平成23年11月25日(金)寒くなって・・・

冬本番という感じになってきました。
今日も本当に寒かったです。先日浜松に行った時に、26度もあり、ステージ衣装の上から何も着なくてもノースリーブのまま1日中うろちょろしておりましたので何だかおかしな気候です。

今日は年に数回ある、講師会議があり、久しぶりに皆さんとお会い出来てとても嬉しかったです。

来年の入試の事が一番のテーマでしたが、その他は、現在の生徒の状況など聞く事が出来ました。

最近の傾向で、コンクールがあまりにも増えすぎて、受けにいくために、学校を休むといったことが、当たり前のような状態になっているとかで、コンクールのためなどで、学校を休まないように先生方から、指導して頂きたいとのお話も聞きました。

私の学生時代を振り返ると小学・中学時代は、やはり、普通の学校だったもので、ピアノの事で、外部に出なくてはならない事が多々あり、何かとお休みしなくてはならない事が多くありましたが、音楽高校に入ってからは、一日も欠席したことはありません。

大学に入ってからも、普通は大学3年くらいになると授業を少なくとれば良いのですが、学生という時代は人生の中で、2度とこない、社会に出たら、勉強する時間も、なくなるのだという強い信念を持っていたので、普通の人の多分倍くらい授業をとっていました。

出来がいいかは別として、学校で、先生から教えて頂く、という体験は卒業すればもう2度とこないわけですから、いつでも、今やらなくてはならない事に専念してこれたことは、幸せだったなあと思います。

だから、よく、「あーあ、もっと若い時にしっかり勉強しておけば良かったなあ」と言われる方がいますが、そういった後悔が現在全くないのは、本当に有難い事だと思っています。

私の意志と共に、私を助けてくれた周りの方々に真っ先に御礼を言いたいといつも感謝しています。

そして、今日のお話では、学生達がもっとたくましくあってほしいという事も話題になっていました。

ピアノ人生を送るには、1に体力、2に体力、というくらい、体力、精神面の他、ものすごく強い意志が必要です。

最近新しく入ってきた、小学3年生の女の子がすごく健康そうで、こんな感じだとちょっとや、そっとで、へこたれたりしないだろうなあというのがすごくよくわかって嬉しくなりました。

やはり、注意しようと思っても、何だか鼻がぐしゅぐしゅ、咳コンコン、と言う感じで、具合悪そうにしていると、可哀相で、こちらも、思い切りレッスンしてその子に要求出来なくなってしまいます。

第一その子自体辛いでしょうし、体力がないと、ピアノも勉強も頭がぼーっとして身がはいりませんから、心身共に健やかであるというのは、勉強やピアノの成績が良い事以上に最も大切な点です。

又、昔から「病は気から」といわれるように、気持ちが弱くなっていると、病気になったりもします。
常に、物事を良い方向、良い方向へ考えて、気持ちを明るく、楽観的に過ごすことが大切ですね。

悲観主義者は気分や感情に振り回される人に多く、楽観主義者は強い意志の力で、物事の良い方面を見ると聞いた事がありますが、正にその通りです。

悲観する事は、すぐにでも出来るけれど、楽観する事はすごく強い意志がいるというのは「病は気から」と同じ事かなと思いました。
寒くなっても、心は暖かく、物事の良いところを見て、いつも楽観的にとらえて行きたいと毎日思っています。
勿論思うだけでなく、実行する事が私の毎日の目標です。


平成23年11月20日(日)YPF課題曲コンサート・浜松アオイ楽器店で

今日も又、浜松でYPFコンサートがあり、演奏、アドヴァイスにいってきました。

日曜日ということもあって、沢山の方々にお集まり頂き、お子様や、ご父兄の方々、ピアノの先生など、皆さんすごく真剣に聴いて下さってとても嬉しかったです。有難うございました!

浜松は、20年以上も前の学生時代に、調律師さんの卵の方ばかりを集められたテクニカルアカデミーホールで、ソロリサイタルをさせて頂いたことや、レッスンやコンクールなどでもちょこちょこ訪れたりしていましたので、想い出深い場所です。
20年ぶりに浜松の駅を見て随分変わったなあ!とびっくりしました。

今日は、事前にリクエスト曲があり、その曲に絞って演奏、アドヴァイスしましたが、本当は全曲演奏したかったです。

しかし、それでなくとも2時間以上越えてしまいますし、スタッフの方々にご迷惑をおかけする事になるので、時間の配分にとても苦労しました。

A、B部門の始めの方をゆっくりやっていると、C、D部門が少なくなってしまうことになりますし、時間が足りないと思うと早口になったり、もっといろんなことをお話したいのに、とてもじゃないけれど、1時間半では、演奏もして、お話も入れて難しいなあとつくづく感じました。

今日は、やはり、ステージという事もあってお客さんとも距離が少しあり、「ご質問ありませんか?」とお聞きした時、皆さん遠慮されているようでした。
ペダルの踏み方がわかりませんとか、音の出し方がわかりませんとか、とにかく何でも意見を言って下さるのが私はとても嬉しいです。

感想を頂けるのはとても嬉しい事なので、私はレストランに入ったりしても、「美味しかったです!」とか、必ず、お店の人に感想を言うように心がけています。

私の母がよく話していたことです。実家の母が(私からすれば、祖母)まだ生きていた頃、色々な食べ物を送ってくれたりしてくれたそうなんですが、
その食べ物が美味しかったのかまずかったのか、届いたのか、いずれにしても何か感想が欲しいとよく言っていた、あげた方は相手がどう感じただろうかとすごく気になるものだから、何かして頂いたら必ず感想をいうようにしないといけないよ、と言われてきました。

皆さんにとても親切にして頂いて本当に嬉しかったです。又、是非浜松を訪れたいと思っています。
皆さん、本番頑張って下さいね。応援していますよ!!

そういえば、昨日、桐朋の高校、大学時代の同級生から、メールを頂きました。

あれから、20年以上もたち、ものすごく懐かしくて嬉しかったです。
彼女とは、高校時代の寮でも同じで、夜中に彼女の部屋におしかけていって、恋の話やファッションの話、ピアノレッスンの話など、夜を徹しておしゃべりしたなあとかつい昨日の事のように思い出されます。

最近、やはり、折り返し地点になったからでしょうか。
妙に昔の学生時代の友人や、お世話になった先生方に会いたくてたまらなくなることがよくあります。

桐朋時代の友人にも会いたいし、ウィーン時代の友人の事もすごく懐かしくてたまりません。
ウィーンで、国際結婚された友人もいますし、お子さんもいらっしゃったり、皆立派にそれぞれの道を歩まれています。

私のブログを楽しみに見て下さっている方達が世界中にいるのかなと思うと、インターネットの力はすごいなと改めて感じます。

丁度私達の年代なら、子育てひと段落されている方が多いと思います。

世界中のどこかで、仲良くさせて頂いた友人の皆様がいつまでも健康で、ご活躍されますように皆様の幸せを心からお祈りいたします。


平成23年11月17日(木)YPF課題曲コンサート

今日は、朝から、鈴鹿の第一楽器で、YPF課題曲全曲コンサートの仕事があり、演奏、そして1曲ごとアドヴァイスをしてきました。

聴いて下さるのは、皆さん、ピアノの先生方ばかり。皆さん、楽譜を持って私が話しをするたびに、深くうなずいて必死で書き込みをされています。
私の演奏や話を、一生懸命聴いて下さる、先生方の熱心さに、感動してしまいました!!こんな熱心な先生方にご指導して頂けるなんて生徒さん達はつくづく幸せだなあと感じました。

チャレンジ部門、A、B、C、D部門全曲弾くと40分以上はかかります。

演奏をするだけでなく、やはり、全ての方々が聞きたい、と思うのは、どうすれば、予選を通過出来るのか、コンクールで、賞をとるには、どうすれば賞に入るのか、そういったことが一番聞きたいことだと思います。

コンクールの本番までの過程も大切だけれど、結果を出すには?そういう具体的なノウハウを演奏を交えながらお話しました。

時間も大幅に延長してしまい、スタッフの皆さんにご迷惑をおかけしたのではないかしらと思いましたが、終演後も皆さん積極的に質問を出して下さいましたし、私がお昼を頂いた後、更に待っていらして、ここはどのように弾くんでしょうか?とか私が弾いたあるパッセージを右でとったり、左でとったりする方法を楽譜に書き込んだり、アゴーギクのつけ方とか、何から何まで、学びたいという熱い想いを頂いて本当に嬉しかったです。

つい先日明和高校にいらして下さった、ブルーノ・リグット先生がロシアで、マスタークラスを開いた時に、聴いて下さった皆さんが、楽譜にペダルの踏み方をリグット先生が踏んでいる通りに一生懸命楽譜に書き込んでいるのを見てリグット先生はすごく緊張したと話されていたのを思い出しました。

音楽っていろいろありだと思うけれど、結局は理屈を超えて、その演奏にパワーがあり、こういう演奏ならどんな審査員も納得出来る!!とか、心に残ったなあ、心に届いたという演奏なら皆さん一同、審査員でなくとも、共感出来ると思います。
その道の専門家でなくても、いいものはいい、わけです。

私は、皆さんが共感出来る演奏のノウハウを出来るだけ生徒達に具体的に伝えるようにしています。

脱力の仕方、ペダルはどういうときに濁って聴こえるのか、踏まなくてもいいところ、踏まなければならないところ、色彩感の出し方・・・・・
とても、2時間や3時間では伝えられないのが残念でしたが、皆さんに「本当に感動しました!!又、是非鈴鹿にいらして下さい!!」と言って頂き、疲れも吹っ飛びました。皆さん、本当に有難うございました!

20日(日)は浜松で、今日と同じように又、全曲コンサートをします。コンクールの賞に選ばれるコツを何でもお教えします。

楽しみにしていて下さい!!。


平成23年11月10日(木)ピアノの魅力

少しずつ寒くなってきました。マンションは気密性が高くいつまでも暑かったので、つい最近まで半そでを着ていましたが、さすがに今日は長袖を初めて着ました。

寒くなると風邪引きさんが多くなってきますので、皆さん気をつけて下さいね。

来週は、2回も遠隔地で、YPF課題曲全曲コンサートをしなくてはならないので、私もしっかり、体調管理に努めています。

昨日は大学生の子達の試験前のリハーサルをした後「みんな、ピアノの魅力って何だと思う?」と聞いてみました。

「自分の思いが自由に表現出来ること」とか、「他の楽器と違って、一度に沢山の音が鳴るから、オーケストラを一人で、合奏しているみたいな感じを味わえる」とか、さまざまな感想を言ってくれました。
その中で、「ピアノの音が一番癒されるなあ」と答えてくれた学生もいました。
その学生に「なぜ、ピアノの音は癒されるのかな?」と尋ねてみました。すると、?の顔をして答えに困っている感じ。

私は、「ピアノの音の魅力は、やはりその消えていく音にあるような気がする。でも消えるというのは、ピアノの欠点でもあるよね?」と話しました。

ピアノの音をポーンと鳴らすと、一瞬音が高く上に上がってすぐ下がってしまいます。
まるで、雪が土にとけていくみたいに降っては消え、降っては消えていきます。

「だから、音はガツガツつかまえて追いかけていくのでなく、消えていく音を慈しむように、懐かしい想いを込めて弾いていこうよ」
と学生達に話しました。

癒されるのは、ピアノの音がすぐ消えるからなんだと思います。

それを一番に生かした作曲家がショパンだと思いますが、減衰していく音にショパンの音楽の世界があります。

私が、生徒達に音の余韻をよく聴きなさいというのもその理由からです。
音そのものより、音が消えていく時、音のないところに、私はすごくピアノの魅力を感じます。


平成23年11月3日(木)美しい心も育った生徒達

今日は、来年の10周年記念門下生コンサートで演奏する生徒達のコンチェルトの合わせを初めてしました。
曲はモーツァルトの20番第1楽章。名曲中の名曲で本当に美しい曲です。

モーツァルトのコンチェルトはやはり、20番以降が素晴らしいですね。
21番も美しいし、23番の2楽章はバレエのソロの振り付けにもなっていて、マラーホフの踊りに大感激。
又、26番の戴冠式は私が昔、愛知文化講堂(今の愛知芸術劇場のコンサートホール)で、中学2年生の時初めてオーケストラと共演した想い出深い曲。

オーケストラが思った以上に重くて重くて、いかに自分勝手に先走って弾いていたかも思い知らされました。

特にモーツァルトは16分音符などの細かい音が多く、勝手に指が走っていったりすると、実際オーケストラとは全く合わなくなってしまうので、それをイメージしながらの練習が必要ですし、スコアを見ながら、ここはオーボエが鳴っているとか、クラリネットが響いているとか研究しておかなくてはなりません。

20番と同様、私が一番好きなのはやはり、27番。

ウィーン国立音大の修士を終了するリサイタル試験で、ケラー先生がセカンドを弾いて下さった曲で、これも、懐かしい曲。

あの美しい2楽章はもうこの世のものとは思えません!!。天使の声を書きとめた作曲家モーツァルト、正にここにありと言った感じで、あの、清らかな清澄さといい、崇高さといい、天国にいってしまう感じがします。

20番はどちらかといえば、ベートーヴェンに近い感じで、深い悲しみを湛えたところが、私は大好きです。

モーツァルトの音楽は走り去る悲しみとよく言われていますが、どんなに曲調が明るくてもどこか悲しい。
それも、ゆっくりしたテンポの中に悲しみがあるのでなく、テンポが速くて、その中で、悲しみを湛えたメロディが全く苦労もなく描けていると言った感じがします。

ベートーヴェンとか、ブラームスとかは何か作曲している時から、血がにじむような生みの苦しみがあるような作曲の仕方に感じるのですが、モーツァルトは何にも苦労せず、メロデイが浮かんでいると思います。
本当の天才というのは、そんな感じなんだろうなーと思います。

今日弾いてくれた2人の生徒達は初めて合わせをしたのですが、とても上手に弾いてくれて感心しました。

私のところで、8年、9年たつような長い門下生達です。
2人ともピアノが好きでたまらないと言った感じ。

本当に成長してくれたことが、嬉しくてたまりません。

もう一つ私がすごく嬉しく思っていることがあります。
幼い頃から、通っている生徒達全てがピアノ演奏だけでなく、「心」が育っていると言う事が私にとって、一番嬉しく、誇りに感じていることです。

ピアノ演奏は心が育たなければ、絶対いい演奏は出来ません。
ましてや、人を感動させるような演奏は絶対出来ないのです。
どの子も「心」が本当に美しく、そのまま、演奏に表れている感じが私は嬉しいです。

どんな職業でも、心が育っていなければ、成功出来ないからです。

愛を感じさせない仕事など考えられません。私は、自分の職業を愛し、生徒1人1人を愛しています。

長年私と共に歩み心も美しく育った門下生達の演奏が今からとても楽しみです。


平成23年11月1日(火)青春時代

今日から11月。新しく入会される生徒さんのお世話や、今月開催予定の課題曲コンサートの準備に追われているうちに、風のように10月は過ぎ去っていきました。

昨日は、高校で、ブルーノ・リグット先生の公開レッスンがありました。
オーディションによって、受講者が3人選ばれて、そのうちの1人が私の生徒でしたので、聴きに行ってきました。
公開レッスンは、全校生徒の前で、きちんと弾かなきゃ、というプレッシャーと先生の指示を皆から見られている前で反応しなければならないので、大変です。
大体レッスンというものは、レッスンを受けている当本人よりも、客観的に聴いている第三者の方が先生のおっしゃる意味がよくわかるものです。

だから、家に帰って子供に「ほらそこ先生がこうおっしゃっていたじゃない、何で直さないの!」とお母様が注意すると、けんかになったりするのはよくあること。

私も学生の時、弾けない母の方が音楽的に理解出来ていて、私は弾く事で精一杯なんだから、そう弾きたいけど指が思うようにいかないの!と反抗することはよくありましたから、聴いているお母様の気持ち、又実際演奏する生徒の気持ち、その両方がよくわかります。

こんな感じー、とピアノを実際弾かない人がイメージすることは簡単ですけれど、実際それをピアノで再現するのは、至難の業ですからね。
個人個人の指の質一つとっても、硬すぎる、柔らかすぎる、指が早く動かない、手の開きが悪いためにオクターブの音がどうしてもはずれてしまう、あるいは、指の動きが良すぎて、勝手に早く回りすぎて、歌にならないために、テンポ感が悪いなどなど。
ピアノの音は肉体から生み出されるので、肉体がもたらす影響力はやはりものすごく大きいです。

昨日の生徒は、リグット先生から随分とお褒めのお言葉を頂戴し、きっと励みになったのではと生徒共々喜んでいます。

私も何十年も前の昔の高校1年生の時、やはり、学内の公開レッスンでシューマンのコンチェルトイ短調の全楽章を見て頂いた時のことを思い出しました。
この曲の美しさにうっとりしてあの時代は体力が何といってもありましたから、夜中じゅう練習して、カラスやスズメが鳴き始める頃、布団に入ったなあ・・・・今から思えばあんな無茶なことは、中学生、高校生位の若い時でなければとても出来ません!

昨日の彼女も夜中の3時頃までずっと練習しているそうです。
ピアノは身体が資本だから、決して身体を壊すほど練習してはいけないけれど、若い時の数年くらいは、それくらいやるとやはり、将来違ってきますね。

それも、義務感でやるのではなく、身体中から溢れてくるエネルギーをピアノの音にぶつけていってほしいです。
音楽をしたい!ピアノで歌いたい!身体が燃え尽きるまで頑張ってみたい!なんかそういう意欲に溢れている年頃ですから、彼女達を見ていると、正に青春を謳歌しているといった感じで意欲満々だった昔の私を思い出してこちらまで嬉しくなってしまいます。

この前来た中学生の子にも話したんですけれど、私が中学生の頃眠る時間がなくて、制服を着たまま毎晩寝ていたようなハチャメチャな生活を送っていたけれど、大丈夫、若いから無理をしても死にはしないわよ、と言ったら、笑っていました。
すごく、励まされたようです。若い皆さん、とにかく、音楽に対して情熱があれば、どんなに大変な時代も乗り越えられますよ。
体力があるっていうのは、本当に素晴らしい時代です。
そういう時代はもう2度と戻ってこないのだと心して頑張って下さいね。