シャワークライミング初体験
渓流釣りをしていると、時として危ないので断念してしまうポイントがある。滝やゴルジュ等だ。
「ひょっとしてその先はパラダイスかも?!」と思いながらも「安全第一」と言い聞かせ、断念していた。ザイルワークも知らないし、ロッククライミングの知識もない。大体、アウトドア好きなくせに、山登りは嫌いなのだ。登ったら下りてこないといけないと言うのが性に合わない。行きっぱなしが好きなのだ。それでカヌーもツーリングばっかりなのだ。
これまで登ったことのあるのは高校の修学旅行の白馬と10年程前の白山ぐらいかな。
だが、釣り雑誌を見る内に源流を遡行して釣るスタイルに興味を持ちだした。沢登りやシャワークライミングというジャンルも立派にあるという。山を登らずに沢を登る!目からうろこがボタボタボタっと落ちた。モンベルがツアーをやっているらしい。しかも前から釣ってみたい川だったので下見も兼ねて申し込んだ。
この川は是非釣ってみたかったのだが、下調べをするとどの資料にもヒルが異常に多いとある。それでためらったこともあったのだが。さて結果はどうだろうか?
また、シャワークライミングを今後続けるかは、一度体験して、それから決めても遅くないと思ったのだ。Kはお留守番で一人での参加だ。道の駅に朝8時に集合。前の晩から出発し車中で仮眠を取ることにした。池原ダムへの途中なので、道はバッチリ。
3時に到着し仮眠を取り、8時前に受付を済ました。モンベル名古屋店の店長とアシスタント君の二人が今日のガイドだ。
シューズのサイズの確認をされたが、マイシューズ持参だったので、それを告げた。
「渓流シューズなんか、なんで持ってるんですか?」と聞かれ
「普段は渓流釣りをしているんですよ。」と言うと
「じゃあ、ばっちりですね。」と言われた。
「だといいんですけどね。」一人参加は私ともう一人だけで、後はグループでの参加である。内女子2名。ドイツ人1名。
各自の車で池原ダムに向かい、途中で道を外れる。台風が続いたのでかなり増水気味だ。雄大な滝を過ぎ、車止めまで進んだ。集合して装備の説明を受ける。初めてハーネスなる物を手に取るが装着の仕方が分からない。シットオンタイプの物で装着は意外な方法だった。
「そうだったのか!」初めてすることはちょっとしたことで妙に感動してしまうなぁ。ヘルメットもかぶって吊り橋から入渓。ここはまだ支流とのことで、少し下って左岸に本流と出会った。
出会いから本格的に遡行していく。ざっと見るだけでもポイントだらけだ。そこに無造作に踏入っていく。
「あぁーっ、せっかくのポイントが!」とかなりもったいない思いをしながら、それはもう、気持ち良いぐらい、ざっぶざぶと流れに入っていくのだ。普段、渓流釣りをしているときは、基本的には水には入らない。ポイントを荒らすことになるからだ。アマゴは非常に音や振動に敏感なので水面に影が映らないようにストーキングをして釣るほどなのだ。
あるところでルートが二つに分かれた。落ち込みのプールを泳いで渡るのとその横を歩くのと。
「好きな方をどうぞ。」と、ガイドはざぶんと飛び込んで渡ったが、ためらってしまう。だってムチャクチャ冷たいんやもん。
腰までなら水に浸かれるが、ヘソの上ぐらいからが辛い。手でチャポチャポと水を掛けたりなんかして、掛け湯ならぬ掛水である。その後覚悟を決めて飛び込んだ。
「冷てー!」流れに逆らって泳ぎ、落ち込み部分に取り付く。足がかりが少なく手間取っている内に身体が冷えてくる。こんな調子で次々と落ち込みをクリア。極力水に浸からずに進めるコース取りもあるが、各自で選んで進む。もちろん、私は全てガイドの次に水に突っ込んでいった。そのうち本当に身体が冷えてきて低体温症になるかもとちょっとびびってしまう。
ナメ滝の天然の滑り台があったが、身体の冷え切っている私はパス。短パン姿の人は見た目に分かるほど身体がぶるぶる震えていた。本日のメインイベントがやってきた。10M程の滝の横をクライミングするのだ。もちろん、ガイドが先行し、ハーネスにザイルで確保しながら登るのだ。ハーネスにザイルだなんて、初めてなのでワクワクする。
早速、岩に取り付きよじ登る。筋力はともかく身体が堅いと登りにくいことが身をもって分かり、愕然とした。帰ったら、ストレッチをせねば。
特に恐怖感を持つことなく登れた。確保されているという安心感からなのか。全員無事登攀終了。その後すぐに100Mの雄大なナメ滝がある。ナメ滝を登って少ししたところで昼めしタイム。各自で用意してきた昼食をとる。ガイド二人がラーメンを作ってくれた。身体が暖まって嬉しい。大阪では熱帯夜で寝苦しいというのにここでは熱いラーメンが嬉しいとは。
その後もそこそこの難所をクリアしてシャワークライミングとしてのゴールへ。大きな落ち込みの釜状のプールがゴールだ。
感想としては、とても面白かったけど、、ちょっとなあというところもあり。ハーネスをつけて、ザイルで確保してというのは非常に勉強になったし、面白かった。
だが、登るだけでは物足りないのだ。渓流釣りの絶好のポイントを見過ごしながら通るのは辛い、ヒジョーに辛いのだ。やはり私は根っからの釣り人なのかも。帰り道がきつかった。急峻な杣道を登ること約30分。下りを約30分。また、その道にヤマビルの多いこと多いこと。スパッツをはずすと何匹も取り付いていた。参加者全員が悲鳴を上げたのだった。
でも、機会があればまたシャワークライミングはしてみたい。
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