ティアナ:
フフ、こっけいですね。
ディンガルのカルラ進軍の報に
王宮はおおわらわです。
この前のディンガルとの戦では勝利したとはいえ、兵は
壊滅的な打撃をうけていますから…。
もともと、
ディンガルの大軍の攻撃には
耐えられなかったでしょうね…。
…レムオン様が貴族をまとめ
今回の戦には出兵しないと
言ってきたのです。
お母様に対しての稚拙な脅しです。
国内で争っている場合ではないのに
レムオン様には見えていないのです。
ただ、ゼネテス様に対する対抗意識だけ…。
ゼネテス様は…愚かなあの方は…、
ファーロス家の兵だけで
カルラと戦うおつもりです…。
ディンガルの青い死神、カルラの
兵力の10分の1にも足りません。
死ににいくようなものです!
…ゼネテス様は、あなたがここに来たら
この戦いに一緒に出て欲しいので
謁見の間に来るようにと…。
行かないで…。
あの人だけでなく…あなたまで…。
行ってしまわないでください…。
お願い…です…。
あなただけでも、ティアナのそばに
とどまってください…。
「いかない」
本来、一国の王女の地位にある者が
こんなことを言ってはならないのです。
…でも、ありがとうございます。
…こんな時だからこそ、
大切な誰かを失いたくないのです。
大切な誰かにここにいてほしいのです。
竜騎士:
ノ、ノーブル伯!
我らに刃向かわれるおつもりか?
この決起はご尊兄の主導だというのに…
なんと嘆かわしいことか!
やむをえん!我らの敵に回るなら、
伯爵様とはいえ、国害となる人物だ!
始末しろ!
竜騎士:
我らの手から逃れられると思うか!
ロストールは我らの手中にあるぞ!
ティアナ:
●●様、
こちらの秘密通路から!
とにかく王都を脱出しましょう!
私は、戦い方を知りません。
どうか…
どうか、ティアナをお守りください。
ティアナ:
無事、脱出できそうですね。
ヴァイライラ:
ティアナ様、ご無事でしたか。
私たちがお部屋にうかがったときには
おられなかったので、探しました。
大丈夫。エリス様に命じられて
あなたを拘束しに来たと思ったなら、
それは間違いよ。
エリス様は、もういらっしゃらない。
…死んだわ。
レムオンの兵士に襲われてね。
ティアナ:
し、死んだ?
ヴァイライラ:
ゼネテス様がファーロス家の兵を
残らず率いてゆかれましたので、
王妃様を守る者がなかったのです。
ヴィアリアリ:
そこへきて、ゼネテスは
カルラを相手にまたも奇跡の大勝利…
ファーロス家の力が拡大するのを恐れた
レムオンがクーデターを
起こしたってワケ。
ヴァイライラ:
エリス様は最期に、私どもに
ティアナ様をお救いするようにと
申しつけられ…、ご自身は…。
ゼネテス様も戦場で捕われ、
今、謁見の間で処刑を待って
おられます。
ティアナ:
なんですって?
ゼネテス様まで?
ヴィアリアリ:
千年樹に刻まれている神聖法によれば
反乱貴族たちはあと少ししか
ゼネテスを拘束できない。
つまり、裏を返せば、
そのときまでには無理矢理にでも
罪をでっち上げなければならない。
ヴァイライラ:
まもなく、
ゼネテス様も
エリス様と同じように…。
ティアナ:
●●様!
お願い、お願いです!
ゼネテス様をどうか!
(うなずく)
ヴァイライラ:
ティアナ様、失礼ながら、
あなた様がいらっしゃると
●●様が存分には…。
ティアナ:
わかっています。
あなた方と行きましょう。
●●様、
どうか、謁見の間のゼネテス様を…。
(主人公うなずく。ティアナとヴァイライラ去る)
ヴィアリアリ:
ゼネテスから、
手紙を預かってるわ。
おそらく、遺書…ね。
ゼネテスの遺書を手に入れた
ヴィアリアリ:
これが本当に遺書にならないことを
祈ってるわ。
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