牧場の真中でヤマメとニジマスに出会う

 知床半島ではオショロコマを堪能したが、ヤマメの顔は拝めなかった。たぶんテリトリーが違うのだろう。次の目的地までに良い流れがあればヤマメにチャレンジしよう。

 昨日は知床半島の付け根のウトロ温泉に止まった。しかし、今日のお宿はなんと阿寒湖温泉なのだ!その間に養老牛温泉にある、からまつの湯にも入らなければならない。またまた、その間にもヤマメを釣らなければいけない。これはなかなかの強行軍である。

 レンタカーにカーナビが着いていた。オプションで追加料金がかかるのかと思ったが無料サービスだと言う。CDの旧式タイプだったが、ほんじゃまあ使ってみますかと、使ってみるとこれが非常に便利なのだ。道案内は当然として、この地図にはなぜか異様に川が載っているのだ。

 林道や小道はたまに省略されていたりするのに、川だけはどんなに小さい流れでもきっちり地図に載っている。これにはずいぶんと重宝した。ルート探索では間違ったり、遅かったり、道が載っていなかったりしたが、川だけはちゃんと載っている。これはきっとメーカーの製作者が渓流釣りファンなのだろうと2人で結論を出した。「カーナビ」ではなくて「川ナビ」である。

 「川ナビ」に導かれながら、羅臼から国道335号線を海岸沿いに南下する。山岳地帯で道は険しい。崖の上を走る感じで、海を見下ろしながら進む事が多かった。
 幾つも流れが道路を横切っているが、深い谷で橋から川まで10m以上なのがほとんどで、さすがに手が出なかった。

 そうこうしているうちに、サーモンフィッシングで有名な忠類川まで来た。橋のたもとに車を止め、上からのぞいてみた。すぐそこに海岸部が見え、反対側は、1qくらい上流まで見え、100m間隔ぐらいで釣り人が見える。
「くっそー、釣りたいなあ。」ここで釣るにはライセンスが必要なのだ。それも、早くから申し込まなければ手に入らない。

 真下の流れを見る。目が慣れてくると流れの中にサーモンが泳ぐのが見える。ざっと数えるだけで、10匹や20匹はいるだろうか。魚影は濃いようだ。来年こそはサーモンフィッシングにチャレンジする事にし、忠類川を後にした。

 忠類川を越えると、平野部に降りたようで、風景も穏やかになる。標津町で国道272号に入り、内陸部へと進む。目的地は林道沿いにある無料の露天風呂、からまつの湯である。
 このあたりは緑の牧場の真中を一本道がひたすらまっすぐに続いている。真っ青な空、ぽっかり浮かぶ白い雲。すぐそこに牛が放牧されている。絵に描いたような北海道の風景である。

 ここはという流れを見つけ、車を止めた。降りようとすると、車に何かがバチバチとぶつかってくる。よく見ると、アブが車体にぶつかってくるのだぁ。
 まるで、誰かが小石をぶつけるがごとく、間段無くぶつかってくる。しかも、関西のアブより、二周りは大きい。まるでスズメバチ!さすがに恐ろしくて断念。牛が多いので当然アブも多いのだろう。でも、何故車にぶつかってくる?

 ある牧場に自家製アイスクリームの看板が見え、Kが興味を示したので車を止めた。しか〜し、すぐ横に小さな流れがあるのを私は見逃さなかったのだ。アブもここにはほとんどいない。
 Kがアイスクリームを買いに行っているすきに、すかさず釣り竿を出す。幅4,5m、水深15,20センチの流れである。穏やかなほんの小川だ。

 餌を流すと、2回目にアタリがあった。すかさず、あわせると、今回初のヤマメが上がってきた。美しい魚体だが、アマゴに比べると、朱点が無い分、ややさみしい。アマゴの方が綺麗に思う。

 今回は全てリリースの方針なので、針を飲み込まれないように巨大な針で釣った。ここは、15センチクラスがほとんどで、針が乗らないような小さなものもよくいるようだ。

 ヤマメもからまつの湯も堪能し、阿寒湖温泉に暗くなってから到着。翌朝は早くに出発した。今日は最終日で帯広空港から午後1時すぎの飛行機に乗らなければならないのだ。ということはチェックインはギリギリでも12時か。
 阿寒湖から帯広まで半日で移動しなければならない強行軍のうえに、もちろん釣りもしなければならない。非常に忙しいのだ。

 国道241号から林道に入り、流れを見つけた。2mくらいの幅だけどね。そこで竿を出そうとしたが、なんと、餌のブドウ虫がなくなってしまったのだ。いか〜ん!最後の釣りが台無しになってしまう。そこで、Kといっしょにバッタ捕りが始まった。
 やっとのことで捕まえたバッタを餌に流れに乗せる。すぐにアタリがあった。というか無造作に出てきたという感じだった。こいつは手ごたえがある。ニンマリしながらあげると、25センチ。これぐらいになると貫禄が出てくるなあ。いつも関西で釣っているのと大違い。いつもこんなのが釣れたらいいのになあ。

 てっきりヤマメだと思っていたが、ふとニジマスの二年魚ではと疑問が湧いてきた。ヤマメにしては、斑点が多い。釣り上げるときの引きがすごかった。でもニジマスにはないパーマークがうっすらと残っている。
 うーん何だろうと悩んでいるとメールでピッピカチュウさんが教えてくれました。ニジマスだそうです。ニジマスも初めてだったので嬉しい!ピッピカチュウさんありがとうございます。 

 ここで、4,5匹釣ってタイムオーバー。夏の思い出をかみ締めながら、飛行機に遅れないように、急いで空港に向かい、名物の豚丼を食べたのだった。