平成22年3月27日(土)職人気質

門下生コンサートの感想を沢山の方々からお寄せ頂き有難うございました。

門下の方々の他にも外部の方々からも私の生徒達を賛美してくださる心暖まる力強い励ましのお言葉を沢山頂き感謝しております。

外部の方は特に、どの子もあんなに初めから上手い子ばかりなのか、と驚かれるようです。

いいえ、いいえ、とんでもございません。

みんな、1年がかりで、ワインみたいに熟成させて、曲を細部にわたり、ねりあげた子が殆どです。

ステージで、皆さんに聴いて頂くには、このくらい深く曲を掘り下げなければ聴いて頂くお客様に対してマナー違反になってしまいます。
演奏はいつでも自己満足で終わってはいけません。

相手から喜んで頂いてやっとその曲は成功した、といえるわけですから。。。。。。

生徒達の中には、それまでに他のステージで何回も同じ曲を演奏した子も沢山います。

さすがにそういう子の演奏は血となり肉となっていて、聴くたびに益々磨きがかかり本当に美しい音楽の世界を見せてくれました。

そういう演奏は聴いてくださる方の心にいつまでも残るのです。
そんな演奏が私は大好きです。職人のように何年もかかって毎日毎日丹念に音を作る作業に私はこの上ない喜びを感じます。
職人気質ですね。

私は生徒達に、新しいレパートリーを沢山持つ事と同時に人前で弾く曲は3ヶ月やそこらでチョロチョロッと弾いた上っ面の音楽を聴かせるべきではないという事を知っていてほしいと思います。

本番で弾く時は大体何ヶ月くらいかけて練習すれば、ほぼ完璧に近い状態で演奏できるか、という自分のペースを知っておく事がとても大切です。

人前で弾く曲は出来る限り自分に合う曲を探すこと、そして本番で弾く曲はどんなに頭が真っ白になっても指が勝手に動いてくれるくらい曲が練れている事が必要不可欠です。
それが本当に身にしみてわかるようになると、いつでも本番で後悔するようなことはありませんよ。

良いものをつくるには、途方もない年月と時間を要するのだという事を皆さんにわかって頂きたいです。


平成22年3月23日(火) 第8回門下生コンサートを終えて

昨日やっと門下生コンサートが終わりました。
長時間にわたって聞いてくださいました皆様、本当に有難うございました。

私は客席の後ろで、もうずーっとハラハラ、ドキドキしっぱなしで手に汗にぎり、生徒さん達の演奏をきいていました。

初出演ながら、堂々とした演奏、リハーサルでは、上手く行ったのに本番はアラ、アラ、どうしましょ!となってしまった子、
小学生ながらもう既にピアニストの風格を持った演奏、ガラス細工のような繊細な演奏、ロマンティックで音の美しさが際立っていた演奏、
細かい事を変に気にせず、思い切りの良い演奏、名曲の美しさをそのまま聞かせてくれた美しい演奏
思わず「ブラボー」と、叫びたくなるような演奏・・・それぞれの演奏する姿に涙したり、笑ったり、本当に沢山の感動をもらいました。

又、幹事さん達から頂いた温かいお言葉に感激しました。
昨年、私が体調を崩したのをそんなに気にして頂いたなんて・・・。

レッスン中は1日中話し続けるので、のどががらがらになってしまいますので乾燥しないように家では必ずマスクをして体調管理に務めています。

私にとっては1人1人の生徒の命をお預かりしているようなものですから。
いつでもどんな時でも、生徒達が上手くなってくれる事を祈りながらレッスンしています。
そして、私の批評などきかなくても、早く生徒達の自分の耳が一番の厳しい批評家になってくれるように、
生徒自分自身が良い教師になって自分の演奏の出来を判断できるように、出来るだけ早く自立させてあげる事が私の役目です。

又、来年3月19日(土)港文化小劇場で、第9回のコンサートを行いますので来年は、何を弾こうかな?と今から考えておくとよいですね。


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リハーサル後の写真撮影














平成22年3月18日(木) 何故ピアノはコンタクトをとりにくいのか?

私はよく生徒達に「ピアノと自分が一体化して」と、アドバイスします。
そもそも何故ピアノという楽器は、こうもコンタクトが取りにくいのでしょうか?

他の楽器を例にして見ましょう。

まず音楽の基本である歌は、人間の身体一杯を使って声を出します。

クラリネットも、フルートなども口に楽器が直接当たっていて、ヴァイオリンは、あごで楽器を支え、チェロは、足の間に挟んで、
抱きかかえるようにして楽器を使い、弦を直接指で押さえたり、はじいたりしています。

しかし、ピアノはというと身体から一番遠い所にある指先で鍵盤を押すだけで、(実は全身を使って弾いているのですが、初心者の方にはそう見えます。)
口から吹いたりするような事は何一つしなくてよい代わりに、ここにピアノを歌わせるという難しさが隠されている気がします。

簡単に音は出せても、本当にその人の心の中から出ているようにきかせるのは大変ですね。

しかし、熟練してきますと、ピアノが自分なのか自分がピアノか分からないくらい溶け合って一体化する事も可能です。

初心者の方は、歌う気持ちは心の中にあってもそれを指先まで届かせるというのがなかなか理解しがたいようです。
だからなかなか、音色のコントロールも上手くいきにくいと思います。

全部大きな音になったり、蚊が鳴くようなショボショボの音だったりで・・・。

簡単に音は出せても最高に難しい楽器がピアノなのです。


平成22年3月16日(火) 門下生コンサートの最終打ち合わせ

今日は今年の幹事さん、来年度の幹事さんたちと一緒に港文化小劇場へ最終打ち合わせに行ってきました。

今年度は参加人数が多くいつもより時間を超過しなければならなくなった事や、当日の受付はどうするのか、
どこに看板を立てるかなど話し合います。

1つのコンサートを開催するには、本当に多勢の方のご協力が、必要になってきます。
ホールをとりにいくところから始まって、幹事さん達には、本当にお世話になり感謝しています。

しかし、近い将来、私の所で学んだ生徒達が、もしピアノソロリサイタルを開くようになった場合、ホールをとることから始まって、
チラシ、プログラムの作成、時間配分、お客様集めなど、ピアノを演奏するだけでなくその他、事務的な事もとても必要に
なって来ますので、そのための下準備と思って幹事さんたちもこの機会、色々と見ておかれるとよいかなと思います。

私もピアニストの先生にお習いしていた頃、先生が演奏会をされるたびにお客様に宛てる招待状の、宛名書きを、母が書き
私は封筒に切手を貼ったり色々とお手伝いしたものです。

先生の奥様から「いずれ、あなたもリサイタルをやるようになるのだからよく見ておくといいわね」とおっしゃられました。
コンサートを催すという事は、ただ、ピアノを弾いていればよいのではなく、何でも自分達でやっていかなければならない大変な事だなと学生の頃、感じていたものです。

当日はなるべく公共交通機関を使っていらして下さいとのことです。

駅から遠くないので、皆さん、多勢の方とお誘い合わせの上(3/22日(祝日)PM2:00から開演)是非聞きにいらして下さい。

帰宅後、今、桐朋学園大学に行っている生徒がレッスンに来て久しぶりに演奏を聴かせてもらい、大変成長した演奏を聴かせてくれてとても嬉しく思いました。
さすが、大学4年生ですね。彼女は27日に宗次ホールでも演奏するので、張り切っているようです。

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平成22年3月12日(金) 話をするだけで安心する大切さ

今日は高校一般入試の日でした。

私の生徒達も1年が過ぎやがて2年生となり後輩達を迎える時が来ました。

昨日レッスンに来た高校生が、「ここのところずーっと落ち込んでいたのだけど、この前、先生とお話してレッスンをして頂いたらすごく安心しました。
やっぱり先生はすごいです!」と、ノートに書いてあるのを見て音楽の事だけでなくメンタルな部分でも彼女達の力になれていることを知り本当に嬉しかったです。

それでこそピアノも上達するというものですね。。

私も学生の頃、今は亡き大ピアニストでいらした田中希代子先生の練馬区のお宅に何度かレッスンに伺い、可愛がって頂きましたが、
先生にお会いしただけで安心する、そういう心理がよく分かります。

ピアニストとして世界を羽ばたき、皆のあこがれの的であった田中希代子先生は30歳半ばで多忙極めた
コンサート活動と、ヨーロッパの風邪薬が合わなくて、膠原病の病にかかり、手足も身体もままならなくなり、本当にお辛かったと思います。

レッスンでは、車椅子で出迎えて下さり、大変物静かに、田中希代子先生が、お話される一言一言が、
私の心にしみいるようにとても響き、私が、ものすごい悲しみで身もだえしているような時も、先生にお会いすると、安心してピアノが弾けるといった感じでした。

大学生になっていた私は、その頃ピアノの事で頭が一杯になって混乱していました。
しかし、ピアノを上手に弾く事以上に大切な事があることを教えて頂いたと思います。

田中先生ご自身が世界で認められるだけの大ピアニストになっても、こんな身体になってしまっては、どうしようもないのだという事も・・・。

私達はつい些細な事でカッとなったり、思い通りにいかないとそのことで頭が混乱して、全く周りが見えなくなってしまうと思うのですが、そんな気持ちで
ピアノを弾いたところで上手く弾けるどころか、悪くなるばかりです。美しい演奏はまず、美しい心から生み出されるものです。

生徒達には、一生懸命ピアノの技術や、音楽に対するまっすぐな純粋さ、真実を教えるだけでなく、どこか、
先生に会えば、安心してピアノが上手く弾けるという関係をいつでも作ってあげたいと日々生徒達に接しています。

先生に会えば、上手く弾けるのではなく、上手く弾けるような気がする、でも充分ではないかなぁと思っています。

深刻になりすぎないことがどんな時も大切です。
真剣になりすぎていいことは何一つありません。レッスンで音楽に対して要求する事はどんなに厳しくても、根底に、その子に対する慈しみ、愛情が流れていれば、どんなに厳しくても生徒達は、ついてきますね。

私も指導してみてよくわかるのですが、ぎりぎりのところまでは、手助けして、後は、自由にさせることが本当に大切だという事がこれまでの
体験でよく分かります。

自分の思い通りにいかないことがほとんどですが、生徒達を上手く引っ張るコツは、ある時点で「妥協する」そして「おおらかで寛大である事」
そこにあるかなと感じます。


平成22年3月9日(火) 中学校卒業式

門下生コンサートまであと、2週間ほどになりました。

今日は中学校の卒業式だった学生さんも多かったのではないでしょうか?

私が中学校を卒業した時も雪が降り、小学校の卒業式も雪の混じった雨でした。
今日も雨が降り、寒かったですね。

その後も高校の一般入試が始まりますし、受験生の皆さんは気が抜けませんね。

私の門下生の生徒の中にも音楽高校でもなく、大変優秀な高校を受験する生徒がいます。

彼女は、ピアノも大変レベルが高く音楽性豊かで、何より反応が早く、一を言えば、十を知るような頭脳明晰
な生徒だという事は、勿論小学校の頃から分かっていましたが、お医者さまを、目指すと言っています。
何年か後には、「先生、今、○○の病院に勤務しています。時々ピアノも弾いています」と報告してしてくれるのを
楽しみにしています。

白衣を着た女医さんなんてカッコいいなぁー。
ピアノも上手いし、彼女は小学4年生から見ていますが、今やもう中学3年生、立派に成長されました。
レッスンノートにはいつも勉強だけではイヤで、ピアノを弾く事が本当に大好きだといつものように書いています。

他の生徒達も私の片腕になってくれるような生徒が沢山育ちました。

又、新しいほやほやの生徒さん達も、先輩達を見習って一生懸命練習しています。楽しみにしていてください。


平成22年3月3日(水) 音楽の間

今日は、音楽の間について書きましょう。
まだ音楽が充分身体からあふれ出ていない生徒は、特にこの大事な「ま=間」が上手く行きません。

そして休符になり、音が止まると、自分の気持ちも止まってしまうのです。
音楽を感じる子なら、休符の時も音が止まってもずーっと音楽が滑らかに続いていきます。

という事は、歌い続けているから音楽が途切れない。
流れと音楽が、前進していくエネルギーを充分感じている演奏は、聴いていても気持ちよいですね。

又、何かモタモタして重苦しいから先へ進んでと言うと、今度は、高速道路を走る車みたいに
一直線にピューッと、走って、何の表情もなく、ただ、早いだけになっていたり・・・。
アゴーギクのない、切れ目なしの音楽も不自然ですね。硬直していて。

自然に音楽が呼吸していてつなぎの部分にも歌が流れていくような演奏を目指してください。

フイギュアスケートでもバレエでも、この選手は、きっと歌心が、あるだろうなぁ音感がよいだろうなぁというのは、見ていてすぐ分かります。
何といっても音楽を感じていなければ、どこで呼吸するかも足や手や指先、全ての身体の神経細胞に音楽が流れているように滑ったり、踊ったり
できませんから。ピアノも全く同じですね。

柔らかさがあり、柔軟だと言う事は何においても良いですね。
そんな風に命の通った演奏を聴くと、自分も生命を分けてもらったような本当にすがすがしい気持ちになれるのです。


平成22年3月1日(月) 門下生コンサートのプログラム

3月に入り少し暖かくなってきましたね。

今年度の明和高校音楽科受験生は、2人とも推薦で受かり、大喜びで一足早い春を迎え、4月から始まる高校生活に向けて期待で胸が
一杯の様子です。

門下生コンサートも今月の22日に開催されますし、とても楽しみです。

終演後は、新しい生徒さんの紹介やインタビュー、今年度の明和高校に合格した2人の、インタビューも予定しています。
後輩の皆さんも大変参考になるお話が聞ける事と思います。

皆さん最後まで楽しんでくださいね。

幹事さんたちにも大変お世話になり感謝しています。

先日又、ステキなプログラムの原稿が出来上がってきました。もうしばらく生徒の皆さんはお待ち下さいね。

又、お越しくださいますお客様は、当日受付でお配りいたしますので、お受け取り下さいね。
そして是非聴きにいらして下さい。