天川水系でイワナに出会う

 

「日高川は今年はあかんみたいやしなぁ。」
「こないだの上北山川の谷はどうやったん?」
「谷が小さくてあきませんわ。」
「そうか、天川の上流なんかどう?」
「BBQ客がおったら、うっとうしいっすよ。」
 こんな会話を車中でしながら、とりあえず南へ向かう。今日は若との釣行である。

 今日も梅雨空で、1日降るらしい。こんな天気ならBBQ客もおらんやろうと前から気になっていた天川の上流部へ向かうことにした。ダムの上流の川迫川とか神童子谷とかいわれているところらへんだ。
 支流の谷へ入って、あわよくば幻のキリクチと御対面という魂胆だ。

 漁協で入漁券を購入がてら、最近はどうっすか?と聞いてみた。
「ここんとこ渇水で魚はみんな隠れてしもた。先週放流したけど、あかんやろな。」
 ま、まじっすか?大阪では結構雨が降っていたし、滋賀の渓流では増水していたのに。紀伊半島でも南の方はよく降っているが、吉野川水系は渇水らしい。そういえば、吉野川水系で取水制限になったとか新聞でみたなぁ。

 天川では毎年、今の時期に再度放流をすること。それが先週だったこと。当然プレッシャーが強く、ハリスは細く細く、0.2以下でないとダメなこと。渇水なので足で稼がなければならないこと。強いて言うなれば洞川の方がいいかな、ということ。等々の情報を入手した。

「どうするよ?」「悩みますな。」
 悩んだ末にやはり、上流部へ行くことにした。どんどこ進むが確かに水がない。水溜まりと水溜まりが繋がっている感じだ。ダムも全然水がなかった。

 漁協が先週放流したという区間には既に車が結構止まっている。そんな放流区間には興味がないのでもっと上流に進んだ。駐車スペースを何とか探し、準備を始める。

「今回は足回りを固めて、ばっちしっす。」と若が誇らしげである。おぉーっ、なるほど、ウェディングシューズに渓流ソックス、スパッツ、おニューのコンバーチブルパンツに沢登り用タイツまである。完璧ではないか。こ、こやつ、いつの間に。なかなか具合が良さそうなので、翌日、速攻で沢登り用タイツを買いに行ったのは次の釣行までの秘密である。(ネットに秘密もクソもないが)

 だが、その後、もはや恒例になった感があるが、
「あっ、ベスト忘れたっす。家の中に干していたのが間違いだったっす。」と若がのたまう。そのベストには、オモリ、針、仕掛け一式が入っているという。それくらいならと分けてあげた。
「忘れ物、多いよなぁ。」と、言いながらも、そういう私は予備の電池を忘れて途中でデジカメの撮影が出来なくなってしまった。。。どうも天川に来ると忘れ物をするようだ。

 早速入渓した。いやぁー神童子谷は迫力ありますな。車ほどもある岩がゴロゴロしてます。明るくて渓相もよろしい。この辺はなんとか水量もあるし、ええ感じでんな。
 が、ポイントごとに振り込んでいくが、全然アタリはありません。先行者がいるのか、スレまくっているのか。

 大きい落ち込みがあって、深い淵の流れ出しを攻めたときに待望のアタリが!早速アワセて取り込もうと寄せた。タモを用意して、さぁと言うときにプチッ!アーッ。やはり0.2号では不安だと思ったのが的中した。綺麗なアマゴだったのにな。この後はそそくさとハリスは0.3に変更。

 この先は氾濫原って感じで伏流水になっていた。仕方ないのでどんどこ歩いていくとようやく支流の谷からの流れがあった。本流の方を見ると、その先に流れが見える。

18センチのイワナちゃん
「どうするよ、どっちに行く?」と、若と相談しようとしながらも、すぐ伏流している支流の谷からの落ち込みに、ひょいっと仕掛けを振り込むとググッと来た。
 上がってきたのはなんとイワナである。
 だっはっは、人の目の前で釣り上げるのはホント、気持ちがいいもんですな。
 しかも、まだ坊主の人の目の前でってのは。ぐわっはっは。

 

 

 

20センチのアマゴ 支流に進むことに決めたた。すぐ上に良さそげな落ち込みが。ここには絶対いる、と妙な確信がある。

「俺は坊主脱出して余裕なんで、若どうぞ。」

 それでは、と若が攻めるとこれまたアタリが!20センチの綺麗なアマゴだった。

 良型で坊主脱出を果たし、若も嬉しそうだ。

 

 

 進む間もなく、すぐに滝に突き当たってしまった。両岸とも垂直の絶壁でとうてい登れない。 たぶん皆はこの滝を見て諦めるのだろう。実際、私達も「ここで終わりか。」と引き返そうとした。
 だが、巻けるかもと丹念に見ながら、戻っていくとなんとかルートが見えた。よじ登ってみると、険しそうだがなんとか遡行できそうだ。

またまた記録更新。24センチ。
 この先は久々のパラダイスだった。ポイントだらけで、上がってくるのは全てイワナ。

 おぉーっ、日頃の行いの良さが効いたのか、ここんとこの寂しい釣果に釣りの神様が可哀想に思われたのか。

 これまた良さそげな落ち込みで私が24センチのイワナを手中に!
 またまた、記録更新だ。なんていい引きなんだ。なかなかタモに入らずにやきもきした。

 

 この後、若もすぐに25.5センチのイワナをゲット!さすがにでかい!だがここでデジカメの電池が切れて写真がありません。すんまそ。

 あまりのパラダイスぶりに
「も、もしや禁漁区に迷い込んだか?」と不吉な予感が。
「釣り人、永年禁漁区で密漁、逮捕!」新聞の見出しが目に浮かぶ。
 漁協でもらったマップにキリクチ保護のための永年禁漁区の記載があったが、車に置いてきてしまった。若に聞いても
「車に置いてきたっす。でもさっき、ミミズの箱のごみがありましたよ。」
「それも密猟者のものかも。。」
「。。。」
 車に戻って疑問は氷解。永年禁漁区はダムのもっと下だった。良かった良かった。

 かなり上まで登った。もうすぐ尾根に出るはずだ。水も伏流してしまった。十分釣ったことだし、ここで竿を仕舞い、下山することにした。今度は本流を詰めてみたい。

仕掛けを作り直している、若

 

 

 

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