平成25年1月30日(水)どこへ行ってもつきまとう、逃れられない恐い課題

先日は、明和高校3年生の卒業試験がしらかわホールでありました。

曲は、大体の子達が、音大受験が差し迫っているので、バッハの平均律にショパンのエチュード、ベートーヴェンのソナタ。この3つは、音楽を専門にしている学生なら、学生である間中ずっとつきまとう、いやーな課題です。いえ、学生ばかりではありません。職業音楽家になっても、今度は、生徒を教えたり、コンクールの審査をしたり、年がら年じゅう、この3つは聴かなくてはならないので、正直言ってもう聴きあきた、うんざり・・・・・・という方も結構いるのでは、と思います。

なぜ、この3つが大事かと言えば、ピアノ曲の中で、一番難しいからです。弾くのも、音楽にするのも・・・・。という事は、この3つを聴けば、おおよその、演奏者の実力が判断出来るから必ず、受験、コンクール、いつでも、まずは、これを聴かせて下さい、となります。他の曲なら、ごまかしがきいても、この3つは、ごまかしがきかないので、すごく演奏者にとっては、怖い怖い課題曲です。

私が、ウィーン国立音大を受験した時も、やはり、そうでした。試験官の先生から、始めは、「貴女のお好きなものをどうぞ」と言われます。(ここが、日本の受験と違う所。始めは、誰しも緊張しているから、落ち着くまで、好きな曲ではじめてもかまわない)

ある受験者なんて、「ちょっと、手慣らししてもいいですか?」なんて言う人もいて、あれには、相当驚きましたね。本番ですよ。日本なら、絶対そんな受験しませんから、何ともフレンドリーで、リラックスして受験に臨めるなあと思った次第でした。

しかし、その次は、必ず、「では、バッハの平均律をどうぞ」そして、「ショパンのエチュードをどうぞ」「ベートーヴェンのソナタをどうぞ」と言われます。この3つは、どこへ行っても音楽学生の万国共通必須科目なのです。
ロマン派や、近・現代は、二の次。要するに、ロマンや近・現代では、その人の本当の力はわからないのです。

さて、先日の試験では、皆さん頑張っていましたが、ショパンのエチュードは、速く弾きすぎる人が多いと感じました。特に、響きの良いホールでは、普段練習の時よりずっと、タッチも軽く感じられるし、注意しないと、浮足立って、どんどんスピードは増し、加速化して先走っていきます。上滑りになっている人が多く、もうこれ以上は指が回りきらないほどの速さで機械的に弾かれてしまうのが、ちょっと残念でした。

速い動きというものは、表面的な速さではなく、あくまでも奏者の心から出た歌のある速さでなくてはなりません。上っ面の表面的すぎる音楽にならないように、又、音の強さも然り。心は、全く盛り上がっていないのに、指だけで強く、大きく弾いても何も、聴き手には伝わりません。

又、自分が弾いている曲が一体、何拍子なのか、1拍めに重みをのせて、のめっていかないように、それをわきまえて弾いていくことも大切です。拍の頭がずれると、どんどん上滑りになっていくからです。

あと、ペダルの響きの中で、音がおぼれて混沌としてしまう演奏も多く見受けられました。ホールでは、普段使っているペダルより、ずっと少なく、又は、それを想定して普段から練習しておかないと、本番で、「何だ、これは!!自分が弾く音がモヤモヤして全然聴こえないではないか!!」と混乱するもとになってしまいます。

あと、一本調子の丸覚え式に演奏しないことも大切です。丸覚え式演奏とは、私が生徒たちによく話す、機械的に暗記させられた掛け算の九九とか、何かの早口言葉を意味もわからず一気に唱えているような感じの事をいいます。こうなってしまうと、指だけが上ずって先に走っていき、あとは、もう運を天に任せるだけ・・・・・・どこをどう弾いたのかさっぱり覚えてなーい!・・・・・・みたいな、演奏になってしまうのは、ちょっと、悲しいですよね。そうならないために、細部にわたり、ハーモニーの理解、調性の変化、多彩なニュアンスなど、さまざまな部分の曖昧さを本番までに取り除いておく事が必要不可欠でしょう。練習の時に曖昧模糊としていた場所は、恐い事に本番で、丸裸になってしまうのも事実。

そして、今、自分が弾いている部分は、何拍子でひいているのか、自分が指揮者になったつもりで、相手にわかるように、弾いていけば、相当、素晴らしい演奏になっていきますよ。

つまり、ペダルの問題もテンポ感、拍子感も、客観的に自分の演奏が聴ければ申し分ないです。

しかし、そうはいうものの、頭ではわかっていても、なかなか、緊張ドキドキのさなかでは、冷静になれないもの。でも、だからこそ、挑戦しがいがありますね。

そのいやーな恐い道は、音楽学生さんなら誰でも通り抜けねばならない、私達も通ってきた、いえ、今も通っているイバラの道なのであります。(笑い)音楽の道は、キラキラロマンあふれる道よりずっとずっと険しい道というのが、真実ですが、全国の音楽学生受験生の皆さん、頑張って下さいね。


平成25年1月25日(金)好きな事、出来る事なら、時間が作れる

私が先日、練習の仕方について、日記に書いたら、かなりの反響が多くありました。今も昔もピアノ学習者の皆さんが、普段の練習をどのようにしたらよいかわからないと悩む人は多いのだなあと思いました。よく、練習時間がないから出来ないと言う人は多いと思います。確かに、学生時代は、自分の不得手な事も、何もかも一通りやらなければならないので、すごく大変です。

私が皆さんにお勧めする練習法は、とにかく、時間を決めてやるというのが、いいかと思います。私が、大体生徒たちに課題を出すのは、その人によりますが、1週間に6曲ほど。それを、小・中学の子なら大体、3時間は毎日練習出来るはずですので、1曲に30分練習時間がとれます。

又、練習の優先順位というものもあり、私が、今週は、これを一番優先にやるというのを番号をつけて書いてあげています。大抵は、本番に弾く曲が1番目に来ますが、その人の仕上がり具合によって、その曲は今週はさらわなくてよいので、他の曲をさらいましょう、という具合に、練習メニューをつくっていきます。

あと、新しい曲などで、まだ、あまり弾けていないから、そればかりに時間がかかりすぎて、とうとう1週間1曲だけしか、練習出来なかったという人には、例え、その曲が完全に仕上がらなくとも、何となくでも弾いて練習することを目標にすると良いですね。
未解決になっていても良いのだ、と思って、一段でも2段でも沢山譜面を読むことをお勧めします。

私が、桐朋の高校時代、担任をして下さった先生は、語学をマスターするのに、とにかく、原書を1日100ページ読み続けるといい、とおっしゃっていました。
それが確実に毎日やれれば、確かにマスター出来るでしょうね(笑い)

その時、「へえー、日本語訳もないのに、読んだだけで、意味がわかっていくのかな?」と不思議に思いました。勿論、試した事はありません。そんな時間はないからです。なぜなら、私の学生時代の優先順位はピアノのレパートリーを1曲でも多く増やすことでしたから、その時間があるなら、ピアノを弾きたい、そう思っていました。

大体、全くわからない単語をずっと読み続けていれば、どういう意味かな?と3行くらい読むと辞書が引きたくなります。しかし、辞書を使わないで、100ページただ読むと言うのも相当、忍耐がいると思うので、2,3ページ読んで、ああもうやーめた、そして、時間がないから出来ないという感じになっていくのだと思います。

時間がないというよりは、それだけの時間をその事だけにつぶしたくない、それが本音でしたね。その時間があれば、私にとっては、ピアノ曲を何十曲も新しく増やす事が出来るからです。「時は金なり」とはよく言いますが、人生限られた時間を何に使ってきたかで、その人となりが決まってきます。

私を含めて、人間は、やはり、何だかんだ言いながら、結局は、得意な事と、好きな事ならどんな事があっても時間をつくろうとしますね。

練習の方法は人それぞれであっていいのは、勿論の事。色々と試すうちに、つかめてきますよ。


平成25年1月17日(木)体験した後で、わかるようになるもの

センター試験も差し迫り、音大受験生も音高受験生もいよいよという感じになってきました。先日は、高校3年生の音大受験生が実に素晴らしい演奏を聴かせてくれました。40分ほど、休憩なしに、弾き詰めてもらいますが、ほぼ、完璧な演奏をしてくれました。

全部弾きとおすと、立派なリサイタルプログラムになるので、大変です。

最終の段階が迫ると、隅々のチェックというよりは、1時間でも2時間でも、どんな事が起きても弾きとおせる、「持久力」そして、「集中力」をさらに高めていってね、と生徒たちには話します。

40分弾き続けた時に、やはり難しいのは、一番初めの曲。初めが上手くいくと、自分でも自信がわいてきて、途中もそれなりに、のって弾く事が出来ます。その次に意外と集中力が途切れるのが最後に近づいてきた時。ああ、もう少し・・・・・と思ったとたんに、アレっ?何だっけ?と急に空白になってしまう事もあるので、最後の最後まで、気は抜けません。私は、そんなとこは、飛行機の操縦に似ているかな?と思っています。飛行機も、事故が起きる時は、大抵、離陸するときと、着陸するときなのです。パイロットも一番その時が緊張して恐いと聞きます。

水平飛行に移れば、ほぼ、順調に進んでいけますが、最初と、最後は、何となく、乗客もシーンとなって、大丈夫かな?という独特の空気が流れます。

だから、演奏者も、観客も、最初と最後は、とても緊張するのです。けれど、その緊張を上手く通り越せば、雲の上を飛んでいる明るくて輝かしい世界が開けるので、そこまで到達するようにイメージトレーニングしておくといいですよ。

さて、話は変わり、「わからないので、弾いてこれなかった」という生徒さんの質問に、先日、私は、答えました。

「とにかく、わからなくてもいいから、弾いてごらんなさい」。とアドヴァイスしました。ピアノの練習で、すごく大切なことは、やはり、音をまず鳴らすということです。とにかく、どんな指使いでもいいから、弾いてみる、音楽的なことも何も考えなくてよいから、とにかく弾く、という事をおすすめします。

私から見ると、ピアノを前にして、わからない、とつぶやいているのは、美味しそうなご飯を前にして、「うーむ、ご飯はどんな味がするのだろう?」と食べないで、考えているだけのように見えます。

ご飯がどんな味なのかは、食べればわかります。弾き方がわからない、指使いがわからない、歌い方がわからない、全ての「わからない」は自分の身体で
「体験」する事によって、初めて、どう、弾いたらよいか、指使い、ペダル、歌い方、・・・・・・さまざまな事がわかってくるのです。

「とにかく、理屈を言わないで、食べなさい、試してみなさい」です。考えていないで、行動せよ、ということです。

多分、弾くより先に理屈がわかってからでないと、という人は、全てがわからないのではないはずです。初めに、あれもこれも、と完璧にこなさなくてはならないと考えて、弾き方から、指使いから、ペダルの踏み方から、何もかも完璧にこなさなくてはと、思いすぎていますね。

私は職業柄、日記だけは、自分で書きますから、パソコンを使いますけど、若い皆さんがやっているように、コンピューターは全然上手くもないと思います。でも、こうして、日記を書いているうちに、どこを、押せばいいとか、いじっていくうちに、何となく日記だけは、要領がつかめてきました。

何でも、初めての事にとっかかるときに、「わからない」というのでなく、とにかく、いじって、「体験しよう」というのが、どんな分野でも、「わかる」ポイントなのだと思います。

体験によってしか、人間は、わからないものです。体験しない、行動しない前に「わからない」と言わないように、食べてみましょう!!すごくおいしいかもしれませんよ。


平成25年1月11日(金)練習スケジュール

先日レッスンに来た生徒が、練習スケジュールを書いて見せてくれていました。私は、こういう練習も悪くないけど、今、やらなければならない事を最優先して練習した方がいいよとアドヴァイスし、その通りに家での練習を変えてやってみたところ、実に効率よく練習出来たとの事。良かったです。

彼女は、美的センスもあるし、音楽的に弾くのだけど、いまいち、練習の仕方がつかめていないような感じでした。しかし、先週、とてもきれいに演奏してくれたので、すごく嬉しかったです。

練習の仕方もやはり、昨日書いた、歌う事同様、ああしてみたり、こうしてみたり、何年もの試行錯誤が必要です。

私は、何か物になるには、集中力が一番大切と感じています。だから、例えば、一つのことをやっているときに、何か他の事をするのは、良くないという考えです。

ちなみに、他の方はどうかわかりませんが、私は、何かやりながら、音楽を聴くというのが、昔から、全く出来ません。たまに、夜寝るときに、本を読みながら、音楽をつけて寝ようとすると、さあ、大変。そのメロデイと一緒に、「ああ、あそこは、もっと盛り上がって・・・・・」とか、どんどん、頭が音の方に向いていってしまい、本の内容が、一向に前に進まないのです。だから、ああ、もう、うるさい!となって、ものの、2分もたたないまでに、CDの電源を切ってしまうのです。

又、たまに、テレビで、誰かが話しているときに同時に音楽が鳴るのも、もう許せません!!音が気になって気になって、話が、ちっとも理解できません。(笑)

よく、音楽を聴くと心が安らぐとか、眠れるとか、聴きますけど、私は、全く駄目ですね。やはり、職業になっていると、音楽は逆に興奮する材料になってしまうので、音楽家には、音楽が眠れる材料とか、癒しにはならないようです。(笑)

昔から、「ながら勉強」は、良くないといわれます。英語など、語学を学ぶのでも、よく、耳から聴き流しただけで、ペラペラになれるとか、それは、絶対にありえませんね。どんな分野でも、そんなに楽して、物になるわけがありません!それは、何もしないより、始終、耳にしていたほうが、しないよりはまだ、マシだとは思いますが。

頭の中にその単語を1つ1つしっかり入れて、身体にしみこませるには、一つ一つ、辞書を引き、何回も書いて、発音して、実際、使ってみて、人前で、恥をかいて悔しい思いをして・・・・そうやってようやく、何事も身についていきます。それも、かなり、努力しても、ほんの少しずつしか、進む事は出来ません。それくらい、人間の学習のスピードは、遅いものなのです。


「1つの事に集中する」とより大きな成果が得られるので、私も、勉強しながら、音楽を聴くとか、絶対に、しないようにしています。それは、自分の体験からいっても、効率良い勉強法です。なかなか、上手く弾けるようにならない、と感じている人は、もしかすると、普段の練習の仕方が悪いかもしれません。自分で、練習スケジュールを書いてみて、どうしたらよいかわからない人は、私が、スケジュールを上手く組んで、メニューを作ってあげます。

今週末は、YPFのアドヴァイスレッスンに沼津を訪れます。沼津の生徒さん達が、どんな練習スケジュールで、練習をされているか、とても楽しみです。


平成25年1月10日(木)ピアノで歌うとは?

今日は、ピアノを歌わせる、というテーマで書いてみます。ピアノを習い始めた学習者、いえ、かなりの上級者にとっても、恐らく一番難しいと思う事の一つがピアノで、「歌う」ということについてでしょう。

ピアノで歌えるようにするには、歌う事が自由になれるほどの練習を積む事はもちろんですが、それ以上に、歌のあるものをよく聴くということが大切です。そして、自分の心の中に歌心が沢山養われてきたら、今度は、それを実際、ピアノで弾く時に使う技術を習得しなければなりません。

よく思うのは、ドーと一音鳴らした時に、単に指を半分くらいドーとだけ鳴らしている人と、ドーがその次の音まで、例えばミーなら、ドーからミーの間をずっと気持が続くように歌っている人、保てる人とでは、格段に違ってくるのです。

チューリップの花で説明しましょう。

ピアノで歌っていない人の弾き方は、「ド・レ・ミ・、ド・レ・ミ、ソ・ミ・レ・ド・レ・ミ・レ」と一音一音区切れて、文章としてまとまりがない感じです。

反対に歌って弾く人は、「ドーレーミー、ドーレーミー、ソーミーレードーレーミーレー」とずっとつながるので、歌って弾いているとなります。

まず、ピアノの音を一音だけ鳴らしてみましょう。ドー、その時、指を、ただ下げただけではだめですよー。下がっても徐々にその音は上へ上へ、上がっていくのです。

私は、小さい子達には、これを「天使の音」と名付けて教えています。

教会の中では、人間の声も、楽器の音も全部響きは、音が全部上へ上へフンワリ、フンワリ浮かんで天使の所まで響いていきます。

大体、上には天井画が描かれており、そこに、聖書の中の人物や、キリスト様やマリア様も登場して描かれています。音は全てその空間を広がるようにして周り、響きがさらに空のかなたへ浮かんでは消えていきます。

だから、音は下に下がってきてはいけないのです。音楽と神は一体。地上で怒ったり、けんかしたり、バカバカしいことばかりやっている人間の世界で音が鳴ってはいけませんよーという事で、「天使の音」を目指すと自然に、歌えるようになりますよ。

そのフワフワ感は決して音が弱弱しくはありません。「天使の音」の響きの周りは、キラキラと輝いて、神々しく、聴く者全てに神を感じさせる、そんな音です。
とはいっても、今すぐに、歌えるようになろう、それは、無理です。

頭ではわかっていても、実際その技術を習得するには、20年以上は、かかり、その間には、何度、泣きみどろになりながら、血が目から吹き出すほど苦労して死ぬほど苦労することを、覚悟しなくてはならないでしょう。そのうえで、やっと、ピアノで歌うという事がわかってくると思います。

ピアノの世界では、今すぐに、出来るようになりたい、と思っても、沢山沢山回り道をしてこなければ、本当の音楽の世界にはたどり着けないのです。

ドからレに行くのでも、鍵盤上ならサッと行けますけれど、サッといくのはだめなのです。ドーからすごくすごく時間をかけて回り道をしてレーに行きます。
だから、ちょっとせっかちな人にはピアノは向きません。すごくのんびりと、一つ一つ時間をかけて自分で自分を責めないように、いらいらしないように努めながら、毎日楽しんで下さいね。そうすれば、必ず何時の日か歌えるようになりますよー。


平成25年1月4日(金)今わからなくてもわかるようになる時が必ずくる

新年が明けて、元気よく生徒たちがレッスンにやってきました。東京に行っている音大生も音高生もそれぞれに成長した演奏を聴かせてくれてとても嬉しかったです。

又、3月24日の門下生コンサートも段々近づいてきたので、お母様方にお願いして、チラシを色々な場所において頂いています。私は、車に乗れないので、というより、(免許も持っていない)ので、皆さんが協力して下さり本当に感謝しています。

さて、皆さんからの質問で多いものを取り上げます。それは、曲の中のトリルは、どのように入れるかという問題です。バッハなどのバロック、ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェンなどのクラシックは装飾音が多いので、初心者は難しいと思います。特にバッハなどの何も書かれていない原典版を見せて、いきなり幼い子供たちに弾かせるのは、無理でしょう。

以前にも日記に書いた事がありますが、初めは、学生さんにお勧めできるCDを聴くといいですね。それも演奏者によって、色々な入れ方があり、トリル1つ取っても上から入っていたり、下から入れたり、数も多かったり、少なかったりして、一体どれを選択すればいいのか非常に困ると思います。しかし、何人もの演奏を聴いてみる事をお勧めします。又、校訂版を見て参考にするのもいいですね。

トリルは、原則として、こういう風に入れる、という決まりのようなものはありますけど、絶対にそうでなければならないということもありません。

要は、そのトリルを入れた時に音楽として、自然にまとまって歌のように聴こえるのかどうかということが一番大切なのです。

私は、生徒たちには、色んな入れ方があるけど、○○ちゃんにはこういう風に弾いた方が綺麗に弾けるよ、と言って教えます。だから、同じ曲でも、Aさんにはこれで、Bさんには、これ、という風に入れ方を変えなくてはならない事もよくあります。

しかし、私達音楽家が見て、絶対にこういう入れ方は駄目というトリルがあるというのも事実です。

これなら、良くて、これなら、悪い、そういうトリルの入れ方は、いつになればわかるのか、と思われる方は多いと思います。それが、クラシック音楽を学ぶことになっていくのです。

学んでいくと、今すぐにわからなくても、何年か後に必ず分かってくる時が来ます。しかし、それは、学び続けていなければ、分からない事でもあるのです。

本の内容でも、若い時は、難しくて理解しにくい内容だったけれど、何年かたって、人生経験が豊かになるにつれて、理解出来るようになったということがあると思います。

焦る事はありません。1年先か2年先か、5年先、10年先、学び続けていると必ず、分からなかった事が見えてくるように出来ているのです。



平成25年1月1日(月)新年明けましておめでとうございます

今日から、新しい年を迎えました。皆さま、本年もどうぞよろしくお願い致します。

元旦の今日は、普段と変わりなく、まず、朝起きるとすぐに、ピアノを一番に練習して、今年も今までと変わらずピアノと共に歩める日々でありますようにお祈りしました。

近所の神社に初詣に行き、今年の音高、音大受験生の生徒たちの合格祈願、そして、生徒たちが、いつも健康で幸せでありますように、元気で楽しく、私の教室に通ってこれますように、とお祈りしました。

そして、沢山のお年賀状、皆さま有難うございました。色とりどりの沢山の生徒たちの年賀状が、玄関をお花畑のように華やかにして目を楽しませてくれています。

私が、今日、一番の驚きだったことは、私の桐朋学園時代7年間共に過ごした、同級生の友人が結婚したというニュースです。

結婚したこと自体は不思議ではないのですが、彼女が結婚したという日に、私は、彼女が結婚したという夢を見たのです。
そして、旦那様のお顔も全く同じで・・・・・・。

正夢が現実になるということがあるのですね!!彼女とは、普段しょっちゅう交流があるわけではなく、ただ、夢を見た事がそのまま、写真になって送られてきたので、ちょっと、自分の霊能力!?のすごさに我ながら恐ろしくもあり、又、びっくり仰天しています。

さて、1年の初めに私は、今年1年の目標をたてます。

私がたてた目標は、

自らを灯明とすること、そして、生きる知恵を日々備えられるように努力していきたいです。

私の好きな言葉は、「天は自ら助くものを助く」ですが、スマイルズが書いた、「自助論」。最近読んだ本でとても共感しました。
人生は自分の手で切り開け、その通りです。夢多き若い人達にも是非読んで頂きたいお勧めの本です。

元日は、ウィーン・フィルニューイヤーコンサートを見れるのが楽しみ!!私がウィーン留学時代師事していた先生の息子さんもウィーンフィルで、演奏していますし、何と言ってもウィーンは私にとって、第2の故郷ですからね。ヨーロッパの中では、一番愛している街です。

又、ウィーンは、音楽の都としても、生活のしやすさ、治安の良さ、自然の素晴らしさ、どこをとっても最高の場所です。何度訪れても又、行きたくなるのが私にとってのウィーンなのです。