令和3年2月24日(水)1人1人が周りに与える影響力

第19回門下生コンサート開催まで、あと1ヶ月となりました。3月25日(木)天白文化小劇場12:30開場、13:00開演です。

昨年の丁度この時期頃から、コロナの事で、やれるのかな?と心配しながら行った18回目の門下生コンサートでしたが、何事もなく済み、又、
再び、この時期がやってまいりました。

1年間が飛ぶように過ぎ去りましたが、「今年もありますか?」「是非、聴きに伺いたいのですが」という皆様からのお声を頂き、とても嬉しく思っています。

勿論あります!コロナは、だいぶ収まったと思いますし、私も、生徒さん達も皆、元気一杯に過ごしています!皆もう、早くステージの上で、日常とは違う綺麗な衣装を着て、皆さんに聴いて頂きたい!とうずうずしているようです!

門下生コンサートで演奏して下さる生徒さん達の1人1人が、周りの生徒さん達に及ぼす影響力はすごいんだなあと、改めて感じています。

出来上がった、ブルーレイを見て、来年は、この曲を弾きたい!と選んでくる生徒さんが毎年必ずいますし、「○○さん、○○君が弾いたあの曲が弾きたい」。どの子も目を輝かせて話してくれます。

大きな生徒さん達は、これから、先輩として、後に続く人達にクラシック音楽を「伝える」という責任を担っています。それが、先輩としての務めでもあると思いますし、私も、いつもそのように思っています。私達のやっていることは、後の人達に「教える」というよりは、「伝えていく」といった方がふさわしいと私は、個人的に思い、生徒さん達を見させて頂いています。

小さい子達は、まだ将来の事が、はっきりとは、つかめていませんが、大きな生徒さん達を見ることで、「自分もあんな風になりたい!」と大きな夢を持ってくれます。又、大きな生徒さん達は、小さい子達のを聴くと、自分もあんな時代があったのかな・・・と懐かしく想い出が蘇ってくるようです。
又、プロを目指す方達ばかりでなくても、趣味の方達が本当にピアノが好き!と心から思っている方達が、演奏して下さることで、歳を重ねていくごとに、あんな風にピアノが楽しめると、人生が、より味わい深く豊かになれるなあと感じて下さる方も多いです。

終演後の新入生インタビューや、合格インタビュー、卒業生インタビューも楽しみにしていて下さい!


令和3年2月22日(月)人の人生を変えてしまう音楽の偉大な力

←ウィーン国立歌劇場でのバレエのプログラム。この日の演目は、私の大好きな「マノン」でした。

プログラムの中には、ダンサー達の練習稽古の様子が掲載されています。

(1996年1月23日(火)ウィーン国立歌劇場のプログラムから)





































1996年1月23日 ウィーン留学時代、24歳当時の私の日記から

素晴らしいバレエだった。
マスネ作曲の「マノン」のバレエ。勿論、マラーホフが躍ったけど、ルーマニア人のノーヤという女の人がマノン役、雰囲気がすごく良かった。

マラーホフが躍ると、足音が全くしない。

マスネの音楽がとりわけ綺麗で、とっても良かった。

※私がウィーンに住んでいた頃、一番熱を上げていたのは、バレエです。それまで、日本にいた時には、お稽古事として習っている
「バレエの発表会」のようなものしか、実際に見る機会がなく、マラーホフの踊りを見たときには、その魂のこもった演技に圧倒され、度肝を抜かれました。

「マノン」のバレエは、音楽と振り付けが、この世のものとは思えないほど、美しいです。見所は、デ・グリューと女性(主役のマノン)が、2人だけで、踊るところです。マラーホフが、マノンに腕を絡ませるところ、手の動きが、しなやかで、柔らかくて、夢のようでした。
その部分の音楽の何と美しいこと、ロマンチックなバレエです。

バレエは、ピアノ演奏と同じく、言葉は、しゃべってはいませんが、マラーホフが躍ると、何を言っているかがわかるんです。
何も話していないのに、そして、ストーリーもあまり深く知らない演目だったのに、初めて見た私の耳に、セリフが聞こえて、マラーホフの身体、表情、魂の底から音楽と共に全てが物語っていました。

言葉がないけど、マラーホフの踊りを通して、音楽が全部、そのストーリーを物語っている・・これは、すごい事だなと。又、いくら、マラーホフの演技が素晴らしくても、マスネの音楽の美しさがなければ、魅力も薄れるけれど、音楽の力は、それ以上にすごいなと。人の人生を変えてしまう音楽の力は、本当に偉大だなと、心から思いました。


令和3年2月20日(土)バッハコンクール金賞受賞の生徒さん

←先日のバッハコンクールで、金賞を受賞された、小学5年生の梨本真理恵さん。

上にト音記号がついて、立派なトロフィーですね!

トロフィーの下の方に、インヴェンション11番の音符が刻まれていますが、
今年で、第11回なので、11番のメロディーが書かれているんだそうです。

おめでとうございます!

これからも、頑張って下さいね!















令和3年2月19日(金)梅干のバレンタイン!

←「先生、バレンタインです」。と生徒さんから頂きました。

中を開けてみると・・・・

何と、私の大好物の「梅干」でした!

「先生が梅が好きって聞いたから・・・」

すごく美味しかったです!




皆さん、色々と私の事を気遣って下さり、有難うございます。
今は、バレンタイン用でもチョコレートだけでなく、色々と選べるようになっているんですね。びっくりしました。
梅干は、私の好物で毎日欠かさず食べるから、ウィーンに住んでいた時にも、いつも日本から母が、送ってくれていました。
しかし、なぜか、ウィーンの私の家に到着した時には、必ず、梅干しの中袋のビニールをハサミで切られて、中身を確認されているという、何とも不思議な、怖いような・・・・。

税関でひっかかって、何か、その中に、薬か、変なものが隠されているのじゃないかって調べられたのかしら?お漬物類や、はまぐり、しぐれなどの佃煮も必ず、中身のビニールをハサミで切られて破って中身を確認されていた、あれは、一体何だったんだろう?今でも不思議に思っています。

ウィーンでイスラエルの友人や、韓国の友人にも、私がお料理してあげたときに、「これ、日本の食べ物で梅っていうんだけど、すごく美味しいから、食べてみて!」と誘うと、「ええ~!?何これ~。ぐにゃぐにゃして気持ち悪い~。」一口食べてみて、「いや、もういい、食べたくない」って言われてしまいました・・・。

特に、韓国人の子なんて、日本と近い国だから、美味しいと言ってくれるかなと思ったけど、やはり、日本人の味覚と随分違うんだなと思いました。

私は、梅干し大好きです!


令和3年2月18日(木)第11回日本バッハコンクール全国大会金賞受賞の生徒さん

昨日、日本バッハコンクール全国大会の表彰式がありました。

小学5年生の梨本真理恵さんが、小学5,6年のC部門で金賞を受賞されました!普段から、コンクールの曲以外の曲も毎回新しい曲を沢山譜読みして、とても真面目に努力されている生徒さんで、結果は、その通りの結果になられたと思います。本当におめでとうございます!

今年は、コロナの関係で、表彰式は、You Tubeで行う事を聞いていましたので、夕食の時に、スマホ片手に、ドキドキして見ていました。

「あっ、真理恵ちゃん、金賞だよ!良かったね!」と家族全員で喜びました。

場所は、懐かしのPTNAの本部のある、東音ホールからです。この場所は、私が、幼稚園や、小学生、中学生の時、公開レッスンや、ソルフェージュ、アメリカ演奏旅行の打ち合わせなどで、創立者の福田靖子先生を囲み、ピアノの先生方と、唯一、ピアノの先生ではない、私の母と、足しげく通った場所でもあります。

ピアノの先生方ばかりの中に小さな子供の私1人が一日中物も言わず、じ~っとしているので、「めぐみちゃん、大丈夫?そんなに大人しくて、幼稚園でもそうなの?」と。どこへ行くにも、まず、その質問をされました。私は、逆に大騒ぎする子供の方がわからず、大人と同じ気分で、周りの大人の話を一生懸命聞いていました。

PTNAの審査をさせて頂くようになってからも、東音ホールで、審査を何度かさせていただくたびに、5,6歳の頃の幼い頃の想い出が懐かしく蘇ります。

昨日の、表彰は、ページがめくられていき、賞ごとに、1人1人のお名前がアップされていきます。

賞を頂いた方達は、それは、従来通り、ステージの上で、トロフィーや、賞状を頂けると嬉しいと思いますが、遠隔地からきていらっしゃる生徒さん達にとっては、家で、ゆっくりと見れて、いいなあと思いました。

コロナが終わっても、もしかすると、これからは、こういった表彰式もありになっていくのでは、と思います。

ご興味のある方は、是非、バッハコンクールの結果発表のYou Tubeをご覧になってみてください。


令和3年2月17日(水)18歳当時の私の日記から・・・桐朋時代、室内楽の試験で、椅子下がり事件

←イギリス、シェイクスピアの生まれた家がある、ストラトフォード=アポン=エイボン。

小さな田舎町で、2階建ての赤いバスが走っています。

(2013年9月20日撮影)









桐朋学園の高校時代、18歳当時の私の日記から・・・・

1990年3月6日

室内楽の試験は、最初からハプニングで、大変だった。
私が、ピアノの前に行って、弾く前に椅子を上に上げて、さあ、座りましょ、といって座ったら、「ズドドドドッ!!」と一番下まで下がってしまって、試験官の先生方は、ドッと笑うし、終われば終わったで、モシュコフスキー、本当は、「8分以内なのに貴女達、9分35秒かかったよ」と林秀光先生から、ご注意を受けて、メンバーそろって、ショックを受けていた。
が、飯沼先生も末吉先生も楽しく聴けたと言われて良かった。時間の事も大丈夫だよ、と言われてホッとした。


※桐朋の高校時代から、室内楽は、ヴァイオリンの仲間とトリオを組んで練習していました。
高校3年生の時に、試験官の先生方が勢ぞろいされていらっしゃる前で、
私の椅子が、座ったとたん、下までダーッと下がってしまい、それまで、シ~ンと静まり返っていた、試験の空気が、一斉に和んで
「ワハハハハ~!」という先生方の笑いの渦に・・・・。もう恥ずかしくて、真っ赤になってしまいました・・・・。
今でも、この「椅子下がり事件」を想い出すと、自分でも可笑しくて、本当に笑えます!

現在、私が、学生達の試験を聴いていますが、私みたいに、座ったとたん、椅子が下がった子なんて見たことないなあ・・・・(笑)
すごく恥ずかしい想い出だけど、試験のあの緊張して凍り付いたような空気が一気に和んだから、まあ、あれはあれで良し!と思っています。


令和3年2月16日(火) ウィーン留学時代の私の日記から・・・25歳当時 パヴァロッティのオペラを聴いて

←ウィーン国立歌劇場でのルチアーノ・パヴァロッティのプログラム。

オペラの演目は、「アンドレア・シェニエ」です。

(1996年11月5日(火)ウィーン国立歌劇場で)








←その時のプログラムと、私の日記の中身。

チケットとか、オペラの整理券とか、何でもかんでも、日記に貼り付けていきます。


この時、立見席で20シリング(200円)です。日本では考えられない安さですね。










1996年11月5日(火)25歳当時のウィーン留学時代の私の日記から・・・

朝5時半にアンナ(友人の名前)のママが、パヴァロッティのオペラの整理券をもらいに行ってくれたので、私は、午後3時頃から、シュターツオーパー(国立歌劇場)のシュテイプラッツ(立見席)の並び場所に並び、ガレリーを取って、夜10:30頃までずっと出かけていた。
パヴァロッティは、ものすごく声量がある人だった。ピアノでもそうだけど、スケール大きく歌えるといいなと思った。


※パヴァロッティは、もう亡くなられましたが、現実に生で聴いたときは、ウィーンの国立歌劇場の中でどんな遠いところから聴いても、オーケストラをかき消すくらいの声量と表現力の大きさで、心を鷲掴みにされたような感覚でした。

ピアノの演奏も、初めの第1音で決まると思います。ものすごい吸引力。そんな演奏をするには、どうすればよいか、毎日、工夫に工夫を凝らして
考えていた学生時代でした。


令和3年2月14日(日)一生のうちに、出逢うべき人には、必ず出逢えている

生徒さん達から、バレンタインを頂きました。美味しく頂いています!

皆さんからの大きな愛に包まれて、幸せです。有難うございます。























幹事さん達が、門下生コンサートの当日のプログラムの原稿や、アナウンス用の原稿を作成して下さっています。

小学生の生徒さん達は、2年生から6年生までいます。入って間もない生徒さんや、3年以上通われている生徒さん達、とてもハキハキと
しっかりお返事の出来る子達がそろっています。

中学生の生徒さん達は、1年生から、3年生まで、一番大変な時期を過ごしている年代かと思いますが、それでも、お勉強とピアノの両立に頑張っている賑やかな年齢です。

高校生は、1年生から3年生まで、恐らく、人生の中で一番燃えに燃えている年代です。明和高校の3年間一緒に過ごした生徒さん達が、今年は、7名もいます。

大学生は、ついこの間、入試を終えたと思える子達が、もう卒業の年になっていたり、社会人になっていく生徒さん達もいて、「光陰矢の如し」です。いずれにしても、新しい生徒さん達と歴史の長い生徒さん達が混在しているところが、とても興味深い点です。
先輩達の後姿を後輩達は見て育ちますから、相互にとてもいい影響を与え合っているのが、私の教室の特色だと思います。

又、学生さん達だけでなく、一般の趣味の方や、ピアノの先生方も弾いて下さいます。私がウィーンから帰ってすぐに、巡り合えたピアノの先生方は、もう通われて、20年以上にもなられます。「先生、私、90歳まで先生の所に通いますから」って言って下さるので、「えっ?私、そんなに長生きできるかなあ?」と笑ったような事でした。
門下生コンサートの初回からずっと素敵なアナウンスもして下さっています。長いので、私の生徒達の事を全部把握して下さっていて、いつも門下生の子達を応援して下さる頼もしい先生方です。
私のウィーンから帰ったばかりのリサイタルからいつも聴きに来て下さっている大人の方も通われて10年以上になりますし、その方は、私の教室に入るのに、5,6年待って下さり、現在に至っています。
習い始めたばかりの方もいらっしゃいます。「先生、大人になっても、出来ることってあるんですね。もう、ピアノが楽しくてたまらない!」と夢中になって下さっている生徒さん
もいらっしゃいます。

昨日、中学3年生の生徒さんに、「あと5年たつと20歳だね」と話しました。
一番長くてなかなか、時間が先に進まないように感じるのが、小学生までです。一番手がかかり、親御さんたちも、大変な時期だと思います。
しかし、この時期が一番大切かと思います。この時期にいい先生に巡り合えたかどうかで、将来が決まると言ってもいいでしょう。

そのあと、中・高生になると、自分で出来ることが増えてくるから、どんどん時間がなくなり、大学の4年間は、更に吹き飛ぶように過ぎていきます。
20代も早いけど、30代はもっと早いですし、40代は、更に猛スピードです。50代に入り、あっという間に還暦を迎えて、70代、80代となっていくのだと思います。その年代まで、無事に命があれば、の話ですが(笑)

1人1人の生徒さん達の存在は、私にとって、自分の命の全てを賭けてきた生徒さん達ばかりです。これが、いとも簡単に、やすやすと、仕上がったものには、人間は、愛情を持ちませんが、ものすごく心を砕いたからこそ、どの生徒さん達にも強い愛情を感じています。

何かを成し遂げる時に、一番必要なのは、「忍耐」すること。何をするにも、忍耐強い人は、素晴らしいですね。人を育てていく時に、何よりも大切な事だと思っています。

善い人と歩けば、祭り、悪い人と歩けば、修行。生きていれば、色んな人に巡り合います。いくつになっても、どんな小さい子供達からでも、学ぶことは、山のようにあり、その誰もが、私にとっての全ての師匠だと思っています。

可愛い生徒さん達をこの世に産んで下さった、全てのご両親様には、ピアノを通して皆さんとのご縁があったこと、心から、感謝しています。


令和3年2月13日(土)昨日に引き続き、バレンタイン!

可愛い生徒さん達からのバレンタイン!

美味しく頂いています!

門下生コンサートも近づいて、皆さん、上手に弾けるようになってきました。

皆さんの演奏をとても楽しみにしています!
































令和3年2月12日(金)バレンタイン

←今日は、明和高校のレッスンでした。

生徒さん達から、「先生、バレンタインデーです!」と美味しいチョコレートを頂きました。

この世で、一番大切なものは何か、と聞かれれば、迷わず私は、「愛」だと答えます。

愛によって人は成長するし、愛なしで、生きられる人なんてこの世に誰もいないでしょう。

その人が、その人らしくあることを願うこと、相手と自分とは考え方が違う事を喜ぶこと、
その人の全てを受け入れるのが、愛だと思っています。全ての美しい音楽は、その人の愛から生まれています。愛イコール音楽ですね。
生徒さん達の事が本当に大好きです!皆、我が子のように可愛いです。

来月の3月25日(木)天白文化小劇場で開催される門下生コンサートも近づいてきましたので、当日の集合時間や、コロナウイルス対策の紙を今年は、2枚、今日の生徒さん達からお渡ししています。
幹事さん達も一生懸命門下生コンサートへ向けて準備を進めて下さっています。

皆さん、いつもご支援下さり、有難うございます。

(天白文化小劇場のホームページの催し物案内にも掲載されています)。









令和3年2月11日(木・祝)ピアノは、体力

←桐朋学園大学2年生の時の私。ダブリン国際コンクールを受けに行った際のステイ先のお宅で。

母が、書道で書いた、「愛」という字と「今日を充実しないものに明日の希望なし」と書いてくれた色紙をお土産に持って行ったら、暖炉の上に飾ってすごく喜んで下さいました。


ステイ先のご夫婦がすごく親切な優しい方で、「今度、メグミがダブリンに来た時は、又、朝食を作って、ドライブに連れて行ってあげる」と飛行場で別れる時に言われた言葉が、
哀しくて、涙が込み上げた私にとっての青春です。ヨーロッパでは、旦那様が、朝食を作って下さるのです。

(上下共に1991年4月17日~5月2日、アイルランド、ダブリンで)


←ダブリン国際コンクールの本番で、聴衆の方が、私の演奏姿を絵に書いて、プレゼントして下さいました。



















←ダブリン国際コンクール二次の本番のプログラム。
16:54 Megumi Iwanoと掲載されているところの時間帯で私は演奏。

審査の先生方は、朝9:30~夜の11:00頃まで参加者達のソロリサイタルを聴きます。日本のコンクールでは、考えられない、凄まじさ。
それが、国際コンクールというものです。

世界各国から書類審査で、選ばれた方達ばかりの演奏だから、勿論、一人一人が素晴らしいピアニストばかりで、退屈はしませんが、とにかく、座っているだけでも大変な世界です。















昨日は、名音大の試験が1日ありました。
演奏家コースの学生さん達は特に、4年間の間にこなさなければならない曲の数が多くて、皆さんすごく力がつくと思います。
聴きながら、私も大学2年生の頃、ダブリン国際コンクールを受けたときのことを思い出して、学生の皆さんの熱演を感慨深く聴かせてもらいました。

国際コンクールなら、1次が30分、2次が40分~50分、3次が60分、そして、コンチェルト、

ウィーンの国立音大の修士の試験も4時間分のリサイタルプログラムとコンチェルトが2曲だから、それくらいの曲数を大学生の間にこなす感覚ですね。

参加する方も大変ですが、審査の先生もそれは、想像を絶する大変さです。
ダブリン国際コンクールに連れて行って下さった私の恩師が、「朝9時半から、夜11時頃まで、毎日リサイタルプログラムを聴くんだぜ。
ファニー・ウォーターマン(その時の審査員)なんか、すごい体力だよ。ボクでもこんなに疲れるのに、恐ろしい体力の持ち主だ」。とおっしゃっていました。

あちこちの国際コンクールの審査員でもいらした、ファニー・ウォーターマン先生は、つい最近、亡くなられたと聞きました。

ダブリン国際コンクールの結果発表は、夜中の12時を過ぎてからという感じで、ピアノは、一に体力、二に体力、三に体力といった感じでした。

他の事は全て捨てて、ピアノに燃えに燃えた、大学生の頃でしたが、今も、まだ、大学生のようにピアノに青春を感じています。

青春というのは、年齢でなくて、心の情熱が持続し続けていれば、一生青春だと思います。

昨日の大学生の皆さんのピアノを聴いていると、自分の若い頃が懐かしく蘇り、
益々ピアノを弾きたくなった一日でした。


令和3年2月9日(火)桐朋学園大学4年生当時の私の日記から・・・(故)江藤俊哉先生のヴァイオリンのレッスン

←イギリスのリバプールにある、マシュー・ストリート。

デビュー前のビートルズが出演していた、キャバーン・クラブで有名な、小さな狭い通りです。

(上下共に、2013年9月19日撮影)。









←リヴァプール大聖堂。高さ101メートルの塔を持ち、9700本以上のパイプを持つ
パイプ・オルガン、最重量のベルなど、英国国教会の聖堂としては、ヨーロッパ最大規模の聖堂だそうです。











1993年9月15日 桐朋学園大学4年当時の私の日記から・・・

「今日は、先生のご子息のヴァイオリンの伴奏のレッスンに付き合い、初めて江藤俊哉先生のレッスンへお伺いした。
午後1時半ピッタリに始まり、20分くらいのレッスンで終わった。
45分レッスンということだけれど、ブザーが鳴ったと同時に2階に上がり、ムダ話一切なし。もうびっくりしてしまった。
サラ・サーテの「序奏とタランテラ」コンクールの課題はとても上手になったと言われた」。

※(故)江藤俊哉先生と言えば、ヴァイオリニストの千住真理子さんや、私と桐朋学園の高校時代からの同級生、諏訪内晶子さんなど、世界に
羽ばたくヴァイオリニストを沢山育てていらっしゃる偉大な先生です。

江藤先生のお宅には、飛行機に乗って通っている遠隔地からの生徒さんもいらっしゃいます。レッスン時間は、45分と決まっています。
前の人がレッスンをしている間は、その部屋には、入れず、1階の玄関で、待っていると、「ピンポン!」と呼び鈴が鳴り、次のレッスン生が、
2階に上がっていきます。

私達の場合も、「こんにちは、よろしくお願いします」と話しただけで、すぐいきなり、レッスンが始まりました。

活躍されている世界的なヴァイオリニストの多くの方々が、ここのレッスン室から、巣立ったんだと思って、ドキドキしました。

江藤先生は、社長か校長先生が座るような椅子に、随分遠く離れたところに腰掛けていらっしゃり、ヴァイオリンの子に、「その指、違うよ」と、遠くから一言ポツンと話されるだけで、近くへ来て手取り足取り、こうやって弾くんだよと、弾いて下さったりは、していませんでした。

私のピアノの伴奏は、何のご注意もなく、ヴァイオリンの子にも、2、3か所ちょこっと何か喋っただけでした。

諏訪内さんが、中学生の時に、江藤先生が、「いつもは、ボクのチケットを買ってもらうけど、今日は、貴女のチケットを買いましょう」と言って下さったというのを聞いたことがあります。それほど、すごかったのだと思いますが、彼女が、チャイコフスキー国際コンクールを受ける前に、
「一つのミスも許されないよ」と言われたと聞きました。

チャイコフスキー国際コンクールで1位入賞されたときは、それこそ、桐朋の私達同級生も大騒ぎとなりましたが、千住真理子さんの本を見たりすると、江藤先生の音というのは、すごくて、どうして、あんな音が出るのか、と随分研究した、と書いてありました。


令和3年2月5日(金)レッスンノートは、めぐみ先生と私の本

ここ最近は、学生さん達の実技試験を聴いています。
先日は、明和高校2年生のベートーヴェンのソナタを電気文化会館、今日は、1年生の子達の、バッハ平均律とショパンのエチュードでした。
今年は、バッハとショパンを別々のお部屋で聴くということで、くじ引きをしたら、私は、バッハの方に当たりました。

つい先日、小学3年生の生徒さんが、「今日で、このレッスンノートは、1冊目が終わります。レッスンノートは、めぐみ先生と私の本です。
めぐみ先生のレッスンは、いつもとても楽しみで、終わると、やる気や元気がわいてきます。
レッスンが終わると、何度もレッスンノートを繰り返して読みます。
結局、大事な事は、あきらめないことかなあと思いました。
めぐみ先生、いつもありがとうございます」。といった内容で、締めくくられていました。

私は、その子の記念に、ノートの一番最後に手を持って行って、手形を取って書いてあげました。今、ウィーンでコレペティのお仕事をしている子も、
6歳の頃から、明和高校3年生までの12年間の長きに渡り、私とのレッスンノートを書き続けて、もう20冊以上になると言っていたことを想い出しました。
人間、今日というこの日は、もう2度と通らない道だから、生徒さん達の一瞬一瞬を大事にしてあげたいと思います。

10周年記念の門下生コンサートの折に、生徒さん達から、頂いたお言葉の全てに、レッスンノートに書くと先生が必ず言葉を書いて下さり、それを見ると、いつも勇気や、
やる気がわいてきます、と、どの生徒さんの言葉にもあって、ああ、やはり、ピアノレッスンと共に、子供達が嬉しいのは、この部分なんだなと強く感じました。

「相手からの感想がないとつまらないものよ、何でも、人からして頂いた事に対して、色々な感想をすぐ交えて迅速に応えてあげるように、お返事って、すごく大切なのよ」。といつも私の母は常々話しており、私も、相手に対して、その部分を一番心がけています。

相手との関係を幸せに楽しく過ごせるかどうかは、全て私自身にかかっているといつも思っています。楽しくなると心に歓喜と感動がわいてくる、そうするとピアノレッスンに行くのが楽しくなる、今日は、一体先生が何を自分に語りかけてくれるんだろうって子供達は皆、思うから、結果的にピアノも上達していくのです。

子供が話しかけてきたり、あるいは、何も話さない子に対しては、返事がなくても構わないと思って、色々と声掛けをして、レッスンノートにも色々な感想を書くようにしています。これは、子供だけではありません。大学生、大人の方でも皆、同じように、人からの感想が嬉しいものだし、大人になっても、周りから、ちゃんと見守られているということがわかるように、態度と言動、行動で示すことが、大事だと思っています。

皆、私からのレッスンノートをすごく楽しみにしているようで、レッスンが終わると、どの生徒さんも真っ先に、それを読んでいるところが、可愛いです。

「先生は、私の事、僕の事、どう思っているのかな?どう感じているのかな?」

どの生徒さんも本当に可愛いです。


令和3年2月1日(月)音楽に聴けば、全て答えが返ってくる

←昨日は、勝川のサカエ楽器で、YJPCのコンクールの
審査でした。

控室も、この通り、ビニールシートで区切られていました。










サカエ楽器さんは、今から9年前の2012年に、課題曲コンサートをさせて頂いてお世話になったのですが、お客様が満席で、それこそ、今では考えられない、密密、熱気ムンムンの中、演奏させて頂いた懐かしい場所です。

その当時は、マスクもせずに、沢山の方が熱心に聴いて下さったことを想い出し、幻のような出来事のように感じました。今のマスク生活も、いずれ、何年か後には、
あれは、一体何だったんだろうか、又、幻のような出来事だったと思える時代が来るでしょう。この世の出来事は、全部、夢、幻。消えてはなくなり、全ては、移り変わり、
何もかも儚いものですが、でもその想い出だけは、しっかりと、私の心の中に降り積もって蓄積されていきます。

審査させて頂いた、会場も、そこらじゅうにビニールシートで、区切られて、しっかりとした感染症対策がとられていました。

参加者の方々の演奏を聴いて、勇気と希望を沢山頂きました。皆さん、有難うございます。(サカエ楽器のホームページに私の講評が掲載されています。
ご興味のある方は、ご覧下さい)。

ピアノの音は、下に押さえつけすぎると、そこで、音が止まってしまいます。空間に浮かんだ音の中身を
よく聴いて、多彩な音色の変化を表現しましょう。

あせるな、おこるな、いばるな、くさるな、まけるな、ピアノの上達に近道は、ありません。

物事を達成するのには、どんな道でも時間がかかります。焦る人は、何事も達成できません。
達成するまでに、なかなか出来ないといって、腹を立ててすぐ怒る人も、達成できません。
何がしかの良い結果が出れば、それは、周りの方達が一生懸命自分に手を尽くして下さったからです。
自分の力だけでは、何事も達成できません。
嫌な事があったりしたとき、やけくそになって、今まで頑張ってきた全てを放り出してしまう人も、何事も達成できません。
他人には、全部負けてもいいけれど、自分の弱い心には、どんなことがあっても負けない意志を貫ける人は、何か必ず達成できる人です。克己心のある人の事です。

上手くなれるコツは、工夫に工夫を重ねて、ただひたすら、地道にコツコツコツコツやることです。

一筋というのはいいものです。本当の事が見えてくるからです。

私は、本当の事が見えてくるまで続けたいと思う一心で、ピアノに身を全て捧げようとほんの幼い頃、覚悟を決めて、ここまで続けてきました。

どこまでいっても、終わりは見えませんが、50年近く、ただひたすら、ピアノに身を捧げた結果、本当の
事が見えてくるようになりました。
数学と違って、答えが出ないのが音楽というのが、一般的な考えだと思いますが、私にとっての音楽は、数学と同じように、答えが出るものなんです。ただし、その答えは、言葉では、説明できませんが。空気や、風、酸素、生きていくうえで、一番、大切なものは、全て目で見ることは出来ません。
命を慈しむ心を含めて、確実にそれがないと生きていけないという大切な部分は、心で感じ取るしかないからです。

そのあたりは、理屈でなく、美的感覚で受け止められる部分なのですが、初めの1音を聴くと、すぐ、この人の身体のどこに力が入っていて、
頭の中で何を考えていて、今の音は耳で聴いてから出した音でなく、指が先に、何の準備もなく勝手に出た音、そして、なぜ、この人の指が動いていないかというのも、
音を聴くとその人の頭の中の回線や、人間性も、感じ取ることが出来ます。全て、音が教えてくれるのです。

まぐろの漁師さんが、50年近くまぐろを追いかけているうちに、結局まぐろは人間とちっとも変わらないということがわかった、そして、まぐろが自分の人生の師匠となったと本で読んだ時に、ピアノの道もそれと同じだなと思いました。

わからないときは、ピアノに、それ以上に、音楽に尋ねれば、答えは皆、返ってきます。

そういう点で、1+1は2、と答えが、はっきり出てくるものが私にとっての音楽です。いいものはいいし、悪いものは悪い。

ただひたすら、1つの道を貫き通しているからこそ、見えてきた景色です。一生懸命ピアノを練習しているお若いピアノ学習者の皆さんも、その景色が見えるようになるまで、続けましょう。

そうすれば、必ず、本当の事が、見えてきます。