奈良県十津川水系でアマゴ爆釣!

 「もうすぐ渓流のシーズンも終わりやなあ。」と思っているところへ、「最後に行けへん?」のお誘いがあり、二つ返事で行くことにした。
 場所は前から気になっていた十津川水系の某支流の某谷である。十津川水系ではイワナが生息しているらしい。まだ野生のイワナを釣ったことがないので是非お目にかかりたいものだ。

 渓流では、基本的にはKはお留守番である。渓流釣りでは危険な所もあるので、安全面で心配があるからだ。なんていうか、ちゃんと面倒を見きれないってのも本当のところだ。

 春の渓流釣りは行ったことがあるが、秋は初めてなので、餌を何にするか迷うところである。解禁当初はイクラが抜群だったし、GW前は川虫が特効薬であった。雨が降ればミミズで間違いないだろう。迷った末に、ブドウ虫と予備でミミズを購入。家に帰って冷蔵庫をのぞくとイクラがあった。ラッキー!「このイクラちょっともらっていい?」とKの許しを得て、少し持っていくことにする。

 朝4時半起床。遊びの時はどんなに早くてもパッと目が覚めるなあ。仕事の時はアカンのにね。吹田インターから近畿道に乗り、現地までの所要時間は2時間少々だった。
 奈良へ入る峠で鉄骨満載のトレーラーとどう見ても原木過積載のトラックの2台が邪魔で邪魔で。登りになったら時速20qを切ってる。高橋尚子に負けてるやん。これがなかったら、1時間半で着いたと思う。

 この日は曇りで絶好の釣り日和。標高が高いせいか吐く息が白く、既に寒い。季節の進み方は平地より1ヶ月くらい早そう。金木犀の香りでむせかえるようである。
 車を止めてから入渓ポイントまで林道を30分歩く。さっきまで肌寒かったのに、今は汗ばんでいる。安物のウェーダーは蒸れるぜ、ゴアテックス製のが欲しいなあ。

 最後の藪漕ぎをしてやっと河原に出た途端、ぱーっと視界が広がった。空を見ると流れる雲が早い。この辺りは河原も流れもまあまあ広く、ザラ瀬になっている。河原のあちこちに鹿の足跡が見える。

 竿をのばし、仕掛けを付ける。第1投はいつもドキドキするなあ。流れの中に岩があり水流に変化ができている。カヌーで言うエディーやね。絵に描いたようなポイントだ。まずはブドウ虫を針に付け、ポイントに向かって振り込んだ。第1投目からあたりがあったが針には乗らなかった。

「むむっ、こいつめ。」もう一度同じ所に振り込む。今度はしっかりあわせたが、釣れたのはチビアマゴ。可愛いすぎるので、もちろんリリース。同じ場所で2匹釣りあげた。
 この後も、この谷は数は釣れるのだがみな可愛いサイズだった。ときたま、お兄さんサイズが釣れたぐらいだ。

 ひろは基本的に釣った魚は食べる方針である。しかし、渓流ではすぐに釣りきられてしまい、魚がいなくなってしまうので、渓流釣りに限ってはKと食べる2匹だけキープして、後は全てリリースすることにしている。

 釣り人みんなが、釣った魚を全部キープするようなことはせずに最小限にして、後はリリースしたら、シーズン中もずっと面白いと思うんだけどな。
 それでも、針を飲み込んでしまったやつは仕方ないのでキープした。あわせがまだ未熟な証拠なんやなあ。これからも精進します。

 イクラでもやってみた。反応はいいんだが、餌持ちが悪い。2、3投でイクラを付け替えなければならない。いらちなので、結局、餌持ちの良いブドウ虫で通してしまった。ブドウ虫なら1、2匹釣ってもまだもつのだ。単に無精なだけという話もあるが。
 他の人はずーっとイクラで通したみたい。ミミズもしてみたけどイマイチ反応が良くなかったそうで、「今日はミミズはアカン。」それを聞いて、ひろは結局、1回も使わずじまいだった。

 釣り上がっていく先の方に3mくらいの堰堤が見えてきた。堰堤下のプールは入れ食いと言っても良いほど良く釣れた。どれも可愛いチビアマゴだったけど。
 堰堤を二つ越え、さらに遡行する。入渓ポイントでは河原も広く、開放感のある川だなと思っていたが、段々と渓流っぽい雰囲気になってきた。腰まで水に浸かって歩いたり、岩がゴロゴロしていて、竿を右手にへばりつきながらへつったり、こういうのもドキドキして楽しい。

 ひろの竿は3.3mの短竿なので、入渓ポイントのような開けた所では、釣りにくかったが、上流に行くにしたがって、ちょうど良くなってきた。他の人は反対に長竿なので下では良かったが、上流部では木の枝に引っかかったり、ライントラブルなどで、やや苦労したようだ。

 この谷は去年クマの目撃報告があった。しかし、この時期一番怖いのは実はクマではない。日本で野生生物による死亡例が一番多いのは、そうスズメバチである。
 秋は餌となる昆虫が少なくなり、攻撃的になっていて、巣に震動を与えると集団で襲ってくる。きゃー考えただけで怖い。

 スズメバチに刺されると、痛み、血圧低下、呼吸困難を来す。スズメバチの毒は哺乳類に対して効果的に効くように、何種類もの成分が混じっているそうだ。人呼んで毒のカクテル!
 しかーも怖いことに一度刺された事のある人が二回目に刺されるとアナフィラキシーショックと言われる重篤なアレルギー反応を起こし、死に至ると場合があるという。
 とにかくスズメバチに刺されたら、初めてか二回目かに関わらず、救急車を呼んだ方がいいということですね。
 こんな恐ろしいスズメバチに対する効果的な対処方法は実は無い。スズメバチの天敵はクマで(巣ごと食べちゃう)、黒くて動くものを攻撃することが遺伝子にインプットされているらしく、頭の周りを手で振り払うというのは最悪だそうだ。とすると頭や顔を白い布(タオルかな)で覆いながら姿勢を低く静かに立ち去るというのがベストではないがベターなようだ。
 茶髪はどうなんやろ?茶髪の方、是非試してみてください。報告待ってます。

 その後もみんなで交互に先頭に立ち、順調に釣り上がっていき、途中で休憩がてら昼食をとった。「数はあがるんやけど、型がイマイチやなあ。」「ほんまやなあ、なんとかならんか。」等ぼやきながらも、なんとか釣れているし、久しぶりの釣行なので、みんなの表情は緩んでいる。
「この川は気に入ったし、まあ来年の解禁には大きくなっているやろ、その時にまた来よう。」ということになった。

 入れてもらった食後のコーヒーが美味しかった。ごちそうさまでした。一服した後、さらに釣り上がっていく。
 背丈ほどもある大岩を巻くように流れているところがあった。流れが岩にあたっているところはオーバーハングになっている。ここには絶対いる!
 大岩をよじ登り、真上からそーっと餌を流す。ガツンという手応え、今までとは違う。こんな手応えを待っていたのだ。しかし、上がってきたのは16、7pだった。うーん、チビアマゴよりも大きいから良しとするか。
 結局、これがひろにとって、この日一番大きいサイズだった。
 この日のひろの釣果は、数は30匹ぐらい、大きさは16、7pが最高だった。

「今度は来年の解禁日に来たいな。」「そやな、そうしよう。」あーっ、来年が待ち遠しい!!