2009年1月30日(金) もう1月も終わり

モーツァルトやシュトラウスの譜読みに明け暮れていたら、又、昨日
今度は4月29日にあるマリンバコンサートの伴奏の楽譜がドサッと送られてきました。

くるみ割り人形や、ツィゴネルワイゼン等私のお気に入りの曲も沢山、
そういえば、先日、リヒャルト・シュトラウスの歌曲「万霊節」を米良美一さんが歌っているCDを芸文で聴いていてあまりの美しさに
涙を流した私でした。「万霊節」という意味は11月2日に死者がこの世に帰ってくる日で今は亡き恋人を偲ぶ歌なのだそう。歌の方とあわせるのが今からとても楽しみです。

私達の仕事は美しい世界が際限なくあり、ピアニストであり本当に良かったと思う瞬間です。

又、レッスンでは、この時期新しい生徒さんが、入ってきます。
受験生を無事に送り出すとすぐ又、新しい生徒さんが期待に胸を膨らませて私のレッスン室を訪れます。

今日は明和で高校1年生達の後期試験の弾き合い会をしてきました。

今、最も大変なのは受験生でしょう。身体に気をつけて頑張ってほしいです。


2009年1月27日(火) 新しい譜読みは36曲(その2)

かなり、私が毎週生徒に出す宿題は多くて皆、結構大変かもしれません。
しかし、実際音楽高校、音楽大学を卒業して、留学までして帰ってきてもなかなか、仕事がないという人も多いと聞きます。

私は、譜読みが早ければ決してそのような事にはならないと、体験上、確信を持っていえます。
音楽の仕事はそれこそ際限なくありますし、譜読みが早い人には、山のようにあるものなのです。
だから、私が子供たちに沢山の曲を知り譜読みをしなさい、とアドバイスするのはせっかく一生懸命取り組んだピアノを何らかの形で将来仕事に結びつけていってほしいからです。
私がもう、5,6年見てきた生徒達は、何の問題もなくスラスラ、どのような曲でも譜読みして暗譜してくるまでになってきています。
生徒は育てて5年後、10年後に結果が出てくるとは、この事だなぁと嬉しく思っています。

そういえば、生徒達が次々とスタインウエイの感想を書いてきます。
中学2年生の生徒は最初聴いた時、今までに聴いたことのない柔らかいきれいな音色でびっくりした。
少しでもその音に近づきたい。
あるお母様は、美味しいご馳走を頂いた感じ、とおっしゃっていらしゃいました。

今、私が奮闘中の36曲は殆どがモーツァルト、やハイドン、リヒャルト・シュトラウスの曲ですが、
スタインウエイの音とピッタリ、マッチして弾いていると本当に幸せな気持ちになれます。

とがった音が1つもなくどこまでも柔らかく、やさしく、本当にまろやかな天国の音が出せます。

音楽の世界は、終わりがなく毎日私も受験生のような感じですが、自分に与えられた神様からの贈り物を心から感謝し
有難いと思いながらピアノに向かう毎日です。




当分日記はお休みするかも知れませんが、時間の許す限り、
書いていきたいと思いますので皆様今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


2009年1月26日(月) 新しい譜読みは36曲

今日は、大学なので電車を待つ間に、やっと日記が書けました。

私は今、ある大きなコンクールの声楽部門の伴奏の仕事を引き受けており、つい先日、楽譜がドサッと届きました。
数えてみると、何と36曲!あと1ヶ月ぐらいの間に膨大な譜読みをしなくてはなりません。
それどころか、それ以上増えるかも知れないという事。

これだけにかかりきれていればまだよいのですが、宝物のような私の生徒達との時間も大切にしたいですし、コンクールの
審査もあるし、身体がいくつあっても足りません。

その他ソロの仕事もあり、どうやって、時間をやりくりしようかと頭を抱えています。

しかし、ピアニストという職業は、大体そんなもの。
一般的に華やかで、いいなぁと思われる方も多いと思いますが、実際は、華やかさとは程遠い生活です。
大体1日中殆どピアノの前で楽譜を読んでいる生活ですので、心底、ピアノを愛している人でなければ、
つとまりません。

つい先日も譜読みのとても早い生徒に「譜読みが早いとね、将来音楽家としてやっていくのに一番仕事が出来るようになるのよ。
ソロだって伴奏だって、生徒を指導していく時だって譜読みが早い事が最大の長所になりうるからね。
音楽の世界では、現場で「使える人間」はずっと続いていけるけど、「使えない人間」はお払い箱。
そういう実にシビアな世界だからね。○○ちゃんも譜読みが早いから将来沢山音楽の仕事が出来るわね。」と言うと
にっこりしていました。

明日へ続く


2009年1月18日(日) YPFピアノフェスティバル

今日は、午前中一人の生徒のレッスンをして午後からYPFピアノフェスティバルの審査へ行って来ました。
場所は、尾張旭市文化会館のあさひのホール。どこかで見覚えのある所だと思ったら、数年前に
声楽の伴奏でこのステージで弾いた事があるなぁと、思い出しました。

今日ご一緒させて頂いた、審査員の先生は、明和高校でも同僚の先生でしたし、
楽しく審査が出来ました。

今年の課題曲はソナチネや、ソナタなどが、多く出ていました。
一番その人の実力がよくわかるのが古典派のソナチネ・ソナタですから、審査する側にとっても
生徒さんたちにとっても大変良かったと思います。

ソナチネを本当にきれいに弾くためには、小学5, 6年生でも、いえ、中学生だって大変難しいからです。
それに何といってもソナチネやソナタは、本当に美しく、芸術作品ですから、しっかり勉強される事を
お勧めします。

出かける時に晴れていたので、傘を持って出かけなかったら、帰りは雨が降っていました。

今日はお父様の姿も多く見受けられびっくりです。年々私達との時代の違いを感じます。

私達のころは、お父様がいらっしゃるなんて事はめったにない時代でしたので、今の子供たちは2人のご両親から、
愛され、期待をかけられ幸せですね。


2009年1月17日(土) ショパンのエチュード

音楽高校、大学生なら誰でも一度は練習するのがショパンのエチュードです。

私が小学生の頃やっていた練習曲は、ツェルニー30, 40, 50, 60,番 クラマービュロー, クレメンティ, モシュコフスキー等で
中学1年頃からショパンのエチュード、OP,10-8, や OP,10-5など弾き始めました。

それまで弾いていた、ツェルニーの練習曲は、50番も、60番も何という事もなかったのですが、ショパンのエチュードになったら急に
あぁひきにくい、と、強く思いました。

ショパンの楽譜で皆さんが良く使われるのは、パデレフスキー版でしょう。
しかし、それだけだと不十分です。その点、指使いや、ペダルなど参考になるものが、多く書かれているのがコルトー版です。

中学生の時の私も勿論買ってもらい、それに基づいた練習方法を良く試みました。
アルフレッド・コルトーというピアニストの演奏は、私もレコードで何回か聴きましたが、実に音楽的で詩情あふれる演奏で私は大好きでした。

しかし、1つのハンディは関節がグニャグニャで柔らかいために、やはりミスタッチが非常に多く、そのため自分自身で非常に苦労して試行錯誤
を繰り返し、弾きやすくなるための練習方法を考え出したのです。そのために偉大な教育者でもありました。
ですから、コルトー版を見れば弾きやすい指使い、弾きやすくするための練習方法が書かれています。

これを全部やったからといって勿論完全に弾けてしまうという事は、なかなかありえませんが、学生さんは、そのような楽譜を買って勉強されるとよいでしょう。

楽譜は一生の財産になりますからコピーなどで済ませてしまわず、必ず買われることをお勧めします。
私は、コルトー版もフランス語版と日本語版とエチュード一つとっても同じ内容のものが2冊ずつあります。


    勿論エチュードだけでなくノクターンやスケルツオなども。2冊ずつあります。

     又、お友達同士で借りられるかもしれませんが、本気で音楽を学んでいく方ならば、
     そういった財産は、将来のため(演奏家としてやっていっても、
     指導者としても)自分で買った方が良いのだという事を付け加えておきます。

     なぜかといえば、人から借りたものは、絶対大切にしなくなるし、コピーもどこか行ってしまいます。
     しかし、お金で買ったものなら、心から大切に扱うようになるでしょう。
     
     どうしても楽譜やさんに置いてない場合は仕方がありませんが、そこまでこだわれば、
      きっとピアノの道をやめられなくなるし、
     必ず、その人の身になっていくものだからです。

      勿論買っただけでは駄目ですが、買ってあらゆる方法を試してみる事。それが、学生時代にやるべき事です。


2009年1月15日(木) 何百年たっても変わらぬ美しさ(その2)

ヨーロッパの長くて寒い冬は、淋しくて悲しいのだけど、私は各家庭に暖かく灯っている
ろうそくの光や暖炉の暖かい光を外から見るのが本当に好きでした。
そういう所から聞こえてくる美しいピアノの懐かしい調べ・・・。

だから、スタンウエイにはブラームスとかシューマン、シューベルトのような心のそこから温まるような歌がとても似合います。

今までもずっとピアノが好きだったけれど、私の音に新しい音色が又、加わり、あぁ!こうして日記を書いていても早くピアノを弾きたい!と
益々強く思いながら書いています。

右に置いてあるヤマハのピアノも大好きで私とは相性の良いピアノです。
こちらは、ベルヒテスガーデンのエメラルドグリーンをしたキラキラ透き通る湖のようなクリアな美しさで、
気分をさわやかに明るくさせてくれます。


こちらが美しい女性なら、スタインウエイは渋い男性かな?
今は私のレッスン室に入ったばかりなので、借りてきた猫みたいにおとなしくしていますが、そのうち、
ロマンティックにいろんなことを私に語りかけてくれる事でしょう。

私は、自分の演奏技術が出てしまうのでなく、その作品自体がすでに持っている音楽性と魂が伝わってくる演奏が大好きですし、
そのような事を生徒達にも伝えています。

2台のお気に入りのピアノをひき分けながら今後も更に自分の魂を全てピアノに注ぎ込んでいきます。
何故そんなにピアノが好きかと聴かれれば、ただ一言。「美しいから」です。

私は何百年も前から変わることのない美しさを求めたい、だからピアノが大好きです。



2009年1月14日(水) 何百年たっても変わらぬ美しさ(その1)

今日は、大学でレッスンの日です。
教室の暖房が効かなくて凍てつくような寒さでした。
学生達も鍵盤が冷たいので指が動きにくそうでした。

昨日、無事にスタインウエイが入りました。クレーンで吊り上げられて

もし、あの紐がプチッと切れたらどうなるのかな?と、内心ヒヤヒヤでしたが、
やはり皆さんプロですね。実に手際よくこの狭い部屋に納まりました。

ドイツのハンブルクから1ヶ月ほど船に乗って品川の工場に運ばれ、そこからは列車に乗って名古屋へ
そこから又、トラックで我が家へ落ち着いたわけで、「長旅でさぞお疲れ様でしたね。」と、新しいピアノさんに
言ってあげました。

早速、弾いてみました。とても音色が深く柔らかく、スタインウェイ独特の木のぬくもりのする音です。
タッチは、ビロードみたいな、まろやかな滑らかさがあります。

私は、スタインウエイの音のイメージとしては、何故かやはりドイツのハンブルグ工場で製造されるからか、
キラキラと明るい南国的な明るい音でなく、冬の寒く静かなシンシンとした美しいヨーロッパの音を思い起こさせる音がします。
そして私のところに運ばれたスタインウエイは、初めて出会ったのだけど初めてじゃないみたいな
何だかとても懐かしい音がしました。

「私達、とてもいいお友達になれそうね」。
明日へ続く


2009年1月12日(月) YPFアドバイスレッスン

新年が明けてまだそんなに日が経っていないのにあわただしい毎日です。
冬は、審査などで出かける事が多く今日は朝早くからYPFを受ける子たちのアドバイスレッスン
に松栄楽器まで行って来ました。

朝が早いと特に寒く冷たいせいもありどんよりとした曇り空を見ると、ウィーンの空を思い出します。
8人の生徒さんのレッスンをしましたが、とても感の良い子もいましたし、もっと自分をのびのびと表現すれば、
良くなるなぁと感じる子も時々いましたが、うちの生徒達同様、どの子ももっと伸びるだろうと、確信できました。

10日と今日12日はあしながおじさんコンサートに何人か出ていますが皆上手く弾けたようで本当に良かったね。
子供たちには沢山の目標を作りすぎず、目前の目標に絞って集中させる事が、大切だと思っているので
生徒たちには、一つ一つ成功させていく喜びをもたせるようにしています。

あしながコンサートが終われば、やがて、3月21日の待望の門下生コンサートが開かれます。
一つ一つ成功を手にさせることが、大きな自信につながります。大きな高望みをせず一つ一つ前に進んでいけばいいのです。

明日はやっと私の待ち焦がれていた新しいピアノが入ります。
サンタさんのプレゼントを待つようなそんな嬉しさと期待感でいっぱいです。

益々、生徒を教えるのと同様自分の練習にも熱がこもる事でしょう。
ピアノは私にとって次から次へと新しい発見と夢の扉を見せてくれる大切な”商売道具”なのです。
今日も生徒達に踊ってみせたり、歌ったり、マラソン選手と同じくらいのエネルギーを使い果たしましたが毎日仕事をした後の達成感は何者にも変えがたい喜びがあります。

私の生徒達もきっとそうではないでしょうか。レジャーランドで遊んだり海でのんびり泳いでもそんな遊びはいずれ飽きておもしろくなくなってしまうと思うのです。
毎日の練習は子供たちにとっては苦痛に感じる事もあると思いますが、だからこそ今日も1日練習をしたということが、
自分に負けない強い意志をつくりどんな遊びよりも楽しいと思えるようになっていくのです。


2009年1月9日(金) 生徒の演奏に号泣して・・・・(その2)

私は、生徒たちの事は、どの子も自分の子供のようにいとおしくてたまりません。
確かになかなか上手くいかない子を教える時は、サラッと器用に出来てしまう生徒の何倍もの忍耐を必要とします。
こちらも悩んで泣き叫びたくなってしまう事も・・・。
しかし、それだけ手がかかる子ほど愛おしいのです。

ある時、そういう子に限ってガラッと変身してくれるものですし、そんな時心のそこから満足感を覚えます。
そのお手伝いをさせて頂いている私は本当に幸せです。

今日の彼女が本番その調子で弾いてほしいと願わずには、いられません。

新年始まっての後輩達のレッスンが始まり、それぞれに自分の子供が、あのような演奏が出来るようになるのかしら?
と、お母様方も不安なようでご挨拶に見えますが、年齢にはかなわない、体力、頭脳、少しずつ少しずつ、
出来なかった事が出来るようにどの子も成長していくのです。
あせりは禁物です。

中学3年生にもなると、生徒自身が、これではいけないと自分に責任を持って来る様にもなって来ます。

今、小学生の生徒たちも、皆それぞれに受験生の演奏の感想をノートに書いて来ていますが、
心を打たれた良い演奏は、どの子にも判るようで、真剣に聞いている証拠だなぁと思いを新たにしています。

いつもは殆どの生徒は、1人でレッスンを受けているのですが、他の子の演奏や自分の子の演奏をあまり
聴く事のないお父様や、お母様にも日頃のレッスンの様子を目の当たりにしてきいて頂き、音楽の参観日のようでした。

これから年に一回ぐらいこのような生徒のレッスンを見ていただく機会を作り、自分の子供の大変さや、面白い発見もあり、
ご家族で楽しんで頂けたら音楽を皆で共有出来、ご家族の方のご協力も有意義に思えるのではないかと思った一日でした。


2009年1月8日(木) 生徒の演奏に号泣して・・・。(その1)

先日,受験生の弾き合い会で弾いた受験生の1人がレッスンにやって来ました。
彼女が弾き始めると、今までの彼女とはまるで別人の演奏でした。
私は、彼女の演奏を聴きながらこんなにも人間って、刺激を受けて自分に気付いた時初めて変われるんだなぁ、私の伝えたい事がやっと彼女につたわってくれた・・・。
そんな思いに痛く感動しながら、知らず知らずのうち、涙があふれてきました。
それは自分でも押さえることの出来ない後から後から流れる涙でした。

彼女が全曲弾き終えると私は、彼女をしっかり抱きしめて「よく頑張った。本当にえらかった。
○○ちゃんが、先生の心を汲み取ってくれたのが本当に嬉しい。
弾き合い会の後、ビデオを見たりして一生懸命練習したのね。今日の演奏は、本当に気持ちが入っていたから先生の心を強く揺り動かした。
○○ちゃんは、ソルフェージュもよく取れるし
,歌もとっても上手いのだから最後まであきらめちゃ駄目、
○○ちゃんがいつ先生の言う事を理解してくれるのかと先生も悩んでた・・・。」

彼女も涙を流し2人で号泣しました。

彼女は「今回弾き合い会に参加し、皆さんがあまりにも上手くて自分は、何をやっているんだろう、と思いました。
他の皆さんは、気迫があって弾き終わった後、思わず拍手をしそうになりました。
私は練習不足だから、自信がなくて気持ちが全く入りませんでした。
今日が本番じゃなくて良かったと思いました。・・・先生といるといつもなぜか私は涙もろくなります。
先生のお手紙を読んで号泣している私がいました。これからは、心を入れ替えて練習します。・・・。」と
メッセージをノートに書いていました。

その素直な文章に彼女のまっすぐな心がこちらに伝わり又、痛く心を打たれました。

彼女は普段は大変心が優しく、物静かで繊細な礼儀正しい、いい子なんですが、なかなか自分の殻を破ってくれず、どう伝えれば、
彼女が音楽の心を見せてくれるんだろうか、と1人でずーっと悩んでいました。

私は、又、今回の事で、同級生の存在というものがどれほど有難いことなのかが、身にしみて判りました。

私が何度同じことをレッスンで注意していても伝わらない事が、自分と同じ同級生達があんなに上手く弾いている・・・。
それだけで、ガラッと音楽まで変わってしまうのですから!

私は生徒の演奏を聴いてこれほどまでに号泣してしまったのは今回が初めてであります。

それほど、嬉しかったし、あぁ、何も感じていないんじゃない、それどころかすごく感受性豊かな子なんだなぁ、
こうやって一つ一つあせらず忍耐強く見守ってやり、愛情持って暖かく受け入れていけば、どんな子も上手くなれる・・・。そう確信出来た日でした。

明日に続く


2009年1月6日(火) ベートーベン「ハイリゲン シュタットの遺書」(その2)

昨日は、私がとても大切にしているベートーベンの「ハイリゲン シュッタットの遺書」の一部を皆に
読んで聞かせました。

28歳頃から耳の聞こえが悪くなっていき、32歳で自殺しようと遺書を書きます。
自分の病も、家族の事でも悩み本当につらかった時期に書かれた作品は粗末なものでしょうか?
いいえ、全くそんな事はありません。それどころか悲愴、月光、テンペスト、ワルトシュタイン、熱情など、
数々の傑作を世に送り出してくれたのです。後期のソナタの28番あたりからは全く耳がきこえなくてもあんなに素晴らしい音楽を書けたのです。この世のものではない正に天上の音楽ですね。30番はリサイタルでも弾きましたし31番も私にとって宝物のような曲です。

今、私達がベートーヴェンを聞いて心を強く揺り動かされるのも、ベートーヴェン先生には、申し訳ないけれど
普通の人以上に悩んで苦しんでくれたからこそ、あの素晴らしい音楽が生み出されたのだと思わずにはいられません。

私はウィーンにいた頃、何度かバスに乗って自分が行き詰るとハイリゲンシュタットのベートーベンの家を訪れたり
ベートーベンが好きだった散歩道を歩いたりしました。
森の中の小鳥がさえずって、小川がチョロチョロ流れている自然豊かなこの道を、1人ぼっちで孤独に歩いていたのだろうと思うとそれだけで私も癒されました。

実際は普通の人以上に繊細でやさしく温かい人だったんじゃないかなと想像できます。
しかし幼い頃からつらい事が多くて知らず知らずのうちに耳の聞こえも悪くなった事も重なって人嫌いになっていったと
いわれますが、心の中ではいつも涙を流して愛する人を求めて叫んでいたのじゃないかなと想像します。

人間関係をとる事がとても不器用な人だっただけ。
普通に自分の愛する女性と結婚して暖かく満ち溢れた、のほほんとした生活からは
決してこのように人の心を強く揺り動かす音楽など書けないはず。

芸術家は苦しめば苦しむほど、素晴らしい作品を生み出し素晴らしい演奏も残す事が出来ます。

ちょっと可哀相だけど受験生達も今の苦しみは、人の心を強く揺り動かす演奏が出来る絶好のチャンスなのです。又自分の弱さを充分知ることの出来る又とない機会でもあります。そして自分がいかに弱いかを知った時に初めて人間は今までの自分より一回りも二回りも大きくなれるのです。矛盾するようですが弱くならなければ強くもなれません。

後で振り返れば、苦しんでいた時が一番楽しく懐かしく思えるはず。

全国の受験生の皆さんも大いに苦しんで人生のドラマを味わってください。

私の生徒達もこれほど強いドキドキ感が味わえるのもそうはないと思ってこの緊張感を楽しんで欲しいです。


2009年1月5日(月) 受験生(その1)

昨日はホールでの受験生のひきあい会でした。
音楽科を目指す後輩達、現在学んでいる先輩達も沢山聴きに来てくださって実り多い一日でした。



後輩達は、数年後に自分達もああやって受験生になるんだなぁと期待で胸が高鳴った事でしょうし、先輩達からは、
現在の学校生活の様子なども聞けて、受験生達は、更にモチベーションが高まった事と思います。

受験生達からは、門下の方たちから沢山励ましていただいた、又、手作りのお守りまで頂いて本当に嬉しかった事など、喜びのメールが次々と入りました。

門下生同士で受験生を暖かく応援してくださって有難うございます。
皆一生懸命、私の言う事をノートに書きとめ、小学3年生の男の子もきちんと書いて楽しそうに聴いているので本当に感心しました。

受験生達も同じ世代に生きるもの同士が同じ目標に向かって取り組んでいる様子を目の当たりにしてやる気が益々わいてきたといっています。

学生時代は、人生の中で一番頑張れる時期だと思います。
ライバルの存在は、時に息苦しく感じる事があっても、ライバルがいてこそ、自分も頑張る意欲がわいてきます。
だからこそ、ライバルの存在は有難いのです。









2009年1月3日(土) お年賀状

皆様、お正月はいかがお過ごしでしょうか?

沢山のお年賀状を有難うございました。








1人1人写真の付いているのや、文章を沢山書いて下さって大変心のこもっているものや、1人1人とても嬉しく読ませて頂きました。

私もお年賀状を書く時に1人1人の生徒の顔を思い浮かべてその子の事を思い出して書くのですが、そういう時間がとても好きです。

さて私のお正月は元日から家で静かにピアノを弾いて過ごしました。
幼い頃からそうですが、私にはピアノの前に座っている時が他の何をしている時よりも心が穏やかになれ、落ち着けます。

又、1月1日には近くの神社に行って今年4人の受験生がいるので彼女達の合格祈願をしてきました。
ピアノを弾く人は、年中無休なので、受験といっても1つの通過点にしか過ぎません。
音楽の道は、一生受験生なのです。
だから、私も万年受験生のような気分ですが、彼女達も今年のお正月は、ピアノに勉強に頑張っているだろうなぁと、
思い出していました。


明日はひきあい会ですが、皆、音楽科に行きたいと思っている後輩達、又、現在学んでいる先輩達も聞きに来てくれます。
質問もどしどしして下さい。


休みをはさむと人間は必ず成長します。
明日皆に会えるのがとっても楽しみです。


2009年1月1日(木) あけましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。

皆様良いお年をお迎えの事と思います。

   本年もよろしくお願いします。
 元旦


 今年も出来るだけ時間を取りピアノに関して参考になる事を
多く日記に書いて参りたいと思っておりますので
つたない文章ですが、全国の皆様お読み頂けますよう
よろしくお願いします。