発生が多い。
防除法は、健全種いもを用い、土壌消毒を行なう場合は、植付け前にフロンサイド、ビネジン粉剤で土壌混和を行なうが、一般的でない。4〜5年以上の輪作を行ない、畑の排水を図る。
3) 黒あざ病 −種いも消毒−
いもの表面に黒い菌核(鼠の糞状)を作るが、見栄えは悪いが腐敗はしない、被害はむしろ、このいもを植えて、いもから出る幼芽に黒褐色の斑点ができ、腐り、その後2次、3次芽も侵されて欠株になる。やや低温で萌芽が遅れたときに発生しやすく、酸性土壌では多い。生育中は、茎の地下部が侵され、頂小葉が退緑して巻き上がり、地際には気中いもや小いもが多く出来る。
防除法は、無病いもを植える。連作、酸性土壌を避け、イネ科作物をいれた輪作を行なう。種いも消毒(バリダシン粉、液剤、バシタック、リゾレックス水和剤、モンセレン水和剤、モンセレン、アタッキン水和剤等)。収穫を茎葉枯死後10日以内に行なう。
3 生理的、機械的障害
1) 緑化 −培土は十分に−
発生原因は、いもが土壌からはみだして太陽光線を受けるか、輸送、貯蔵等で光を受けるかにより、緑化したもので、散乱光でも2〜3日でうすい緑が現れ、緑化したものはグリコアルカロイドが2〜10倍に増える。これらの成分は表皮に極端に多い。(グリコアルカロイドの項参照)。
対策には、品種に合った培土。掘取り後のいもの被覆を行なう。トヨシロは茎近くにいもがつくので、表土亀裂による緑化の多い品種であり、スノ−デンはストロンが長く、広がっていものつく品種で、畦端にできたものは、表土が雨に流されて緑化が生じる。掘りとったいもは出来るだけ光に当てないよう被覆して倉庫へ運ぶ.
2) 傷、割れ、爪痕 −取り扱いは丁寧に−
字の通り、いもが掘取りや運搬時に機械的な傷、割れ等の障害を受けることで生じ、掘取り時の切り傷や機械上でいもが落下するときにつく。皮剥けは未熟いもに多い。割れ傷はいもの水分が多い(高膨圧)とき、比重が低いものに多い。傷口はいも自体の治癒能力によりコルク層(通常10〜20℃では3〜5日)で形成し、水分蒸発と菌類の進入を防ぐことを行なう。また、打撃により爪跡状の傷が着くことがある。防止法は次の打撲の項目を参照されたい。
3) 打撲 −落下に注意−
最近多く見られる打撲(内部黒斑、多くは表面にほとんど傷が無いのに維管束近くに黒斑が見られる)は、比重が高いものほど発生が多く(相関係数=0.55)、品種では、農林一号、アトランチックなどの高比重のものに多く発生する。また、丸い品種は転がりが大きく、打撲もつきやすい。温度では10℃以下の低温で発生が多い。
発生機作は、傷口が空気に触れて酸化すること、すなわちフェノ−ル(チロシン)が酸化酵素(チロシナ−ゼ)で酸化され、最終的にメラニンになり、黒変する。内部の黒変は通常、打ち身後2〜3日で病状が見られるようになる。これを早期に見るには高温(38℃)に1日置いて検出できる。
傷、打撲の防止は、まず、石の多い畑には栽培しない。収穫作業は多忙期であるが、掘取り前の機械整備と人間のトレ−ニングを行ない丁寧に機械類を操作する。それには、まず、いもの落下は15cm以内となるように機械を改良し、収穫機の回転数を調整し、土壌を機械上にあげることによる干渉効果を利用し、収穫機、移動、運搬におけるいもの落下場所には、ゴムを被覆する等の防護策を講じる。また、掘取り時には土壌乾燥状態や10℃以下の低温では増えるので、やや湿った土壌の時に、日中の温暖な時期に作業する。
打撲の発生場所を特定するには、コンピュウタ−内蔵ボ−ルを機械中を移動させ、移動時の落下衝撃をIRD(Impact Reducing Device)を用いて測定し、打撲対策を講じる方法が行なわれている。
4) 中心空洞 −大玉に発生−
いもの中心部に生じる空洞で、大いもに発生が多く、いもの急激な肥大(乾燥後の多窒素、多雨量)により中心部に星形の空洞ができる。小さな種いも、多肥、粗植(欠株の隣接)という、大いもになる易い条件下での発生が多い。
防止対策は、排水の良い、湿地を避けた栽培、均一な種いも使用と均一なやや狭い株間、適正肥料による栽培と十分な培土を行なう。
5) 褐色心腐病 −高温、乾燥−
乾燥、高温による内部中心組織の死滅(褐色〜黒褐色)であり、中心に発生するものはいもの肥大期の水分不足が原因として考えられる。土性では砂地での発生が多い。その他に生育後期の高温による熱障害(ヒ−トネクロ−シス)も内部組織の死滅であり、内部に不正形の褐色斑を生じるが、発生は砂地等で土壌温度が高いことにより生じる。
土壌水分の保持が可能な完熟堆肥の施用による土壌改良及び適期の培土を行ない、砂地での栽培を避けるか、潅水する。アトランチックは品種的に出やすい。農林一号、トヨシロ、ノ−スチップにも発生する。
6) 黒色心腐病 −通気不良−
高温下での酸素不足(通気不良)が原因であり、輸送、貯蔵、浴光育芽での高温と通気不良には注意する。マルチ栽培での高い地温は本症状を起こしやすい。
7) 圧着痕(押し傷)−バラ貯蔵注意−
貯蔵のバラ積みの下層に現れ、押され、へこんだ表皮の下部が黒褐色になる。打撲と同じ発生機作で生じ、最大の原因は、入庫時の強い通風によるいもの乾燥であり、想定される状況は品温の高いいもに冷たい空気を吹きつけたときに相対湿度が下がり、水分が奪われることによる。例えば、品温18℃のいもに10℃の通風を行なった時、関係湿度は59%になり、いもの水分は蒸発し、下層のいもは圧縮によりへこむ、これがスク−ピングの時圧着痕として発生する。対策は入庫時の乾燥(通風温度)に注意し、湿度を保ち、徐々に温度を下げるようにする。
8) 二次成長、変形 −多肥、徒長を避ける−
生育中に高温(夜温25℃以上、乾燥)によりホルモンのバランスがくずれ、葉中にジベレリンの濃度が高まり、これがいもに移動し、内生休眠が明けた状態になる。この後雨による生育が再開したとき、いもは二次生長する。形は、細長くなるもの、こぶ、いも連鎖、萌芽などがある。品種の形状は、農林一号(萌芽)、トヨシロ(長く、こぶ)、ワセシロ(奇形なし、基部褐変)に見られる。ワセシロのように形状の変化がなくても内部において化学的成分(糖類)が変化することも多い。
防止対策は、砂地での栽培を避け、地温の上昇と乾燥を防ぎ、窒素質肥料はやり過ぎないようにする。
9) 維管束褐変
いもの維管束がストロン側から褐変するもので、生育後期での急激な水分不足(薬剤による枯死、霜による枯死)によりストロン側の部分に発生する。
10) 冠水、滯水害
大雨による水害、とくにいもが水中に没した場合、水温によって腐敗程度が異なる。トヨシロで試験した結果では、25℃では1日は持つが、2日以上では全てが腐敗した。18℃では2日で20%程度が腐敗し、12℃では2日後は腐敗がなかったが、いずれも4日ではほとんどが腐敗した。スノ−デンもほぼ同じであった。
11) 虫害
ケラ(ダイアジノン粒剤)、ハリガネムシ(エチメトン粒剤)、ナストビハムシ(エカチンTD粒剤)、オオニジュウヤホシテントウムシ(デナポン水和剤)、ジャガイモガ(オルトラン水和剤等)などによるものは、いずれも害虫駆除を行なう必要がある。サツマイモネコブセンチュウによるコブについては、輪作、ギニアグラス等の対抗植物の植付け、薬剤防除(D−D、ネマトリン粒剤等)などの手段がある。
12) ジャガイモシストセンチュウ
世界中で防除が困難とされているセンチュウで、連作、過作ほ場において密度が高まると作物に被害が出る。卵が詰まった袋(シスト、約0.6mm)が成熟すると黄金色になることより、ゴールデンネマトーダと呼ばれる。北海道での発生地域は後志、網走地方を中心に函館、最近は十勝にも発生がみちめられ、地域が広がっている。
一度進入すると根絶はできないので、進入防止対策が採られている。シストは土壌に混入して運ばれることから、発生地からの土の付着した靴、農機具、運搬用具(コンテナ)、運搬車、苗、根菜、植木などの取り扱いには十分な注意が必要である。特に発生地における種いもは不用意に用いるべきでない。車、農機具等の汚染の除去は発生地内において洗浄するのがもっとも効果的である。