レムオン:
…あのとき、
俺がダルケニスとして覚醒したとき
貴様もいたのか、ゼネテス。
ゼネテス:
んー、まあ、な。
レムオン:
…そして、俺を救った。
今もだ…
なぜだ?
ゼネテス:
なぜって?
レムオン:
俺はファーロス家とは敵対していた。
お前たちを滅ぼそうとした。
いや、それ以前に俺はダルケニスだ。
ゼネテス:
ふーん。
そりゃ、見解の相違だな。
俺には、お前さんが
助けを求めてるような気がしたんだ。
それだけさ。
レムオン:
許してくれ…とは言わぬ。
許されることではないからな。
ただ、一緒に旅をさせてくれ。
…俺も、
お前たちの見てきた世界が
見たいのだ。
ゼネテス:
いいだろ。
なんも、問題はねえ。
そうだろ、●●?
ゼネテス:
よし、すべてよし。
んじゃ、ま、晴れて出直しってことで…
俺はゼネテス、冒険者だ。
これからよろしく頼むぜ。
冒険者●●、
そして、冒険者レムオンよ。
レムオン:
あ、ああ。
よろしく頼む、
冒険者、ゼネテス。
ゼネテス:
それと、だ。
レムオン:
………………?
ゼネテス:
アレ、返してくれ。
ほら、アレだよ、アレ。
「アレ?」
ゼネテス:
遺書だよ、俺の。
こうしてちゃんと足があんだから、
いらねえだろう?
「ふふ、そうだね」
●●は
ゼネテスの遺書を手渡した。
ゼネテス:
人間、追いつめられるとダメだね。
こいつは、
あとで念入りに処分しなきゃな。
ゼネテス:
確か、●●たちは、
賢者の森の猫屋敷を中継に
してんだったな。
ゼネテス:
あんたは先に行っててくれ、
レムオン。
レムオン:
どういうことだ?
ゼネテス:
どういう…って、あんただって俺の
性分は知ってんだろ? 我ながら、
まっすぐ向かう保証はないもんでな。
レムオン:
そうだったな…。
その身体では、すぐには
冒険とはいかんだろうな…。
(レムオン去る)
ゼネテス:
あーあ、やだねえ!
そう辛気くせえ顔されたって、
ちっともよくはならねえよ!
必要なのは、栄養と休養、
危うく踏みとどまったシャバの
うまい酒と…
起きたコトの、後腐れない決着だ。
何にせよ、●●…
お前が俺の力を必要とする時までにゃ、
ちゃんと万全にしとくから、
安心しなって。
じゃあな、●●。
レムオン:
なぜだ? なぜ…俺を救った?
ゼネテス:
なぜって?
レムオン:
俺はファーロス家とは敵対していた。
お前たちを滅ぼそうとした。
いや、それ以前に俺はダルケニスだ。
ゼネテス:
ふーん。
そりゃ、見解の相違だな。
俺には、お前さんが
助けを求めてるような気がしたんだ。
それだけさ。
人が人を救うことに理由がいるのかい?
なぁ?
●●。
レムオン:
…俺の母はダルケニスだった。
そして、俺が幼いうちに母は
行方知れずになった。
義母はダルケニスの俺に
よくしてくれ、俺を当主にまでした。
実の子エストを差し置いてな。
俺がダルケニスであることなど関係なく
義母は、俺のことを才能があると
よく、はげましてくれた。
その義母が死ぬとき、
初めて実の母の消息を話してくれた。
母が冒険者に討たれたことを…。
義母は、ダルケニスだからと
俺が自信をなくすのを恐れて、
死の間際まで言い出せなかったのだ。
だが、俺にはそんな義母が偽善に思えた。
そして、俺は義母の心配に違わず
心を閉ざした、かたくなな男になった。
ダルケニスだからというだけで
無条件に殺される、そんな世の中で
愛や正義を語る奴が気に入らなかった。
無論、冒険者もな。
貴様のような正義ぶった
甘っちょろい冒険者は大嫌いだった。
…なのに、妙な話だな。
貴様のような甘っちょろい冒険者に
俺は救われている。
貴様はつまらない正義感の持ち主なのに
ダルケニスの俺を殺すどころか
自分を犠牲にして助けてくれている。
結局、自分ひとりで
こだわって
世界をゆがめていたんだな。
許してくれ…とは言わぬ。
許されることではないからな。
ただ、一緒に旅をさせてくれ。
…俺も、
お前たちの見てきた世界が
見たいのだ。
ゼネテス:
いいだろ。
なんも、問題はねえ。
そうだろ、●●?
ゼネテス:
よし、すべてよし。
んじゃ、ま、晴れて出直しってことで…
俺はゼネテス、冒険者だ。
これからよろしく頼むぜ。
冒険者●●、
そして、冒険者レムオンよ。
レムオン:
あ、ああ。
よろしく頼む、
冒険者、ゼネテス。
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