平成26年2月25日(火)門下生の紹介

あっという間に2月も終わりに。
それと共に、段々日差しが明るくなり、春の予感が。受験生の皆さん、あともうひと踏ん張りです<}ックスに持っていくフレーズづくりは、彼女の魅力です。

小学6年生で、私の所に来てくれた日がついこの間のことのようです。いつも明るく、とても可愛らしくて、人懐っこい女の子だった彼女が、つい最近成人式を迎えて、素敵な女性になりました。


東京から帰省するたびに、彼女もレッスン室を訪れて、成長した演奏を聴かせてくれます。私とのお付き合いは、9年と彼女も長いですが、生徒達の活躍は、自分の事以上に嬉しく、格別な思いがあります。一生懸命手を尽くして、子供たちを育てるから、生徒1人1人は、私の存在以上に愛おしいです。素敵な女性、男性になっても更にその成長をずっと見続けていくことは、恐らく、自分がピアノを弾くこと以上に、この世で一番幸せで、楽しくやりがいのある仕事だと私は思っています。


平成26年2月14日(金)門下生コンサートの紹介 No.18


現在、東京音大ピアノ演奏家コース2年在学中の音大生です。メトネルのソナタ1番の1楽章を演奏します。

彼女との付き合いは、最早、9年になります。小学6年生から明和高校音楽科卒業まで、毎週、レッスンに通ってきていました。今、東京に行っても、休みに入ると、必ず、レッスン室を訪れてくれて、成長した演奏を聴かせてくれます。

小学6年生で、私のところに来てくれた日がつい昨日のことのようです。大人しい、可愛らしい子で、素直なとてもいい子でした。中学生に入ってからは、学校の試験期間であろうと、塾が忙しかろうと、絶対に毎週のレッスンを休まず、感心していました。

彼女のやる気がグングンと芽生えてきたのは、明和高校に入ってからです。中学生の頃、塾も忙しくてちょっと、疲れているのかなあ?と思うことも度々ありましたが、気にせず、黙って見守っておりました。受験前に、なかなか思うように気持ちが前向きになれなくて、私もどうしたものかと思っていた矢先に、彼女が本領発揮してくれて、本番前に、やっと納得のいく演奏に仕上がり、私は、感激して涙を流して彼女を抱きしめたことを懐かしく想い出します。

私は、多分どの生徒にも、「練習しなさい」「どうして練習しないのか」という言葉は言ったことがないと思います。彼女の場合もそうでしたが、練習出来ない、練習したくない時は、それなりに、理由があるはずだからです。練習をしなければいけない、本人が強く意識したときに、初めて、前に進んでいけます。何もかも、全ては、本人の心の持ち方次第だからです。明和に入り、素晴らしい仲間や先生に巡り合い、彼女は、もともと潜在的にもっていた実力を発揮し始めて見違えるようなやる気を持ってくれました。明和の実技レッスンで、今日は、私とのレッスンだと思うと朝からウキウキする、と彼女がよく話してくれた通り、明和高校3年間の実技担当をさせて頂いた私は、彼女とのレッスンが毎週非常に楽しみでありました。

東京音大の演奏家コースに入ってからも、演奏会に出たり、ドイツ語学校に通ったり、毎日、生き生きとした、大学生活を送っています。
昨日、大学の実技試験が近いからと、わざわざ、東京から、レッスンに来て、又、一段と成長した演奏を聴かせてくれました。

門下生コンサートで弾いてくれる、メトネルのソナタ、メトネルの作品はどれもが美しく、私は大好きなのですが、このソナタは、又、格別です。メトネルの魂の叫びが、それこそ、届かぬ思いが、現れているような感じで、彼女は演奏してくれます。聴いていると、小・中・高校時代、彼女の苦しみも、喜びも、共に分かち合った彼女との思い出が、あふれて、こんなに立派に成長してくれた彼女に感謝の気持ちで一杯です。

彼女も先日20歳になり、成人式を迎えました。この年になると、私にとっては、もう、可愛い妹のような存在です。いえ、娘でしたね。(笑)




平成26年2月12日(水)昨日は、YPF審査で

昨日は、朝早くから1日YPFの審査で、春日井東部市民センターへ。
参加者数が大変に多く、110名の講評用紙を書きました。そして、小学3、4、5、6年、中学1年生から3年生までの総評をお話させて頂きました。

さて、3月の門下生コンサートに向けて、大体の生徒さん達の紹介は終わりました。皆さん、いかがでしたか?1人1人の紹介を読んで、より、門下生コンサートを聴く楽しみが増えたといって下さった方もいますし、日頃出会わない人も多いので、お互いの事がよくわかって嬉しいという方もいました。

結構、長期間にわたり、アップしていく作業が大変でした。というのも、1人1人の長所を思い起こすと、数限りなくあり、それをまとめるのに苦労したことが1つ、そして、パソコンが新しい8に切り替わり、なぜか、要領がつかめず、写真を入れたのに、いつの間にか、消えたり、全くウンともスンとも動かなくなったりして、困りました。
8に詳しい方がいたら、教えて頂きたいです。

それと同時に、1人1人の生徒の長所をまとめていく作業は、実に幸せな時間でした。皆、大体、自分の長所は、わかっているようで、わからないことも多いと思います。
他人が自分のことをどう感じているのかは、年齢を問わず、皆共通して、一番興味があり、最も知りたい事だと思います。だから、出来る限り、私は、1人1人に感想を述べるように心がけています。感想は、心の中だけで思っているだけでは、絶対に相手に伝わらないからです。いいと思うことは、どんどん口に出して相手に伝えると、更に、相手の長所が伸びていきます。

時々、自分の子でも、自分の子だからでもあるでしょうが、お互いの存在が近すぎて、長所を探そうと努力するものの、どうしても、見つけられなくて褒めることが出来ないという人もいます。確かに、人間は、短所ならいくらでも見つかるものですものね・・・・。しかし!!実は、長所と短所は同じなのです。

性格も、内気な性格の人なら、思慮深く、思いやりがあるとか、人の気持ちが良く読める人でしょうし、頑固な人は、物事を必ず達成できる人になりますし、
いい加減で、あてにならない人は、物事に対して、臨機応変な態度がとれ、順応性がある・・・・などなど、その人の一見短所と見える部分が実は、一番の長所であり、その人が一番輝いている部分です。

だから、どの生徒も皆、私には、光り輝く存在なのです。興味を持たれた方は、是非、門下生たちに会いにいらしてください。ご自分もピアノを弾いてみたい、そう思って頂けると思います。

本番は、3月21日(金・祝)南文化小劇場午後14時開演です。


平成26年2月9日(日)門下生コンサートに向けて  No.17


通い始めて、9年になる、大学2年生です。

今回、門下生コンサートの日と、大学の卒業式が重なってしまい、ベートーヴェンの月光ソナタ1楽章を一生懸命練習していたのですが、残念ながら今回は出演出来なくなってしまいましたが、レッスンは元気に通ってきています。

彼は、卒業式で、オーケストラの中で打楽器を受け持っているそうで、やはり、長年続けているピアノがとても役に立っているのでしょうね。

つい最近は、成人式を迎えて、立派な青年になりました。私の教室に通う全ての子達がそうであるように、彼も又、大変に素直な礼儀正しい子です。

中学生頃は、まだ、あまり、口数も少ない子でしたが、最近は、色んな事を話してくれるので楽しいです。

私の弟のような?しかし、彼が生まれた時に私は大学を卒業したから、息子といった方がいいですね(笑)
いい話し相手になっております。どの生徒もどんどん成長して、大学生ともなれば、私の片腕のような存在で頼もしいです。


平成26年2月8日(土)門下生コンサートに向けて  No.16


通い始めて、11年になる、明和高校音楽科の高校2年生です。ラフマニノフのソナタ2番の1楽章を演奏します。

ラフマニノフは、自身が高貴な表現で魅了する名ピアニストでもありました。12度も届いたという大きな手だったそうですが、どの曲も和音、オクターブ、大男が、弾くイメージの曲ばかり。

彼女は、門下生コンサート第2回目から毎年、出演しています。初めての門下生コンサートデビューは、小学1年生の時です。デイアベリのソナチネOp.151−1の全楽章を堂々と演奏してくれたことが、つい昨日のことのようです。


初めて、私の所に来てくれた日のことを思い出します。まだ、小さい子なので、レッスンも1時間集中出来るかなと心配しておりましたが、心配は皆無でした。とにかく、新しい曲をどんどん見ていくのが大好きな子で、ウイーン留学から帰ったばかりの私は、彼女が幼いということを全く考慮せず、ありとあらゆる曲を弾かせておりました。レッスンで、使う言葉も、大人の方に注意するのと同じ視点で、物を言っていたので、彼女も大変だったのではと思います。しかし、すごく、努力する子でしたし、1時間でも、静かに、しっかり集中して、全然そわそわしたり、気が散ったりしないで、もうすでに、精神年齢は大人でした。毎週のレッスンを、小学1年生からほとんどお休みせず、いつも私を全面的に信頼してくれて、ここまで成長してくれたこと、彼女には、心から感謝の気持ちで一杯です。
 
ラフマニノフのセンチメンタルなだけでない、暗さや、憂鬱も全て含めて、常に貴族的であり続けた、ラフマニノフ。私も大好きな作品ですし、立派に成長して素敵な大人の女性になってくれた彼女が弾いてくれて嬉しいです。


通われて、12年になる、ピアノの先生です。

門下生コンサートの第1回目から毎年、素敵なアナウンスをして下さっています。

門下生1人1人のことを気にかけて頂き、舞台そでで、いつも暖かく見守って下さっています。

私を色々な面で支えて頂き、門下生コンサートを応援して下さる心強い方です。


私を含め、門下生一同、本当に彼女に心から感謝の気持ちで一杯です。


普段は、レッスンもとても熱心に受けて下さり、とても謙虚な誠実な方で、心から信頼しています。

門下生コンサートも今年で、12年目を迎えます。これからも、よろしくお願い致します。


平成26年2月7日(金)門下生コンサートに向けて  No.15


通い始めて、6年になる中学2年生です。リストのラ・カンパネラを演奏します。

19歳のリストがパガニーニのヴァイオリン演奏を聴いて、驚き、その超絶技巧をピアノに移した、知る人ぞ知る、難曲中の難曲です。きらびやかな高音は輝かしい「鐘」の音そのもの。

彼の6年前を思い出します。ブルグミュラー等を弾いていて、初めての門下生コンサートはクーラウのソナチネ
Op.55−3の2楽章でした。まだ、小さい可愛い坊やという感じの子でしたが、一つ一つの音をよく歌って、
音もしっかり、堂々と弾いてくれたことをついこの間の事のように感じます。

男の子は、中学2年になると、急に成長しますね。やはり、肉体的な面で、女として生まれた私には、ピアノは、つくづく男の楽器だなあと感じる事が多々あります。よく、私の手と彼らの手を比べっこしたりするのですが、もう、骨格が違うし、関節がガッチリして安定感があり、うらやましい限りです。

私が、いつも彼を見ていて感心することは、彼の場合も毎週のレッスンを休まないし、ものすごく根気強いという点です。彼が本当にピアノを好きだということと、とにかく、1度やり始めたことは、何があっても最後まで達成するという粘り強さが素晴らしいです。わずか6年間の間にラ・カンパネラのような難曲が弾けるまでになり、人間、根気強くあれば、どんな壁も乗り越えられるのだなあと、見るたびにそう感じさせてくれて、勇気がもらえる、そんな演奏です。

通われて、6年になります。ドビュッシーの版画より「塔」を演奏します。6年前から、私のリサイタルなどにいつもいらして下さって、長い事入門されたかったのですが、その頃、空きがない状態で、何年間か門下生になるのを待って頂いて、4年前に初めて、門下生コンサートに出演して頂きました。

フランスの霧の中から始まって、途中バリ島の緑が青々としているところでガムラン音楽が聴こえ、最後又、フランスの中に帰っていく、全ては夢の中での出来事、というイメージで演奏されたいとの事です。

エキゾチックな響き、アジアが好きだったドビュッシーが好んだ旋法が使われ、私達にもとても身近に感じられます。

この方を見ていて感じることは、成長というのは、子供時代にあるだけではないという事実です。大人になってからでも、毎日人間はどんどん、上に伸びていく木のように成長するのです。

私がレッスンで、話す言葉を、しっかりと頭で理解され、次のレッスンの時には、必ず直そうと努力してくださいます。大人の方は、ピアノが心底好きでないと続いていきませんが、この方のピアノを愛する強い気持ちと情熱が私にもすごく伝わってきて、そういう方とのレッスンは、本当にやりがいを感じます。又、大人の方は、いろんな人生体験も豊富になってきますので、多方面から、私が話す言葉一つ一つをご自分の体験と重ね合わせて聞いて下さるという点で、より充実したピアノ・ライフを送られている素敵な方です。


平成26年2月6日(木)門下生コンサートに向けて   No.14


通い始めて、ようやく、1年がたとうとしている高校1年生です.。初の門下生コンサート出演で、ベートーヴェンの月光ソナタ第3楽章を演奏します。

このソナタを作曲した当時、ベートーヴェンは、ピアノの弟子ジュリエッタ・グイッチャルデイを愛していました。
その彼女はまだ16歳。結婚を夢見ながらも、その可能性については、初めから悲観的でした。その彼女に捧げられた作品がこの名高い月光ソナタですが、ジュリエッタへの深い思慕と暗い予感を投影させている曲は、正に失恋相手へ捧げられたというわけです。

嵐のようなつむじ風に脇を攻められている死者の踊りのような、全てが強烈な出来事として、強く心に訴えかけてくるこの曲を聴いたら、誰もが忘れられないほどの印象を残してくれる名曲中の名曲です。一度はこんな曲をかっこよく弾いてみたいなあ・・・とピアノを習う人なら誰もが憧れる曲ですね。

普段、彼は、普通高校に通いながら、軽音楽部で、ジャズを弾いたりして、ピアノを楽しんでいます。
ピアノが弾けると、色んな場面で、活躍出来るので、素晴らしいですね。

圧倒的な力に満ちた、強打のインパクトの中に緊迫感を持続させること、極度な透明さと、巧みにコントロールされた激しさが出せるよう、頑張って練習しています。


通い始めて、4年になる中学2年生です。ショパンのスケルツォ第1番を演奏します。

この曲で印象的なのは、冒頭の胸をかきむしられるような不協和音、実に衝撃的な和音で始まり、不安と焦燥感に満ちた音型が続きます。そしてそれとは全く裏腹に、何ともいえない優しい夢の中で歌われるような、中間部がきますが、これは、ポーランド人なら誰もが口ずさんだことのある、クリスマスキャロルなのです。
「眠れ、幼子イエス」という題の歌詞は、「お眠りなさい、イエス様、私の宝物。お眠りなさい、私の最愛の子。イエス様、さあ、ぐっすりとお休みなさい。そして、母上様、あなたはむずかるイエス様を抱きしめてあげなさい・・・・・」そんな内容です。

普段の彼女は、とても謙虚で、物静かな子なのですが、心の中に、沢山の音楽に対する情熱を秘めていて、希望と、憧れと、常に前向きであろうとする姿勢を保ち続けるエネルギーに満ち溢れている子です。

彼女もまさしく、音楽に恋をしている状態の人。そうなってくれると、自分でもびっくりするほどのパワーが生まれます。彼女の人が見ていないところでの、陰での努力は、想像を絶するほどです。時々、練習を頑張りすぎて、肩が痛くなってお母様にアロマオイルを塗って頂いたなどと聞くと、ちょっとこちらも胸が痛みます。どんな分野でもそうだと思いますが、何かものになろうとする人たちは、想像を超えるほどの努力を皆、していますね。


平成26年2月5日(水)門下生コンサートに向けて   No.13


通い始めて5年になる、中学1年生です。バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」を演奏します。

バッハが200曲余り作った教会カンタータの中で、最も有名な147番<心と口と行いと生活で>の前半と後半を締めくくる合唱コラールです。神への讃美が歌われる感動的なメロデイです。

普段、彼女は、学校でも、讃美歌を歌ったり、礼拝をしたりする機会が沢山あるそうです。イエス・キリストについてや、聖書の時間もあるそうで、大変いい授業を受けていますね。

ヨーロッパの音楽は、教会との結びつきが大変に深く、聖書の内容や、讃美歌を勉強することは、必要不可欠です。特に、バッハはお祈りの教会音楽ですから、歴史的背景を知ることで、教会の中の響きも想像できますね。

彼女は、レッスンノートも毎日綺麗な字で、学校の様子や、ご家族の様子、色んな思いを書いてくれます。
おしとやかな、奥ゆかしいところが素敵な子ですが、日記を読むと、彼女の思っていることがよくわかって楽しいです。

彼女が、この曲を弾くと、慈しみのある、聖母マリア様の姿を見るような感じがします。彼女の音色はとても美しいので、崇高な、神聖な、気持ちになれます。



通い始めて、6年になる、中学2年生です。シューベルトのソナタ16番の1楽章を演奏します。

31歳で亡くなる3年前に書かれた、このソナタは、「すべての者から見捨てられ、友としてあるは死のみ、我が身は生の淵にて墓穴をば憧れ見入る」という歌詞のついた同年代の歌曲<墓堀り人の郷愁>にもある通り、
死と関連づけて作曲したものは非常に多いです。

彼女は、中学1年生になった頃から、滋賀県の遠くから1人で名古屋までレッスンに通う、しっかりした子です。
それに伴い、最近は、沢山の曲をこなすスピードが急激に早くなり、音楽的な面においても、見違えるように
理解力がついてきています。

中学2年生から3年生を迎えるにあたって、この年頃の子達全てに共通することではありますが、
子供時代を終えて、大人の入り口にさしかかり、多少、人生の憂いや、人を愛することの喜び、そして、人の心の機微をとらえられるようになると、音楽のニュアンスというものがわかってきますね。

悲しい、という言葉と、物哀しい、という言葉は意味としては、似ていますが、大人の感性に近くなると、こういった言葉でもニュアンスの違い、というものが理解出来るようになってきます。それが、中学3年生を迎える頃です。

6年前の可愛らしかった彼女が、少しずつ、大人の表現が出来るようになってきたのを見届けるのはとても嬉しいです。シューベルトの深い悲しみを内面から出せるように、毎日頑張っています。



平成26年2月3日(月)門下生コンサートに向けて   No.12


通い始めて5年になる、中学2年生です。ショパンのスケルツォ2番を演奏します。

この曲は、情熱的な要素と、優しさに満ち、ショパンが書いたメロデイの中でも、最も美しい曲のうちの1つです。
初めの出だしで、ショパンは問いかけをしてほしいと言っています。誰かが亡くなると、「どうして死んだのか?」「私たちはどうなるのか?」そうした疑問の問いかけです。

生と死の間をさまよい葛藤する感じ、「イタリア風の歌」とショパンが言った中間部は、非常にメランコリックです。
彼のピアノを聴くと、とにかく、幸せな気持ちになれます。山の向こうから広がってくる曙を見るような何とも穏やかな、優しい素直で、純粋な音楽が心に残ります。
最近は、身体の成長と共に、男性らしい、力強い音が出てくるようになり、更に又、新たな魅力が加わった演奏になってきています。

私が、とても感心するのは、毎週のレッスンを休まないこと。彼が、ピアノを本当に愛しているんだなあと感動しますし、その情熱に精一杯応援したくなるような子です。

5年前、初めて私の前でベートーヴェンのソナタOp.49−2を弾いてくれた日の事を昨日の事のように思い出します。まだ、無邪気な愛らしい坊やといった感じの子でしたが、今や、立派な青年になり、考え方も演奏も、とても成長しました。わずか、5年間の間に、曲も突然大曲を弾きだしたという感じですが、とにかく、彼がどんな時も、大変に素直な正直な子で、心底信頼してくれている事が何よりも私にとって嬉しく思っていることです。


通い始めて2年になります。オズの魔法使いで有名な、アーレンの「虹のかなたに」を演奏します。

門下生コンサートの10周年記念の時に、最後まで聴いて下さった方で、今回が初めての出演となります。

「虹のかなたのどこかに すてきな おとぎの国が きっとあるわ・・・・」といった内容の、夢一杯の誰もが知っているポピュラーの名曲です。

私が想い出すのは、7歳で初めてアメリカへ演奏旅行に行ったときに、一番最後のロサンジェルスの地で本場のミュージカル、オズの魔法使いを見た時のことです。

まだ、英語はもちろんのこと、日本語だってわからないはずの子供が、このミュージカルの素晴らしさに心を打たれて感動に打ち震えたのを覚えています。

今から、思えば、きっと、この「虹のかなたに」のメロデイに感動したのだと思います。言葉は全く理解できなかったけれど、この、希望に満ち溢れたメロデイは万国共通、心を打たれる要素がありますね。

一つ一つ音を慈しむような、音楽学生では、味わえないような、優しい、暖かい演奏が胸に沁みます。



平成26年2月3日(月)門下生コンサートに向けて   No.11


通い始めて3年になる小学3年生です。カバレフスキーのソナチネOp.13−1の1楽章を演奏します。

カバレフスキーはソ連を代表する作曲家です。歯切れの良いリズム、明るい旋律が親しみやすくロシア音楽の伝統を受け継いでいます。

私が好きなピアニストは必ず、なぜかロシア人です。ロシアの大地を思わせるスケール豊かな響きが出る奏法や、あのダイナミックな音色の豊かさ、多彩なニュアンスの得もいわれぬ美しさが好きなのですね。作曲家も、ラフマニノフ、チャイコフスキー、スクリャービン、メトネル、リャードフ、キュイなど、演奏するのも聴くのも大好きです。


彼女の初めての門下生コンサートは、ブルグミュラーの「やさしい花」でした。あれから、3年がたち、随分成長して、しっかりした音と歯切れの良いタッチで弾けるようになりましたね。

子供達の成長はあっという間です。1回1回のレッスンを大切に、2度と通らない道を大事にしてあげたいです。


通い始めて5年になる中学2年生です。ドビュッシーの月の光を演奏します。

ヴェルレーヌの詩「月の光」に、「楽しげに歌い踊りながら・・・・仮面の下に悲しみをおしかくして」というイタリア喜劇の重要なキャラクターの一人、アルルカンの姿が映し出されます。

輪郭のない音の純粋な持続が特徴的な印象派のドビュッシーです。モネやマネの印象主義のぼんやりとした色彩のまとまりとして見えるような感じを出せるように、毎日研究しています。

彼女のピアノは、実際に絵が見えるような、感じがします。普段から、絵も上手でセンスの良さを感じさせますが、1つ1つの音が生き、音で彼女は、描こうとしているんだなと思います。

夕方の日暮れになると、誰しも、ちょっと、淋しい気持ちになります。そんなときに聴きたいのが、ドビュッシーやラヴェルですね。

ああ、ドビュッシーやラヴェルもこんな孤独な気持を味わったんだなあ・・・・届かぬ思いを音にしている感じがして、すごく共感出来ます。

彼女の持ち前の聴いている人の想像力がかきたてられる演奏が素晴らしいです。



平成26年2月2日(日)門下生コンサートに向けて   その10


通い始めて4年になる小学4年生です。ショパンの小犬のワルツを演奏します。

ピアノを習っている人なら誰でも、一度は弾いてみたい小犬のワルツ。
明るい雰囲気とは裏腹に私生活は、このころ、最悪だったショパンです。


ジョルジュ・サンドとの仲も険悪になり、健康状態の悪化、別離、死の予感の中でサンドが飼っていた小犬が自分のしっぽを追いかけてグルグル回っている光景を見ているときに生まれました。

彼女の家にもトイプードルのモコちゃんという可愛いワンちゃんがいます。

「モコちゃんがグルグル回っているみたいに弾きたい」そうです。

左手のワルツのリズム感、アゴーギク、ルバートなど、彼女の内面から演奏できるように毎日頑張って練習しています。


通い始めて5年になる中学1年生です。ベートーヴェンのソナタOP.2−1の4楽章を演奏します。

今回は、声楽家のお母様の本番の日と門下生コンサートの本番が重なってしまい、トップバッターで演奏してくれます。


20代半ばという若々しさがみなぎるこのソナタは、ハイドンの影響を受けながらもその後のベートーヴェンを思わせるアイデアや独創性に満ちています。

普段から、彼女は、とても、オープンで正直で、心が開かれています。又、自発性があり、大変にアイデアが豊かで、創造力があります。
「こんな風にも出来るよ」「あんな風にも出来るよ」といった感じで、違ったアプローチで、彼女なりの音楽をまとめてきてくれるので、
こちらも、「ああ、そのアイデア、いいね!」「じゃ、ここは、こんな感じがいいんじゃないかな?」と、話し合ってすすめていきます。反応が
バンバン返ってくる子ですし、一方通行でなく、キャッチボールみたいなレッスンが何かの演劇みたいになって、2人で楽しんでいます。

彼女のダイナミックな熱のこもった演奏で、華やかに門下生コンサートの幕が上がると思うと、とても楽しみです。


平成26年2月1日(土)門下生コンサートに向けて   その9

新しいパソコンに変わったので、なぜか、写真が消えたり、文章が出なかったりしてご迷惑をおかけしています。門下生全員がコンサートまでに、紹介出来るようにパソコンが上手く動きますように・・・・。おまけに、今日から2月です。月が変わると、更にブログの設定が、ややこしくなって頭が痛い・・・・ですが、気を取り直して・・・・。

通い始めて、7年になる中学1年生です。グリンカ=バラキレフ編のひばりを演奏します。

クコルニクの詩をもとにした、グリンカの歌曲集「ペテルスブルグよさようなら」の中の1曲です。

ロシアの大地に朗々と歌われる民謡の調べを思い起こさせるとても美しい旋律です。

失恋した男性の心情を描いた詩がついています。ひばりに自分の甘い望みを込めた歌を託して、その歌が最愛の女性に届きますように・・・・受け取る女性はきっと自分を思い出して溜息をつくだろう・・・・というような。

別れても、未練たらたら(笑)の男性の心情ですが、届かぬ思いは切ないです。声を大にして叫んでも、あらん限りの力を振り絞ってみても、自分の本当の気持ちは相手に届いていない・・胸が苦しくて死にそうだ・・・
・だからこそ、こんな美しいメロデイが生まれ、人間が音楽を求めるのは、どんな人間も「届かぬ思い」というものを誰しも体験して知っているし、共感出来るからなんでしょうね。

7年前の彼女が初めてレッスン室を訪れた頃を懐かしく想い出します。まだ、ミルクの匂いがしそうな赤ちゃんみたいに可愛くて、手ももみじみたいに小さくて・・。可愛さあまり、抱っこしたのをつい昨日のことのように。
順調に成長して、綺麗な美音で、届かぬ思いを切々と歌い上げてくれます。大人になった歌、是非皆さんに聴いて頂きたいです。



通い始めて6年になる、中学2年生です。メンデルスゾーンのロンド・カプリッチオーソを演奏します。

若い頃の作品で、さわやかな、又、とても華やかな、聴いた人の誰もが親しみやすいメロデイが散りばめられています。

メンデルスゾーンは色彩をメロデイに乗せる音楽の風景画家ともいわれ、メンデルスゾーンの絵の腕前は素晴らしかったようです。一流の画家とも交際し、いつも絵筆とスケッチブックを持ち歩き生涯にわたって描き続けたといいます。

作風は、バッハやモーツアルトの作品のように伝統的、古典的な形式を好み、その中にロマン的な色彩と感情を盛り込み、彼の描く水彩画のように作曲しました。

彼女が、初めての門下生コンサートに出演した時、すごく、風邪を引いて辛そうで、とても心配したのをつい昨日のことのように思い出します。しかし、モーツアルトのソナタKV.570の3楽章を、体調の悪さを少しも感じさせない演奏で、見事に弾ききってくれた、あの安堵感は今でも忘れられない思い出です。

あれから、6年。こんな大曲が弾けるようになりました。6年という月日は長いようで、短いです。そのわずかの間に、相当な曲数をこなすことが出来たのも、根気強く続けていたからこそです。続けている素晴らしさを感じさせてくれる、心温まる演奏です。