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第2巻 『宇宙・気象・地球論』

宇宙の構成からはじまり、諸惑星の運動、太陽、月、風、雷、地球、大陸、地震、島、 湖、海、火山等について、古代以来からの四元素による分類、すなわち火風地水の 分類に従って全体を構成し、当時の学問水準のまとめがなされている。
現在から見れば誤った認識も多いのですが、例えば、蝕による地球・月・太陽の大きさと その関係についての科学的推理や、惑星の運動の非常に詳しい観察、潮汐現象の正しい理解など、 相当高い水準の記述が見られる。
プリニウスは汎神論的立場にあったが、人間と同じ数だけ神が存在すると言い、 ご都合主義的な当時の風潮を皮肉ったりした。


地球の大きさ 「第2巻112章」

「地球の周囲の大きさは、エラトステネス(Eratosthenes 273-192)によって、252,000スタディア、 ローマの計算では31,500マイル、ヒッパルコス(Hipparchus 190-120)はエラトステネスの数値に対し、 26,000スタディアを加えている。」

「メロスの住人で幾何学者のディオニュソドロスがその生涯を終えた時、次のような事があったという。 『彼の相続者の婦人達が、葬儀を行っている時、墓の中に彼の署名が入った一通の手紙を発見した。 それには、彼が墓から地球の中心まで行き、42,000スタディアの距離だったと述べられていた。』」

>実際の大きさは?
当代で最も近い数値を算出したのはエラトステネス。
彼は、日時計を用いて、地中海近辺の2ヶ所間(シェネ−アレクサンドリア)の太陽の角度を 測定し、円周率、三角測量計算によって、地球の大きさは約44,500kmと算出した。
※この時代は、アリストテレスの天体論などにより、地球が球体というのは常識だった。

実際の地球の大きさは、約40,000km。
測定器具の不備を考えると極めて正確な結果と言えます。

『1スタディウム=177.6m(or184.4m?)※スタディアは複数系』

>備考
この時代、地球球体説が当たり前でも、4世紀頃〜14世紀頃までは教会により、TO図などが作成され、 地球は平面、果ては滝、対蹠人などの誤解が生まれるのは皮肉なものです。
※対蹠人とは、古代最大のキリスト教父アウグスティヌスが著書『神の国』にて提唱した幻想人。 「地球が球体であるならば、我々の反対に住んでいる人は何故、地面から落下せず、大地に足を つけられるのか? そんな事は信じられない」というような内容。

また、後にコロンブスは、エラトステネスでは無く、プトレマイオスの地図を基礎に、 インド迄の距離を計算したが、実距離に対し、約1/3で見積ってしまい、最後まで新大陸をインドと信じ続けた。


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