平成26年1月31日(金)門下生コンサートに向けて  その8


通い始めて、2年になる、高校1年生です。バルトークの6つのルーマニア民族舞曲より1,2,4,5,6番を演奏します。

ハンガリーに生まれたバルトークは、自分がハンガリー人であることに誇りを持っていました。「ハンガリーの新しい音楽を書くためには、農民の間に古くから伝わっている素朴な民謡を研究しなければならない」。と決意して、録音機と五線紙をもって、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなどの沢山の民謡を集めてまわりました。


バルトークは、ハンガリー人の悲しみや怒りも自分の音楽の中に入れて作曲しました。私がバルトークで大好きなのは、やはり、ピアノ協奏曲の3番です。あの、晩年の巨匠が書いた、宗教的な済んだ美しさは、心をとらえて離しません。3楽章では、最後まで作曲出来ず、力尽きてしまいましたが、正に亡くなる前の「白鳥の歌」となってしまいました。

私にとってのバルトークのイメージは、やはり、かっこいい!イメージ。2番の協奏曲は、弾いても、聴いても最高にかっこいい!

彼女は、心を開いて、私に何でもお話してくれるので、とても楽しくレッスンしています。会話をすることで、彼女が考えている事、思っていることがよくわかり、それに伴った練習方法が、お互い発見出来るからです!

通い始めて4年になる中学3年生です。モーツアルトのソナタ、KV576の1楽章を演奏します。

始めは、「狩りの角笛」に始まり、バッハのインヴェンションのように両手で、対位法的にからみ、演奏自体が大変に困難な曲です。

私にとっての、モーツアルトは、文字通り、神の子であり、「天使の声を書きとめた作曲家」。
努力によって花開き、地上でもだえ苦しんだベートーヴェンとは違い、すでに、天からの贈り物をそのまま受け取り、初めから、モーツアルトの頭の中にすでに存在した天使の声を書きとめるだけでよかった、モーツァルト。そのモーツァルトが、天から、地上の人間を見下ろして、ケラケラ笑いながら、「ちっとも難しくないよ。簡単だよ。」て、天真爛漫に笑うイメージ。

しかし、なぜか、そのイメージは裏表一体にも感じるのです。モーツアルトの音楽を聴くとなんだか、すごく、幸せで、明るいと感じると同時に暗く悲しい気持ちにもなるのです。

「走り去る悲しみ」といわれているように、どんなに明るい音も、そのあまりにも美しすぎるメロデイが、悲しくさせる気がします。

美しいものは、全て、悲しい。なぜかといえば、世は無常で、永遠という事がないからです。どんなに嬉しいことも素敵なことも全ては、とどまることがない。ドレミフアソ1つとっても、モーツアルトの手にかかれば、神の声になってしまいます。私は、神様にも天使にも出会った事はないけれど、モーツアルトの音楽を聴くと、やはり、確実に、そこに、神を感じることが出来るのが不思議でなりません!

彼女がわずか、4年の間に、見違えるような速度で、音楽に対する探究心を深めて成長してくれたことを私はとても喜んでいます。


平成26年1月30日(木)門下生コンサートに向けて  その7


通い始めて、4年になる中学1年生です。シューマンのアヴェッグの名による変奏曲を演奏します。

出だしは、ABEGGの5音からなる動機で始まります。この女性の名前が、架空の女性だったというのは、

シューマンらしい謎を含んでいる感じがします。夢想的、情景的な恋人のイメージがあったといわれていますが、大変に美しい曲です。

技術的にも、又、音楽的な面においても、難しく、シューマンの憧れと夢、万年青年だった彼のロマンチックな、又、精神的に屈折した、複雑な心情に寄り添えるよう、内面からの音楽が出るように、毎日頑張って練習しています。


シューマンの音楽は、大変に女性らしい柔らかさがあり、心が浄化されるようなところが、大好きです。
又、自分が、シューマンの音楽になりきればなりきるほど、シューマンの内面を奥深く感じることが出来る点において、本当の意味で、「ピアノの詩人」はショパンではなく、シューマンだという方は多いですが、私も同感です。


通い始めて、3年になる、中学3年生です。ベートーヴェンの名曲、ワルトシュタインのソナタ、1楽章を演奏します。

ハイリゲンシュタットの遺書を書いて、そののち、自分の運命にも負けずに、前向きに生きていこうと立ち上がる記念碑的な、代表作ですね。

音楽家の一番大事な聴力が失われていくのは、それを、生活の糧としていかなければならない、ベートーヴェンにとって、さぞ、辛かったことでしょうが、人間は、何でも気の持ちようで、どんなにどん底に落とされた絶望感を味わっても、前向きに運命を変えていく力が備わっているんだなと思わせてくれます。

ベートーヴェンの芸術家としての座右の銘に「神に頼るとは、なんたることだ。自らの力で、自らを助けたまえ」という言葉があります。

「天は自ら助くるものを助く」という言葉が私も大好きです。彼女の演奏には、真の強さがみなぎるようになり、
この曲を通して、一回りも二回りも大きく成長した彼女の演奏を聴くと、生きる勇気をもらえます。

まだまだ、門下生紹介は続きますよー。レッスンに来ている順番で、アップしていきますので、皆さん、まだまだ、お楽しみに!!


平成26年1月29日(水)門下生コンサートに向けて  その6

通い始めて、3年になる、明和高校音楽科1年生です。魔法を使う水の精オンディーヌが登場する、ショパンのバラード3番を演奏します。

彼女を見ていると、普段の練習も、レッスンを受ける姿勢も真剣そのもの。
「音楽に恋をしている」その言葉が一番ピッタリくるような人です。

常に、彼女が、向上心、憧れ、希望、情熱を持っているだけでなく、それを毎日きちんと、実行に移している彼女の口先だけでない、本心からの陰での涙ぐましい努力は、誰が見ても、感動するでしょう。


ルバートでゴテゴテに塗り固められた、ややもすると、演歌調になりやすいのが、ショパンの音楽ですが、彼女が弾くとキラキラと輝きのある
みずみずしい美音と、作品そのままの息吹が感じられて、実にすがすがしいさわやかな気持ちになれます。


通い始めて、6年になる、中学1年生です。スカルラッテイのソナタ、L.104とL.23を演奏します。

スカルラッティのソナタは、素早いパッセージ、装飾音の多い軽妙な響き、華やかな音型、3度や、6度のパッセージ、オクターブを超える跳躍など、ピアノのありとあらゆる技術が散りばめられていて、大変に難しく、ピアニスト泣かせの作曲家でもあります。

彼女の演奏を聴いていると、その、心温まる音で、宮廷音楽家たちが作った音楽が浮かびます。

フランスのベルサイユ宮殿にあるような、天井や壁や、調度など、全てが美しいどこまでも繊細で華麗な統一を見せてくれる場所にふさわしいのが、ロココ音楽。

装飾音がふんだんにちりばめられていて、美しく鳴り響き、どこまでも優しく香り高い、そうした特徴をロココ音楽と呼んでいますが、彼女の音を聴くと、なぜか、ベルサイユの響きを懐かしく想い出すのです。


平成26年1月28日(火)門下生コンサートに向けて  その5


通い始めて、5年になる高校2年生です。リストのタランテラを演奏します。


舞台はナポリ。アクロバット的なパッセージ、中間部では、カンツォーネ・ナポレターナの甘い美しい歌。最後は又、タランテラが戻りますが、音楽学生が弾いても大変に難しい演奏技巧がちりばめられています。

南イタリアの伝説で、毒グモに刺された人が、タランテラの音楽に合わせて、狂ったように踊ると治るという言い伝えがあります。

テンポも速いので、バランスを失わず、そして、踊りのリズム感を保ちつつ、張りつめた緊張感の中で、お客さんの空気を感じながら弾いていきたいそうです。迫力に満ちた、華やかなこの曲、彼女にとてもお似合いで、かっこいい。胸がスカッとします!!



通い始めて、2年になる、中学2年生です。ベートーヴェンのソナタ10番の1楽章を演奏します。
門下生コンサート初デビューは、難曲のモーツァルトソナタKV.333の1楽章でした。

柔らかく丸みのあるヨーロッパ的な音が印象に残る演奏でしたが、今回は、ベートーヴェンに初挑戦。

不屈の人ベートーヴェン、といったその激しい情熱がぶつかり合う多くのソナタの中において、このソナタでは、ベートーヴェンの大好きだった自然の情景が私の脳裏に浮かびます。

ウイーンにある、ベートーヴェンの散歩道や、ウイーンの森など、綺麗な声でさえずる可愛い小鳥たちや、小川の流れ、時々雷や、稲妻の光も見えたり、雨が上がった後の美しい虹が見えたり・・・・。

男性らしい、確固たる、ベートーヴェンの音楽も素敵ですが、何といっても彼女の魅力は、女性らしい、まろやかな美しい音色です!


平成26年1月27日(月)門下生コンサートに向けて その4


昨日に引き続き、双子姉妹の小学6年生。今日は、お姉さんの方の紹介です。

初出演となる、曲目は、チャイコフスキーの「舟歌」です。


浜辺で波を我々の足で愛撫しておくれ 輝く星は我々に悲しくひそかなあいさつをおくる・・・・・(プレスチェーエフ詩)

という詩がついているこの曲。段々と、美しい音とは、丁寧に弾くとは、どういうことかが、理解出来てきていますね。

彼女も絶対にピアノをやめたくないそう。今は、受験勉強とピアノの両立で大変だと思いますが、続ける事で、次々と新しい発見、喜びを見出して、人生を多彩に、彩り豊かにしてほしいです。

彼女も英語がペラペラなので、本当にうらやましい限りです。これから中学へ上がっても、帰国子女の彼女たちは、お得意の英語が話せることで、一歩人より先に抜きんでた、最大の強みを持っているといえますね。きっと、中学生活がとても楽しく送れることでしょう。
彼女の英語で自己紹介、も皆さん、お楽しみに!!

通い始めて、3年になる小学5年生です。ショパンの名曲、幻想即興曲を演奏します。

ピアノを習う人なら誰でも、1度は弾いてみたい、と思う憧れの曲ですね。

普段、彼女は、子供らしい天真爛漫な笑顔でレッスン室に入ってきます。しかし、ピアノに向かった途端に、顔つきが変わります。印象的な出だしから、緊張感が張りつめて、中間部の懐かしい、うつくしいメロデイ、涙あり、スリル満点、手に汗握るような名曲を名曲らしく弾いてくれます。


普段から、大変に表情豊かな子なので、ピアノにも彼女の思いが沢山満ち溢れて聴いていて楽しいです!


毎日、ピアノ漬けになっているような頑張り屋さんですが、音楽家になるために必要な他の芸術に触れる時間も忘れてはいません!

オペラを見たり、美術館に行ったり、作曲家に関する本を読んだり・・・・。でも、全ては、大好きなピアノの芸術をより深めるため。

演奏会に行ったり、色々な、ヨーロッパの歴史や文化を吸収することで、今はわからなくても、大きくなった時に、必ず、見えてくる「何か」があります。その「何か」を毎日、模索し続ける努力家の彼女に私は、大きな勇気をもらっています。




平成26年1月26日(日)門下生コンサートに向けて その3


通い始めて、2年になる、中学1年生です。今回初のベートーヴェンのソナタ悲愴の1楽章に挑みます。

ベートーヴェンの耳が聴こえなくなりだした頃のこの作品、ベートーヴェンの時代はもちろんですが、今の時代も大人気の名曲です。

音楽家であるために一番大事な耳が聴こえなくなったら、自分なら、どんな気持ちになるのだろう?

絶望感に打ちひしがれながらも、なお、力強く生きるベートーヴェン。渾身の力を振り絞って、力強く弾きたいのだそうです。

ベートーヴェンの心に寄り添えるような、力強い音を出すために、毎日、一生懸命練習しています。その思いが伝わり、見違えるように力強く弾け                                                                                    るように                                                                             なってきています!


通い始めて、ようやく1年がたとうとしている、小学6年生です。初の門下生コンサート出演です。双子姉妹で、レッスンに通い、今日は、妹さんの紹介です。
シベリウスの樅の木を演奏します。

4歳から昨年の4月まで、アメリカのケンタッキー州在住だった帰国子女で、英語がペラペラです。

始めは、レッスンも私の日本語が聞き取りにくかったと思いますが、少しずつ慣れてきて、今では、日本語も話せます。家では、英語で話すのだそうです。


私の大好きな木は、樅の木で、ドイツ語だと、タンネンバウム、というけど、英語だと何て言うの?と聞くと、
「The Spruce」と、ものすごく綺麗な発音で教えてくれました。

ヨーロッパには樅の木が沢山あるけれど、アメリカは、あまりないのだそう。始めはふんわりした雰囲気で、途中から、激しい風の響きが聞こえてくるように弾きたい、と受験勉強とピアノを両立しながら頑張っています。

どんなに大変でも、ピアノは、絶対に続けたいのだそう。彼女のお姉さんは(しかし2人は双子)明日、紹介します。

終演後、新入生インタビューで、2人ともペラペラの英語で自己紹介してくれるそうです!皆さん、お楽しみに!!どんなことを、話してくれるのかな?


平成26年1月25日(土)門下生コンサートへ向けて その2

通い始めて、5年になる、小学4年生。ドビュッシーの「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」を演奏します。

ドビュッシーと奥さんと娘のシュウシュウちゃんと3人で踊っているみたいに弾きたい!!んだそうです。


ドビュッシーの音色に近づきたい、色彩感を出したい、そのために、タッチのコントロールを毎日、頑張っています。






通い始めて、3年になる、小学4年生です。ドビュッシーの「アラベスク第1番」を弾きます。

音楽は、すでに、その人が弾く前から音楽が始まっている、と弾く前からとても雰囲気を持って弾いています。

心は熱く、頭は冷静にして演奏することを、いつも心がけ、どんなに小さな心のニュアンスも繊細に感じ取って音にのせてくれる子です。







平成26年1月24日(金)教室の生徒紹介 その1


通い始めて3年になる高校1年生。ショパンのエチュード作品10の4を演奏します。

初めての門下生コンサートで弾いた曲は、メンデルスゾーンの無言歌でしたね。わずか3年でショパンのエチュードが弾けるまでになりました!

練習曲とはいっても、音楽性豊かに弾かなければならない事、又、技術的にも大変に難曲です。

ショパンの音色を出しながら、なおかつ、火のような激しい感情を持って演奏するために、お勉強とピアノの両立をしながら、毎日研究中です。





通い始めて、2年になります。私の教室に以前から通われたくて、7年以上も前から待っていただいていました。その間、
毎年、門下生コンサートを聴きに来て下さり、私の生徒たちの大ファンになって下さっている方です。


今回、念願の門下生コンサートに初出演です。曲は、ランゲの名曲「花の歌」を演奏します。

人生の年輪を美しく、豊かに重ねてこられた演奏は、大変に味わい深いです。一つの音をポーン、と鳴らすたびに、
私の脳裏に、美しい色とりどりのお花が咲いているのが浮かびます。バラ、かすみ草、パンジー、チューリップ・・・・ピンクや黄色や赤や、白・・・・・音を聴くたびに美しい、花の香りが漂います。



平成26年1月23日(木)門下生コンサートへ向けて 教室の生徒紹介


明和高校1年生と2年生の2人。先輩と後輩で幸せそうに、シューマンの協奏曲イ短調を弾く2人。

若い人達が弾くシューマンは、やっぱりロマンにあふれていて、情熱がこもっていて、ステキ!!

朝の早くから夜遅くまで、フルに活動しても、2人とも、元気ハツラツ。疲れた表情全くなく、若いっていいなあ!






明日からは、3月21日(金・祝)南文化小劇場で開催される、門下生コンサートに出演する生徒さん達を1人1人紹介していきます。お楽しみに!


平成26年1月22日(水)一度しか通らない道だからこそ

新年が明けたと思ったら、もう1月もあと少し。これからは、ピアノ科の実技試験や受験生の皆さんの本番が待ち構えています。大変な時期ですが、皆よく頑張っています。

門下生コンサートも段々と近づいてきました。幹事さん達が、とても良くお世話して下さるので、とても感謝しています。チラシ配りには、幹事さんではないお母様方もご協力下さり、本当に有難うございました。

チラシを見て、今年は又、更に、楽しいコンサートになりそうで、今からワクワクしています。一番小さい子は小学4年生から、70代の素敵なご婦人の方々まで、実に幅広い年齢層の方々が普段の成果を披露して下さいます。皆、それぞれの目標に向かって、一生懸命頑張っています。小学生、中学生、高校生、プロの音楽家を目指す人、受験生、音楽高校生、音大生、
ピアノを一生の友としたい趣味の方々・・・・・・どの生徒さんもそれぞれに個性豊かな素敵な演奏で、こちらの気持ちを暖かく魅了してくれます。

先日は、中学2年生の男の子が今までにない集中力でもって、この1週間家での練習に取り組んでいるなあということがよくわかる演奏になってきて、すごく嬉しく思いました。

私は、教えるときに、ヘレン・ケラーをあそこまで、素晴らしい偉大な人間に仕上げた、指導者、サリバン先生の事をよく思い浮かべます。
五体満足で、人の話も聴けて、話も出来て、という普通の人間に指導するのでも、なかなか大変な根気強さと忍耐がいるのが、教育だと思うのですが、
サリバン先生は、目も口も耳も聞こえない三重苦を背負った、ヘレンケラーをあそこまで指導出来たのは、すごいとしかいいようがありません。

私は、ヘレンケラーの本も映画もどれも見ましたが、一番印象に残っていることがあります。幼いヘレンに、一つ一つ手の平にサリバン先生が文字を書いて、教えるのですが、幼いヘレンにとって、一体、それが何を意味するものなのかがよくわかりません。意味がわからないから、ことあるごとに、ヘレンは癇癪をおこし、泣いたりわめいたりして、サリバン先生を困らせます。親もお手上げ状態です。

しかし、サリバン先生は、何度も何度もヘレンの手の平に文字を書いて、自分の唇にヘレンの手を触らせたり、ありとあらゆることをして、ヘレンが理解できる時を待ちます。

ある日、ヘレンにとっての運命の大変化の時期が訪れます。サリバン先生が、ヘレンを庭に出ている流れる水にヘレンの手を触らせて、急いで「WATER]という単語を手の平に書きます。その時、ヘレンが、「ウオー、ウオー」と叫ぶのです!

あれほど、わからなかったことが、今、やっと理解出来たのです!サリバン先生が自分の手の平に書いてくれていたものは、正に、「言葉」だったのだということを!
ウオーターが水であり、今、流れているものが水なのだと理解したヘレンに、今度は、草を触らせて、これは、「GRASS」という言葉なのだとサリバン先生が急いでヘレンの掌に書きます。
1つ覚えていけばあとは、面白いようにわかりだします。それは、全て、自分を表現出来る第一の手段、「言葉」を覚えていくことで、ヘレンのストレスは格段にへっていき、癇癪をおこすこともなくなりました。

目も見える、耳も聞こえる、口も話せる子には、水を見せながら、水だと教えて、発音させるのは易しいことでしょう。しかし、全く、表現手段を持てない子に全ての言葉を教え、話すことも出来るようにさせたサリバン先生の根気は、相当なものであったと察します。もちろん、ヘレンも一生懸命サリバン先生が何を自分に言わんとしているのかを見抜くのにそれは、血のにじむような、苦しみがあったはずですし、癇癪をおこす、ヘレンのことを、理解できるまで、待ち、根気強く見守り続けたサリバン先生とのお互いの努力が集結した賜物といえるでしょう。

私には、古い名言ですごく好きな言葉があります。生徒たちを教えるとき何度もこの言葉を心に刻みます。
「この道は、一度しか通らない道。だから、役に立つこと、人のためになることは今すぐやろう 先へ延ばしたり、忘れたりしないように。この道は二度と通らない道だから」。

「どんな人間でも、何かの点で、私よりもすぐれている 私の学ぶべきものを持っているという点で」。というエマーソンの言葉通り、ヘレンにとっての先生は、サリバン先生でしたが、サリバン先生にとっては、ヘレンが先生だったに違いありません。私は1人1人の生徒を見ていると、私よりもずっとすごいと思える点がどの子にも必ずあり、私にとっての1番の先生は生徒でもあるのです。

私が生徒に教えるのではなく、生徒から、教えられている、育てられている、そんな感じを強く持ちます。

今後も、サリバン先生のように、1人1人の生徒が理解できる時がくるまで、根気強く、待つことの大切さを噛みしめ、そして、1度しか通らない道だからこそ、全身全霊を傾けて、全ての生徒たちを見守っていきたいとおもいます。


平成26年1月16日(木)ピアノ男子

最近、男の子でもピアノを習う方が増えてきました。いわゆる、ピアノ男子です。私の教室にも、中学生、高校生、大学生のピアノ男子が一生懸命頑張っていますし、楽しく通われています。

先日、新しい生徒さんがレッスンに見えました。お名前や、メールの書き方が大変丁寧な方だった事から、てっきり女性の方とばかり思って、玄関を開けると、そこには、いかにも人の好さそうな
好青年が!驚きました。

彼の楽譜を見て更にびっくり。事細かに、びっしりと、楽曲分析がなされ、何かの音楽解説書のような研究がなされていました。「楽典に興味があり、分析するのが好き」なのだそう。
「楽典は自分で研究してみますので、わからない時教えて下さい」。

レッスンが終わった後、「大変勉強になりました。有難うございます」。と深々と頭を下げる様子から、今時の子にないように、何と、謙虚な、礼儀正しい、素晴らしい子なんだろうと、感心してしまいました。
今、現在、私の教室に通う全てのピアノ男子が、あまりにも性格が良く、私が昔、出会った事のないようないい子ばかりで、それだけでも、驚いているのに、又、更に、物言いから、態度から、大変に正直な素直な青年、といったピアノ男子が増えて嬉しく思っています。

特に男子でピアノを弾く子に悪い子は1人もいませんね。これが女の子なら、当然、と思えるんですけど、何か、つい私が育ったころの周りの男子生徒と比べてしまいます。

自分が教え始めて、目から鱗が落ちるほど、びっくりしたのが、ピアノ男子でした。私たちの世代の、特に、小・中学時代、ピアノを弾いているような男子はクラスに1人もいませんでした。

それどころか、男子は、とにかく、荒っぽい粗野なワルガキが多く、暇さえあれば、男同士で鼻血を出すほどの取っ組み合いの喧嘩をする、それに、先生たちは、追いかけまわして、怒鳴り散らすことで、1日中振り回される、女の子をいじめる、親にはもちろん、先生には反抗して、喧嘩をしかける、とにかく、人の言う事をきかない、生意気・・・・・・そんなイメージで。私たちの世代は、今のような少子化と違い、子供の数が大変に多かったせいも、もちろんあったでしょう。子供も親も先生もストレスまみれで1日中わめきちらしていた時代でした。

私が、小学生の頃、その当時長くしていた、私の長い髪を引っ張ってクシャクシャにしてきたり、ザリガニを持って来て、私の目の前に持って来て驚かす(笑)今なら、あれは、遊びたいという、ちょっかいをかけられていたんだな、と笑ってすまされますが、あの当時は、男子に泣かされてばかり・・・・。そんな男子のいる騒々しい学校が大嫌いで、「どうして、学校には男の子がいるの?女の子ばかりの学校はないの?女の子ばかりの静かな学校に入れて!」と、涙ながらに母に訴えていた幼年時代を思い出します。

ピアノを弾くから、いい子に育っているのか、ピアノを弾かない子でも最近はこんな感じで優しい男の子が増えているのかよくわかりませんが、それだけでも、先生方、親は、苦労しませんから、本当に幸せな時代になりましたね。女の子も安心して、学校生活出来ますから、最近の女の子が、うらやましいです。

先日来た青年も一生懸命頑張ることでしょう。是非、ピアノを一生の友にしてもらえたら嬉しいです。





平成26年1月10日(金)恩師からの国際電話

今日は、特別寒いです。

先日、私がウイーン留学中にお世話になった、恩師の奥様から国際電話がかかってきました。私が日本に帰って、15年もの間、毎年、必ず、年明けにウイーンから
わざわざ、国際電話をかけてきて下さいます。

奥様「めぐみさん、受験生が多いみたいで、責任が重くて大変ね、気の休まる時がないんじゃないの?」

私「いえ、もう毎日生徒に夢中です。教えるのは、とても好きですし、1人1人の生徒は本当に可愛いから、皆、私の子供みたいです・・・・・」などなど、近況を話します。

私がウイーンに行ったのが22歳だったので、まだ、その頃のままのイメージのようで、「えっ?ところでめぐみさん、いったい何歳になったの?」といわれたり(笑)。
あれから、20年の歳月が過ぎ、生徒たちと共に、無我夢中で、ここまでやってこれました。

父からもよく言われます。「そんなに毎日、生徒1人1人のことを思ってやれるなんて、何と素晴らしい人生なんだろうね。普通、そこまで、他人の事に一生懸命なれないものだけどなあ、他人のことをそこまで思える人生は、なかなかないぞ、幸せ者だ・・・・」

門下生コンサートのチラシを改めて見返します。1人1人に私とのそれぞれの思い出があり、1人1人を思うと胸が暖かくなります。1人1人の演奏に精魂こめてレッスンした曲を門下生コンサートで、聴かせてもらうのは、私にとって、最高の瞬間です。

1人1人の生徒に今日は、こんなことを教えてあげよう、どうすれば、才能をもっと、伸ばしてあげられるかな、など、私の頭の中は、四六時中、生徒の事で頭が一杯になっています。

だからこそ、私にとって、1人1人の生徒は、本当に愛おしい存在なのです。私も、かつては、その昔、ピアノの先生からは、非常に大事にされ、可愛がって頂きました。

恩師に恩返しは出来ないけれど、私が今まで受けてきた沢山の愛を生徒たちに返してあげたい、そんな気持ちで一杯です。





平成26年1月8日(水)緊張するのは、とてもいいこと

門下生で、中学3年生の渡部菜々美さんが、イタリア、ムジカアルテコンクールの中学生部門の全国大会で、一番最高の、グランプレミオ賞を受賞したと、喜びの報告がありました。
本当におめでとうございます!

昨日から、明和高校のレッスンが始まりました。今日は、大学へ。

よく、生徒の皆さんから、「家では、良く弾けるんですが、レッスンでは、固くなって思うように弾けません」という相談を受けるので、それについて書いてみましょう。

まず、緊張する、ということなのですが、緊張するのは、私自身はとてもいいことだと思っています。緊張しなくなったら、もう人生終わり、とも思っています。
又、特に、芸術を志す人たちは、それくらい、神経が細やかで、繊細で、人の心の機微が、よく読める人でなくては、いい演奏は出来ません。
私の周りにいる人も、ずうずうしい人で、音楽家になっている人はいません。ただでさえ、微妙な、ニュアンスの違いを音から聴きとらなくてはならないのですから、ガラス細工のような繊細な心を持った人たちばかりです。

レッスンでやる事といえば、私がこうしてほしい、というのを、言葉だけでなく、音の心を読んでもらうことが多いです。

以前、もう、70代を超えるような、大ベテランの俳優さんが、今でも、デビュー当時と同じように、緊張するのだと話されているのを聞いて、素晴らしいと思いました。
その方は、70代を超えても、少女のように初初しくて、だからこそ、あのように人の心をつかむ演技が出来るのだなあと感心しました。

私も、今でも、もちろん緊張します。緊張しない方法は、私が聞きたいくらいです。それこそ、学生の頃は、レッスンのたびに、緊張していました。高校からついたその先生は、ちっとも恐い先生ではなく、むしろ、温厚で、穏やかな先生だったのですが、私がすごく緊張しているのをみかねて、汗だくになっている手をぎゅうっと握り締めて下さったその暖かさを今でも忘れません。

一生懸命、緊張をほぐして下さろうとしているのに、その優しさにかえって益々、緊張してしまい・・・・・(笑)

生徒さんから、そういう質問を受けるたびに、そんな思いになれるのも、若くて、初々しいからこそ、です。人間、緊張しなくなって、ずうずうしくなったら誰からも嫌われます。だから若い人たちは、誰からも愛されるのだということを知っていて損はないと思います。

大いに緊張して、ドキドキ感や、ときめき感を失わないようにしてほしいです。それが、いい演奏につながります。




平成26年1月3日(金)仕事始め

今日から、新年明けて始めてのレッスンが始まりました。皆さん、良いお正月を過ごせましたか?

皆さんから頂いたお年賀状を見ると、1人として同じものはなく、1人1人の顔を思い出しながら、楽しく読ませて頂きました。

私のだいぶ前に見ていた生徒達が次々と結婚して、お子様が生まれた、又、生まれたばかりと思ったら、もう、こんなに大きくなるの?というくらい大きくなっていたりして、やはり、生徒達の将来は、見ていて、どこまでも楽しいです。

又、今年は、私の生徒達の中でも、成人式を迎える生徒が何人もいます。少し前に、その子のお母様が、すごく可愛い、お着物姿の写真をとって送って下さいました。

皆、小学校の小さな頃から来ている子ばかりなので、もう20歳?え?成人?て感動してしまいます。

私は、生徒達を育ててみて、よく思う事があるのですが、やはり、人と人とのお付き合いは、長いほどいいものだと思っています。人と人が急に親しくなったり、信頼関係が出来たりするのは、あまりないことで、少しずつ少しずつ、愛情がわいて深まっていき、その人が変化していく様子や、人生の荒波にもまれた時も、一緒に大変な時期を乗り越えていく事で、さらに、その人に対する愛が深まっていきます。

そういう点で、ピアノの道と同じなんだなあとつくづく思います。ピアノも3、4年習っているだけでは、よくわからないけれど、5年、10年・・・・ずっと続けてこそ、ピアノに対する愛も深まり、色んな面で、なくてはならない存在となっていくからです。

人間には、色んな面があると思いますが、私は、生徒達に接する時は、どの子にも100点満点をつけて、その子の一番良い面を輝けるようにしていくのが、いいと思っています。

今年も、毎年の事ながら、生徒達が、私と接する事で、自分の一番好きなところが、光輝いて、何と自分は素晴らしい人間なんだ!と自分の良さを再発見してもらえるように、1人1人に力強い自信をつけさせるように、導いていきます。


平成26年1月1日(水)明けましておめでとうございます。!!

明けましておめでとうございます。沢山のお年賀状を頂き、ありがとうございました。私も、生徒の皆さんには、必ず、1日に届くように送りますが、時々何かの間違いで、届いていない場合もあるかもしれませんので、そんな時は教えて下さいね。

2014年度を迎えて、今年は、自分のリサイタルも控え、受験生も多く、張り切っている私です。

今日は、早速近くの神社に初詣に行き、一番に受験生の合格祈願をしてきました。そして、私の教室に通う生徒さん達のご家族の皆様が、毎日を心身共に健康で沢山の幸せが訪れますようにお祈りしてきました。

生徒さん達が幸せならば、私も幸せだからです。今年も、皆様のお力をお借りしながら、脇目もふらず、40年以上歩み続けているピアノの道一筋を一歩一歩しっかり、歩んでいきます。