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絶対音感と吹奏楽


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良く聞きますね”絶対音感”。

絶対音感のある人は、演奏にすごく有利だと言われます。
実際ごく最近まで、音大に行こうと思うと絶対音感を持っていることが
当たり前の必須条件だったそうです。

確かに、絶対音感があると
有利な場面は多いように感じます。
ソロをコピーする時、楽譜を覚える時。


でも、絶対音感には落とし穴があります。

絶対音感のある人のほとんどは、小さい頃からピアノをやっていた人でしょう。
ある年齢になると、いつの間にか楽器の音がドレミファで聞こえるようになります。

でも、ピアノにはドレミファしかありません。
実際世の中の音は、ドとド♯の間の音とか、ピアノでは表現できない音の方が多いのに
絶対音感のある人ほど、そういう音をドとかド♯にあてはめたがります。

前回コラムで、ピアノとトロンボーンのドミソについて話しましたが
ピアノしか弾かない人は、半音より細かい音の違いに非常に鈍感です。
普段練習してるピアノなんて、毎日調律しませんからね。
音程が狂いに狂ったピアノで、何の抵抗もなく毎日練習するわけです。
「音痴」とまでは言いませんが、それに近いものがありますね。


話を戻します。
絶対音感があるだけでは、単純に演奏上有利とは言えません。
吹奏楽のように、毎回チューニングが必要だったり
隣で吹いてる人と音を合わせる必要のある場合には
絶対音感だけでは「ある程度(ひどく音痴でない程度)」までしか役に立ちません。

それよりも大事なことは、良い相対音感を持つことです。
相対音感とは、いわゆる「音感」と言うやつで
相対音感が良いとは、カラオケで上手に音程がとれるようなイメージです。
今歌ってる音がドだかソだかわからないけど、きれいに音がとれる状態ですね。


吹奏楽を初め、2人以上の人で集まって演奏する場合には
お互いの音を聞きあうことがもっとも重要です。
絶対音感は、それはそれですばらしい個人能力ですが
他人とのコミュニケーションの役には立ちません。
良い相対音感を身につけれられるよう、普段からお互いの音を聴き
又演奏以外にも、人としてお互いを理解できるようにすることが
良い演奏につながるのだと思います。