天の川管理釣り場でニジマスと勝負

 

 解禁まであと少しだが我慢できず、奈良県天川村、天の川管理釣り場へニジマスと勝負をしに出かけた。今回はフライで若との釣行である。今年の釣り運を占うと言っても過言ではない大事な釣行なのである。ニジマスにも若にも負けられないのだ。

 天川村漁業協同組合の事務所に9時前に着いた。受付をして3000円を払い、入漁カードを貰う。8時半から4時までで、安全確認の意味もあり5時までに入漁カードを返却することになっている。途中何回か漁協の見回りがある。これはなかなか良いシステムだと思う。
 釣った魚は、ニジマスは5匹までの持ち帰り制限があり、イワナやアマゴなら即リリースすることになっている。
 先週は1人で20匹や30匹も数が上がったこと、先日の雪で水温が下がって活性が下がったこと、今日も雨なので気温が上がらず厳しいこと、どこそこの辺りが良いみたい等の情報を仕入れた。

 ここは、みたらい渓谷付近の約2qを管理釣り場に設定している。管理釣り場と言っても、特に区切られているわけでもなく自然の渓谷そのままなのでなかなか面白い。
 あちこちに雪が積もっている。今日みたいにクソ寒い日は2人だけだと思ったら、先行者が1人いた。朝から雲が垂れ込めていて、今日の天気予報は雨。

雪の天川、管理釣り場としては自然そのもの、
っていうか荒々しい巨岩なので足元には要注意

 準備を始めると、若が「ウェーダを持ってくるの忘れたっす!」とのたまう。なんてこった、渓流でウェーダがないと真夏ならいざ知らず釣りにならんではないか!
 漁協に聞いてみたが道具のレンタルはやっていないとのこと。仕方がないので、とりあえず行けるところまで行くことにする。
「昨日ベランダに干したのが失敗っす。」と若は悔やんでいた。

 吊り橋を渡り河原に降り立った。ピンクのイクラっぽいマラブーで試すことにした。マーカーを付け、ティペットは5X、ほぼ一尋、フィートなんて今でもよくわからん。

 そーっと淵を覗くと魚影が見える。「いるいる。」ニヤリとしながらキャスティング開始。何回か打ち返すうちにマーカーが止まった。よっしゃーっと合わすがビクともしない。根がかりである。水中をすかして見ると流木にフライが刺さっているのが見える。じんわり引っ張るとフライを残してティペットが切れた。くーっ。幸先が思いやられるぜ。
 今年初めての釣りでつい力んでしまった。

 気を取り直して今度はシュリンプモデルを結ぶ。少し上流に上がり別の淵の流れ込み部分をダウンクロスで攻めた。流れきった所で誘いを掛けるとアタリが!今度は明確な魚信だ。魚の引きを楽しみながら取り込むと21センチのニジマス。なんてきれいな魚体なんだ。嬉しくて笑みがこぼれる。ほーっほーっほっ、すまんの若、先に釣ってしまったわい。

 しばらくすると、若が「よっしゃー!」と叫び、その後すぐに「あーっ!?」と力無くつぶやいた。これで結果が判るというものだ。アタリがあったけどバラしてしまったらしい。「クソっ」と小さくつぶやいてもいる。

 ちょっとした滝のプールを岩の上から攻めた。ここからだと水中の状況がよく見えた。フライが沈むとつつーっと魚影が近づいてくる。おぉっと思ったが直前でプイっと横を向く。うーんかなり学習しているなぁ。
 再度フライを沈める。またもや魚影が近づいてきた。プイっと横を向く直前にフライをすっと引くと、逃げると思ったのか食いついてきた。ジタバタと上がってきたのも先程のとよく似たサイズ。ややサビ気味かな。

 
 岩山を巻いて先行して釣っていたが若がなかなか来ない。流れにはまったか、転んでいるのかと岩山の上まで戻って見てみるとなんと釣っているではないか。満足気に笑みを浮かべつつ岩山を登ってくる。二人とも坊主脱出でまずは一安心だ。

若も23センチを頭に3匹ゲット

 どうしても流れを横断しなければならない所があった。まさかこんな所で若を背負って流れを渡ることになるとは思ってもみなかった。
「申し訳ないっす。」この後も1回背負いながら渡ったがそこは以外と深く、また、なめ床でちょっと怖かった。若が細身で軽いのがせめてもの救いだった。

 淵で魚影が見えたのでキャストしたがフライが沈まない。むむっと思ったが、よく見るとあまりの寒さに薄く凍っていたのだった。そら沈めへんわと苦笑。この頃から雨が降り始めた。

 みたらい渓谷の入口付近、トンネルの手前の大きな深いプールに魚影がそこそこ見える。かなりの大きさのものも混じっているようだ。
 釣り座が若とかぶらないように流れを一度渡り、雪の岩場をよじ登って反対側から攻めるようにした。フライを追っているのが見えて楽しいが、なかなか食わないのでイライラもする。

 フライを替えたりするがダメなので流れ込みの方に苦労して回り込み、深い廊下状の場所で攻めた。マーカーがすーっと沈んだので合わせ、ぶるぶると手応えを感じるがすっぽ抜けてしまった。くっそーっ。
 ジャパニースバグっぽいフライに替え再チャレンジ。今度はマーカーがズボっと、ラインまで沈んだのですかさず合わせた。すると、おー走る走る。バッキングラインの寸前までラインが引き出された。大物の予感に胸をドキドキさせながら徐々に寄せる。その間も軽くジャンプしたりとナイスファイト。水面近くで暴れたが、ようやくネットに入れることができた。計測すると31センチ。十分満足する大きさだ。

 その後も釣り上がったがアタリはなく今日の釣果は3匹だった。若も23センチを頭に3匹。その後、洞川温泉で体を温めて帰路に就いた。ジーンズで釣ってた若はかなり冷えたらしい。「温泉は気持ちいいっす。」

 それにしても天川はいいところだ。今年の釣り運は良さそうだし、解禁になったらまた行きたい。


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