平成25年11月28日(木)自分が決めた道、まっすぐ、疑うことなく突き進め

今年もあと1か月程となりました。冬の冷え込みが厳しくなり、昨日は、明和高校での講師会議。来年度の入試に関する大事な会議で、毎年のことながら、この時期になると、身も心も引き締まります。

とはいっても、音楽を職業にしている私達は、万年、生きている間中、受験生のようなもの。私の人生を振り返ってみても、3歳でピアノの練習を始めて以来、現在に至るまで、毎日が、ピアノの練習と共にあり、生活の全てがピアノ一色です。時々、同僚の男性の先生が、「えー?ボウリングも行ったことないの?」と私をからかいます。

ボウリングはもちろん、スキーもスケートもやったことないなあ、お酒は飲まないし、煙草は吸わないし、車も乗らない。

ないないづくしの私は、他にも生きてきて、やっていないことが沢山あります。普通の人が体験することは、全てしていないけれど、音楽業界の事なら、ありとあらゆる体験が出来、素敵な方との出会いも多く、普通の人が体験出来ないような、幸せな時間が過ごせてこれたことに感謝の気持ちで一杯です。

私が、学生の時に、よく親や、先生方がおっしゃる言葉がありました。「悔いのないよう、勉強しなさい。時は、無常で、あっという間に、若い時は過ぎ去る。大人になった時に、もっと若いうちに勉強しておくんだった・・・・・と後悔しないように、全力で、ピアノを練習し、研究しなさい。」と、さんざん聞かされてきた私は、それを、素直に、真摯に受け止め、若い時を一秒たりとも無駄にせず、時間を過ごしてきたと思います。私に後悔があるとすれば、ピアノばかり弾いていて、幼いころから、遊んでこなかったこと。反対にもっと、普通の人みたいに、色んな事して遊んでみたかったな・・・・(笑)結果的に、私にとっての一番の遊びは、ピアノだったということでもあります!

年長者の教えをよく守り、若い時、一秒たりとも、無駄な時間を過ごさなかったために、現在があると思えるので、それは、本当に良かったなあと今となっては、心から思います。
このように、私の体験からいっても、これから、音楽の道を目指す人、
受験生の皆さんは、全力で、自分の好きな道をまっしぐらに突き進んでいってほしいと思います。

好きな道を歩むためには、沢山、他の事をあきらめなくてはなりません。しかし、どんなに他の事をあきらめてでも、私は小さいころから、ピアノが好きでした。納得のいくピアノを弾くためには、こうしなきゃ、ああしなきゃ、いつも頭の中はピアノの事で一杯でした。

だから、ピアノを愛す人達の事が一番好きで、学生時代は、ピアノの先生、自分が教える立場になったら、生徒達のことを一番愛しています。

一生懸命学んでいる若いピアノ学生の皆さんも、きっと、そういう風に思える日が必ず来ます。しかし、将来好きな道を歩み続けたいと本気で願うなら、一秒たりとも、若い時代を無駄に過ごしてはなりません。今、この時間をしっかりピアノと向き合い、勉強し、何も不安に思わず、真っ直ぐに、自分の決めた道を進んでいけば、大丈夫です。


平成25年11月22日(金)相手が何を自分に求めているのか

高校1年生の子が、「先生のレッスンは心で受けたい・・・・・」という内容でレッスンノートに書いていて、すごいなあ、と感心してしまいました。
自分でも出来ていなくていらいらするのに、どうして、先生はそんな私を怒らないでいて下さるのか、不思議に思う、と自分の考えが書かれていて、大変嬉しく思いました。

先日もその事で、大人の生徒さんと話が盛り上がり、彼女も沢山生徒さんをお持ちなのだけれど、生徒さんが出来ないと、いらいらして、つい怒ってしまう、という話から、
「先生は、生徒さんを怒った事はないんですか?」と聞かれました。さあ、どうでしょう?生徒の皆さんが一番正直に答えてくれると思いますが・・・・。(笑)

昔の先生は、現代と違い、子供の人数が多く、いらいらしている人が多くて、学校でも、ピアノの先生でも、親でも、とにかく、誰もかれもが、怒鳴り散らしている、という時代でしたから、今の子は、確かに怒られ慣れていない、という風には思いますね。

私は、といえば、厳しい時代を生きてきていますから、小さいころから、嫌な事を沢山言われたり、怒られ慣れている人間です。
現代の若い人たちより数倍、打たれ強いのは確かです。

しかし、人を導いていく際に、怒りながら教える、という事は、自分のためにも、相手のためにも、効率が悪い、というのが私の考えです。

それも、人間、出来ない事で、怒られるのは、非常に情けなく、悲しいものです。よく、子供の勉強を見てあげる際に、「何でこんなことも、わからないのか!」と親がカッとなってしまい、子供が泣き出して、それっきり、全く、勉強したくなくなってしまう、という光景は昔、よくある光景でした。

怒らないで、一つ一つ、取り出して、一緒に研究してみようね、て親が付き合ってあげれば、済む事です。その子供が何で、出来ないのかをよく理解してやり、子供と一緒に、問題を解いていけば、けんかにはなりません。

とにかく、教えていく時に、指導する側が、けんか腰になっていけば、もう、その時点で、子供は固く心を閉ざしていきます。子供だけでなく、大人だってそうだと思います。

自分が伝えたい事を相手に説得する場合は、相手が、まず、私の心を受け入れようと心が寛大に、広くなってくれた時に、始めて、私の言葉が素直に胸に落ちると思うのです。
相手の心が固く閉じている状態の時は、何を言っても、頑なになってしまうだけで、効果は上がりません。そんな時は、まずは、相手の心を深く、しっかり、読み取り、相手を理解しようとする心から、私のレッスンは始まります。

小学4年生の生徒が、最近1時間レッスンになったんですが、沢山曲は見てくるし、こんな小さな子でも、私の心を敏感に受け取って反応してくれるので、本当にすごいなあ、心というのは、子供だろうと、大人だろうと、全く関係なく、その先生が、今、何を自分に求めているのか、を即座に判断出来ると、どんなに小さな子でも、心でレッスンを受けとめてくれるのだなあ、と感じた次第でした。1時間の私とのレッスンが楽しくて、楽しい時間はアッという間に過ぎるという彼女、好きという気持ちから、自然に上達していくものなので、今後の彼女の成長がとても楽しみです。

芸術分野は、特に、良い見本をまねていくことが、基本となるので、相手をよく観察して、その人の心理を読み取れる力、に長けている人は、確実に、上手くなりますね。
相手が、話す一言を自分の養分に出来ていく人は、確実に物になります。そして、人間力のある人です。やはり、この世の事は、全て、心がしている事なので、心の眼で見て、聴き、
相手を理解しよう、心を通じ合わせようと努力出来る人なら、どんな事でも上手くいくと思います。


平成25年11月20日(水)受験生、非常に楽しみな時期

風が冷たくなり、ようやく、冬になりそうな感じですが、あと約1か月で、もう今年も終わりですね。今日も大学へ行きましたが、学生たちが風邪を引いています。

生徒達が小さい頃は、毎日誰かが必ず風邪をひいていて、私もそのたびに風邪を引き、マスクで予防が欠かせませんでしたが、さすがに、生徒達が大きくなって、成長し、体力がついてきましたね。皆、風邪をひかなくなりました。

2014年度が始まるやいなや、まずは、大事な受験生達を第1希望の高校に合格させる事、その後、毎年恒例の3月21日(金・祝)南文化小劇場で開催する第12回門下生コンサートが待っています。第4部は、私が長い事見てきた皆さんの先輩方が、演奏して下さいます。東京から帰ってきて、休みの度にレッスンで、成長した演奏を聴くのが本当に嬉しいです。
今、チラシ作りを少しずつ始めています。

又、今回も名曲がずらりと並んでいます。楽しみにしていて下さいね。

そして、来年になると、又更に・・・・中学3年生になる、受験生が勢ぞろいするので、どの子も全て、第1希望に確実に合格させてやらねば、と気が抜けない毎日です。

小学生の頃から見てきている生徒達はもちろんの事、中学生の頃から見てきた、目に入れても痛くないほど、可愛い生徒達が、成長して、憧れの明和高校に合格出来る瞬間は、私にとっても、生徒達にとっても最高に素晴らしい瞬間です。

小さい頃から見ていれば、その子が中学生、高校生、大学生になっても、まだまだ、技術面、音楽面においても、教えていく事が山のようにありますし、ピアノ曲は、一生かかっても弾きおおおせないほどの、ものすごいレパートリーがあります。それを、一つ一つ教えていくのは、子供の頃のたった、数年間では、どれほども、教えきれません。

生徒側も先生の話す言葉すら、理解出来ないまま、終わってしまうと、何とももったいない話です。

そういった意味で、小学生の頃から見てきた生徒達を、引き続き、私が勤めている高校で、そのまま、レッスンしていける生徒は、非常に順調に、高校生活にもなじめ、又、音大にも行きやすくなります。私自身もそうでしたが、音楽高校生活は、周りとの競争も激しく、ただでさえ、ストレスがかかるものなので、
そんな時、一番親身になって頂ける、実技の先生が変わらず、そばにいてくれるというのは、それだけで、安心感がありました。

音楽高校に入り、始めて、やる気を持ったり、自分を見つめれたり、音楽の事について真剣に考えたりしだすようになります。そこから、やっと、私がレッスンで教えている事が少しずつ耳に入り、理解出来る年齢になるので、そこからが、私も非常に楽しみな時期でもあり、やっと、本当の意味で音楽を教えているという事が可能になるのです。

1人1人の生徒達を受け持つ事は、大変に責任重大な仕事では、ありますが、自分の事以上に、こんなに生徒達の事に真剣になれるなんて、自分が学生だった頃は、思いもよりませんでした。いつも私をそんな、気持ちにさせてくれる1人1人の生徒達に心から感謝したいです。


平成25年11月16日(土)YPF2014ピアノフェスティバル課題曲コンサート

今日は、私の生まれ故郷の三重県四日市市の第一楽器店のムーシケホールで、コンサートの本番がありました。

全ての部門を演奏して、どういう所が、コンクールの評価のポイントになるか、ペダルの使い方や、アーティキュレーションにいたるまで、お話させて頂きました。

よく、このコンサートでは、抜粋して弾かれるピアニストさんが多いそうですが、私は、幼児部門から、A、B、C、D部門中学3年生までの全曲をカットなし
で演奏しました。
毎回そうなってしまうのですが、皆さんにお伝えしたい事は、山のようにあるのに、とても2時間の中では、説明しきれません。

最後の方はどんどん時間が押してきてしまい、早口になってきてしまい、気ぜわしくなってしまったと思うのですが、終演後、熱心なピアノの先生方から、「ここは、どのように弾けばよろしいでしょうか?」とか、「トリルの弾き方は」とか、「コンクールという場で、楽譜通りのテンポ指定でなくても、かまわないのでしょうか?」などなど、大変にいいご質問が飛び出して、有意義な時間を過ごす事が出来ました。

又、私が、何度か、アドバイスレッスンにも四日市へ出向いているので、その時、演奏して下さったお子さん達が、聴きに来て下さって、お母様と一緒に訪ねて来て下さったりして、感激しました。

私の生徒や、お母様方もわざわざ遠いところを聴きに来て下さった方が、いらっしゃり、終演後、お会いできて、本当に嬉しかったです。

帰りの電車の中で、ふと、時計を見ると、ええっ!こんな時間?とびっくり。

帰宅したら、又、すぐ家で、レッスンの生徒が来るので、もう、気が気ではありませんでした。

滅多に、遅刻なんてしたことない私ですが、今日は、生徒の方が先に来て、私が、ギリギリセーフで、家に到着!!ごめんね、待たせてしまって!!
と息せき切って、玄関に転がり込んで、コートを脱ぐやいなや、レッスン開始。素晴らしい演奏で、身も心も大満足でした。

本番間近になると、必ず、生徒達に、してあげることがあります。これは、私と生徒と2人だけの、ヒ・ミ・ツです(笑)

というわけで、何だか、今日もお手洗いにいくときがないように、気ぜわしい一日でしたが、皆さんにお会いできて本当に嬉しかったです。

YPFを受けられる方はとにかく、楽しんで下さいね。まず、ピアノを好きになることです。そうすれば、必ず、上手くなれますよ!!


平成25年11月14日(木)心のよりどころ

昨日は、午前中、大学の試験の審査、午後からは、明和高校の定期演奏会2次オーデイションの審査で点をつけに。帰ってから家で生徒のレッスン、慌ただしくも、とても、幸せな充実した1日でした。

明和の2次オーデイションには、高校2年生、3年生が1次オーデイションを受け、その中から、わずか、18名が選ばれて、選りすぐられた学生ばかりが演奏します。今まで、校内でやっていたのが、今年からは、ウィルあいち。ステージも大変に広く、ここで演奏出来るのは、本当に幸せな事です。

皆さん、大変にレベルが高く、素晴らしい演奏ばかりでした。私の生徒が演奏しているのを見ると、どうしても、涙がこみ上げてきてしまいます。

舞台に現れた彼女は、素敵な女性へと明らかに成長しているのですが、私には、どうしても、6歳で出会った、まだ、ミルクの匂いのしそうな、可愛い○○ちゃん、に思えてなりません。私と共に歩んだ、11年間、決して、平坦な道ばかりではなく、幾多の困難を乗り越えてきました。彼女が泣けば、涙をふいてやり、笑顔になれば、一緒に笑う、そんな感じで、しっかりと、お互いの愛を育んできました。

ピアノ演奏というのは、年齢があがってくると、非常にメンタル面での支えが必要となってきます。特に、大人になりかける、中学2年生から高校生にかけては、大変に傷つきやすい年齢で、ピアノの指導と共に、心の面を充分ケアしてやることが、必要不可欠になってきます。そのくらいの年齢からは、親よりも、ピアノの先生の存在の方が、大事になってくるのです。

親は、ピアノを弾く本人ではないので、なぜ、何回弾いても、弾きにくいのか、いい音が出てこないのは、どうしてなのか、練習さえすれば、上手く弾けるはず・・・・・などなど、可愛い大切なご自分のお子さんに関して、色んな欲が出てくると思います。

しかし、私は、生徒1人1人が持ってくる曲に対して、どこが弾きにくいのか、なぜ、出来ないのか、全てわかっています。

そこのパッセージは、手が小さいと手首に力が入るために、いい音が出ない、指がフニャフニャしていると、ここぞという時に安定感が悪く、気持ちはあっても、失敗しそうで、恐いから、思いきって弾けない、又、ペダルが多くなってしまう本当のわけは・・・・・、又、手が固いので、レガートで弾きたいのに、全部がカチンカチンしてなめらかに歌えない・・・・・もう、ピアノを弾く人の悩みはつきません。私なら、弾く本人達のそうした悩みを全て理解してあげる事が出来ます。

どの生徒達にも私は言います。「ここ、弾きにくいよね?」まず、弾いて見せて、共感してやり、そのあと、弾きにくいところが沢山あっても、大丈夫なのだと、いうことを言って、打開策を見つけて、前向きに練習に励めるようにさせます。

初めから、完璧な人間は、いません。どこか、必ず、弱いところがあり、手は良くても、音楽性が全くないとか、耳はすごくいいのに、手が小さくて、思うようにオクターブがつかめず、大曲が弾けない、とか、音はいいのに、心がこもらないとか、音楽がすごくあるのに、指が柔らかい、あるいは、固いために音楽にならない、などなど、生徒達は、それぞれにそれぞれの悩みを抱えながら弾いています。しまいには、弾けないところが、あまりに多いから、自分がピアノを弾いていても仕方ないんじゃないか・・・・・と悩みを打ち明けて来る生徒もいます。

私は、例え、そういう状況であったとしても、そういう問題を山のように抱えながらも、人間は、「何が出来るのか」でなく、問題多き条件の中で
「何をなし得たのか」の方が大切と考えています。実際に、私の周りにもそうやって、問題点を多く抱えた人のほうが、どこかで、底力があり、成功して、音楽の仕事が出来ているからです。

だから、全ての事柄に関して、前向きなことが素晴らしいのです。どんなに、辛くてもすぐ、立ち直って前向きであれば、何かは成せるからです。

本番が終わったあとの生徒達は、身も心も胸が一杯になって、私を見ると、涙を流します。親にも理解出来ない、その涙の本当のわけが一番わかるのが、私だからです。
大人になっていくということ、それは、1つ1つ、哀しみを知るということでもありましょう。だからこそ、意識してでも、前向きに取り組んでいかなければいけません。
一生懸命練習している生徒達の哀しみが少しでも和らぐように、どの子も長年大切に育ててきているので、親御さんにとっても、弾く本人にとっても、私の存在が心のよりどころとなってもらえれば、幸いです。


平成25年11月10日(日)第2回スタインウェイコンクール

昨日、今日と、名古屋ピアノ調律センターで、第2回スタインウェイコンクールの地区審査会が開催されました。

大変にレベルの高いコンクールで、どの演奏者の方が賞に入ってもいいくらいに、激戦でした。D部門(中学2年生〜高校1年生)などは、最優秀賞、優秀賞、奨励賞、たった3人しか選ばれないような、激戦の中、門下生の中からは、中学2年生の宮脇彩永さんが奨励賞を頂く事が出来、又、今日は、C部門(小学5年生〜中学1年生)に参加した小学5年生の玉置渚さんも奨励賞を頂いたと喜びの報告がありました。
2人は、来年の1月19日、熱田文化小劇場で開催される受賞者コンサートに出演が決定しました。おめでとうございます!

いつも私に仕事があり、都合がつかず、なかなか聴く事の出来ない、生徒が参加するコンクールの本番ですが、昨日は、珍しくD部門だけ聴く事が出来ました。

生徒が、真剣に一途にピアノに向かっている姿を見ると、感動して、涙が出ます。
←表彰状を頂いている中学2年生の宮脇彩永さん
それと同時に、すごく頑張って弾いてくれたので、沢山の勇気をもらえました。そして、とても幸せで暖かい気持ちになれました。生徒達の想いが、私の心にまっすぐ伝わってきました。

幸せな時間をどうも有難う!!又、頑張ろうね!!






満面な笑顔の小学5年生の玉置渚さん







平成25年11月7日(木)心を解き放つ

先日、中学2年生の男子生徒が今週末控えている本番前の最終仕上げのレッスンに来ました。それまで、一生懸命やってきたことを、どうすれば、本番上手く生かせるのかについてじっくり話し合ってみたいと思いました。ピアノを演奏する皆さんなら、誰もが参考になると思うので書いてみたいと思います。

私「もう、○○君も大人だと思うし、理解出来ると思うから、今日は、ちょっと、音楽の話をゆっくりしてみたいんだけど、まず、何のために演奏するのか、考えてみようか?」

「聴いている人を感動させるため」と彼。ごもっとも!

「じゃ、音楽には大きな力があるというけれど、どんな力があるかな?」

「ムシャクシャしているときに、音楽を聴くと癒される」

「そうだね、音楽には、聴いている人の誰かの心を癒したり、慰めたり、勇気を持たせたり、元気にさせる力があるね?ある人にとっては、人生を大きく変えてしまうくらいの大きな力がある」と私。

「先生もね、○○君から毎週、すごく大きな力をもらってる。例えば、ベートーヴェンなら、女の人なら絶対そういう風には、弾かないだろうなと思えるような所や、男性特有の深みのある音がピアノから出てくると、そういう所にすごく魅力を感じる。反対に、プーランクみたいな、優しい感じの曲は、逆説的に聴こえるけれど、男性なのに、どうして、そんなに優しい雰囲気が出せるんだろう、って、そんなところが、とても好き。癒される。○○君の、レッスンの演奏だけでも、先生の心を勇気づけたり、癒したりとしてくれているわけ。これってすごい事だと思うでしょ?それくらい音楽には大きな力があるってわけ」

「だからね、毎日、誰かの心に届くように、届くように、そういう心で演奏する習慣を持つと、いつかは確実に誰かの心に届くような演奏が可能になってくる。。コンクールで、賞をとるとか、そういうものは、そういう演奏が、可能になった時に、後から、付加価値として、結果的についてくるものなの。だから、いつも演奏する目的を見失わないでいてほしい。

音楽をやるということは、コンクールで、賞をとるため、誰かと競争して勝ちたいため、有名になりたいから、単に目立ちたいから、そのいずれかが、目的になってしまうと、なかなか上手になれないし、道が開かれてこない。これらを全て解き放った時に、いい演奏が出来る。その時、初めて、自分の心が呪縛から大きく開かれて、解き放たれる。自分のピュアな心がそのまま音楽に表れるようになると、そこで、初めて、誰かの心に届くようになってくる。スポーツの世界だと勝つとか負けるだけど、音楽はまるで違う。音楽の世界に勝ち負けは、ない。強いて言えば、ピアノを一生ずっと練習出来る忍耐強さがある人だけが生き残っていける世界で、ピアノに対して、毎日努力出来ない人は負ける、そういう世界」。

「じゃあ、誰かのために演奏するのだということがわかったら、本番、誰の心に届けたいと思って弾くかな?」
「聴いている人」
「もちろん、そうなんだけど、その他大勢の知らない人を対象と考えているより、自分がいつも一番大切に思っている人たちの事を考えて弾くといいよ」と私。
すると、しばらく考えて彼は、「家族とか・・・・・・(かなり照れて)先生とか(笑)・・・・・」満面の笑顔になった!!
「嬉しいな、先生の心に届くように弾いてくれるのね」

とまあ、こんな内容の話しをしたわけですが、ちゃんと、一つ一つ真剣に、言葉を選びながら、考えを持って、答えてくれました。さすが、中学2年生ですね。浮足立った考えでなく、きちんと、冷静に音楽の世界を見つめていたこと、私が、音楽は競争じゃない、常々言い聞かせている事が、彼にも自然に伝わっていたんだなあと、とても嬉しかったです。

とにかく、彼は、繊細で、性格が良く、今どきの子にないように素直で純粋な面がある子なので、それが、時として、演奏に、良くも悪くも表れてしまうことがあり、
私も、毎回のレッスンを常に、全力で、心を解き放つことを彼にアドヴァイスし、すごくよくついてきてくれたと思っています。

毎週、レッスンも一日も休まず、本当によく頑張っている彼。今後の更なる成長がとても楽しみです。



平成25年11月3日(日)第58回県下ピアノ独奏コンクール中学1年生第一位、おめでとう!!

今日は、第58回県下ピアノ独奏コンクール(碧南市開催)に参加した生徒、中学1年生の岩田玲奈さんが中学生部門で、見事、第1位、碧南市議会議長賞も合わせて頂いたと喜びの電話がありました。

どんなコンクールでも、第1位というのは、至難の業。日頃の彼女の努力が実って応援していた私にとっても大変嬉しい、この上ない喜びでした。
彼女は、コンクール以外の曲も、ありとあらゆる曲を練習し、レパートリーを増やしていますが、毎週、レッスンはどんなに、忙しくても、学校行事があっても、休むことなく欠かさず、毎週碧南の遠いところから、通ってくる、大変な頑張りやさんです。心から、彼女の努力を讃えたいと思います。おめでとうございました!!

又、昨日は、今、東京音大のピアノ演奏家コース2年生の生徒が、連休中に帰省して、レッスンに来ました。

ラフマニノフのコンツエルト2番、そして、メトネルのソナタ第1番です。レッスンのたびに彼女の成長には、目を見張るものがあります。小さいころから育ててきていれば、その子がどんなに大きくなっても、どんな風に成長したかな、今、何の曲を弾いているのかな、どうやって弾いているのかな・・・・すごく、楽しみでもあり、どこまでも、その子の先が見たいのは、当然のことで、親の気持ちと同じなのでは、と思います。

彼女は、最近、ちょっと、落ち込んでいたようでしたが、私に会ったら、すごく元気になってやる気を取り戻したようなので、私にとってもすごく嬉しい日でした。

どの生徒も、日々、気分の変化で、今日は、ピアノなんて弾きたくない!!とか、もう、努力するのが面倒くさくなった!!とか、アップ、ダウンを繰り返し、レッスンに来ます。

そうかと思うと、すごく調子よく元気そうな時もあります。元気そうな時は、ピアノもノリノリになっているし、全体にテンションが下がっていると、ピアノも調子悪いというように、人間ってちょっとしたことで、すごく、落ち込みやすいと思うのです。

そんなとき、ちょっと、人からほめてもらえたり、暖かく励まされることで、どんな人間も前向きになれるのを私は知っています。

だから、どんなに生徒が調子悪そうでも、絶対に否定的な言葉を言わない。後ろ向きな言葉を使わない。言葉が持つ力はものすごく大きいのです。そうすれば、どんな子供でも、安心して努力して、必ず、上手くなって、いきます。

そんな安心感を私の生徒達や、親御さんには、常に与え続けていきたいと思っています。そうすることで、私も生徒達から、エネルギーを一杯頂いています。

来年1月12日の日曜日には、PTNAあしながヤングピアニストコンサート(しらかわホール)では、小学3年生都築華さん、小学4年生清水陽菜さん、中学2年生荒川千恵さん、同じく中学2年生宮脇彩永さんが出演します。

生徒達の成長は、私の一番の喜びです。小さいころから育ててきた子達が、大きくなって、大曲を弾けるようになった姿を見届けていくのが、私の一番の幸せです。