解禁当初の十津川水系
やっと先輩と釣行することになった。場所は昨年通った十津川水系の支流の谷。最近この谷が色んなサイトで紹介されだして複雑な気分だ。
車止めへ着いてみると既に車が3台止まっている。穴場だったのになぁ。先週行った日高川水系は雪もなく、すっかり春の雰囲気だったが、十津川水系のこの谷の北の斜面には残雪がまだある。それだけ山深いんだろう。
林道を歩き、一番手前の入渓ポイントに入るため急斜面を下りた。まだこの辺は川幅も広く上の空間も開けていて竿を振りやすい。
水量はこれまでの中で1,2の量で豊富だ。天気は晴れ、風は無し。周囲をよ〜く観察すると先行者の痕跡がかなりある。まだ乾いていない足跡まであった。これはちょっとまずい展開かなぁ。
釣れなくても大自然の中で竿を出すだけでも気持ちがいいもんだ、と釣れなかった場合の言い訳を早くもしつつ、餌をつけて流れに振り込んだ。
入渓した所にいかにもって感じのポイントがある。見た人はみんな攻めるだろうな。もちろん私も攻めてみたが当然アタリはあるはずもなかった。
そのちょっと下流に流れが崖にぶつかっているところがある。ここはポイントって程でもなく見過ごす人が多いと思われるところだ。仕掛けを振り込むとググッとアタリが!しかし、水面でパシャッと跳ねてばれてしまった。その後何回も流すが当然出てくることもなかった。残念である。
![]()
その後、ちょっとした小場所でアタリがあり、18センチのアマゴが上がってきた。
何はともあれ坊主脱出で一安心である。
1匹釣り上げて、気持ちに余裕が急に出てきた。おかしなもんである。先行者のすぐ後で釣るなんて天才なんじゃないかと自画自賛しながら、写真を撮ってリリースした。
もっと大きくなって戻って来いよ。餌は先輩はブドウ虫、私はブドウ虫と必殺のキンパクである。前日に釣具屋に行くとなんとキンパクを置いているのを見つけた。昨シーズンはキンパクでいい思いをしたので即購入。長良川産らしい。
最初の頃はキンパクをつけて流すとやや戸惑った。じんわりアタリのようなものが感じられることが多いのだ。首をひねったが、どうやらキンパクが岩にしがみつこうとしているようなのだ。まぁ、流されるとアマゴに食べられちゃうんでキンパクも必死なんやね。その後、遡行するも最初の堰堤にぶつかる。その堰堤の上に子供連れの3人のパーティがいた。どう考えても私達のすぐ上に入渓したようである。
「それはちょっとないんじゃないの」と思いながら、堰堤を巻いて上に上がった。
トラブるのも嫌なので声を掛け挨拶した。向こうさんは「子ども連れの川遊びなので気にせずお先にどうぞ」と快く言っていただいたので、お言葉に甘え先行した。
その直後、先輩に鮮やかなお手並みを見せられた。絵に描いたように沈み石のある感じのいい流れを流して、絵に描いたようなアタリがあり、絵に描いたようにアマゴを釣り上げたのだ。
まるで釣り番組のワンシーンのようにかっちょ良く、うーんとうなったのであった。
先輩にとっては今シーズン初のアマゴで嬉しそうである。
俺も釣るぞー!と見た目に1級のポイント、いい感じの落ち込みに餌を流す。
2,3投目に白泡の切れ目から反転流に乗せた。
グルっと反転し終わる頃、竿を伝い手に心地よい魚信が!
かなりの手応えで、引きが楽しめた。サイズもまずまずである。
ここは先行者が皆攻めているはずのところだがなんとか釣ることができた。それはやっぱり私の腕がいいから。。。いやいや、きっとキンパクのおかげなんである。
おそらく皆の餌はブドウ虫かイクラのはずで、アマゴは目も口も肥えているのだ。「またイクラ?飽きちゃったのよね!」とグルメになったアマゴ。そこに生きた川虫が流れてきたのだから、たまらず食いついたのだと思う。キンパク恐るべし。
最近、ようやく水の流れをちょっとだけ理解でき始めたと思う。
この落ち込みにしても一様に流れているわけではなく、反転流や巻き返し等の色んな水流が絡み合って流れているのだ。
当然アマゴは流れてくる方向に向かって泳いでいるので、いつも上流に向かって頭を向けているわけではないのだ。ひょっとすると下流に頭を向けているかも知れないのである。
餌は単純に上流から流すだけではないということだ。
この後は遡行を続けるが釣果はなかった。アタリがあってバラしたのが2,3回。解禁直後に大物がたまっていた、ある淵に行ったが、そこも渓相が変わっていた。すぐ横が切り立った絶壁で、常に小石が落ちてくるような危険な場所だったが、立木ごと土砂が崩れていて流れが一変している。もちろんアタリも無し。
遡行困難になったので一旦林道に上がり、わずかに残る雪を踏みながら次の入渓ポイントである堰堤へ。ふとその先を見ると先行者の姿が見えた。追いついてしまったようだ。仕方がないのでそこから下流をちょこちょこっと探って、時間も時間なので納竿とした。
数こそは少なかったが、お互い釣果もありまずまずの釣行だった。