グルメ

「甘口辛口」新潟日報
2002.5.5掲載

  自分の身を犠牲にして食べ歩く、グルメを自称する体格のいい友人がいる。その友人A子の口癖は「この体には金がかかっている」である。まさにA子の食への金のかけ方は見事だ。A子の食談義を聞き、私も食べに行こうと思うこともよくあった。

 ある時、自宅近くで昼食を取ろうということになった。すぐに思いつく店がなくA子の情報に頼ることにした。行ったのはピザ屋である。昼時をかなり過ぎていたので、店の中は閑散としていた。カウンターに、バイキング式の食事用に焼かれたピザがあり、サラダなどと一緒に自由に食べることができる。しかし…ピザは冷たく、トッピングのチーズやサラミもお慰み程度、どの種類もみな同じ味。

 その後、A子の舌を信用していいものかどうか、A子の犠牲はなんだったのか、一度で決めつけてはいけないと思いながらも悩んでいる。