十津川水系、季節はずれの豪雪で門前払い


 待ちに待った渓流の解禁がようやくやってきた。今シーズンの釣り始めは仕事の都合で、解禁1週間後に決定。一泊二日で釣りまくる予定であった。
 だが、今回の釣行は結論から言おう、「坊主どころか、現地に行くこともできなかったのだー!」戦わずして負けたって感じだ。くっそー、詳しくはつぎのとおりである。

 当日、5時に起床、5時半に駐車場に行って絶句した。イカ〜ン!車に厚さ5pぐらい雪が積もっているではないか!温暖な大阪では滅多にないことだが、よりにもよって、今日ならなくても。。。不吉な予感が。
 気を取り直し、お湯に浸した雑巾でフロントガラス、リヤ、サイドの雪を払い落とす。大阪南部出身の私にとって車の雪かきなんて初めての経験だ。路面には積もっていないが、大阪でこんな状態なら現地は大丈夫だろうか。かなりの不安がよぎる。

 先輩と待ち合わせ、吹田インターから近畿道を南下する。松原で下りて309号線に入り、紀見峠を越えた。待ち合わせ地点のコンビニで渓流の師匠と合流。
「大丈夫かなあ」「すごい寒気団が来てるらしいですよ」「雪がだんだん強くなってきたで」
 相談した結果、「行けるところまで行って、様子を見よう」ということになった。


 五条から山道に入る。電光掲示板に「西吉野から大塔までチェーン携行」と出ている。うーんチェーン規制ではないのか、勧告だけかと思いながらハンドルを握る。
 西吉野村に入ったところで、雪が本降りになった。すぐに解けるボタン雪ではなく、さらさらとしたスキー場の雪に変わってきた。見る見る内に、路面が白く覆われていく。
 ちなみに愛車はプリメーラでノーマルタイヤ、チェーンなし。購入契約したエクストレイルは来週の納車である。くっそー、1週間早ければ!


 ここから先は本当の峠越えという手前で、相談のため車を止めた。やや下り坂になっているので、サイドブレーキをきっちり引いて車を降りた。
 少し話をしているうちに、私の車がズルッ、ズルッと滑って後退した。「うわっ、落ちる!」人間パニックになると面白いもんですな、私、車を押さえようとしてました。冷静になったら、人の力ぐらいではどうしようもないってことぐらいすぐにわかるのに。はっはっは。
 タイヤの熱で積もっている雪が溶け、滑って後退したようである。1m程後退して、止まってくれた。ほっとしたと同時に、撤退決定。


 苦労してUターンし、山を降りていく。だが、雪はますます強く降りだした。こうなっては、雪に降り込められて、立ち往生するか、完全に積もるまでに麓へ降りることができるかの勝負だ。
 来る時はなんでもなかった道が、今は雪が積もって難易度が急上昇だ。うーん、カヌーの川下りでいうと5級の瀬くらいか。川なら絶対にポーテージかライニングダウンするのにな。
 飛び上がってくる心臓を飲み込みながらのドライブとなった。エンジンブレーキを効かせながら、ワインディングを下っていく、スピードを30q以下に保ったまま。


 すごい難所が見えてきた。右にカーブしている勾配のきつい登坂で、右側は崖。そろそろと登っていると、車が横滑りしだしてフロントが右に振れていく。カウンターを当てても効果なし。速度が遅かったのが幸いして、なんとか道をふさぐような形で止まったが、心臓も止まりそうだった。ふーっ。対向車がなくて良かった。


 こんな調子で麓までやっとたどり着き、今日の宿へ連絡してみると、宿の人も出勤できず私一人しかいないとおばちゃんが言う。危ないので今日は止めてください、キャンセル料も結構ですとのこと。
 「そらそうやな、1000m級の山やからなあ、この雪は当分残るやろ」と、今回は撤退することにした。竿も出すことができなかった。ちっ、渓流に行くとストレス発散もでき、楽しみにしていたのに余計にストレスがたまってしまったではないか。しかし、死んでしまっては釣りもできないので仕方ないか。
でも、でも...「釣りて〜!!」