平成28年9月29日(木)音楽の緊張感と弛緩

ドイツ語で、音楽の緊張のことを、Spannung(シュパヌンク)といいます。反対に、緩む事をEntspannung(エントシュパヌンク)といいます。

私がウィーンの音大生だったとき、先生から、曲の中に、この2つがどこにあるのか、注意を受けました。又、頂点、クライマックスのことを
Hoehepunkt(ヘーエプンクト)といいますが、これも音楽の中でどこにあるのか、たびたび尋ねられたものです。

今、生徒達を指導する立場になり、昔、先生から言われた、同じことを注意している自分がいます。

音楽を聴いていて、ずっと手に汗握るような緊張づくめの演奏は、聴いていて、疲れますし、ゆとりがありません。反対に、ずっと眠るためのBGMのようなダラダラした緩みっぱなしの演奏も退屈です。

私が、ベートーヴェンのソナタ30番を練習していた時です。先生は、全て、分析して私に解説しなさい、とおっしゃられました。この曲は、後期のソナタで私が一番愛している曲なんですが、修士のリサイタル試験でも、帰国記念のリサイタルでも取り上げました。生徒が、レッスンで持ってくると、より深く理解することが出来ます。

正に、教えることは、こちらが習う事につながります。20年前に先生から言われて理解しにくい事が、生徒を教えてみると改めて、わかることが沢山出てきます。
そのたびに、生徒さん達に、有難うの感謝の気持ちで一杯です。


平成28年9月25日(日)生徒達の活躍、嬉しい

今日は、名古屋に一時帰省中の現在、東京藝大2年の生徒が、レッスンに来て、色々と弾いて聴かせてくれました。又、一段と成長した彼女のピアノ演奏に大きな喜びを感じます。

シューマンの森の情景、リストのリゴレット・パラフレーズ、ショパンのバルカローレ、ベルクのソナタ、リストのノルマの回想、チャイコフスキーのドゥムカ、バッハの半音階幻想曲とフーガ、シューマン=リストの献呈、メトネルのおとぎ話、などなど、まあ、それはそれは、すごいレパートリーを掛け持ちして練習している様子です。

それだけ、早いからこそ、演奏の機会も沢山頂いて、又、それを同時進行で、こなせているところがすごい。来年の5月に名古屋でリサイタルもさせて頂けるとの事で、又、その曲も考えなくてはいけないし、と嬉しそうに話していました。

6歳から、見てきた彼女が、もう、来年は、藝大3年生?えっ?という感じです。小さい時から、強烈な、読譜力と暗譜力の持ち主でしたが、今は、それに、プラス女性らしさが加わって、何か、すごくいい感じ!私が、ちょっとチャチャを入れて、「何か、いいことあった?彼氏が出来たとか・・・・」(笑)
と聞くと、「い〜え、なんにもありません!(笑)」と明るく笑う彼女。

「しじみ煮とか、煮物とかオバちゃん料理つくってます!」と彼女。女子力アップさせるのでなく、主婦力アップした、とのことで、これには、思わず、笑ってしまいましたが、いえいえ、そんなことはありません!ピアノ演奏も更に素晴らしいけれど、女子力、十分アップしてます!

生徒達が、帰省した時に、こうやってレッスンに来て、色々なお話しをしてくれるのがとても嬉しいです。やはり、私にとっては、小さい時から、大切に育てた子達が、どんな風に、なっていくのか見ていくのは、すごく楽しいですから。

門下生コンサートも、みんな帰って来て弾いてくれます。皆さん、楽しみにしていてください!


平成28年9月23日(金)相手を喜ばせる

「先生は、演奏しているとき、練習の時、何を考えて弾いていますか?」生徒さんからの質問がありました。

「そうね、やはり、演奏すること自体がコミュニケーションだから、相手のために、伝えること、喜んで頂く事を大切に考えて練習しているかなあ」。と答えました。

「コミュニケーションをとる時、相手を喜ばせる事を一番に考えるよね。それと同じ感じ」。

人間は、生きていくだけでも、大変だと思うし、辛い事や、悲しい事も多いから、相手も同じように辛いんだと思って、慈しむ心を持って、相手が笑顔になれるような言葉を話すように、私自身は心がけています。レッスンの時も、生徒達が私とのレッスンを楽しんでくれて、ニコニコしているところを見るのが私は大好きなのです!
演奏も練習も、相手のために、と思ってやると、励むことが出来ます。

私達「音楽家」という職業は、「サービス業」という職種です。まず、相手が喜ぶためには、何をすればいいのか?そして、能力を分かち合う、ということもとても大切にしています。自分が身につけて、こうすればうまくいきましたよ、とか、相手が、得になることを一杯一杯教えてあげたい。そして、それをたっぷり持って帰ってもらいたいです。

おにぎりも一人で食べるより、2人、3人と沢山の人と分け合って食べたり、楽しい事も、沢山の人と一緒に分かち合うと喜びが倍増します。

「伝える」「分かち合う」「相手を喜ばせる」その3つが、音楽家に必要な精神だと思います。


平成28年9月22日(木)バッハ

バッハを弾く時に、どういう事に気をつければいいか生徒さんからの質問です。

バッハで、よく問題になるのは、アーティキュレーション、トリルの入れ方、テーマや、対旋律など、各声部をどのように響かすかといった色々な問題があると思います。
又、ペダルは、ロマン派とは違う使い方ですが、勿論、使ってもいいですし、ルバートだって、ロマン派のそれとは違いますが、ルバートもあります。

私が、学生時代やっていた方法は、あらゆる校訂版を見て研究する事でした。色んな版があり、ヘンレ版や、ウイーン原典版のような原典版の他、バルトーク版、春秋社版、ムジェリーニ版、ペータース版など、あらゆる校訂版が出ています。それを色々研究して、原典版に書き写し、又、さまざまな、バッハ演奏を聴くことで、自然にアーティキュレーションがとれるようになったと思います。

バッハの音楽は教会とか、讃美歌、お祈り、イエス・キリスト等、教会音楽と切っても切れない関係にあるので、そういった、教会の中の響きも体感すると、より深く理解出来ます。

暗譜がしにくいと悩まれる方も多くいらっしゃいます。多声音楽なので、左手がわからなくなったり、という事も多いでしょう。テーマを出すと言っても、毎回、同じようにテーマだけ出すというものではないですし、遠近感も必要です。


平成28年9月21日(水)チャンスを逃さない

今日は、明和の2年生の子達のレッスン。この子達が入って来て、もう、明和の生活が、1年半過ぎようとしています。

あっという間に、時は過ぎます。チャンスが来た時に、精一杯、チャンスを逃すな、とどの生徒さんにも私はよく話します。

人生の中で、チャンスは、ブランコのように大きくこちらに向かってくる時と向こうに行ってしまう時がある。こちらに向かってきたときに精一杯掴み取るんだ!
そして、チャンスは、生きている間、何度でもやってくるから、何回だって、挑戦できるし、心配はいらない、ということも。

私の役目は、彼、彼女らの望みを出来るだけかなえる事。皆さんの将来が楽しみです。


平成28年9月19日(月・祝)プーランク

名音大の秋学期のレッスンが今日から始まりました。祝日から、授業開始!大学4年生の子達が、プーランクの「シテール島への船出」を持ってきました。

聴いていると、ドキドキ、ワクワクして、こちらまで、踊りだしたくなる素敵な曲。3拍子の曲は、とても好き。フランスの香りに包まれます。


平成28年9月18日(日)横浜国際音楽コンクール

今日は、明和高校3年生の生徒が、横浜国際音楽コンクールを受けに行って、本選第3位を頂きました!おめでとうございます!

彼女の努力はすごいものがあります。レッスンのたびに、そのすごい熱気で、「おおーっ!やるなあ!」という感じ。

受験もその勢いで、ドカーン!と突き進んでいくと思います。こちらも勇気を毎回もらっています!


平成28年9月17日(土)子供の元気に押され気味な私



 お化けになったつもりで、怖い怖い音を出している所です。








年中さんの男の子。意気揚々としてピアノを弾いています。

天真爛漫な子で、私も、ついていくのに、はーひーはーひー、息切れしながら、必死です(笑)


平成28年9月15日(木)打ち合わせ

今日から、名音大も始まりました。来週から始まるレッスンの時間帯の打ち合わせをして、1人1人、夏休みをどう過ごしていたか、お話しして聞かせてもらいました。

皆さん、それぞれにいい夏休みを過ごしていたようです。

皆さんの人生が、音楽を通して、より素晴らしくなりますように、いつも学生さん達を応援しています。


平成28年9月14日(水)楽語

楽譜には、楽語が書かれています。ほとんどの場合、イタリア語。新ウィーン楽派のベルクとかシェーンベルク、ウェーベルンなどや、ベートーヴェン、ブラームス、シューマンなどは、ドイツ語で書かれていたり、ドビュッシーや、ラヴェルなどは、フランス語ですね。

音楽の道を志す人なら、楽語はレッスンを受ける前に、ちゃんと調べます。私の生徒さん達も皆、きちんと調べて楽譜に書き込んできます。

私が、5歳くらいの頃から、母が、カレンダーの裏に、マジックで大きく、あらゆる楽語を書いてくれて、ピアノの部屋は勿論の事、トイレにまで貼ってありました
(笑)アマービレは、優しくて、カンタービレは歌うように、と言いながら、トイレから出てくる。それが、毎日の日課でした。

日本語も、まだ、話せないような小さい時なので、私が、その当時大好きだった、「フランダースの犬」のネロとアロア、パトラッシュの絵をクレヨンで描いて、
その上に、ドルチェ、とかアンダンテ、とか書いてくれました。小学3,4年頃までそういった、沢山書かれた楽語を目にしながらピアノを弾いていた私ですが、
今、生徒達に、楽語を説明するときは、出来るだけ、その言葉を体感できるよう、身体で覚えてもらうようにしています。というのは、例えば、「レリジョーソ」
(宗教的な、敬虔な)という意味ですが、この言葉を説明するときに、それは、宗教的な雰囲気で弾くのよ、と小学生の低学年の子供に説明してもきっと理解出来ないと思うからです。

私のレッスン室は、ありとあらゆる説明する小道具が置かれています。敬虔な、を説明するときは、聖母マリア様や、イエス・キリストの絵画を見せたり、
私が実際に、生徒の前でお祈りしている所を見せる、生徒にも一緒にお祈りしてもらったり、実際に、「行動」を伴った時に初めて、「言葉」は、深く心に残るのです。「言葉」だけでは、覚えられないのです。タッチの事を説明するときは、粘土を握らせます。これくらいの深みで押さえないと、深い音は出ないという事も、触らせてみて、初めて理解します。

だから、机の上だけの詰め込み勉強は、全く役に立たないというのが私の考えです。又、宗教的な音とは、どんな音がするのかということでも、実際に、こんな音がするということが、体感出来た時に初めて、レリジョーソの楽語が覚えられるという事になります。

単語を覚えて意味を丸暗記しても、実際に演奏に生かされていなければ、これまた、何の意味も持ちません。私のピアノの上には、常に、イタリア語、フランス語、ドイツ語、日本語の辞書が、置いてあります。

生徒が、ラヴェルなどを弾いていて、私の知らない、フランス語が出てきたときに、一緒に辞書を引いて調べます。そうやっていくうちに、大体の楽語は何回も何回も同じことを言っている事もわかるようになってきます。一度、頭の中に入ってしまえば、あとはスパスパ、入るようになっていきます。視覚、触覚、嗅覚、
聴覚、味覚あらゆる五感を通してでなければ、物事は、覚えられないと思います。頭に詰め込むのでなくて、心の奥深くに刻み込むようにします。



平成28年9月11日(日)ショパンコンチェルト1番

大学1年生の生徒が、ショパンのコンチェルト1番を一生懸命弾いています。

ショパンが、書いた曲の中で、一番美しいと思える協奏曲ですが、彼女が弾くと、より一層、キラキラした青春の輝きを感じさせてくれて、本当に美しいです。
私は、この曲を日本とウィーンの学生時代、2回勉強したのですが、ウィーンの学生だった頃、先生が、「こんな美しい世界をショパンは、もうすでに、20歳で、持っていた。信じられない程に美しい」。と何度も、おっしゃっていらしたのを昨日のことのように思い出します。2楽章は、春の夜の月明かりの中の瞑想のような、沢山の幸福な想い出を呼び覚ますようなそんな印象を与えられたら、とショパンは言っています。2楽章の最後が又、格別に美しく、その美しさは、言葉では、言い表せません!

先生は、ひどい、風邪をひいていらしたけれど、私が、全部通して、おきかせすると、ものすごく喜んで下さり、夢中でレッスンして下さった事も、今となっては、遠い遠い懐かしい想い出です。

あれから、20年以上の歳月が過ぎましたが、生徒が、こんなに美しい世界を、描いて演奏してくれることに、この上ない喜びを感じています。

本番は、11月17日(木)熱田文化小劇場です。彼女の美しいショパンを、沢山の方に聴いて頂きたいです!そして、彼女に続く、コンチェルトを演奏出来るような生徒さんが、沢山育っていってくれることが、私の夢です!


平成28年9月10日(土)その人にとってのゴール目指せば十分

小学生の生徒。レッスン室に入ってくるときは、いつもニコニコ、ゴキゲンなのですが、15分くらい弾き始めると、段々、自分が、出来ないところにイライラし始めて、涙目に・・。

涙を拭きふき、必死で弾いています。私は、「○○ちゃん、ウサギとカメの話は知ってる?ウサギが本当に負けた理由は何だと思う?」と尋ねました。
「ウサギが負けた本当の理由は、カメと比べたから。カメがのろのろ歩いているからいいやと思って、油断したわけ。だけど、カメは、全然、ウサギの方を見なかった。自分が、到達できる最後のゴールだけを目指して、ウサギの事なんか何も気にせず、ずーっとまっすぐマイペースでのろのろ歩いて行った。だから、最後は勝ったのよ。」と話すと、泣きながら、笑顔になった!

何かをやろうとしているときに、絶対に、人と比べない事が、成功への道です。その人にとっての最終目標に行けばいいのです。マイペースが一番!

「練習するときに、怒りながら、練習しないようにしようね。怒る前に、腹式呼吸。弾けないところが出てきたら、その前で、いったん、深呼吸。ゆーっくり息を吸って〜吐いて。自分を冷静に、落ち着かせるの。」

「ああ〜、冷静になるのは難しいなあ〜」とすっかり、元気になって帰っていきました!自分のペースで、ピアノを楽しんでもらえたら嬉しいです!


平成28年9月9日(金)革新的なハーモニー

プロコフィエフの作品の中で、一番好きな曲は、バレエ音楽のロミオとジュリエットの中から、バルコニーの情景です。23歳の若い私が、ウィーン国立歌劇場で初めてこのバレエを見た時に、世には、こんな美しい世界があるんだ、と全身がしびれました。その音楽に、ハマりにはまって、CDを買って楽譜もオーケストラパートを買って来て、弾いて遊んでいました。

ピアノ曲では、小学生の頃、「タランテラ」とか、「バッタの行進」とかリズムの面白さに惹かれて、チャラチャラ弾いて遊んでいたのですが、高校1年生の時に、真剣にプロコフィエフの大曲として向き合ったのは、6番の戦争ソナタ。

7番、8番のソナタも必ず、卒業試験などで、よく弾かれる曲だったので、「かっこいい!」というイメージがありました。
ウィーンの学生だった頃、同じ門下の子で、ユーゴスラヴィアからウイーンに留学してきた子と友達になり、その子が、ユーゴスラヴィアで、プロコの協奏曲1番をオーケストラと共演するから、と言って、私にオーケストラパートのセカンドを頼まれました。ウイーン国立音大の中のホールで、ピアノ2台で一緒に弾いたのも今となっては、遠い遠い昔の懐かしい青春時代の想い出です。協奏曲の3番もいいけど、1番もメチャクチャカッコイイです!。2番も大好き。いつか譜読みしたい、曲のうちの一つです。

協奏曲3番は、国際コンクールの課題でよく出ますし、私の先生がよく弾かれていたので、親しみやすい曲ではありますが、何か、ショパンと違って、とにかく、手の居心地が悪いんです!
それを先生に話すと、「プロコフィエフが手に馴染む人は、あんまりいないよ」と言われて安心したのを覚えています。

プロコフィエフは、弾いていると、ハーモニーが「何でそっちへいくの?」という、身がよじれるような感覚に私は、襲われるんですが、同じロシア物でも、ラフマニノフや、スクリャービン、チャイコフスキーとか、リャードフのような、メロデイックで、ベタベタに甘い感傷的な、感じと違って、どこか、冷笑的な、ひねくれた感じがありますね。

バロック的、古典的でもあり、それでいて、革新的、新しい和声、より力強い情緒表現を求めているために、より壮麗な抒情性も沢山あります。
新しい事を開拓していくのには、必ず、必死で抵抗する、反対派がいます。プロコフィエフも初めは、きっと大衆受けしなかっただろうと思いますが・・・。

生徒達が、どんどん成長して、大曲を色々と聴かせてくれるようになり、嬉しい毎日です。自分とは又、違ったアプローチで表現してくれるのを聴くのが今は、すごく楽しいです。



平成28年9月8日(木)今後の演奏予定

来月、10月30日(日)PM5時開演、名古屋東文化小劇場で、マリンバコンサートがあります。マリンバの伴奏8曲と、私のソロを3曲、
チャイコフスキー「白鳥の湖」ショパン「ノクターンOp.9−2」ギロック「アラベスク・センチメンタル」を演奏致します。

又、11月5日(土)名古屋栄カワイ店2Fコンサートサロン・ブーレで、ソロコンサートと公開レッスンを致します。私のソロコンサートは、皆さんにお楽しみ頂けるように、クラシックの中でもオペラ、バレエ、ヴァイオリンの編曲、ポピュラーも皆さんがどれも知っている曲ばかりを集めてお話しも挟んで演奏したいと思っていますが、まだ考え中です。多分、午前中からお昼間にかけて私は演奏させて頂く予定です。
詳細が分かり次第、又、日記に書きます。

翌日、11月6日(日)は、三重県の四日市市の第一楽器店ムーシケホールで、YJPCのヤマハジュニアピアノコンクールの課題曲コンサートで、コンクールの課題曲全部演奏致します。

各地で、沢山の方にお目にかかれることを楽しみにしています。


平成28年9月5日(火)音の階段

「音の階段」て、何でしょう?

楽譜を読むときに、楽譜に書かれてある強弱だけを守ればいいと考えている、ピアノ初心者の方は、割と多いのではないかな、と思います。
もし、ppと書かれたところは、ずっと小さい音、ffと書かれたところは、ずっとffで弾いてしまったらどうなるでしょう?

大きな声で、わめきちらしたまま、あるいは、ずっと、ささやき続けたまま、話しをされても全然、心には響きません。

そこで、私が、学習者の方にお勧めしているのは、「音と音の間を階段のようにイメージする」です。

ドから、ファという音程の間は、上に登る時は、4段、階段をよじ登る「緊張感」が必要です。逆にしてみましょう。
下がる時は、5段、階段を下がるので、ずっと楽ちんです。

こう考えていくと、2段上がるよりも4段上がる方が、力を張りつめなくてはならないし(音と音の間の緊張感)、下がる時は、筋肉が弛緩するのです。

音の階段を登る場合に「呼吸法」もとても大切です。音が上がっていくときにcresc.するとき一杯息を吸って、音が低い方へ、dim.するときに緩めるから、
息を吐きます。

自分の練習の時も、生徒さん達とのレッスンも音と一緒に吸ったり吐いたりするから、長時間やっていると、頭がクラクラしてきます。

ピアノの楽器は、横に全部並んで見えるために、2度上がろうが、3度下がろうが、お構いなしに弾いてしまいやすいのです。かなり、大きくなってからの曲は、大曲なので、すごく複雑になり、全ての音が、音の羅列になりやすいです。そういう場合は、比較的、平易な曲から、「音の階段」をいつも感じ取って自分の音を注意深く聴くようにしていくと良いでしょう。


平成28年9月4日(日)遊びの感覚から入っていく

年中さんの男の子。曲の中で、ミステリアスという言葉が出てきたので、「ミステリアスってわかるかな?○○君は、お化け屋敷に行ったことあるかな?
ほら、こんな感じ。うらめしや〜」と私が、お化けの物まねをしたら、「うひゃ〜!ギャーッ!」(その子、目をまん丸にして驚いた顔)

もう、その後がドンチャン騒ぎになって
大騒ぎ!(笑)私の身体をこちょぐって、笑うは、それをしたかと思うと、時々、見学して下さっている大好きなママの膝に飛び乗って私とママとの間を大騒ぎで行ったり来たりして、全身で、喜びを表現している感じ。子供って本当に可愛いなあと思います。

昨日も、小学1年生の男の子が、ピアノを弾いていると、途中で、「ここがかゆい」とか何とか言いだして、「蚊に刺された」といって、私に赤く腫れたところを見せてくれます。
「歯が抜けた」とか言って、口をあ〜んとして見せてくれたり、女の子では、絶対にない行動が沢山あり、本当に面白いです。

そういうレッスンの様子を見学されているお母様は、いつまでもこんな状態だったらどうしよう?て心配されるかもしれませんが、子供は、いつまでも子供じゃありません!日々、成長して、こちらが驚くほどの成長ぶりを見せてくれて、どんどん頼もしくなるのも男の子です。男の子を育てるには、女の子以上に辛抱強く、忍耐強く、そして、
一緒に遊んであげる感覚で、小さい時は、ピアノを好きなように弾かせてあげるといいです。とにかく、続けさせることです。

好きなようにさせておいても、ちゃんと立派に成長します!


平成28年9月3日(土)毎コン高校2年生予選通過!

今日は、全日本学生音楽コンクールの高校の部があり、私の生徒の明和高校2年生の生徒が、見事、予選通過しました!

このコンクールは、予選を通り越すだけでも、非常に難関なので、本当によく頑張ったと思います。おめでとうございます!


平成28年9月1日(木)芸術性

コンクール、しかもとりわけ難関なコンクールで入ろうと思うなら、どういう演奏が必要でしょうか?

人数が、うじゃうじゃ押し寄せるような人気の高いコンクールでは、誰がどこで何を弾いたか、つまり、印象に残る演奏でなくてはならないでしょう。

最大の美点として、音色そのものが美しいとそれだけでキラキラ輝いて聴こえます。そして、ピアノという楽器の扱いをよく知り、手慣れていて、柔軟でしなやか、かつ、パワーとエネルギーがあり、壮大な音楽の世界を描けている感じ、
その人そのものがピアノと同調して水を得た魚のようにピアノが自然に生き生きと脈づいて、歌いだす、そんな感じも非常に好まれます。

又、変化に富んでいる事と、多彩なニュアンスがとれている事も印象に残ります。よく、大きな音か小さい音のどっちか、あるいは、テンポ感の問題で言えば、
速いか、遅いかのどっちかで片づけられた、単純な演奏は嫌われます。なぜかといえば、そういった演奏からは、弾いている人の相手に伝えたい、訴えたいという熱い想い、「ハート=心」が感じられないからです。

技術的な完成度も高く、音楽的にもよく歌われた、味わい深い演奏。それプラス、私が、よく生徒達に話す、「芸術性」もすごく大きな要因となります。
その人が出てきただけでも、パッとその場が、華やいで、その人がピアノを弾きだすと、このまま時間が止まればいいのに・・・・と思わせてくれるような情緒がにじみ出るような雰囲気のある演奏。全てにおいてセンスの良さを感じさせる演奏です。

「ああ、何かお腹すいたなあ、今晩のおかずは何にしようか・・・」とか、「ああ、もう、眠くてたまらないな・・、この曲、すごく長いなあ、一体この人いつまで弾いてるのかしら?」なんて、聴いている人が考えていたとしたら、ちょっと悲しいですものね。(笑)

この人の演奏、もう1回聴いてみたい!、何か魅力的だなあ!そういう音楽の美しさは、何も審査員でなくとも、素人でも、十分わかるものですから、
誰が聴いても、ピカピカ光り輝いて、熱い想いが伝わる演奏であれば、文句なく、印象に残る演奏として、聴き手の心に残るものなのです。その面を工夫しながら鍛錬を積んでいけば、
上手くいくでしょう。