2008年7月31日(木) 8月に入って頑張る生徒達

明日から8月に入ります。

先日小学2年生の子のレッスンノートに「おばのフラメンコを見に行きました。何かが出ていると感じました。
岩野先生もそうだなぁと思いました」とレッスンノートに書いてあり、小学2年生でも感じる心は大人、
いやそれ以上だなぁと感心してしまいました。

彼女はまだ私のところに来て間がない子ですが、精神的にとても早熟な子で、
いつか、PTNAの曲「わかれ」をレッスンしている時,、優しいお母様を思い出して、胸にこみ上げるものがあったのでしょう。
ポロポロ涙を流して弾いていました。つい最近は本を読んで悲しい物語に涙が止まらなくなった、又、中国の地震のニュースを見ては、
可哀想だと涙を流す、そんな感性豊かで繊細な彼女、自分の幼い頃とどこか共通するところがあり、彼女の姿に、自分の幼い頃が重なります。
まだピアノを習い始めて1年程でPTNAに初挑戦ですが、目前の本選に向けて頑張っています。

又、今日は、中学2年生の生徒が最終の仕上げのレッスンに来ました。
彼女もまだ私のところで習い始めて短い間ですが、今日、彼女に言ったことは
「○○ちゃんが、先生のところで、初めて弾いてくれた時から、短期間の間に随分成長したわね。
○○ちゃんが、「音楽」というものが、どこから出てきてどこへ帰っていくものなのかが、少しずつ見え始めてきているのが何より嬉しい。
音楽に対して向き合う姿がね。だから、コンクールの結果なんて全く気にしなくていい、もともとコンクールというものは弾く順番や弾く曲目、
周りの状況によって随分左右されるもの、又、それが決定的なものじゃないしね。
この3ヶ月の間本当に良く頑張った」。と褒め称えて、送り出しました。

毎日暑い中、皆、レッスンに通うのも、毎日の練習も本当にご苦労様でした。

ステージでは、好きなように伸び伸びと弾いてきてほしいです。



2008年7月28日(月) 生徒の成長

PTNAの審査を終えて新しい生徒さんのお世話や何やかやであっという間に時が過ぎ、
今日は大学のピアノの試験があり、私たちは、夏休みがないなぁという感じです。

又、近々、審査へ行きますが、昨日、そういえば、中学2年生のレッスンノートに最近、ソルフェージュを
待っている間に近くのお部屋から、ベートーヴェンの曲で知っている曲が聞こえてくると分かるようになってきた。
これも沢山曲をこなすようになったおかげと書いてあり、私もとても嬉しく思いました。

彼女は、ツェルニー50番、バッハの平均律、ベートーヴェンのソナタ等、受験に必要な曲を今、片っ端から
ふよみして頑張っています。
自分が弾いたことのある曲が沢山あると、あ、この曲も知っている、この曲も、と、なりますが、
知っている曲が少ないとそれだけ分かることも少なくなってきます。

又、昨日は、小学6年生の生徒で、モーツァルトのロンドを弾いている生徒が、モーツァルトの物語と題して、
自分なりのイメージを沢山膨らませてお話を書いてきました。
フレーズごとに事細かにお話を考えてそのお話とハーモニーの色合いがぴったりきているので、本当に感心しました。

彼女はもともと大変想像力豊かで、音色の美しさが魅力でしたが、最近益々磨きがかかってきました。
彼女の演奏を聞くたびにあぁ、何と貴女は素晴らしいピアノを弾けるように育ってくれたのだろうと、とても嬉しくなります。
毎日、ものすごくピアノに熱を入れて研究しているというのが手に取るように分かります。

どの生徒もそうして目に見えない大きな成長を遂げているのが私の喜びです。


2008年7月21日(月) 聴衆を育てることが大切

20日(日) 21日(月)と審査のため前日19日(土)から出かけました。
新幹線の中で当分ご無沙汰だった日記を書いているところです。

今回グランミューズ部門の審査をさせていただいたのですが、参加人数の多さにびっくり致しました。
年齢が上ってくると指はあまり回らなくても、音楽的な面で深い味わいがあること。
若い方々は、指がとてもよく回るのだけど音楽の一番大切な「うた」がもう少しあったらなぁと思いました。

グランミューズ部門はあまり聞かない珍しい曲が次から次へと出てきます。
審査する側も一度に膨大な曲のレパートリーを聴くことが出来、それに付いて講評を述べるわけですからどの先生方も大変勉強家です。

私も自分が中学、高校、大学で弾いた曲がとても多くショパンのソナタ3番の1楽章は、高校の卒演で弾かせて頂いたなぁとか、
中学3年の時、夜のガスパールのオンディーヌを弾いたなぁとか懐かしく聞いていました。

コンクールを受ける人たちが自分が受けて弾くことだけに気をとられるのでなく、人の演奏も楽しんで聞ける人達に
なってほしいのが私たちの願いです。

弾くだけの愛好家でなく聞いてくれる人たちを育てていくのも私たちの役目だなぁとつくづく感じた2日間でした。

夜の新幹線の中から花火が見えていて わぁ、!きれい!ドビュッシーの花火のグリッサンドを思い出します。花火なんて小学生の頃見たっきりだな。。。。。明日から又早速レッスンです。


2008年7月12日(土)新しい生徒

今日は、PTNAの初級Aの小学3・4年の連弾、D級の中学2年生がPTNAの予選通過したと又、喜びの電話がありました。
毎日暑い中、練習を良く頑張ったね。

さて、今日は、滋賀県の長浜から小学3年生の新しい生徒さんが、レッスンにいらっしゃいました。

昨年私がPTNAの審査で長浜に行った際に私が書いた講評用紙を見て短いけれども適切なアドバイスを頂いたと感動されて、
その後、私のホームページの日記を熱心に読んでくださって、生徒さんの空きが出来るまで何年でも待つとおっしゃって下さっていました。

全国各地のピアノを習っている皆さん、私の日記をいつも読んでくださって本当に有難うございます。
ピアノを一生の道にしていくには、順調なことばかりではありません。何かを人並み以上にマスターするには、人並み以上の努力が必要不可欠です。

そういった苦労をしている全国各地の方々が私の日記を読んで暖かい気持ちになったり、泣いたり、笑ったりして読んでくださっていると思うと日記を書く苦労も
吹き飛びます。
今日のその生徒さんは、音楽を感じる力はとてもありましたし、何といっても初見が早いというのを聞いてこの先まだまだ可能性があると感じました。

お母様はピアノの先生で私が子供に聞いていることを、お母さんが答えるというようなすぐ口をはさむのでなく、
子供が答えるのを待つといった大変謙虚な方で、上手く子供を伸ばしていかれるだろうということも充分、分かりました。

滋賀から通われるのは大変だと思いますが、頑張ってほしいなと嬉しく思った1日でした。


2008年7月6日(日) 連弾の大活躍!初級A  中級  グランミューズ

今日もレッスンしているとたて続けに PTNAの予選通過の連絡が入りました。

連弾初級Aの小学3・4年の男の子と女の子、連弾中級の中学1年・3年の姉妹、そして大人の方で
グランミューズ部門連弾Dカテゴリー・ソロA1 カテゴリーと皆、優秀賞で予選通過できたという喜びの電話でした。

又、A1級の小学2年生も奨励賞を頂いたという事でした。皆、よく頑張りましたね。

連弾初級Aの男の子と女の子は、昨日、最後の仕上げのレッスンでした。
彼はソロも先日あったばかりで、立て続けに本番が続きそのストレスもあってか、可哀想にマスクをしてやってきました。
熱もあって大丈夫かな?と心配していましたが、今日真っ先に電話をくれたプリモを担当した女の子の話では、「今、走り回っています!」
との事。

あーぁ、今は、興奮して熱があっても気が付かないで走り回って、又、あとで、ダウンしなければよいが・・・とヒヤヒヤ。

2人のレッスンは、非常に面白かったです。
小学4年になる女の子はなんとも利発な子で、小学4年と思えないほど、口が達者でおませさんです。
幼稚園の時から見てきた当初から何か聞いても、ポンポン自分の意見が出てくる子でしたが、最近すごくレディらしくなってきたなぁ、と
感心していたところ。もう1人のセカンドの男の子は、本当に素直で、従順な男の子です。
1年先輩のプリモさんの言うことを良くきいていて何とも可愛いです。

陰でしっかり支える彼・自由奔放な彼女、2人を見ていると、小さなお嫁さんとお婿さんみたいで、何とも微笑ましく
楽しいカップルです。

又、中級の姉妹は、楽譜にお姉さんが絵でこんな感じかな?と顔の表情を書いて、沢山イメージを膨らませて毎回大張り切りでした。

又、グランミューズの大人の方々は、普段はピアノを教えていらっしゃって、お忙しいのにその中でよく頑張られました。
2人ともグランミューズ部門ならではのよさがのびのびと出ています。
学生を離れても、とってもピアノを楽しんでいる様子が、きっと伝わったのでしょう。

初級A、中級、グランミューズと部門は違っても目指すところは、1つ。
とにかく美しい音色の変化、バランス、「うた」が伝わったか、音楽として相手に聞かせられたかが最大のポイントとなったと思います。

皆さんおめでとうございました。


2008年7月5日(土) 「今」分からなくても大丈夫

今日はPTNAの予選に参加した生徒から、1人1人電話が入りD級2人優秀賞で予選通過とD級1人奨励賞、
E級1人優秀賞で予選通過したと喜びの電話がありました。

皆すごいね!

おととい、PTNAのコンクールを聞きに行った小学2年生の生徒のレッスンノートに
「審査員の先生が、レンジでチンしたようなお料理の演奏でなく10年ぐらいじっくりかけていかなければいけません。」とお話されていました。
○○もコツコツと頑張ろうと思います。」と書いていたので「そのとおりね。
先生がいつもコツコツじっくり手をかけて練習していこうね、というのはそのことよ」とほめました。

コンクールで賞を取らなければと思うあまり、その時だけの課題曲を表面的に本人が分かってもいないのにそれこそレンジでチン
したような即席で弾いている生徒を良く見かけます。
結果としてまだ指もふにゃふにゃ、関節もしっかり出来ていないのに無理やり音を出させてそのために、硬くなって脱力が出来なくなったりもします。

私のところにこられてまだ間がない親御さんは、何でもかんでも「今」分からなければいけない、「今」出来なければいけないと
あせってしまわれるように思います。これは一番禁物です。
そんなに急いでどこへ行こうというのでしょうか?近道をしようとしても行き着く先は皆一緒です。なるようにしかならないことも世の常です。

そういう方々には、私は常に「私がレッスンでしていることは、いつか必ず分かる時がくるから(勿論続けていればの話ですが)
今、分かろうとしなくていいのですよ。後になって、出来なくてもあぁ、そうだったのか、と頭では必ず分かってきますからね」と安心してもらいます。

第一ピアノでなくてもこの世の事で、「今」わかる、というような簡単な事が果たしてあるでしょうか?
そんな簡単に何もかも上手くいくなら誰しも悩みなんて1つも持たないでしょう。
「今」わかる、というようなものはこの世に生きている限りほとんどないと思います。
あるとすれば数限りない体験とそれによって得た失敗の数々、それを通して少しずつ、物事の本質がつかめてくるものだと思います。

アーティキュレーションの仕方もアゴーギクの取り方、ルバートなどもコンクールの課題曲1,2曲必死に練習したところで分かるわけは、勿論ありません。

ケーキを焼くのに初めてで上手くいくことはありません。
何回も何回も焼いてみて少しずつ上手く焼けるようになってくるのと同じです。
ピアノも何百曲、何千曲と数限りない曲を知り、弾いて、体験してみてやっと少しずつアーティキュレーション、アゴーギクの本質が見え始めるのです。
ですから、新しい生徒さんには、勿論長年いる生徒さんも「今」分かろうとしなくていい、いや分からなくて当然なのだということを付け加えておきたいと思います。


2008年7月3日(木) 人間をみがく

7月に入りました。この時期に入ると、学生達は、あと少しで、夏休みに入るのを楽しみにしているでしょう。
それまでに 試験やコンクールをひかえている子は、何度もリハーサルや、イメージトレーニングを
させて、本番に備えさせます。

昨日も、そういえば、大学の学生達に、おじぎの仕方から、ピアノの椅子の座り方、弾き始め、弾き終わり、
又、お辞儀をして戻っていくことなど、ごくごく基本的な事を講義で話しました。

学生の1人が、「ゆっくりこしかける、ゆっくり食べる、ゆっくり話すが淑女の基本なんだって」と、となりの子に
話しかけています。
「そうよ、では、皆さん一緒にお辞儀の練習をしてみましょうか?」といって、学生達を立たせます。
「にっこり笑ってね」というと「顔がひきつりそう!」などと言ってキャッ キャッと笑って本当に楽しそうです。

私が審査で点をつける時、ピアノの第一音を弾き出す前になんとなくこの子は、ステキなピアノを弾いてくれそうだなーと
思える予感は、十中八九(たいがい) あたります。
素敵なピアノを弾く子は、どことなく緊張感が漂っていてその人の周りから強いオーラが出ています。

反対にモサーッと出てきてモサーッと弾き始める子は、まだ自分を生かそうという意識が足りない子です。
意識が未熟で子供だということ。
意識過剰になりすぎても勿論いけませんが、そういったところに、気を配れるようになると、演奏は、格段に素敵になってきます。

ピアノを美しく弾くことは、人間そのものを美しく磨いていくことにつながるのですね。
小さい子供の場合は、シャンと背筋を伸ばして立つということから意識を持たすことは、大変です。
学生達に姿勢が美しいのは何に対しても前向きになれるものですよ という話をすると、学生達は真剣に聞き入っていました。

大学2年生にもなると随分大人になれるんだなぁと感心した一日でした。