2008年8月18日〜8月28日 ドイツ・オーストリア研修旅行記

8/18の朝早く家を出て中部国際空港へ。、明和高校の同僚の先生に突然お会いして同じ飛行機でビックリ!
どこかで必ずどなたかにお会いします。

私は、ヨーロッパに勉強に行くなら、学校が休みである夏休みを利用して行かないと、と、かなり前から計画をしていました。
12時間30分の飛行時間ですが、乗っている間にフランクフルトに着いたらあれも、これもやらなければと頭がいっぱいでした。

フランクフルトに着いて荷物を取ろうとして待つ事2時間程、あまりにも遅いと思っていたら、やっぱり!!
満席のせいか、間違えられていたのです。
結局見つかってほっとしましたが大きな空港では、荷物がなくなってしまう事も度々なのでよかったです。ほっとしました。

さて、私は、今までの生活体験上、駅から近くないと不便だという事を痛切に感じていましたので、フランクフルト、ミュンヘン
ザルツブルグ・ウィーンとすべて駅のすぐ前のホテルを取りました。これは今回も大正解でした。

ヨーロッパには、コンビ二も勿論ないし、お店もすぐしまってしまいます。でも駅の近所なら、いざという時、すぐ出かけられます。
私が今回のヨーロッパ滞在で10年前とすごく変わっていると思った事は、まず、ドイツマルクや、オーストリアシリングでなく、
ユーロになったという事。日本円にして1ユーロ 165円くらい、2日程、日本円からユーロの頭に切り替えるのに面食らいましたが、
すぐ慣れました。
あと、入国審査や出国の際にものすごくチェックが厳しくなったという事。腕時計や、ベルトも見せてペットボトルは、その場で没収、
私の髪どめまで、ひっかかり以前は、このような事はなかったのに、・・・・。

今回ヨーロッパ滞在で私の恩師ローラント・ケラー先生にお会いし、ケラー先生は、今の私の活動をとても興味深く、熱心にきいて下さいました。
すべてケラー先生との会話はドイツ語ですが、ホームページ上では日本語で書きます。ケラー先生が私に「昨日までドイツ語を勉強してたみたいに話せるね」。と最高のほめ言葉を下さいました。10ねんぶりのドイツ語の生活で忘れていないか不安でしたが若い時にしっかり勉強した言葉は以外と思い出せてほっとしました。

「そんなに生徒が多かったら、めぐみはいつ勉強するの?」と不思議そうでした。
又、先生ご自身がお弾きになっていらっしゃるCDを3枚も下さいました。少し落ち着いたらじっくり聞かせて頂きたいと大変楽しみにしているところです。

ヨーロッパの先生は、生徒も少ししかお取りにならないし、バカンスに出かけたり、休みを多くとって自分の時間をとても大切にします。

「ヨーロッパののんびりしたゆったりさと日本の騒がしい競争の国とでは、まるきり違いますからどちらがいいとは比較する事は出来ません。しかし、日本で出来る限りの事がしたいです」と私は答えました。
そのような話から、日本では、子供達のコンクールが過熱しすぎている事等の話になって、「つくづく日本の子供は、可哀想だ、競争意識を持たせる事より
家族で旅行へ行ったり、たっぷり休みを取って自分は何をしたいのかを周りが何でもかんでも与えるのでなく、地に足を着けて自分の頭でじっくり考えさせる事の方がずっと大切」とも
おっしゃっておられました。余談になりますがドイツの学生は夏休みに宿題が一切ありません。夏休みとは休むためにあるものだからです。
それに対し、「ハイ、そこで私はいつもコンクールを受ける生徒には、競争するのでなく、音楽をわかっていく事の方が、
将来のためになるのだという事をいつも言い聞かせています」と答えました。

私の生徒達の事も沢山お話して「めぐみの生徒は、本当に熱心なんだね」と驚いていらっしゃいました。

「私は教える事がとっても好きだし、子供が大好きだし、日本で毎日本当に幸せな日々を送っています」というと、
「すごいなぁ」とおっしゃって下さいました。
又、
10年ぶりの友人にも会う事が出来、学生時代を思い出して、懐かしい話に花が咲きました。

今回とても心に残った音楽会は、ザルツブルグのコレーギエン教会で聴いたモーツァルトのレクイエム。楽器の音も合唱の声も
涙が出るほど、やさしくて柔らかくて、美しいという表現では、物足りない程、神の音楽を感じました。

今、私は36歳だけど、モーツァルトは、私の今の年でレクイエムを書いたのだなぁと思うと何だか不思議でした。

ヨーロッパの人々は、こうやって生まれた頃から何100年もこんな柔らかい音を聴いて育っているのです。
これはもう到底私達にはかなわない世界だといつも思います。
しかし歴史がなくてもこうして教会の中で響く音は、いつまでも私の耳に残ります。

ヨーロッパから日本に帰ると、真っ先にピアノが弾いてみたくなります。
ヨーロッパの音を私の耳が、肉体が覚えていて、それを又、生徒達に伝えて行きたい。

今、フランクフルトから、名古屋行きのルフトハンザ飛行機の中でこの日記を書いていますが、早くピアノの音でヨーロッパの音を出してみたくて
うずうずしているところです。

今回、ザルツカンマーグート地方のモーツァルトのお母さんの生家、又、姉のナンネルが、嫁いだ家なども見ましたが、この美しい景色に
モーツァルトのメロディが、次から次へと鳴り出し、つくづく、モーツァルトの音楽は最高に美しいなと思いました。あとミッテンヴァルトのヴァイオリン博物館などもいきましたがフレスコ画が美しく一度降りたら忘れられない印象を残してくれるこのドイツの小さな町が私はとくに気に入りました。

つい最近までPTNAの課題曲で、生徒達が弾いていた「ナンネルのメヌエット」や、モーツァルトの「ロンド」を思い出しました。
こうした場所を訪れる事によって、弾くだけでなくより音楽の広がりを感じる事が出来るのです。

ウィーンのシュターツオーパーでもモーツァルトの何曲か素晴らしい演奏を聞くことが出来ました。
たださすがに4年間ウィーンは、歩き回って生活していた事もあって動きやすく10年前の記憶を頼りに懐かしい滞在となりました。

今回、10年ぶりにヨーロッパを訪れ自分の原点に戻れた事、そしてさらに新しい自分を発見する事が出来ました。
まだまだ書きたい事は山のようにありますがここら辺で終わりにします。
生徒達には、レッスンの時、少しずつお土産話をしていきます。

最後になりましたが、私がヨーロッパに行っている間、PTNAの決勝大会でE級の生徒がベスト賞、連弾初級Aの2人が奨励賞を頂いたと
母からちゃんと国際FAXが送られてきました。
メールもすぐ届くし、10年前に比べると又、又、世界が近くなった感じです。
皆、本当におめでとう!保護者の方々も陰で支えてくださいましていつも感謝をしています。
長い間お疲れ様でした。

今後もヨーロッパの音を皆に伝えて行きたいと思っています。
レッスンの再開が楽しみです。


2008年8月17日(日) 私の社会人10年の人生

PTNAの本選が終わり、新しい生徒さんのお世話や何やかやで、気分は全くヨーロッパモードに
切り替わっていないのに、明日はフランクフルトに着きドイツにいるんだなぁと思うと不思議です。

考えてみれば、10年前の私は、ウィーンでとても自由にのびのびと、又、ピアノにドイツ語の勉強に、
あちこちの町を訪れ、さまざまな国の人と友達になり、本当に充実した4年間の留学生活を終えて、さぁ、これから、社会人として新しく歩みだす
第一歩に、不安と期待でいっぱいだった事を思い出します。

 私は27歳まで学生生活でしたので、周りの人よりも、社会人として歩みだしたのは、遅い方だと
思います。しかし、10年という年月は、本当に短くあっという間でした。

又、私が10年前には想像もしていないほどに、幸せな道を歩み、素晴らしい生徒達にめぐり会い、又、
私を必要として下さる方たちの多い事に、自分自身驚いています。

私は、人生で自分がやれる事といえば、自分の生きて来た道を周りの人達に示してあげる事、
そして、すべてのものに愛情を持ち、他人を、自分と同じくらい大切に愛する事だけだと思っています。

自分がステージで演奏する事だけでなく自分の持っているものを、他の人に分け与えられるのは、本当に嬉しいことです。
そしてその人達の人生が実り豊かで幸せになっていく様子を見届けていくことは、演奏活動だけでは味わえない、真の育てていく喜びがあります。

一昨日は、お蔭様で、"PTNAの指導者賞受賞のお知らせ"のFAXが本部から届いていました。
これもひとえに生徒さん、保護者の方、周りのあたたかいご協力があってこそ賞を頂ける事で、大変有難く感謝をしております。
今年の表彰式には、私がまだヨーロッパ滞在中のため出席できない事を、大変残念に思いますが、決勝進出の生徒さんは、当日の様子を又聞かせて下さいね。

いつも楽しみにピアノ日記を読んで下さっている全国の皆様、当分(8/28まで)日記が掲載できませんが、帰国後、又、
お土産話をのせていきたいと思っていますので楽しみにしていてください。


2008年8月15日(金) PTNA本選後、初めてのレッスン

今日、本選後、初めてのレッスンで午前中、中学2年生がレッスンにやってきました。

レッスンノートに「めぐみ先生本当に今までご指導有難うございました。
あしながコンサートで、早速弾きたい曲があります。」とあり、彼女なら何を弾かせても頑張ってくれるのを良く知っているので、
私は、「勿論、その曲を弾きましょう」と答えました。
彼女によるとCDでよく聞いていて、その曲を聴くと、頭からメロディが離れないほど好きなのだそう。
自分で曲目選びが出来るように成長してくれたのが嬉しかったのと、コンクール後まだ数日なのに、
ツェルニー、ベートーヴェン、バッハ、ショパンのエチュードなど、本当に丁寧によく勉強してレッスンに望んでくれた事
本当に嬉しかったです。

弾きたい曲があるといっても自分のレベルを知りもしないで、やたらに難しい曲を弾きたがる子、そして、
頑張って練習します。という割には、ちっとも丁寧に練習した形跡が見られず、指使い、音間違い、アーティキュレーション
楽譜に書かれてあることをことごとく無視して弾いている子、そんな子達が、これを弾きたいといって来てもそこは、
厳しく、「ダメ」といいます。

今日の彼女のように、普段のレッスンを本当にきちんとこなしていく生徒には、どんな曲を弾いてもよいよと進められます。
それは、彼女自身が自分が選んだ曲にちゃんと責任を持ち、最後まで曲を仕上げていく忍耐力、
先生におんぶに抱っこではなく、きちんと勉強していこうという意欲が見られ、まかせられるからです。

中学2年生から、高校2年生頃までが、指も一番良く動き、やる気もある時です。

音楽が本当に好きな彼女、これからも頑張って欲しいです。
それが何よりも今後の強みとなっていくでしょうから・・・・・。


2008年8月11日(月) 夏休み色々目的を持って頑張った生徒達

PTNAのコンペの夏も終盤になって参りました。
門下生の出場は10日で終わりいろいろなドラマがありました。

次点で全国決勝大会へは進めなかった連弾の生徒、「今日から次に向かって頑張る」
「とても楽しかった」とマイナスに受け取らず、その後も励んでいるようすです。

又、恐らく予選では最高点だったと思われる生徒、ある方から○○さんの演奏がとても好きだとほめて頂いたとか・・・。
地区本選も精一杯最後まで頑張りましたね。

又、男の子と女の子のペアの生徒1分弱の曲に1時間レッスンをしている私の根気に回りは唖然としたそうでしたが、
姉弟だったら恐らくけんかになるだろうなぁと思えるシーンもあり、何ともこちらも見ていて楽しくレッスンに引き込まれていく
4ヶ月でした。

皆、それぞれ精一杯自分の実力を発揮できたコンペだったと思います。
暑い毎日を本当にご苦労様でした。

1ついえる事は、特別な天才的なという演奏は、一握りに過ぎないという事です。
後は、曲目や、その日の審査員のメンバー、ホールの響き、順番などに左右されてコンマ0,1やコンマ0,2の差で一喜一憂しないで欲しいという事です。
要するに私を含め審査員一同、いつも強調して言っておきたい事は、どの生徒もそう大差はありません。みんな同じレベルです。だからこそ努力のしがいもあるというものですね。

勿論コンクールに挑戦しなかった生徒も、日々沢山の曲をさらって実力をつけています。

毎年コンクールのやりすぎで頑張りすぎて燃え尽き症候群になってしまう人達が沢山いるのを私は体験上よく知っています。人間には充電期間もとても必要です。その間に頑張る気力が養われ成長もします。休むと子供の身体が急に大きく成長するのと同じ原理です。もうピアノを見ても嫌だと思うような学生や大人にだけはならないで下さいね。
練習する事に価値を見出し、長続きの出来る、音楽を愛する人になって欲しいというのが切なる願いです。


2008年8月9日(土) 最終に近づいたPTNAコンペ

全国決勝大会に行く子達、優秀賞や奨励賞受賞など、それぞれ皆、喜びを胸にしてそれが終わると
夏休みも終わりになるなぁという感じです。

 私は近々、留学から帰国して10年ぶりに又、ヨーロッパを訪れますが、昨日、恩師のケラー先生の奥様から
国際電話を頂きました。

私が「日本は、携帯が主流になっているけどヨーロッパはどうなのでしょうか?」という話から、
「私、ピアノの世界に浸りきっていて、もう全く時代から取り残されているんです。だから・・・。」
というと、「まぁ、めぐみさん、素敵な女性ね。すばらしいわ」といわれてびっくりでした。

日本だと私のような人間は、「おくれてるう〜」と皆から笑われるのですが、ドイツ人の生活は、生活に必要でないものは、持たない主義の人が多いです。

私も音楽の邪魔になるものは全く排除するのが、私の生き方なので、一応、携帯は持ってはいるのですが、
ほとんど使わないし、車も運転出来ないし、私の持ち物はピアノだけ、そして大切なものは、すべて心の中にあるから、
ケラー先生同様、私の生活はとってもシンプルです。

又、ウィーンで恩師と再会してさらに自分を磨いて生徒達に還元していければと思っています。だから、携帯も何も持たず
身、1つで、気軽に勉強に行ってきます。
大切なものは、すべて心の中のかばんに閉まって・・・。

明日はPTNAコンペの地区本選(門下の参加者)最終日、皆も楽しんで弾いてきてください。


2008年8月6日(水)E級中学2年生、本選第一位決勝大会へ

今、PTNAの審査で東京から帰る新幹線の中で日記を書いています。
2日間の審査を終え、ホッと新幹線に乗ろうとしたら、雨で新幹線が大幅に遅れていてものすごい人、人、人、
雪といえば止まり、地震があったといえば止まりしょっちゅうそんな中を足しげく東京にレッスンに通っていた学生時代を
思い出します。あんな大変な事、又、やれといわれても無理だなぁ・・・。

 さて、昨日はヘトヘトになってホテルに戻ったらE級に参加した中学2年生が見事、本選第1位に輝き、全国決勝大会へ
進むと母からメッセージがありました。
本当に良く頑張ったね。
私が、結果そのもの以上に嬉しかった事は、今回選んだ曲はどちらかといえば、彼女のタイプとは違ったものを1曲入れて
レッスンでもかなり苦労した曲が、涙が出るほど、美しく弾いてくれた(母によれば)という事に尽きます。

とても感じのよい清潔できれいな端正な演奏が彼女の魅力ですが、そこを一歩超えたところでの、ワインの味がほしいとか、色気が欲しいとか(笑)
あらゆる言葉を駆使しフレーズの歌いまわしを提示して彼女の精神の熟してくるのを辛抱強く待った結果、
少しずつ、少しずつ、ワインの味に近づいてこちらも少し、酔えるように弾いて来てくれたのが最終のレッスンでした。

音楽は、最終的には、聴き手を酔わせるものが何かないとつまらない、そして、もう1回聴きたいと思えるような何かが。
きっとそんな演奏をしてくれたんだろうなと思い、それが一番嬉しかったです。

皆そうでしょうけれど、一番厳しい批評家は私にとっては、母です。
他人は、皆、優しく甘い言葉をかけてくれます。しかし、母は、腹の立つことも言うけど、本当の事を言ってくれる。
又、それが本当だから、子供の頃から、嫌な事を言われてムッときても真っ先に意見を聞く。
そういう本当の事を言ってくれる人の存在はとっても有難いと思います。

母は私にはめったにほめてくれないけれど、(しかし私の生徒には実に甘いな・・・。)本当なんだから仕方がない。
そんな話を今日、PTNAの審査の先生方と話したのですが、皆さんそうだとおっしゃっていました。

厳しい事をいわれて初めて人間は大きく成長すると思います。
だから、失敗を恐れず、どんどん嫌な事を言われながら前へ向かって来たのが私の人生かなと思っています。
父も言ってくれます。私が苦しんでいるのを見ると、「よし、そうやって苦しんでより大きく、ひと回りもふた回りも大きな人間になれ」と・・・。

決勝大会に行く彼女も今回の事が大きな強い自信につながったと思います。
そうやって1つ1つ小さな成功体験を積み重ねる事によって今後、更に、より打たれ強く、たくましく成長していって欲しいなと
願っています。