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強弱記号の読み方
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強弱記号の「f」と「p」。
学校では、「強く、大きく」「弱く、小さく」と習います。
これは演奏者なら誰でも知っていることです。
でも、「どの程度」大きくあるいは小さくすれば良いのか、よくわからないですよね。
わからない、というよりも気にしていないのかもしれません。
「強い、大きい」という概念は、2つ以上の何かを比較した時の発想です。
強弱というからには必ず何か基準があって、基準に対して「強い」「弱い」という具合に使います。
アマチュア演奏家の多くは、その基準を自分におきます。
ですから、例えば管楽器奏者なら「f=強く吹く(自分として90%くらいの頑張り具合)」
「p=弱く吹く(自分として20%くらいの頑張り具合)」といったような演奏になります。
でも、それでは音楽にはなりません。
なぜなら、自分のことしか考えていないからです。
本来、譜面上にある「f」というのは、
ここの部分はバンド全体として「大きく強い」サウンドで演奏しましょう、という意味で書かれています。
全体として作曲者の意図するサウンドを聞かせるために、自分はどのくらいの強さで演奏すべきか。
それを考えて演奏しましょうというのが、強弱記号の正しい読み方だと思います。
ですから、たとえばmpでsoloと書かれている場合。
それはけっしてあなたの中で50%の力で演奏しなさいという意味ではなく
バンド全体としてmpの音楽を聞かせられるように、という意味です。
場合によっては伴奏者が多くて、自分の最大音量くらいで演奏する必要もありうるわけです。
また、管楽器と打楽器、あるいは金管と木管の人数(音量)がアンバランスな時。
同じfであっても、多いほうのパートは少し小さめに、少ないほうは大きめに演奏することで
バンドとして作り上げる音のバランスをとらないといけません。
各人がただ短絡的に「f=大きく」と解釈して演奏すると、バランスの悪いサウンドになってしまいます。
そのように強弱記号を読んだ結果、
当然、要求される音量を自分が表現できない場合があります。
それは一つは練習が足りないということでもありえますし、
あるいは自分以外の周りが大きすぎる・小さすぎるということかもしれません。
音楽は、みんなで作りあげるものです。
音の強弱だけでなく、音程も音色もリズムもテンポも全て
自分だけの世界に閉じこもることなく
周りとコミュニケーションしながら演奏できると良いですね。