神様の朝ごはん
「甘口辛口」新潟日報
2008.9.15掲載

 浜降(はまおり)祭と言うお祭りがある。

 神奈川県寒川町と茅ヶ崎市の38の神社から神輿(みこし)が浜に担ぎ出され、禊(みそぎ)をする夏のお祭りだ。深夜1時ごろ、あちこちの神社から神輿が海へ向けて出発する。夜明けとともに浜辺に神輿が次々と到着し、もみ合いながら斎場へ入って行く。この時、担ぎ手が腰の辺りまで水につかり海へ神輿を担ぎ入れるのがこの祭りの見所の一つ。

 そして神事。祝詞が上げられ、神饌(しんせん)が供 えられる。それぞれの神輿の前にお神酒、お米、マスクメロンにバナナ、ナスとニンジン、トウモロコシ。朝の7時、神様の朝ごはんだ。「昔は、メロンじゃなくてウリだったのかな…」などと考えながら参列する。7月半ばの浜辺に太陽はじりじりと照りつける。斎場のすぐ後ろではたくさんの屋台がたこ焼きや焼きそばの香ばしい匂いをまき散らし、冷えたビールを売っている。

 神様は屋台ではなくちゃんと神輿に降りてきているだろうか。