MuPADで数値、数式等の入力では、入力行末に末尾を表す記号";"又は ":"を入力する必要があります。ここで";"と":"の違いは、末尾が";" であればMuPADは処理結果のエコーバックを行い、":"であれば処理結果 のエコーバックを行わない違いがあります。この仕様はMapleと同様です。 その為、長いリストや行列の処理を行う場合には末尾を":"にした方が 大量のエコーバックが無い分良いでしょう。
MuPADにはHelpが付属しています。使い方はフロントエンド上で?項目 を入力すれば、その概要が表示されます。但し、表示方法はシステムに よって異ります。例えば、Unix系のOSでX環境のフロントエンドを用い た場合にはTeXの一種の形式のHyTeXで記述された内容が表示されます。 これが非X環境の場合にはコンソールに直接表示され、MS-Windows版の 場合はシステムのHelpが用いられたりします。尚、HelpにHypTexを用い ている場合には、各Helpの末尾にある例題の個所で先頭のMuPADの入力 行の">>"を押すとフロントエンド部に自動的に例題がコピーされます。
扱えるデータとして、一般の数値、複素数、多項式、これらを成分とする 行列等が扱えます。但し、行列以外はDomainを特に宣言せずに利用 可能ですが、行列やベクトルを用いる場合にはDomainを宣言し、 その中で演算を行う必要があります。
又、数学的なデータの他に配列、列、集合があります。
MuPADの数値及び多項式の演算子は通常の数学記号と同様のものが用い られます;
1 + 2;
1 - 2;
2 * 4;
2 / 3;
3^2
MuPADの日本語のテキストは殆んどありません。しかし、Mapleと共通の 部分が多く、Mapleの事が分かれば普通の計算処理は可能です。 但し、関数の定義はMapleよりも厳密で、よりPASCAL風の言語仕様に なっています。
f(x) = x^2+1の様な一変数の関数を定義したい場合は、Mapleと同様に 単純に"->"を用いて定義可能です。
例
>> f := x -> x^2+1; 2 x -> x + 1 >> f(3); 10 >> f(a); 2 a + 1
但し、Mapleの様に"->"の左辺にif文を含ませる事や、(x,y)->x*y の様に右辺に複数のパラメータを設定する事は出来ない様です。
プログラムの命令と形式はMapleに非常に良く似ており、proc文を 用います。但し、MuPADの場合はPASCALと同様に本文はbeginで始まり、 例によってend_procで終わる仕様となっています。
例
>> f := proc(x) begin &> x^2+1; &> end_proc &> ; proc(x) name f; begin x^2 + 1 end_proc >> f(3); 10 >> f(a); 2 a + 1
if文はMapleとほぼ同様の形式です。しかし、Mapleの場合は
if (条件1) then 処理1 elif(条件2) then 処理2 else 処理3 fi;の様にif文は"fi"で終るのに対し、MuPADの場合には
if (条件1) then 処理1 elif(条件2) then 処理2 else 処理3 end_if;の様に"end_if"で終わります。全体的に、if文やfor文等の分岐やループ 文では、名前がxyであればその末尾はend_xyの様となる癖があります。
MuPADではfor文は次の様に使います;
for 変数 from 始める数 to 終了する数 do; 処理 end_for;
この様に基本的にはMapleと同様のスタイルとなっていますが、 末尾がMapleの様に"od"では無く、end_forになります。